【感想・ネタバレ】室町の覇者 足利義満 ──朝廷と幕府はいかに統一されたかのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 足利義満とは「強きを助け、弱きを挫く」男という説を何度か読んだことがあったが、表現としては面白いが曖昧な印象しか残らなかった。本書はその曖昧な部分に光を通して、そのような説が生まれた背景を解き明かしてくれる。
 論旨が明快で文に勢いがあるのは、著者の頭脳と行動力の産物であろう。若さみなぎるエネルギーが痛快である。

0
2020年10月09日

Posted by ブクログ

謎多き室町時代の本質を描いた名著。なぜ京都に幕府があったのか、なぜ義満が絶対権力者になったのか、といった問いに明快に解答を与えてくれる。そして、その後なぜ戦国時代が始まったのか、という問いに対しても、本書で示唆を与えつつ、次の著書で明確な答えを示してくれることを大いに期待させる。

0
2020年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「武士の起源をときあかす」の桃崎有一郎氏の新著。内容が足利義満だけにかつての「室町の王権」から中公の「足利義満」を経てどういう話にアップデートされているか強い興味を持って読んだ。

いつもながら多量の史料収集と卓越した筆致、軽妙な?ツッコミでぐいぐい読ませてくるのには感心しかない。これまたいつもどおり、核心的な主張については必ずしもピースが揃っていない部分も感じられるが、それを差し引いても「義満以前」の尊氏・義詮から「義満以後」の義持・義教を含めて足利義満とはなんだったのかを描き出している。

紙の新書だと妙に分厚く仕上がっているが、これは論を進めるにあたっての前提、例えば「室町殿」「北山殿」を説明するために鎌倉殿までさかのぼって説明することもあったりするためで、無駄な部分ではなかったと思う。

著者の次作が今から楽しみである。

0
2020年01月14日

Posted by ブクログ

室町初期についての本。

足利義満が幕府と公家の融合という意味で、日本史における特異点というのがよくわかった。

0
2023年11月09日

Posted by ブクログ

室町時代の最盛期を築いたと思っていた義満だが、彼の時代が不安定で幕府の未来も定かではなく、彼の任期に型をつくり、それを堅固なものにしたのが義持、義教の時代であった。特に義教と後花園の蜜月な関係は、この頃が幕府の最盛期なのでは、と思わせた。しかし、室町幕府の弱点が嘉吉の変で改めて露わにされ、その後の不安と動乱の時代に突入していく。

0
2023年03月08日

Posted by ブクログ

絶大な権力を誇り、南北朝を統一させるなど辣腕を振るい、室町時代の絶頂期を築き上げた足利義満の考察ではあるが、むしろ足利政権誕生の過程から、義満の死後の政権まで加える事で、日本史上類を見ない不安定だった室町幕府の所以や、何故義満が強大な権力を持つに至ったのか、そして何故その強力な権力体制が長続きしなかったのかがとても良く理解できた。
そして室町幕府の肝は足利直義という説明が、見事に腹落ちした。

0
2021年04月10日

Posted by ブクログ

足利義満を中心に尊氏・直義の祖業から義持・義教までの黄金期の終焉までを「室町殿」という概念と朝幕関係の変遷を詳述。
義満が如何に朝廷を支配し、足利家が天皇家を乗っ取ろうとした説の背景の考察は白眉。

0
2020年12月09日

Posted by ブクログ

「室町の王権」で義満の天皇位簒奪計画説を読んだときはショックを感じたが、現在はこの説はほぼ否定されている。ただ、近年、義満や室町幕府に関して興味深い著作が多く出ており、本書もその一冊である。
本書は、義満の作り上げた室町殿について、1 京都との関係、2天皇との関係、3将軍と大名との関係に焦点を当てて、その魅力を教えてくれる。

0
2020年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
プロローグ 規格外の男・足利義満
第1章   室町幕府を創った男の誤算~足利直義と観応の擾乱
第2章   足利義満の右大将拝賀~新時代の告知イベント
第3章   室町第<花御所>と右大将拝賀~恐怖の廷臣総動員
第4章   <力は正義>の廷臣支配~昇進と所領を与奪する力
第5章   皇位を決定する義満と壊れる後円融天皇
第6章   「室町殿」称号の独占と定義~「公方様」という解答
第7章   「北山殿」というゴール~「室町殿」さえ超越する権力
第8章   虚構世界「北山」と狂言~仮想現実で造る並行世界
第9章   「太上天皇」義満と義嗣「親王」~北山殿と皇位継承
第10章   義持の「室町殿」再構成~調整役に徹する最高権威
第11章   狂暴化する絶対正義・義教~形は義持、心は義満
第12章   育成する義教と学ぶ後花園天皇~二人三脚の朝廷再建
エピローグ  室町殿から卒業する天皇、転落する室町殿

<内容>
340ページ余りの大作。足利義満が題だが、初代尊氏・直義から6代義教までが結構詳細される。そして斬新な解釈で面白い。というか、、室町時代面白い。近年のベストセラー『応仁の乱』(呉座勇一)から始まり、この時代の混沌とその中で生きた人の発想の仕方が面白い。桃崎さんはその応仁の乱も書きたいそうなので、待っていたいね。しかし、かつての今谷明の『室町の王権』は全否定されているらしいが、この本は発想的には似ている(本人は全面的に違うと言っているが)。

0
2020年01月25日

「ノンフィクション」ランキング