【感想・ネタバレ】宇宙はどこまで行けるか ロケットエンジンの実力と未来のレビュー

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Posted by ブクログ

ロケットのエンジンを題材に、宇宙に行くにはどういうテクノロジーが必要なのか、現状からSFの世界までを紹介。コンパクトに全てがまとまっている一方、著者の熱意も随所に感じる力作。
化学推進で現在地球脱出速度7.7km/秒を出すが、そのために多段階ロケットが必要。それは推進力と重量のバランスを常にとっていないといけなく、燃料が少なくなる(軽くなる)ごとに早くしていく必要がある。
ファルコン9は62億円で、半分の輸送能力のH2Aロケットは100億円。汎用部品、再利用、軽量化がきも。

地球の重力を、宇宙からだとは考えなくてよくなるので、宇宙で推進剤の調達、組み立てができればより効率よく他の惑星へ行くこともできる。

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2020年08月30日

Posted by ブクログ

宇宙における推進系の話が体系的に記載されていておもしろかった。言い回しの軽妙さや例え話が的確であることにも驚いた。とても読みやすかった。
惑星探査のシミュレーションはSF的で非常に参考になった。最新や未来の推進技術も、実現可能性含めて知りたかったことがまとめられていてありがたかった。

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2020年05月30日

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現在と未来の宇宙開発についてロケットエンジン開発者の立場で考察した本。人工衛星から、月、惑星探査、恒星探査まで、エンジンの理論を踏まえながら解説する。
著者は東大の現役のロケット開発者で、自分の経験も踏まえて詳しく説明しており、図表等も適切に使われていて、大変判り易かった。ロケットの構造、惑星の重力と探査機の航路の関係、スイングバイの仕組み等、言葉では知っていても、それがどのような事なのかイメージが掴みにくいのだが、著者は事例や例え話を上手く使っていて、自分のような素人が読んでも大変判りやすかった。(それでもイオンエンジンの仕組み等はなかなか理解できなかったが)
人間の時間スケールでは惑星探査までが限界で、恒星になると飛躍的に難易度が高くなってしまう。その段階に行くには、技術的なブレイクスルーが必要だ。以前、アメリカの未来学者の同様の著作を読んだことがあるが、その本でも恒星探査になると現在の知見ではSF的な見解にならざるを得ないということだったが、この本の著者も同じ意見だ。
読んでみて、薄い新書でありながら内容はよくまとまっていて、この分野の入門書としてはとても良い本だと思う。自分は50代。残された人生の時間を考えると、人類がもう一度月に行くとか、新しい宇宙ステーションを建設するところまで見られそう。できれば、人類が火星に降り立つ姿を見たいけれど、今の開発ペースでは難しいかも。

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2019年12月10日

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理系を目指す人は、この本を読んで、どうしようもなく胸が高鳴るほどでなくてはならない。宇宙科学は経済成長や社会福祉との関係は薄いが、こういうことにも取り組まないと人類はいずれ座して滅びることになるだろう。ヒトとヒト以外を分けるのは、こういう点にある。

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2019年04月05日

Posted by ブクログ

宇宙を題材にした本はたくさんありますが、本書は対象を天体ではなく、ロケットに絞り込んだ工学目線の本です。長い胴体の尾部にノズルがあって、そこから猛烈な炎を噴き出して打ち上げられるロケットの姿が一般てきなイメージではないでしょうか。そのノズルの形状にも工学的必然性があり、燃料となる推進剤についてもロケットが進む周囲の環境(大気の濃度)によって決まってくるなど、本書序盤はロケットエンジンの基礎ともいえる理論をざっとおさらいしています。
そして本書中盤以降は、地球近距離軌道、小惑星探査、内惑星(水星・金星・火星)、探査、外惑星(木星・土星・天王星・海王星)探査、太陽系外への探査と次第に距離スケールを拡大しつつ、それぞれのステージに最適なロケットエンジンの構造や特徴について解説していきます。
太陽系外探査の対象は、太陽に最も近い恒星アルファ・ケンタウリです。距離は4光年。SFの世界ではあっという間で到達する距離ですが、現在のロケット工学の知見を基に今後のブレークスルーをいくつも仮定してもその距離に到達するには1000年~5000年というオーダーです。SFの世界に半ば足を踏み入れてはいるものの、ロケット工学の第一人者の著者が語る未来には説得力があり、それでもなお恒星間飛行のハードルの高さが改めて実感できます。
日本人の著者による本ということで、大変読みやすく、今後さまざまに展開される惑星探査などのニュースに触れる際にも非常に役立つ知識を提供してくれる1冊だと思います。

