【感想・ネタバレ】世界が赫(あか)に染まる日にのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「神様って、いねぇんだな」
主人公の櫂のこの台詞が非常に印象的です。

未成年保護法については度々議論されている問題ですが、櫂と文稀、学校では全く接点の無かった2人が復讐劇を通じて友情を育んでいく姿に、苦しい、というか悲しいというか、とにかく全編を通して胸が締め付けられます。

実際にあった事件も例に挙がっているので、大切な人間を傷つけられた櫂の怒りも手に取るように伝わって来ます。
非常に友達思いで気持ちの良い性格をしているので、余計に彼の苦しむ姿に感情移入してしまい、また文稀も友情という感情すら理解出来ないまま中学生になってしまったのに、櫂に対して徐々に初めての気持ちを抱いて行く様子に、どうか2人とも幸せになってくれ!!と本を持つ手に力が入りました。

文稀の書き連ねる日記が明らかになって行くにつれて、何度も天を仰ぎました。(私は悲しかったり感動すると天を仰ぐ癖があるようです)

クライマックスではどうか、どうか!と祈り続けながらページを捲り、そしてやはり天を仰ぎました。

これからも永遠に続く議論でしょうけれど、実際に本書のような事件が起こり、苦しみが生まれてしまうかもしれないという、櫛木さんの警鐘かも知れません。

ところで、先日友人に「毎回そんなに感情移入しながら読んでいて疲れないのか?」と問われましたが、非常に疲れます。(良い意味で)

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2023年08月01日

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ネタバレ

カイとフミキの鮮やかなアオハル復讐譚。
ブログの意図が分かった時「やめろ、立ち止まれ」って願ったけど、カイも止められなかったんだから蚊帳の外にいる自分が止められるはずもない。少しずつわかっていくフミキの邪眼やお兄ちゃん、お祖父ちゃんの話は悲しくなった。
最後の最後、ハッピーエンドじゃなくても二人にとって少しでも良いことがありますようにと願ってしまう。
後久しぶりにアルバート・フィッシュの名前見て変な気分になっちゃった。

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2023年02月12日

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誰にも見てもらえなかった文稀は、「復讐」という名目で、「自分を世に認識してほしい」という腹の奥底に眠る欲求を満たしているように思った。

「子どもは精神が未発達のため、少年犯罪の心理は明確になっていない」という様な文章があったが、少年犯罪の動機にはこのような心理があるのではないか、という一説を提唱しているようにも見えた。

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2022年04月23日

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同じクラスに居ながら、言葉も交わした事の無かった櫂と文希。偶然に出会った公園での夜をきっかけに、ある計画を実行することになる。
それは隠蔽されたイジメによって受けた暴力で、意識不明になっている櫂の従兄弟の祥太の為の復讐だった。
スクールカーストで表したら、真逆に位置する二人だが、復讐の予行練習を繰り返すうちに友情が芽生えてくる。
罪にならない悪、理不尽でやりきれない事件が確かにあり、ニュースを観ると仕事人が実在してもいいのではないか?とも思えてくる。
しかし復讐相手への暴力の描写はリアルで、苦しくなった。
自分が高1の時に、隣のクラスの子が自死した。原因はイジメや、恋愛、複雑な家庭環境など聞こえてきたが本当の所は解らない。
15歳の誕生日に死のうとしていた文希は、どうして最後にあんな行動にでてしまったのだろう。
少なくとも、今の文希には、櫂と二人で食べたかき氷や、公園での花火、寝袋に入って見上げた満天の星空の夢をみていて欲しい。




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2020年10月07日

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ネタバレ

櫂と文稀の二人で行う「罰」
少年法によって守られた同じ人間とは思えない犯罪を犯した奴らを最終的に行う従兄弟の土橋祥太の復讐の練習台としていく。
だが昏睡状態だった祥太が覚め、本当に復讐するべきなのか迷っているうちに文稀は一人で中学校に乗り込み復讐を行ったあと自殺を図る。
しかし、死にきれずどうでもいいと考えていたはずの文稀の親が延命措置を行い、昏睡状態となる。
そんな文稀を櫂はお見舞いに行き祥太にしてあげていたように体を動かしてあげるのだった。

