【感想・ネタバレ】虚構推理のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2020年12月06日

大きな嘘を隠蔽するためには小さな真実を散りばめる。
仕事の時は私は凄い嘘つきだけど、そうしないと業務が進まないから。お互いに利益を出す為に嘘は欠かせないよね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年07月31日

アニメ化で店頭に並んでるのを見たのがきっかけで手に取ってみたけど
真実がわかったうえで 推理を考えるという発想は
どこか反則的な気もするけど 面白かった

キャラクターも個性的で事件とは関係ない普段の会話でも面白かった
特に琴子が好き!!

ただ 鋼人七瀬の話の推理のくだりは前の3つの推理が何故必要...続きを読むだったのかよく分からなかった
コミックの方も見てみて、コミックの方も面白かったが 小説の方は細かい心理描写や行動の理由が分かる分 分かりやすかった

普段は琴子に対して邪険にしてる九郎が最後に「お前は花より綺麗だから 僕はどこにも返していないだろう」と言った時は身悶えした
ツンデレとも違って、上手いこと言おうとしたりした訳でもなく本心からそう思ってると分かるだけに
琴子同様、これはずるいと思う

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Posted by ブクログ 2020年02月29日

アニメの出来がすこぶるいいので読んで見る気になった。題名の通り、鋼人七瀬によって起こされる事件を虚構の推理によって押し込めると言ったなかなかややこしい話である。小説自体が虚構であるのに普通の推理小説では名探偵が最後に解き明かしてそれで解決となりそうな推理が虚構であって、それによってこの小説で起こって...続きを読むいる事実を虚構化させるわけだ。なんとも小説の虚構性を逆手に取ったような、最近散見されるニューウェイブ的な小説だ。登場人物たちも魅力的で正に日本のアニメには最適な虚構である。

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Posted by ブクログ 2023年05月09日

スキャンダルとともに亡くなったアイドルの霊。
暴れ回る彼女を弱体化させるため
彼女の強さの根源、ネット上の噂に対して
レスバを繰り広げるミステリ。

ファンタジーに論理をぶつける設定がまず面白すぎる。
人々を納得させるための推理と真実の距離よ。

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Posted by ブクログ 2023年04月10日

多重解決の傑作。鋼人七瀬を消し去るために「嘘」の真相を成り立たせるために論理を構築し、それを読者に納得させ、信じ込ませる。犯人を当て真実を語るのではなく、真実を創る。この作品は、従来のミステリの常識を覆すアンチミステリと言えるのではないか。

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Posted by ブクログ 2022年04月19日

ミステリの肝は探偵役の推理が読者の納得により「真実」となることだと思う。だから虚構で真実を作り出すやり方に、この手があったか!と喝采。
濃い味付けのキャラクターもそういう役どころとして落とし込む。何から何まで作り込まれた工芸品めいたミステリの傑作。

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Posted by ブクログ 2020年11月24日

一つの事件に対し、複数の解決への仮説が示される、ミステリのジャンルの一つ「多重解決」もの。しかし、この『虚構推理』はその「多重解決」ものを一段階超えていくものかもしれません。
ミステリの限界をメタ的に捉えつつも、それを奇想天外な設定と、緻密な展開で本格ミステリに転換してしまう。「多重解決」ならぬ「多...続きを読む重解決創作」ミステリともいうべき、新しい本格ミステリの匂いがしてきます。

ベレー帽をかぶり、つねにステッキをつく小柄な少女の岩永琴子。いつも通院している病院で、桜川九郎という大学生に惹かれた岩永は、九郎が最近彼女と別れたと聞き、早速アプローチをかける。そして徐々に二人の規格外の能力が明らかになっていく。

それから数年後、ある地方都市で亡くなった女性アイドルが深夜、鉄骨を振るい人を襲うという〈鋼人七瀬〉の都市伝説が囁かれ、実際にその目撃者が現れ始める。そしてその鋼人七瀬は、女性警官の弓原紗季の前にも姿を現す。七瀬に襲われそうになった紗季を救ったのは、岩永琴子だった。

