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感想
第四章、五章に関して、作品の中で挙げられる例はなんだか難しいと思うものもあったが、よく考えてみると私たちの身近に頻繁に見られる現象や出来事に当てはまることもたくさんあり、考えさせられることが多かった。また、英語を学んでいる身としては、初めの方に登場した、日本の中で日本人が使用しているカタカナ表記の英単語が表す単語の意味と、実際に英語を日常的に使用して生活している人が思う単語の意味には、時に全く違う内容を表していることもあるのだということに驚いた。さらにその違いに気がつくには、違っていないと思っている考えを捨て、常に私たち日本人の思うこの単語が表す意味と、英語を話す人々が使用するこの単語が表す意味は異なっているのかもしれないという心持ちでいなければならないということも学んだ。知らないことに気がつくことは簡単なことではないと思った。この本の中で問題提起されている事象はどれも感慨深く、言語学を専門としているひとにだけ分かる内容ではなかったため、私達もこの本の中で論じられている問題をよく考える必要があると思った。
Posted by ブクログ
前に読んだ「ことばと文化」もべらぼうに面白かったが、
これもそれに迫る勢いで面白い。
りんごは何色か、
太陽は何色か、
虹は七色か、
といった日常的の一旦から、
言葉と密接にかかわる文化の違いを明らかにしていく様はエキサイティング。
辞書での意味の一致が必ずしも環境認識と一致しているとは限らない、
というのは見落としがちな事実だな。
他にも、
イギリス人が靴を脱ぐのを嫌がるのは、
「足」の持つ根本的な意味の違いから来ているという考察。
日本語の漢字の音読みと訓読みという、
同一概念の二重音声化と同一表記の双面性が、
高級語彙の理解に寄与しているという考察。
日本語が音声と映像という、
二つの異質な伝達刺激を必要とする言語であり、
それが日本の識字率の高さの要因のひとつであるという考察。
などなど、
枚挙に暇がないくらい、
数々の「気付き」を与えてくれる良書である。
Posted by ブクログ
1章から3章まで、この本の半分くらいは言語の特徴というよりは、文化の違いによる意味の広がり方の違いが現れていることを豊富な具体例で記しています。虹の色、太陽の色、リンゴの色の認識の違い、食べ物や服装の認識の違いが書かれています。
後半の4章と5章は漢字が持つ特徴を記してあります。
ここで書かれている漢字の特徴をひとつ挙げますと、複数の概念が組み合わさってできている「高級言語」に現れていることを著者は示しています。
英語で高級言語と呼ばれる単語はスペルから意味を察するのは難しく、丸暗記するしかないことが多いです。
「graminivorous」、これは漢字だと「草食性」。漢字の場合は聞くだけでも見ただけでも簡単に理解できるわけです。前者を理解するにはラテン語の知識も必要になってきます。
私の感想としては前半は冗長に感じましたが、特に後半の4章と5章は普段使っている日本語の特徴に気付かせてくれたので読んだ価値がありました。