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大財閥の総帥白鹿毛源衛門の孫娘りんの監視役として山吹みはるが高知の女子短大に送られる。この山吹みはるは2メートルの大男で、極めて気のいい男なのだが、相手を知らず知らずのうちに饒舌にしてしまう。喋りまくった後に自分自身で隠された真相に気付くというのだ。一種の超能力だ。この山吹みはると白鹿毛りんが、複雑に絡み合ったある事件を解決するというもの。複雑な関係も最後にはお互いにピタッとはまり込む。これにもちゃんと理由が用意してある。
作者のデビュー第2作だそうだが、結構力作だ。使われている土佐弁も面白いし、みはるの人柄がいい。シリーズにしても面白かったかもしれない。後の神麻嗣子の超能力事件簿に繋がる作品だ。
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本作品における探偵役のみはるは自らは全く推理しない。みはると語る人物が勝手に自分で推理しながら謎を解くだけである。まさに触媒探偵と呼ぶべき存在である。SF的設定がしっかりしており、高知の方言を使ったりとユーモアにも富んでいる。ひとつひとつの謎は個別に解決しながらもそれらはみごとに結びついていき最後には解決すべき謎が解けていく構成もみごとである。おもしろかった。
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連作短編でミステリーを堪能し、パズルのピースがバシバシはまっていく後半の仕掛けは爽快。そしてスケールの大きな世界観。なんと言っても、推理しない名探偵のキャラクター像がとても良い。20年ぶりの再読、とても楽しかった。
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山吹みはる、彼を前にすると何故か脈絡もなく話をしたくなってしまう。そしてそれによって過去の事の真相に話した本人自身が気付いてしまうという、一風変わった探偵ミステリー。
勿論、彼自身は自分のそんな不思議な能力に気付いていないし、会話をしている人が自分の過去に思考を走らせているとは思っていないところが面白いです。
そしてそんな展開で果たしてストーリー展開は大丈夫なのかというと、みはるが派遣された原因でもある白鹿毛りんという大財閥の孫娘、彼女が鍵を握っていました。彼女もある“能力”を持っていてそれによってきちんと物語は進行していくのです。
少女視点の“鳩の死骸”の話と白鹿毛りんが高知にとどまっている理由を探っていく話と並行して話は進んでいきます。
登場人物の名前がまた個性的で読むのに難儀しました(苦笑)。
いろいろと普通とは違うなぁと思いながらも、読み終わった時なるほどと思えたのだからミステリーとしてそこそこ楽しめたということです。
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特殊能力を持つ山吹みはる。彼を前にすると人は忘れていた些細な記憶を思い出す。
その彼を取り巻く人々の記憶と現在の事件が絡み合う。
登場人物が多い上に一風変わった名前だから、誰が誰か分からなくなること多々。
あまりにも多くの謎がありすぎて、どう纏めるんだろうと思っていたが、綺麗に纏めていたので読み応えも十分。
読みながらだいたいのことは予想できたが、満足のいく話だった。
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人の心にひっかかった謎をその人自身に推理解明させてしまう男が、金持ちじいさんの高知で就職した孫のもとに送りおまれる話。
高知のお国言葉が出てきます。
小さな事件が解とかれて、それがどんどん連鎖して、という話です。事件ひとつひとつが実はピースで、最終的に大きな絵ができあ
がる感じ。つながる短編。
人物がいまいち好きになれずにいたんですが、それでも楽しめました。おもしろいです。
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その男に会うだけでどんな謎も解明する。
その男に対峙するだけで……。
全ての謎が自ら解明されるのだから。
そんな完全無欠の名探偵の活躍?を描く西澤マジックここに!!