妖怪や亡霊、怪異や怪奇が普通に現れます。鋼人七瀬も、人間が化けている、真犯人がいるというものでもなく、本物の亡霊の一種。そしてその亡霊は、琴子曰く人間の想像力が生んだとのこと。ネットなどで、鋼人七瀬の都市伝説が拡散し、それに興味や、好奇心を持った人が増えるほど、亡霊はますます力を強めていく。

鋼人七瀬を倒すために必要なのは、人々の興味や好奇心を満足させつつも破綻のない、都市伝説を完結させる解決を与えること。事件は亡霊が起こした、なんて身も蓋もない解決は、世間には受け入れられない。だからこそ辻褄があった、合理的で現実と矛盾しない、なおかつ面白くて世間が満足する真相を作らなければならない。

実際の事件に対して、犯人や証拠だけでなく、動機や設定に至るまで、琴子は現実と照らし合わせながら、一から十まで「虚構」を作りこんでいく。

本来ミステリは一つの真実を解き明かすものなのに、この『虚構推理』は真実を作ることをミステリとしてしまう。まさに離れ業というべきか、その逆転の奇想がとても面白かった。

推理シーンもかなり読み応えがあります。普通のミステリなら関係者全員集めて、探偵が推理を披露するところですが、『虚構推理』の場合は、関係者とはネット上の鋼人七瀬に興味を持ち、情報を拡散する人々すべて。

琴子はネット上に4つの推理をあげ、疑り深いネット民たちにそれぞれの真相を提示しますが、その真相もバリエーション豊か。大がかりな物理トリックから、逆に亡霊の存在を認めるものまで多種多様。そんなばらばらの推理にもある理由があり、それが最後に語られる4つ目の真実へ紡がれる。

4つ目の真実とその目的が明らかになったとき、詰め将棋を連想しました。すべて琴子の狙い通りに物事が進行し、そして最後の怒涛の展開に至る。4つの真実の論理、それも本格ミステリ的ですが、それぞれの推理が伏線となり、最後につながっていくのもまさに本格ミステリ的です。

そして推理の勢いの凄まじさは、ネット上の推理ならではかもしれない。4つの推理はそれぞれに、荒唐無稽なところは含んでいるのですが、ネットの世界は時折、細かい点よりも面白さが先に立ち、狂乱のお祭り状態になる。
多少のツッコミどころよりも、面白さやインパクトが優先される。そうしたネットの雰囲気も取り込んだ、このミステリならではの推理劇だったように思います。これも独特で面白かった。

キャラクターや登場人物の掛け合いは、コミカルでマンガ・ラノベ的でそれも良かったのだけど、琴子の内面は意外と熱い。現実と異界、その狭間に立つものとしての矜持を持ち、それぞれの壁を守るものとして、現実と非現実の壁を壊そうとする〈鋼人七瀬〉に頭脳と論理で戦いを挑む。全体的にはサバサバした印象の強い彼女ですが、一方でその矜持の熱さもより魅力的に映る。

本格ミステリ界に現れた多重解決もののニュータイプと、そしてニューヒロイン。本格ミステリの可能性を改めて感じさせる作品でした。

第12回本格ミステリ大賞

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Posted by ブクログ 2020年10月28日

元々、スパイラル〜推理の絆〜がとても好きで読み始めたのですが、虚構を虚構で謎解いていくという新しいミステリー物でとても面白かったです。
終盤の解いていく章は思わず一気に読み進めてしまいました。
アニメや漫画も見ましたが、また違った面白さがあり良かったです。わかりやすいのはアニメですが、小説版を読んで...続きを読むからでもいいかもしれませんね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月02日

表紙からラノベ色が強いだろうと思っていたが、むしろ骨太の本格ミステリだった。
都市伝説や想像力が生みだした物の怪に対して、都市伝説をも上書きしてしまう虚構推理で消し去るというアイディアがいい。捨て推理が後できいてくる部分も好みだった。
続編もあるようなので機会があったら読んでみようと思う。

