【感想・ネタバレ】平凡(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

もしあのときああでなかったら、今ごろ私はどんな人生を送っていただろう。そんな「あのとき」という一点や、ありえたかもしれないパラレルワールドに思いを馳せてしまう、我ら凡人たちの短編集。
とても良かった。最後の話は泣いた。
以下、心に残ったフレーズ。といっても適当に縮めたりしているので正確な引用ではありません。

■もうひとつ
「もうひとつの人生なんかないよ」
■月が笑う
「許さないことはこわい、と感覚的に思った」
■こともなし
「だって、幸せじゃないと困るじゃない。…今まで『もし』で別れた幾人もの私がよ。」
■いつかの一歩
「人生って最初からあるのかしら。できていくものだとしたら、いつのどの一歩がその後を決めていくんだろう」
■平凡
「ど平凡に生きていてほしいっていうのは、呪いっていうより願いに近いよね」
■どこかべつのところで
「かなしみも後悔も、一ミリグラムも減ることはぜったいにないけれど、ただ、それを背負ってしまったという一点で、こんなふうに見知らぬ人と共鳴し合える」

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

自分はこの作中の人物のどれかのような人生を歩むのかもしれない。
じわじわくるこのリアリティ、流石です。

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2021年09月21日

Posted by ブクログ

初めて読んだ角田さんの本。
すごく共感できて、こういう時はそうだったのかぁ、と気持ちに納得のいくお話たち。
すぐに全部読めてしまう。

また読み返したいな。

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2020年09月26日

Posted by ブクログ

『月が笑う』と『平凡』が好き。
普段小説は読み終わったら手放してしまうけれど、これは時々また読みたいなぁと思う!

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2020年09月06日

Posted by ブクログ

「平凡」、読み終わって、涙が出た。
かつての同級生が、羨ましいような華やかな人生を送っていて久しぶりに会う。意外なことを打ち明けられる。そして。。。
「平凡」という言葉のもつ深さにハッとさせられた。
人生の機微がほろ苦く、温かく、深い。
やっぱり角田さんはスゴい。

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2020年07月25日

Posted by ブクログ

読んでいると、時に心に刺さるし、時に心に染みる、そんな作品でした。

刺さるのは、グサって感じではなくて、とても細い長い針でチョンチョンって刺されている感じ。
普段は隠れている、というか見ないようにしている自分の影の部分が描かれている。

染みるのは、そんな影の自分もそれでもいいんだって思えるところ
また、誰しもそんな影の部分を抱えていて、その人なりに向き合っているんだとわかるところ。決して全員が全員そうではないけど、それでも、自分ひとりではないってことはホッ安心できるところ。

平凡に生きているというのは、大変に幸せなことなのでした。

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

私事だけど、コロナに感染してしまい
しばらく本が読めなくてゆっくりゆっくり読んだ
(何をするにも倦怠感がすごくて内容が入ってこなかった)

でも、そんな時に読みやすい1冊だった
タイトルの通り平凡さが心地良い

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

これから先、何かを選択する場面がきて、選ぶのが怖くなったときに読みたいかも。

「選択しなかった方の人生」がテーマの6つの短編集。

選択するとき、どっちかにしか幸福はない!って思ってたけど、
多分どっちもそこそこ幸福で、そこそこ大変。って「どこかべつのところで」を読んで思った。

それに、どちらかを選択したことで、得られるものや、つながる次のものがあるんだなって、「いつかの一歩」を読んで思えたので、
なんというか、選ぶことに勇気をもらった感ある。

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

もしって考えちゃうのわかる。
あのときああしてなかったら今の自分どうなってるんだろうとか、今の自分を作ったのはいつどこでしたどの選択なんだろうとか、よく考えちゃう。
けど、「選ばなかった自分もどこかべつのところで生きてる」って思ったら今まで選んだ選択が正解か不正解かに悩まなくてもいいのかなという気持ちになれた。

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2022年09月09日

Posted by ブクログ

naonaonao16gさんのレビューを拝見して、気になった本。

誰しも、人生の岐路がある。そこで、もし選んでいたら
歩んでいたであろうもう一つの人生。
その「もう一つの人生」を想像する人々を描いた6つの短編。

今の自分が辛かったり不満だったりすれば、「もう一つの人生」を羨むのだろう。
僕にもそんな時期があったな…と。
(決して、今の結婚生活に不満があるわけではありません…念のため。)