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2018年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロケット推進=自力で推進する装置
ペイロード(荷物)=ロケット全体の3%

液体燃料ロケット
・燃料:水素系/灯油系
・エンジンサイクル:
 ①ガス発生器サイクル
  副燃焼室で燃やして、ターボポンプシステムで燃焼室に燃料を送り込む。
 ②2段燃焼サイクル=H2A 1本100億円
  副燃焼したガスも燃焼室に送る。
 ③膨張サイクル=H3
  燃焼室の冷却時の流体膨張でタービンを回す。

ビーミング推進
 外部からマイクロ波やレーザーを当てプラズマを作る。

ISS
 高度400km 気圧1兆分の1 重力1割減 秒速8kmで無重力

全電化衛星
 静止軌道までの到達と修正にイオンエンジンで軽量化
 2015年ファルコン9で実用化。
 2基同時打ち上げ可能に。
 1基でも打ち上げ費込みで300億円が相場。

キューブサット
 超小型人工衛星
 数百万円で打ち上げ可能
 頻度をあげ進化を早める
 多数個打ち上げにて撮像周期短縮

宇宙エレベーター
 36000km上の静止軌道に落とす
 破断長5000kmに耐えるのはカーボンナノチューブ
 しかし0.1mmの長さしか作れていない

小惑星帯
 地球250個の面積あたりに1個しかない。

火星有人飛行船
時間
 地球軌道~楕円軌道(エンジン非使用)~火星軌道
 地球から火星260日、火星待機450日、地球へ260日
 往復最短で970日、2年8カ月。
重さと打上げ費
 6人の食料に、水と酸素はリサイクルして6t
 母船30t、着陸船60t、
 エンジンと推進剤を入れて合計1000t ≒ISS3つ
 10tを1回100億円のロケット100回
 =1兆円で打ち上げ、地球軌道上で組み立てる。
開発費
 開発費用は10倍の10億円=最小想定
 一方でISSは10年準備し10年かけて2011年完成
 15億円。
 その3個分とすると開発費用は45億円=最大想定
 NASA年間予算は2兆円、JAXAは1800億円。

打ち上げコストダウン
 ファルコン 9   ペイロード1t当たり2.7億円
 ファルコン ヘビー ペイロード1t当たり1.4億円
  
イオンエンジン 
 高推力化できれば母船1/3の重さに
 
 ホールクラスタ
 ヴァシミール
  プラズマを磁気ノズルで加速、中和器不要
 軽量太陽電池

スペースマイニング
 素材や燃料を宇宙で調達
 組立は月と地球の重力の釣り合うラグランジェ点で

原子力電池
 プルトニウム238が核分裂、1kgで540W、
 88年後に半減しても270W
 熱を電気に半導体で変換するので電力は5W。
 太陽電池は1kgあたり50W。
 木星付近で拮抗。