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2024年01月15日

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緒方櫂15才は体格の良い普通の中学生である。幼い頃から仲が良かった従弟の土橋祥太がイジメにより片眼を失い昏睡状態にあることから犯人や学校、そしてマスコミの対応に対して鬱屈した感情を昇華できないでいた。
そんな彼が夜の泉第二公園で出会ったのは同級生の高橋文稀だった。クラスでも目立たない文稀の口から出たのは「15才の誕生日に自殺する」だった。櫂はその言葉に驚くわけでもなく、自殺を手伝う代わりに従弟の復讐を手伝ってもらう事を提案する。
櫂と文稀は期限である文稀の誕生日までに祥太の仇である長谷部兄弟に復讐することを計画し、復讐の予行演習として少年法に守られる極悪な少年少女をターゲットとし次々に襲っていった。
法で裁けない少年の犯罪者、犯罪と認められない学校内でのイジメ、上っ面しか報じない安っぽい報道と世間の感心、複雑な家庭に育った文稀はそれら社会の理不尽さに対する復讐を着々と進めてゆく。

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2023年12月04日

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程度の差はあれど誰もが一度は妄想したであろう、いじめに対する報復劇。
私刑の描写が生々しい分、少年たちの心の機微に関しては大雑把な気がしたが、全速力で走り切る展開にはその位が良かったのかも。

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2022年11月05日

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少年の復讐劇。少年犯罪やイジメについて考えさせられる。
素直に読んでいくと最後に「ん?」ってなる。
これも、ミステリー…なのかなぁ?
ジャンル分けが難しい…。
けど、面白く読めたのでそれが一番!

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2022年05月13日

購入済み

甘い

日本は加害者に甘い。ほんとにその通りだと思う。

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2021年09月11日

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ネタバレ

トマトの花言葉は【完成美・感謝】らしい。
カバーイラストには少し崩れたトマトが描かれている、それが意味するものは…と。

読むと意味が通じるというか、ちゃんとカバーイラストにヒントがあったんだと思ったのはただの考えすぎか?

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2021年08月11日

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「少年法というのはもともと、戦後に町へあふれかえった戦災孤児に対する情状酌量措置として制定されたそうだ」

本を好んで読み、様々な世界に触れる日常を送っている私達は、想像する事が出来る。
相手に触れた時、どう感じるのか。
言葉を投げかけた時、どう考えるのか。
自分がこうした時、相手はどう思うだろうか
どうしたら嫌がるのか、痛がるのか、相手の立場になって想像をする事が出来る。
それが当たり前の事ではなく、人の痛みに鈍感な人もいるのが現実だ。
法に守られ、のうのうと生きている加害者もいるのが現実だ。

たとえば自分の子供が櫂のように行動しようとした時、
あなたは間違っているなどと言うのだろうか。
何故あなたがそんな事をしなければならないのかと問うだろうか。
憎しみを忘れて新しい人生を歩んでほしいだなんて綺麗事を言うだろうか。
復讐をしても被害者の人生は元に戻らない。
体や心が癒されるわけでもない。
幸せへの道ではない。
私達はどんな言葉をかけてあげられるだろうか。
どうしたら救えるのだろうか。
どの道が正しいのかはわからないけれど、弱者が虐げられ泣き寝入りするしかない世の中を変えていくしかないのだと思う。

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2021年06月02日

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主人公の従兄弟が酷いイジメを受けたことに対する復讐をすべく、予行演習として過去に犯罪を犯すも少年法に守られている加害者たちに、制裁を加えていく報復と復讐の物語。