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Posted by ブクログ 2019年07月08日

初めてノベルスで読んだのが2012年1月。    
2020年1月にアニメが始まるらしい。     
なんで今更……と思うが、大人の事情は分からない。      
久しぶりに読んでみたが、あまりアニメ映えするとは思えない。    
だってクライマックスがネット上でのレスバトルなんですもん。     ...続きを読む
まぁどんなアニメになるのか楽しみですね。

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Posted by ブクログ 2019年07月03日

同作者のデビュー作『名探偵に薔薇を』には劣るが、やはり城平京ならではのやり方で書かれている。
推理小説としてはイレギュラーであるが、読み応えはある。
作中で生まれる粗を作中で潰す、という論理の穴を上手く埋めることに優れた作者で、そのスタイルは漫画の『スパイラル』からも解る。
人の生み出す虚構と妖怪に...続きを読む虚構を持って戦うというのは脳トレパズルを解いているようで楽しめる。

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Posted by ブクログ 2023年10月05日

ミステリであってミステリではない、不思議な読後感のある一作。
本格ミステリ大賞を受賞してはいるが、タイトルの通り物語に通底しているのは虚構の存在だった。

人では無い存在に対する調停者と、人であって人ではない存在というフォーマット自体は怪異を扱う物語では見たことのあるフォーマットであるし、中盤までの...続きを読む展開は普通のミステリ・推理ものから大きく離れたものではない。
しかし、ミステリというジャンルのコアを逆手に取ったような展開は無理矢理にも見えるものの、一定筋の通ったストーリーに仕上がっていて面白かった。

登場人物の会話にどこかクセがあって、サキさんってこんな口調するのかなぁ?と思ったところがいくつかあり、読む手が若干止まったが、作品としての面白さを削るものではない。

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Posted by ブクログ 2023年07月25日

 私はこれを読んで、『毒入りチョコレート事件』(アントニー・バークリー)を思い出した。といっても私が読んだのは一九八六年ポプラ社の子ども向け抄訳版だが。『毒入り〜』は、迷宮入りした事件の推理をミステリー愛好家たち六人が行い、六通りのそれらしい真実(案)が披露されては否定され…という構成の話で、ミステ...続きを読むリー小説では必ず「ひとつの正しい事実」と「ひとつの正しい推理」がセットで存在することになっているけれど、それってどうなの?という問題を投げかけていた(と思う)。ゲームとしてそういう約束事が必要なのはわかるけど、所詮約束事に過ぎないよね?と。ミステリーなのだけど「アンチミステリー」だ、という感想を抱いた。
 『虚構推理』は、妖怪などの登場するファンタジー要素、個性的なキャラクターたち、ライトなセリフの応酬、主役二人の恋愛模様など本当にいろんな楽しみ方ができるのだが、その大胆な「アンチミステリー」ぶりを堪能するのも主要な味わい方のひとつだといっていいだろう。なんせ、「犯人は怪物」というのが真実で、アリバイとかトリックとかそういった都合は無視して犯罪は可能。そして探偵役がどのようにその真実に辿り着けたかというと、「現場にいた地縛霊に聞いたから」。ぶっ飛んでいる。
 普通のミステリーでは、真実を突き止め、その真実が揺るぎない唯一の真実であることを人々に対して証明し認めさせることがゴールとなる。詳しい説明は省くがこの小説の場合、「犯人は人間ではなくて怪物に違いない」と信じている(または面白がってそう望んでいる)ネット民から、その真実を覆い隠し、信じるのをやめさせることがゴールなのである。そのためには、みんなが怪物説を捨てて代わりに支持したくなるような、よりあり得そうでより魅力的な虚構を成立させなければならない。リアリティや道義的な問題はおいておいて、そういうルールを小説上設定したうえで推理披露が始まり、山場へと盛り上がっていく。
 真実もぶっ飛んでいるし、推理の目的もぶっ飛んでいる(推理というより「とんち」だとの言葉も作中にある)。正義や真実よりも「ネット民が支持したくなるような面白さ」を求めなければいけないところもぶっ飛んでいる。それでいて論理ゲームであることには変わりない。また、ネット上の世論を扇動する怪しい輩のように見える行動をしているけれど、主人公たちは、怪物による被害の拡大を防ぎ世の秩序を守るためにこれをしているのであり、「正義の味方」ではある。
 ミステリー小説の面白さ、危うさを逆手に取った倒錯の世界。この切り口で他にどんな展開を見せてくれるの?!と、続きのシリーズも読みたくなる。
 (マリモさんのレビューがきっかけで読みました。ありがとうございます!)