ただ、この小説を読んで思った。
もう一つの人生を歩む、もう1人の自分と今の自分はきっと必ずどこかで出会う。
その時、もう1人の自分を祝福できるようになれば素敵だな、と。
さらに言えば、もう1人の自分に羨まれる自分になることだって、決して不可能ではない、と。

そんな希望を感じる短編集です。

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2022年04月30日

Posted by ブクログ

もう、何度も何度も考えたことのある「もしもあの時こうしていたら」、「もしもあの時もう一方を選んでいたら」をテーマにした短編集。登場人物達は当たり前だけど全然違う性格で、人生も、選択も違うけど全員がふとした瞬間にもしもを考えて、自分の選択を振り返りながら何かに気づき、後悔し、諦め、悩み、受け入れて生きていた。

私も読みながら、ひとつでも欠けていたら今がない。ああ、本当にそうだな、辛くて二度と経験したくない、出来ればしたくなかったあの出来事があったから今がある。と思ったかと思えば、いや、あれがなくても結局こうなってたんじゃないのか。と、思ったり。
読みながら自分も振り返っていたので勝手に忙しかったです。

もうそもそも選ばなかった方の人生なんてこの自分には経験しようがないんだから考えたって仕方ない事なのに、きっとこれからも私は何度も考えてしまうのだろうなあ…。と、一人一人の主人公のストーリーを覗きながらぼんやり考えた。

もう1人の自分よりもいい人生を送っていると思われたいと思っている自分に気づく、というシーンがあった。確かに、そうなのかもしれない。それと同時に選ばなかった自分にもちゃんと平凡な日々を送っていてほしいと、この小説を読みながら祈った。

平凡に生きていて欲しいとかつての恋人に呪いをかけていたが、それは何年も経つと呪いから祈りへと変わる。平凡を恐れていたあの頃の私は、今の平凡に生きている私を見てどう思うのだろう。

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2021年12月25日

Posted by ブクログ

これまでの人生に、わたしたちは「もし」を重ねてしまう。「もし」のほうの自分に希望を見出し、現実を雑に持て余すのだが、「もし」は「もし」なのだ。

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2021年08月19日

Posted by ブクログ

もしもあ〜していたら!あ〜していなかったら!と思い悩む人たちの短篇集。

一番すきなのは、猫を捜す「どこかべつのところで」

あ〜わかる〜って思ったのは、必死でブログを更新する「こともなし」

ですが、どのお話も面白かったです。
大きい小さいに関係なく、日々何かを選択しながら生きているので、とても共感できました。

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2021年07月01日

Posted by ブクログ

短編集。1番最初の物語、昔の彼女に薦められたワインのくだりがみたくて借りた。読み応えのある、自分の人生の「もしも」を巡る物語。

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2021年06月27日

Posted by ブクログ

選ばなかった方の人生。もしあのときああしていたら。人生の帰路。どっちを選んでも側から見たら同じくらい平凡で、本人からしたら同じくらい辛かったり苦しかったり後悔があったり、でもときどき素敵なことがあったりするのかも。自分もそう。どれも実際にありそうな、自分と同じような、平凡な人間たちの短編集。

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2021年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良い。良いんだなあ。いつの間に、角田光代さんはこんなにもしなやかに強くなったんだろう?と、いつも驚く。この作品も、見事に強かった。美しかった。正しく、誰かを勇気づける作品だな、とね、思いましたね。いやあ。良い。

だがしかし、誰かを勇気づけない、惑わすだけの角田さんの作品も、間違いなく知っている。だからこそ、尚の事、この作品の角田さんが好きになる、という感じ。うーむ。この思いを、誰かに伝えたいんだけど、伝わるのかなあ?どうかなあ?わからないなあ。

「あの時、ああしなければ。あの時、ああしていれば。今の私の人生は、もっと別の(より良い)ものになっていたはずなのに」
ってね、思わない人は、いないと思うんですよ。ある程度、人生を経てきたら。人生とは後悔の積み重ねなのです。でも、それでもなお、
「この人生で良かった、とはとても言えないが、コレが今の自分なのであって、それはもう、そうなのだ。受け入れるしかないのだ。だって、そうなんだもん」
という境地に、如何に達することができるか?