ソーラーセイル「イカルス」
 太陽の光子力、畳一枚で1.5mg
 薄膜太陽電池と反射光の液晶制御も合わせた
 一辺14mのセイル
 木星までが限度

NEP(小型原子炉)による電力
 東芝4S 10MW
 直径2m長さ14mファルコンヘビーに入る
 宇宙で組み立てれば安全

ケンタウロス座アルファ
 26万8400au、4光年
 ボイジャー1号 143auにて
 外惑星のスイングバイで秒速17km マッハ50
 8万年かかる

 NEP+ヘリウムイオンエンジン+スイングバイ
 =秒速900kmで1400年

反物質推進
 「対消滅」のエネルギーで高速の8% 秒速24000km
 55年で到達
 ただし、反物質を1g作るのに、現在10億年

スターショット計画
 1g、4mの小型セイルを
 地上の原発100基分、1億Wのレーザー発振器で照射、
 高速の20%で進み、22年で到着。
 4年後、26年で写真が届く。
 数万基単位で打上げ、リスク下げる。

シンギュラリティ
 知性を飛躍的に発展させる。
 遺伝子操作で人間を進化させる。
 脳内データの外部転送。
 100年後、スターショットで行先のデータが揃う。
 1000年で行ける宇宙船とロボットができる。
 ロボットに意識を送り、恒星移民に。
 太陽の寿命は50億年。 

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

 宇宙論ではない、宇宙工学つまりロケットエンジンに関する本だが、月、水・金・火・木・土星、小惑星そして天王星・海王星へ到達するために、万有引力の法則に従った航行が必要なこと。そのためにいろんな制約がある中での宇宙船の飛行となっていることを大変分かりやすく説明してくれる。このようなことを意識せずに、地球内の常識で考えていることが多かったことに改めて気がつく。スイングバイ航法もイメージとしてはわかっていたが…。スイングバイをするに際しての金星の利用が通常化しているというのも納得!今後惑星間を太陽などの重力に逆らって自由自在に飛行できるエンジンの開発はNEPエンジンという概念により可能性が見えてきている?それが最終章の太陽系外、恒星への移動となると正にSFの世界にならざるを得ないことも分かる!人間の寿命を延ばすなどの解決策しか今は思いつかないようだが、これから1000年先には何が出来るようになっているかなどは、まさに想像を絶する世界だろうとは思う。

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2018年10月08日

Posted by ブクログ

途中まではリアル。
そこから徐々に徐々にファンタジー成分が混入してきて、気がつけばSFになっていた。
その境目が曖昧なところが、実に嬉しい。
やはり研究者というものは夢を追って、霞を食って生きてもらいたいものだ。
そんな彼らを笑って支えられるだけの度量のある世界を作りたい。
彼らの実績を実用化するのは、別の人間がやればいい。
いいぞ、もっとやれ!

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2022年08月11日

Posted by ブクログ

ロケットについての専門的基礎知識を丁寧に説明してくれている。
素朴な驚きが随所にある。
最後はアクロバティックだが、想像力豊かで楽しかった。

・小惑星帯はかなりスカスカ。
・非プラズマ状態は、宇宙でまれな状態。
・この本では、月より遠い宇宙を深宇宙という
・地球に突入する際の、運動エネルギーが熱エネルギーに代わるのは、摩擦ではなく、空気の圧縮が主因。
・外惑星の場合、「表面」の定義は大気圧が地球の1気圧になる場所のこと。

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2021年10月01日

Posted by ブクログ

地球から宇宙空間に物を運ぶための条件やそれを運ぶためのロケットの仕組みの説明から始まって、より遠くの宇宙へ行くためには、と章が進むごとに内容がSFチックになていく。
かなりてんこ盛りな内容で読み応えあり。

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2019年05月20日

Posted by ブクログ

同時進行で「もしも宇宙に行くのなら」を読んだんだけど、此方は現実的なお話。
リアリティはあるけど読み物として難しいね。
数式多し。読み飛ばしました。

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2019年01月19日

Posted by ブクログ

ロケットがどのように飛ぶのか技術的な話が大半。イオンエンジン、原子力電池の辺りが興味深い。ケンタウルスまで秒速250キロで飛んでも5000年。人類がSF映画的な事をできるのはかなり先か不可能なのかも。いずれにせよワクワクして読めた。

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2018年10月05日

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