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Posted by ブクログ 2023年06月04日

片目と片足と引き換えに妖たちの「知恵の神」となった岩永琴子、妖の肉を食らい異能力を身に着けた桜川九朗、人ならざる者通し共に行動する彼らと巷を騒がす死んだアイドルの都市伝説「鋼人七瀬」。 都市伝説を駆逐するために曖昧な伝説に合理的な虚構をぶつけろ!

  本作の主眼はおおよそ都市伝説として人の心に根付...続きを読むいてしまったアイドルの亡霊を滅ぼすために人々に合理的で納得のいく虚構を与えるというものだ。 人は信じたいものを信じる、魅力的な嘘を吐くには真実を追い求めるに等しいぐらい事件に対して齟齬なく挑まなくてはならない。  真実を暴くのと秀逸な偽物語を創るのではベクトルは正反対でも、事件を精査し隠されたストーリーを見つけ出すという点では一致していて、そこに既存のミステリとは違った論理性、整合性が生まれる。 このユニークな特殊設定ミステリを漫画経験が生きた可愛く魅力的なキャラクターで描いている、変な作品好きなので割と普通にミステリとして読んでましたね。 アニメの出来も上々

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Posted by ブクログ 2023年05月15日

初著者本です。アニメでチラッと見た琴子の様子がずっと残っていてどんな話なのか読んでみたいと思っていました。
虚構と言うだけあって、考えが難しい。でも楽しみました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月14日

 実際に存在している鋼人七瀬に対して、〝亡霊が実在する〟という現実よりも人を惹きつける虚構を作り上げるという無理難題に正面から対峙している印象を受けました。
 桜川九郎の力があってこそではありますが、4つの解決を提示する事で、ネットで話題の都市伝説以上の話を語り、ネットを沸かせる難行を為した岩永琴子...続きを読むに惹かれました。

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Posted by ブクログ 2022年06月12日

推理小説にこの本のようなカテゴリーがあるのが驚きです。タイトルの意味を理解して、正直、素晴らしいと!

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Posted by ブクログ 2022年04月13日

電子書籍。
普段あまりepubファイルで小説読むことないんだけど、インターネットのまとめサイトが暗躍したりする話なのでこれはこれでしっくり来るかも。
軽妙かつ不思議な味わいの会話文は伊坂幸太郎を思わせるが、デビューはかの『名探偵に薔薇を』なので『オーデュボンの祈り』よりも前(でも年齢的には少し下)。...続きを読む
妖怪変化の跋扈する舞台設定は京極堂のカリカチュアっぽくもあるが、この世にあってはならない現実化した虚構を、より魅力的な虚構で上書きし消していく設定は、奇妙にねじれてはいても紛れもない憑き物落としの系譜。

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Posted by ブクログ 2021年06月21日

この作者の作品を読むのは「名探偵に薔薇を」に続いて二作目。今作は通常の推理小説とは異なり、いかに嘘を築き上げそれを真実っぽく見せるかが肝となっている。物語の途中までは正直、他の小説でもよくあるような展開だったが、終盤の怒涛の虚構の連続には流石に目をむいた。一つの事柄から連想して続けて最後には突拍子も...続きを読むない結論を導くところには「九マイルは遠すぎる」を連想した。