今、そう思っても、また、きっと、後悔するんだろう。「なんで俺の人生、こんなんやねん、、、」と。だが、それすらも、それすらも、受け入れて行きたい。たまにはね、「あの時ああすればもっと、今より幸せだったのか?」とどこまでもどこまでも問いかけてくる、ブルーハーツのマーシーの作品「ラインを越えて」を聴きかえしながらね。あと、ハイロウズでの、ヒロト作の「No.1」で、机に向かってブツブツと「とても平凡だ」と呟く人も、思い出しちゃうな。

「平凡」という題名通り、とても平凡な人々の、基本とても平凡な日々が語られます。そう。どこをどう切り取っても平凡。だがしかし。

全ての平凡は、全ての当事者にとっては平凡ではなく特別にして唯一のものだ、という相反した真理も、ちゃんと描いている、と思いました。原田宗典さんのエッセイ「平凡なんてありえない」と、通じてるなあ、とね、思った次第です。

「全ての平凡は平凡でないという意味で平凡なんてありえないのであり、平凡なんてありえないということこそが全ての平凡に繋がるのである」

みたいな感じ?うーむ。ウロボロスの蛇。卵が先か鶏が先か。

ちなみに、単行本、文庫本、それぞれの表紙も、凄く良いんですよ。後藤美月さん、という方のイラストのようです。「牛乳石鹸」の赤箱、青箱のデザインのパロディーだと思うんですが、ああ、あのデザインこそが、日本における「平凡」の象徴なのだなあ、素晴らしいことだなあ、ってね、シミジミきちゃうんですよね。牛乳石鹸で身体を丁寧に洗いたくなっちゃうなあ。そしてあったかい布団で、ゆっくりと眠りたいなあ。ってね、思いますね。

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2021年04月17日

Posted by ブクログ

6つの短編。

もうひとつ
月が笑う
こともなし
いつかの一歩
平凡
どこかべつなところで

大人たちの日常の中で、葛藤する心の中をどうしてこんなに上手く表現できるんだろう。
好きだとか愛だとか、そんな情熱が持ててキラキラするのは若いうち。少なくとも私はそうだ。いつの間にか人は日常に埋没して、身近なことに感動する心さえ失っていってしまう。生活を維持するために嫌いなものにフタをして、人前では笑顔のまま生きていくこともできるようになってしまう。本当は心の中に追求したくないモヤモヤや闇を抱えているのに。自分の内面を見て見ぬ振りをしているだけ。
そんな大人のもやもやした表と裏をこうも表現できてしまう。

大人たちの長く暮らした人生の中では大きな事件があっても同じ様な規模の事件が次々に降ってくるものであるから、大騒ぎもせず、騒いだとしてもそれを淡々と受け入れ、なんとか落ち着く場所に戻っていく。

それぞれの短編の中にいろんな人が出てくるが、皆どこかで自分が体験したことのあるような、こうしたいと考えたことのあるような既視感がある。
ああそれ、私も思ったことがある、感じたことがある。そして後悔もしたし同じようにスッキリしたり、辛かったりした。
泣ける話とかではないのだが妙に落ち着くような、心が整うような気分になる。
歳を重ねたから面白く読めたが、若いときだと読めなかったかも知れない。

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2021年04月14日

Posted by ブクログ

もし、あの人と結婚していなければ。
別れていなければ。
仕事を続けていれば。

誰しも一度は考えた事があると思われる「もしあの時違う道を選んでいたら…」を描いた作品集です。

「もうひとつ」「月が笑う」「こともなし」「いつかの一歩」「平凡」「どこかべつのところで」 の6つの短編が収録されています。

決して派手な作品集ではありませんがどの短編も丁寧に描かれていて感情移入しながら読み進めました。

何度か読み返すたびに読後感も変化したり味わいのある短編ばかりです。

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2021年01月28日

Posted by ブクログ

高校生のとき、飼っていた猫が亡くなりました。数日前からから寝たきりだったのに、亡くなる前日に立ち上がり、庭に出たいと鳴きました。見納めのように庭をよたよた歩くのを見ていられなくなった私は、「もうええやん」と猫を抱き上げました。翌朝死んだとき、「昨日抱き上げないほうがよかったのかも」と泣く私に、弟が「そのまま歩かせてたら、そのせいで死んだと思ったやろから、これでよかってんで」と言いました。もしこうしていたら、していなかったら。人生いろいろ考えるけれど、そのときの選択には理由があるのだから。きっとそれでいい。