主人公2人が因果応報とばかりに盛大に裁いていく展開を肯定する私と、被害者から加害者へ変わっていく2人を否定する私が、途中から対峙する始末

前読の作品のテーマが刑法39条。
今回のテーマは少年法。

どちらも加害者だけが守られている印象が否めないのは、被害者の事情までフォーカスされた事件や作品を目にしているからであろうか。

初著者だったが、非常に読みやすく、文体も言葉選びも好みな作家。別の作品も読みたくなった。

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2021年05月16日

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ネタバレ

復讐譚であり勧善懲悪のお話。
いたって物語はシンプルで悪い奴を探して、痛めつけるというもの。
正直ストーリーに捻りはないので途中離脱しかけた。

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2024年03月12日

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緒方櫂と高橋文稀の復讐劇。

文稀のブログの意味に気付いた時、櫂のことを友達だと信じている文稀がいたんだって知って泣きそうになってしまった。

二人がやっていることは正義を振りかざしたとしたって暴力だし、犯罪だし、良いことではないんだけど、その間に二人の絆が確立していったんだなって実感した。

文稀が報われないなぁ。
母親がクズすぎて。
でも、こういう母親も実際いるんだろうなって思えてしまう世の中が怖い。

文稀が今後幸せになれるといい。

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2023年01月12日

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ネタバレ

体であれ心であれ誰かの人生に傷をつけることは決して許されることではないけれど周囲とは関係ない事件の主犯格に罰を下していいのは主人公や文稀ではないし練習道具として扱い、自分の欲求を満たそうとしている時点で同レベルだな、と感じた。最終的な文稀の行動が中途半端だったけど中学生が決行したと考えると妥当なのかな 自分に酔ってる感が最高に気持ち悪くて良かった

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2022年10月26日

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かなりグロい復讐劇だったし、目を覆いたくなるような描写もあった。
だんだんかわいそうにも思えてきた。

でも、復讐劇が起こるということは、そこに原因があるはずで。
無垢な人間を傷つける方が悪いはずなのに、その首謀者がかわいそうに見えてくるほどの復讐を書き表していて見事だったと思う。

また、協力者同士で感じる同じ世界を共有しているドキドキ感にはピュアな青春すら感じた。

ただ、かなり暴力的!(^◇^;)

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2022年05月19日

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2020年、7冊目は、今年、既に3冊目の櫛木理宇。

緒方櫂、中学三年生。現在は家庭的事情で野球部を休部している。休部理由は、従弟が、上級生によるいじめの末、意識不明の重体に陥っているためだ。さらに、あまり公にはなっていないが、その妹も性的暴行を受けていた。持て余していたフラストレーションを、櫂は夜のランニングで発散していた。ある夜、ランニング中、公園でクラスメートの高橋文稀と出会う。文稀は、6ヶ月先の15才の誕生日までに自殺する願望を持つ。そんな文稀に、櫂は復讐の相棒を依頼する。

400p超だが一気に一晩で読めた。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」だけで解決出来ないのも現実。キレイ事だけでは、済まされない事ってのもある。

ただ、暴力は暴力しか生まない連鎖もある。現実とフィクションの線引きが出来て、ある程度の暴力描写耐性がある方々だけ読んで欲しい。

まぁ、ある種の犯罪が起きて、TVのワイドショー系にかじりついて、あぁだ、こぅだ、と持論語る者の多くは、本自体読まないか……。

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2020年03月01日

Posted by ブクログ

動機はシンプル、その後の仕打ちもシンプル。ブログの件(くだり)もシンプルだけど良かったな。粛々と粛清を。

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2020年01月15日

Posted by ブクログ

登場人物も少なくストーリーも分かりやすい。
私はもう30歳を超えた立場なので達観した気持ちで
読み終えることができた。

学生の時に読んでいればまた違った感想を
持っただろう。

従兄弟の復習を、接点のないクラスメート共に
遂げていく計画。

2人は徐々に友情を深めていくが、、
従兄弟の回復と共に復習に対して気持ちが
揺らいでいく。

毒親をもつフミキ。誰からも必要とされていないと
知り自暴自棄となり、1人でも計画を確実に遂行してゆく。

愛されていないと思っていたが、
父が彼の生きていることを望んでいることが分かる場面があるが、本人はそれを知ることが出来ないという部分が
切ない。


文章自体は、難しい表現もなく、
淡々とすすんでゆく。

時間があれば読んでみてもいいかと。

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2019年10月07日

Posted by ブクログ

表紙絵と帯で購入。完全なジャケ買い。

社会に絶望を感じている二人の少年の邂逅。
一人は従兄弟が理不尽ないじめのため人生を狂わされたことに、一人は両親のために自身がおかれた境遇に理不尽さを感じ、通常の生活に馴染めなくなっていた。
その二人が少年法と事なかれ主義の社会に守られて正当な罰を受けていないと思われる者たちに報いを与えるという行為で、ある種の友情を育みながら社会の構成員としての自覚を持っていく。
今の世の中にあるイジメ問題や少年犯罪の裁きを捉えた作品であると同時に青春小説である。
二人の行為がリアルで、読んでいて恐怖を覚えた。また行為を受けた者はそのような報いを与えられる行為をし、かつ納得する裁きを受けていないという現実にも慄然とする。
主人公たちの行為、報いを受けた者が行ったことが現実に蔓延しないことを願いたい。

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2019年10月01日

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