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Posted by ブクログ 2021年06月12日

「初めは全くの作り話だった怪異が、幾度も語られ噂となり、信じられていくことで実体を持ってしまう」――という、怪談におけるひとつの定番であるモチーフを、ただのオカルトではなくロジカルな「特殊設定ミステリ」に組み込んで昇華させてしまった驚異の一作が、城平京(しろだいら・きょう)による長編『虚構推理』です...続きを読む
 右目が義眼、左足に義足をつけて11歳の頃から病院に通っている岩永琴子。17歳になった5月のある日、2年前に一目惚れして以来想ってきた、同じ病院に入院する従姉の見舞いに通う大学生・桜川九郎についに声をかける。見かけるたびにいつも隣に付き添っていた年上の彼女、「サキさん」と別れたらしいという噂を看護師から聞いたからだ。琴子からの直接的なアプローチを笑いながらやんわりと受け流し、なぜ別れることになったのかと尋ねる琴子に、「川沿いの夜道を歩いていた時に恐ろしげなカッパが現れ、怯えて震える彼女を置いて逃げたから」と話した後、嘘だと笑って立ち去ろうとする九郎。しかし琴子は、その話を本当だと確信していた。彼女は幼い頃、ひょんなことで“知恵の神”となることを引き受け、この世ならざるもの――妖怪や物の怪と呼ばれるものたちから問題や揉め事の仲裁を頼まれる、神と人との中間にいる存在となっていたからだ。そして琴子は「逃げたのはあなたではなく、カッパの方ですね」と続ける――九郎が生まれた桜川家もまた、妖怪に関わる肌の粟立つような実験を続けてきた、業の深い家だった。
 そして2年後、九郎と別れてから警察官となった弓原紗季が住む真倉坂市では、誹謗中傷から逃れるように真倉坂へやって来た末に、建設現場で鉄骨の下敷きになるという凄惨な死を遂げたアイドル・七瀬かりんの亡霊だと噂される、2メートル近い鉄骨を持ってドレスとリボンをまとった顔のない女の都市伝説――「鋼人七瀬」の目撃情報が広がりつつあった。

 もともと2011年に講談社ノベルスから『虚構推理 鋼人七瀬』のタイトルで刊行されたもので、後にこれを原作とした片瀬茶柴によるコミカライズがスタート。いったん完結するも、そこから続編となる小説が書き下ろされ、それをまたコミカライズするというスタイルでシリーズ化されていきました。2020年にはアニメ化もされ、小説版は講談社タイガから現在も刊行が続いています。

 軽妙な掛け合いとキャラクター(ぜひチャーミングな片瀬絵で脳内置換を!)の魅力はもちろんのこと、妖怪や物の怪、亡霊といった理外の存在を前提とした、ややフィクションラインの高い特殊設定が単なるけれん味ではなく、事件の背後で糸を引く人物の存在と、その動機にも深く関係していることが垣間見えてくる構成が見事です。
 そして何より、人びとが願う現実や信じる妄想が生み出した強力な存在への対抗手段として、第六章「虚構争奪」で炸裂する、ネット空間の姿なき大衆を巻き込んで畳み掛けられる“合理的な虚構”の構築と対決こそが、本作の白眉。

 ――「だから誰かがその現実を守らなければなりません」

 虚構が肥大して侵食される現実と、現実を守るための虚構……そのアイロニーに深く考えさせられつつも、周到なロジックと決着に思わず拍手喝采したくなる一冊です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月22日

タイトルだけ聞いたことがあったので、電子書籍版がセールになっていたタイミングでなんとなく購入。

第12回本格ミステリ大賞を受賞している通り、いわゆる「ミステリー」というジャンルに分類されるのだが、自分はこの手のジャンルには明るくない。
なので最初に驚いたのは超常的なこと、具体的には妖怪や怪異が前提...続きを読むとなっていることであった。
超常的なものを持ち出して推理とは如何なることかと訝しく思いながら読み進めたのだが、最後にはなるほどと思わせてくれた。

特にこの小説の要となる、「虚構より生まれた現実を、虚構の推理により虚構へと戻す」という一見言葉遊びのように思える、一連の過程は全く見事であった。
ディティールもしっかりとしており、妖怪や日本の伝承と上手に絡ませて作品のクオリティを高いものに仕上げている。

大賞も納得の非常に完成された作品であった。

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Posted by ブクログ 2020年12月28日

アニメからの小説。
事実を交えた虚構の積み重ねによって真実にする。
とても面白い組み立てのお話だなぁと思う。こんなミステリーは初めて。
妖、妖怪の類も出てきてファンタジーでミステリー♡自分の好きな要素満載。
岩永琴子も一息つけるよいキャラ。
次巻も楽しみ。

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Posted by ブクログ 2020年06月13日

今まで読んだことのない設定の本。タイトル通り、この世の物ではないものを、推理した虚構で立ち向かう話。
キーパーソンが突然ストーリーに出てくるなど少々強引なところがマイナスか?

