【感想・ネタバレ】父の海~若鷹武芸帖~のレビュー

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Posted by ブクログ

岡本さとる 著「父の海」、若鷹武芸帖シリーズ№4、2019.5発行。武芸編纂所頭取の新宮鷹之介26歳は、今回、水術に臨むことに。剣は無敵も泳ぎは不得手、おぼれてるところを助けたのは、17歳の娘、海女、お光。一方、棒手裏剣の達人であり、三味線引きの春太郎。鷹之介は両手に花の状態に(^-^)

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2019年07月01日

ネタバレ 購入済み

老練な白波流師範と海女の水術

京極周防之守からの勧めで、武芸帳編纂所の頭取・新宮鷹之助は今回、「水術」の武芸を調べることになった。
泳ぎの知らない鷹之助は、調査するにあたって先ずは自分が泳ぎを覚えようとの思いになった。夏の暑い盛りである。海に出掛けるのも悪くは無いと思い、芝浜に日々通うようになった。そして、そこで知り合った若い海女のお光から泳ぎ方を習うようになった。お光は、漁師村でのけ者扱いを受けながらもたくましく生きていた。ある騒動からお光を守るため、鷹之助はお光を武芸編纂所に連れて来てしばらく滞在させることにした。
一方、水軒三右衛門が浪人の頃知り合った相模国出身の明石岩蔵を訪ねた。金杉橋の近く芝浜で釣具屋を営んでいた。還暦を過ぎ現在は海に出て泳がないが、泳ぎに関しては天下一品の腕前だ。嘗て江戸で水術を教えようと国を出てきたのである。
その岩蔵の教えを受けて鷹之助は泳ぐ楽しさと、海に戯れる面白さを知った。
その後、上司の周防之守から、神君家康公の軍資金2万両が佃島の沖に沈められているという古文書が出てきたことが証されて、その探索を始めるのである。しかし成果はでない。夏も残暑の頃と終わりに近づく。
老人の岩蔵の意見を参考に聞きたいと使いを遣り、この岩蔵もやる気満々になり、潜水に役立つ水松明と足ひれを作り、鷹之助のもとに来るのである。編纂所の一同と新宮家の家来達総出で探して、やっとの事で千両箱を見つけたが、この後はいつものような筋書きで、幕府内部に深く巣くう悪者、すなわち将軍側近の伯耆之守を罰するといった物語だ。
今回の題材は、「水術の調査」ということで、水術が武芸の類なのかとの疑問が残る作品だ。薄々疑問だという思いを抱きながら読ませる作品になっている。徳川の時代は戦国時代に勝利を経て至った時代である。武芸をまずは誇りとすべきものであるが、その徳川の世が長くなるほどに、それにもやがて緩みやほころびが出てきて、皮肉にも商人や職人たちも勢力を持つ世に変わっている。そういった時代変化がこの作品から読み取れると思うのだが・・・

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2021年03月09日

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