感情タグBEST3
芯のしっかりした優しい物語
優しく静かに話は進みますが、
決してぼんやりした話ではなく、
静かに、しかしそれぞれの思いがしっかり描かれています。
ものすごくいい話。
読後、なんだか得したような嬉しいような気持ちになる。
1人で洋裁屋を営む女性職人さんと、彼女が作る服に惹かれた百貨店企画部の青年。1着1着手作りな洋服・その人の為だけに作られたオーダーメイドの洋服。今の時代にどれ程の需要があるかな?とは思いますが、品物に対する作り手側のプライドや想い、買い手側の想い、等々大量生産の既製品とは違う素晴らしさがあるなぁと思いマシタ。
服と人
知人の店以外に服を卸さない仕立て屋の女性と彼女の服を自分のデパートで売りたいと思っている外商の男性を中心に描くお話の第一話。
丸福百貨店で外商をしている藤井は会社の会議である仕立て屋の服を自社で売り出せないか考えている事を伝え交渉している最中だった。
その仕立て屋の南市江は祖母から受け継いだお店を一人で切り盛りしていた。
先代のころからの付き合いの牧の店に卸す分以外は基本的にオーダー作品ばかり。
なので藤井の依頼も断っているのだが彼はあきらめない。
洋裁の腕前はピカイチなのだがそれ以外のことはあまり得意ではなかった。
ある日市江は顔なじみの女の子のゆきがある服を持ってやってきたので依頼を聞く。
それは市江がかつてゆきの母親のために作った服だったが彼女の体型に合うように作りなおしてほしいとのことだった。
市江はそれに大胆にハサミを入れてアレンジしていくのだった……。
偏屈な仕立て屋とその仕事っぷりを尊敬しつつももっと周りに知ってほしいと思っている外商。
自分の気持ちを伝えるのが苦手な二人の仕事に対しても相手に対しても尊敬している感じがとてもよかった。