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Posted by ブクログ 2020年04月29日

ノベルス版を持っていたのですが、持ち歩き用に文庫買ったのでこちらに感想をば。

読みやすく、普通に面白い。
ライトノベルとしてはいいと思う。
タイトルによって推理ものとか思うと、全くそうではないとは思います。
シリーズものではないけれど、その雰囲気があるので、ちょっと不完全さが残ります。
というより...続きを読む、黒幕の存在があるのなら、一巻ではなく少なくとも二巻辺りからの方が、焦ったつくりにならずに良かったのかなとは思いました。
二巻ないんですが。続かないのかな。

アニメ良さそうなので、機会があったら観てみます。

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Posted by ブクログ 2019年12月04日

いわゆる怪異と呼ばれるものの知恵の神となった岩永。
そしてそんな怪異たちが裸足で逃げ出すような「人間」九郎。
2人はアイドルの亡霊だと囁かれている「鋼人七瀬」の退治に乗り出すが…。
真実を推理するためではない、虚構のための推理。

怪異や亡霊というような現代社会では表立って認められていないような存在...続きを読むが多々出てくる今作。
馴染みがないような存在たちにも戸惑うことなく物語が進んでいき、もしかしたら本当にこういうことがあるのかもしれないという説得力があった。
ネットと真実と嘘が絡み合っていて、まさに「虚構推理」が新鮮で面白かった。

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Posted by ブクログ 2019年11月10日

漫画からこの小説に行き着いたが、小説もとても面白い。
岩永琴子のキャラも立っていて、漫画よりも魅力的に
感じる。話しの内容も虚構を積み上げて推理して行く
と言う手法も斬新で中々面白い。

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Posted by ブクログ 2019年11月09日

軽いラノベミステリと思わせて、自ら課した高いハードルを飛び越えることでうたいあげる大いなるミステリ賛歌。

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Posted by ブクログ 2019年07月22日

最初の感想だけど、講談社ってこういう作風っていうか文体みたいなの好きだよね。さて、アニメ化どうなるのか楽しみでもあります。すごく個人的には、この話は最初に出た当時に読んでいたらもっとハマっていただろうなぁ。8年前だったら大好物でした。当時に出会っていたかったなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年01月09日

妖怪から揉め事の仲裁や解決を頼まれる「知恵の神」となった主人公岩永琴子と異能の力を持っている大学生九郎の虚構の推理で都市伝説を解決していくミステリー作品

表紙カバーの感じとタイトルからゴリゴリファンタジー物語かなって思ってたけどバリバリのミステリー作品やった!

表現の仕方や台詞回しとかが好きな感...続きを読むじで読みやすくてどんどん話に引き込まれていった。漫画の新連載でありそうな展開も早くて面白い作品って思ってたら漫画でもアニメでももうすでにあったみたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年05月24日

漫画版を読んでから、ずっと読みたいなぁと思っていました。
いい意味でも悪い意味でも漫画版をあまり覚えていなかったので、楽しく読めました。
が、やっぱり、キャラクターたちの顔を知って読んでいるため、想像が補完されてしまった気がします。
九郎が復活するところの描写はやっぱり漫画(絵)があってこそな気がし...続きを読むます。
もちろん、小説のがずっとリアルなんですけどね。

岩永と九郎のやりとりが好きです。
心の底辺では繋がっている「絆」が好きです。
小説のほうがその描写が細やかで、ほっこりしました。
あぁ、やっぱりこの二人を応援したい…と、言いますか。

小説的なことを言えば、文章表現がとてもうまい作家さんでした。
読みやすくて、入ってきやすい。
原作にも向いているのでしょう。
誰にでもわかることを、誰にでもわかる文章で書ける作家さんです。
ころころとして、やさしい文体で、気持ちよくこころにしみてきます。

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