【感想・ネタバレ】犯人選挙のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

 深水黎一郎さんの新刊は、多重解決ものだという。深水作品で多重解決ものといえば、『ミステリー・アリーナ』が即座に思い浮かぶ。

 『ミステリー・アリーナ』は、多重解決もののジレンマに真正面から挑んだ作品だったが、本作も同じくらい、もしかするとそれ以上の傑作だ。本作は、7つの選択肢から犯人を投票で決めるという企画のために書かれ、「問題篇」がネット上で無償公開されていた。

 自分はその企画の存在は承知していたものの、面倒くさがりなので参入はしなかった。単行本化を機に手に取ったが、読んでびっくり、そして投票した読者の多くが、ちゃんと推理していたことにまたびっくり。このジャンル、まだまだ捨てたものではない。

 深水さん曰く、推理の権利を放棄し、すぐ「解答篇」に進んでしまう読者が多いのを残念に思っていたという。自分は正に残念なタイプの読者なので、耳が痛い。8人の若者が共同生活を送っていた「大泰荘」で、殺人事件が発生。特に奇をてらった設定ではない。

 問題篇を読み終えると、残念な読者の自分はさっさと解決篇に進んでしまう。そしてようやく本作の緻密さに気づかされた。7つの選択肢すべての可能性があり得るように書かれているのだ。解がただ1つの通常の本格ミステリより、難易度は格段に高いのではないか。

 読者による投票(推理)結果も掲載されている。当然、人気(?)には偏りがあるものの、どの選択肢にも根拠があり疑問点もある。少々のずるさはご愛敬。過去作品へのオマージュもあり、全篇に読者へのサービス精神と、このジャンルへの愛が溢れている。

 自分もそれなりに本格ミステリを読んでいるつもりだが、考えもせず、そんなのわかるかよと毒づく、常日頃である。言い訳ではないけれども、解答篇に突っ込むのもこのジャンルの楽しみ方の1つと思っている。ただ、少しは自分の頭でも考えたいものである。

 せっかくお金を出して読むのだ、楽しみは多い方がよい。ありがとうございました、深水さん。

0
2019年09月26日

Posted by ブクログ

『ミステリー・アリーナ』で多重解決の極北に達した著者の新たな挑戦。はっきり言ってしまえば出落ちというか、本当にタイトルそのまんまである。無料公開された問題編が終わった後、予告された7つの解決編が語られる。解決編はコメディタッチでやりたい放題。『ミステリー・アリーナ』以上のものとなっているかというとそうは思わないものの、試みとしては面白い。十分に楽しませてもらった。

0
2021年04月11日

Posted by ブクログ

レア本。
たまたま手にした本だけど、かなりレアな設定、結末。ミステリーとしての質も良かったし、最近似たような作品が多いから新鮮で面白かった。

0
2020年10月16日

Posted by ブクログ

企画は知っていたが、こうやって本になるとは予想外で面白かった。料理好き男子の主人公がいちいち馴染みのない食材で凝った料理作るのにイラッとした。粘着っぽくて、勘違いされても仕方無い。

0
2019年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

企画として面白そうだったのでぜひリアルタイムで投票に参加してみたかった。

けれど、正解となる結末がないのは読後感として物足りなさも感じる。

0
2023年06月24日

Posted by ブクログ

大学生が共同生活を送っていた「大泰荘」で密室殺人が起こる。
その犯人は、読者の投票で決めるという読者参加型の小説です。
斯く言う私もトリックを考えて投票しました。
こういった企画はミステリー好きには嬉しかったです。

0
2021年07月31日

Posted by ブクログ

深水さんの新しい試みミステリ、好き。
「誰が犯人の世界を読みたいか」のマルチエンディングストーリー。「え?そんな理由?」っていう若干苦しいオチに感じるのもあるけど、神の視点(ストーリーでは大祐の視点)から見ていく展開が面白かった。ミステリマニアならクスッと笑ってしまう要素も満載で、どっちかというと真面目に読むよりコメディと思って読んだ方がいいかも。

0
2020年12月08日

Posted by ブクログ

密室殺人の犯人は誰だ?  作者が設定した7つの選択肢から、読者が犯人を選挙する前代未聞のミステリ。
実際に今年の6月に問題編がウェブサイトに公開されて、読者が解答を寄せ、その中のユニークな答えが巻末に載っている。更にそれぞれの投票率まで載っていて、面白い試みであるのは確か。
ただ、読者の解答の前に作者も7パターンの解決を示しているのだが、こじつけの苦しい推理があった(というか殆ど苦しかった)のが勿体無いなあ。一番最後に誰もが納得する推理で犯人が指摘されたら、この作品は傑作になったと思う。

0
2019年09月30日

「小説」ランキング