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2020年12月11日

Posted by ブクログ

生きてるといろんな場面で、あの時こうすれば…と思うこと、自分にもあるなぁと。でも、自分が選んだ道か正しいとか、そういう運命だったんだと受容できるように、その道を全うしようと思った。

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2020年12月04日

Posted by ブクログ

角田光代さんの作品は何冊か読んでるけど、今のところハズレはない。劇的な展開がなく、普通の人たちが毎日の暮らしの中でふと思いを馳せることを描いていって、答えと言えるようなメッセージもありやなしや、って感じだけど、不思議と心に刺さるものがある。そして、読後は温かな気持ちになる。鍼灸のような小説だった。

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2020年10月05日

Posted by ブクログ

6つの独立した短編集です。どんな人でも1日に数えきれない選択をして生きている。もしも、あの時違う道を選んでいたら、自分には別の人生があったんだろうか。その人生は今よりも、素敵なものなのではないだろうか。その考えが6つの作品には共通しています。私自身も60年以上生きてきて、よく考えてしまいます。でも今日も生きているということは、数えきれない選択は誤っていないのではないかと考えます。たとえ第三者が今の私の状態を見て客観的に幸せに見えないとしても。なんだか本の内容には、全く触れていないような気がするのですが、読み終えて、そのように考えさせてくれた作品です。

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2020年09月08日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれた。

後悔しないでいい人生を送りたいが、難しい。もしあの時こうしていたら、、、
別の人生があったのでは、、、
を描いた短編集。

あの時の選択に後悔し、悩んでモヤモヤした先に見える前を向く終わりが良い。

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2023年11月08日

Posted by ブクログ

想像はしているが現実では起こらないことの妄想を膨らませ生活を変えたいとどこかで思っている人々。もう少し年を取ったり結婚したりしてから読むと感じ方が変わるのかも。

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2023年03月06日

Posted by ブクログ

もしあのとき〜していたら…。
もしあのとき〜しなかったら…。
だれにでもあるそんなわかれみちをテーマにした短編集。平凡な自分の人生も振り返って、もし…を色々想像してみたくなった。

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2023年01月31日

Posted by ブクログ

表紙の絵が可愛くて好きです。
あの時、選ばなかった選択肢を選べば、選んでいたら、何かが変わっていたのではないか。と思うことはありますよね。平凡、なるほど、とゆったり自分のことも考えながら読める小説でした。最初のお話の友人不倫カップルと旅行の話だけはちょっと違いがあったと思いますが、後のお話はだいたい似たようなお話だったなと思います。だいたい不倫、離婚がある話。

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2022年10月29日

Posted by ブクログ

平凡ってなんだろうなと思って読んだ。みんな平凡なようでいて人にオープンにできない悩みや苦しみをそれなりに抱えている。本書では普通の人はそれらに対してどう向き合うかということが描かれていると感じた。

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2022年01月11日

Posted by ブクログ

ジャケ買い!文庫のデザインもここまで来たかと感無量。内容は結婚離婚にまつわる「もしあの時、」別の選択をしていたら、の妄想短編集。第1話のサントリーニ島への夫婦と不倫カップル旅行の設定が面白い。

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2021年11月06日

Posted by ブクログ

「こともなし」と「平凡」が好きだった。
私は、別れた恋人のことは呪って呪って、そのあとは幸せでいてほしいと思えるようになって、いつかは思い出さなくなる。その人の不幸じゃなくて、一緒になっていた自分の不幸を願うの、なんとなくわかる。

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もしものお話。

けどみんな後悔をしているかと言うと違っていて。

もしもあの道を選んでいたら?と
自分に問いかけている。

特に最後のお話のオニギリのお母さんは…私も似たように父を亡くしているから気持ちが痛いほどわかる。

私が父の電話に出ていたら。
あのまま車で寝ずに帰って来てくれた?
死なずにすんだ?

その問いにずっと返事が出来ずに生きてきた。

きっと猫は見つかると思う。
見つかって欲しいから。

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2021年07月23日

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