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西澤さん『らしさ』が前面に押し出された、異能力ミステリ。主人公のみはると話しているだけで、自分の中で勝手に事件が解決してしまう──というような、ちょっと紐のほどける感覚を味わうことができる。いくつもの事件が短編的に折り重なって、最後の解決に向けて進むので、短編集としても読めなくはない。また不倫かよ! と辟易するくらいに不倫事件ばっかりだが、あまり重いテイストにしないためにも、リアリティとのバランスを考えて不倫程度がベストだったのだろう。重すぎず、解決の爽快感もあり、読後感のいいよくまとまった一冊。
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西澤保彦のデビュー二作目の作品。サービス精神旺盛な西澤保彦らしく,いろいろな要素を盛り込んでいるが,やや過剰に盛り込み過ぎており,逆に「完全無欠の名探偵」である山吹みはるの個性が生きていないのが残念。
山吹みはるが話を聞くことで,人々が勝手に記憶の糸を辿り,意外な真相に気付く話がいくつか並ぶ。そして,これと並行して,白鹿毛りんの少女時代の思い出の話が挿入される。
更に,白鹿毛りんが,「愛」と引換えに能力を手に入れるというSFめいた設定まで加わり,物語全体の構成がややこしくなるが,真相はこれに輪をかけてややこしい。
睡眠薬を使い,襲われたことを理由として自殺したと思われた紫苑瑞枝は生きており,本当に自殺していたのは藤弥生という女性。藤弥生の復讐のために殺人をする朱鷺晃至。しかし,実際は裏で紫苑瑞枝が藤弥生をひどい目に合わそうと陰謀を企てていたことが分かるが,更に山吹みはるが飛行機で隣に座った男性の妻も,関わっていたという設定。
意表をつく真相にしたかったのは分かるが,やや過剰なひねりで,逆にインパクトが削がれているような気がしてしまう。デビュー2作目ということであり,この時点では経験不足でやりすぎてしまったように思われる。
白鹿毛りんの少女時代のハトの死体の謎も解明する。これはすっきりしているので,本筋の殺人事件の黒幕でひねり過ぎない方がよかったかな。
山吹みはるを始めとするキャラクターの魅力はさすが。トータルでは★3で。
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小さな輪が最終的に全てつながるというそんな話。
一つ一つは大きな事件じゃないのですが
つながった時はピリッとしました。
タイトルが良いですね。
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可愛い孫のために送り込まれた、どうやっても毒にも薬にもならなさそうな男。
それが巻き起こす…というか、起きてる話、ですね。
高知に着くまで、ついてからも続いていく人からの話。
世間はせまい、と言いましょうか、すごい確率といいましょうか。
小説ですから、で終わらせるには、本が分厚すぎます。
むしろこうなってこうなるのか…という
別の楽しみがちょっとあったりw
最後の落ちがすごいです。
三段階使用(笑)
しかし、物語の狭間狭間に出てくる人物の謎も解決できましたが
その説明をしてくれた人の謎が!!w
これはもう、そんなものだとしておいた方がいいですね…。
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白鹿毛グループの総帥・白鹿毛源衛門は、高知に行って帰って来ない孫娘を溺愛していた。
なんとか、孫娘のりんを東京の自宅に戻って来ないかと悩む日々が続いていた。
源衛門は、運転手兼秘書の黒鶴に相談する。
黒鶴が、提案したのは一人の男を高知のりんの就職先に潜入させる事を提案する。
源衛門は、その男に会いその特殊な能力を実体験する。
その男の名は、山吹みはる。
警備員をしてる巨漢の男だった。
人々は、彼が短い相槌を打つだけで、勝手に記憶の糸を手繰り隠された真相へと導かれる。
山吹みはるは、りんの住む高知へと旅立つ。
みはると接していく人々は、自分の中で燻っていた謎の真相にたどり着く。
そして、一つ一つの話は、隠された大きな事件を暴き出す。
りんが高知に残った理由とは?
何もしないで謎を解き明かすみはるの活躍に乞うご期待?
連作短編のような作りになっているミステリー?です。
会話がほとんど高知弁。
標準語の会話が少ないのが印象に残ります。
殺人の動機、不倫に隠された秘密が一つの大きな事件に絡んでくる所は西澤さんらしい感じですね。
もちろん、論理・理論でいく安楽椅子探偵物です。
でも、ちょっと面白さがたりないような・・・。