感情タグBEST3
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《死を背景としつつ、それに抗う生を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせている。》
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男と女の話ではあるが、(男と女と言っても、死んだ友達の不倫相手だったり、偶然知り合ったかなり若い男だったり‥)それぞれの人生が、短編ながら読みやすくまとまっている。どの話の終わりも決して悲観的でなく、ポジティブな読後感に浸れる。
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最後の春爛漫は小池真理子さんらしからぬ、男と女な友情が描かれていて、意外な感じがした。幼なじみのカズは、決して恰好よくはないけれど、関西弁と笑顔がよく似合う、死んだ妻を愛するあったかいイイ男とみた。40、50歳になっても続く男女の友情って、すっごく憧れる。
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全編を通して、透明感がある。
小池真理子さんの描く文章はやっぱりすき。
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短篇6話。解説 堀茂樹。
秘めごと
月の光
パロール
夏の吐息
上海にて
春爛漫
「上海にて」は、なぜ上海なのかがわからなかった。
全体に死と恋愛とが交互に現れる叙述的な小説。
小池真理子が目指しているものは分かった。
明るい気分の時は、明るい気分じゃないときには読めないかもしれないと感じた。
暗い気分の時に,底から這い上がるのに読めるかもしれないと感じた。
読むときの姿勢の持ち方でなんとか読めるのかもしれない。
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「肉体的な欲望をもって、精神的な愛情ももって、そのうえ、そこに言葉がほしい、って私、いつも思ってるんです。なのにそれがいつもうまくいかない。」 言葉を欲する自分がいながら、気持ちを表現しようとすればするほど、本当の思いとはかけ離れて行くような気がする。 「どう頑張って言葉を編み出してみてもね、書き連ねた言葉は嘘になっている。真実ではない。ごまかしがあったり、気取りがあったり、複雑にさせたりしている分だけ、偽物にすり替わってしまっている」
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過不足なく、しみじみとする短編集でした。いくつになっても恋愛に慣れることはないしいつもままならない。苦しみたくないけどそうも言ってられずこうなってしまいます。
愛と死は近いところにあるなぁ。続きがあってもここで終わっても、すべてきっと大事な記憶になります。ほんの少し不幸でも、それもまた悪くはないです。
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夏に読もうととっておいた小池真理子4作目。
男女ではあるけれどただの夫婦とか恋人ではない色々な愛の形の短編集。
個人的には【月の光】の関係がすき。
『今、月がきれいなんだ。』でなぜか泣けた。
そんなことを報告してくれるような【春爛漫】から言葉を借りれば『なじむ』相手がいい。
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「恋」や「愛」という言葉で言い表すことの難しさを感じるような不思議な空気が漂った作品だった。
恋人になったから、結婚したから、体の関係を持ったからそこに愛が生まれるとは限らないし、愛はもっと果てしなく深いところにあるものなのかな、ともひょっとしたらもっと軽いものなのかなとも考えさせられた。
表題作も素敵だけど『パロール』が特に好き。
一つの作品の中から暖かさと寒さが同時に漂ってきた。
「死」と隣り合わせにあるからこそ「愛」がより引き立って不思議な暖かさと痛さを放って魅力的なものになるのではないかと思った。
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表題作。
読んでいるだけでこちらも苦しくなってくるような大人の恋愛。
帰ってくるかわからない人を待ち続けるのって、つらい。
主人公に思いを巡らすと、大好きな人に振られて心が折れかけたわたしなんて、たいしたことなかったんだと思えた。
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表題作含む6編の短編集。初期の心理サスペンス、中期の恋愛を経て新たなステージに入ってきたのかなと感じました。どの作品も恋愛は絡んでくるものの、メインは夫婦間のちょっとした秘密だったり、男女間の友情、終わってしまった恋に恋愛未満の話もあり多彩な設定で楽しめた。官能や耽美は従来の作品よりも控え目な印象でしたが、しっくりとくる比喩表現に目に浮かぶような情景の描写が美しく、しっとりとした大人の雰囲気を存分に味わいました。
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本人さえ自覚認識していない不可解な心裡。大人の恋愛というフレームを通して描かれる。心の揺れ、機微の描出に味わいがある。ありふれた日常の光景も小池さんの筆にかかると、限りない広がりをもつ世界になっている。一々、嘆息させられた。
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小池真理子さんの作品はこれが初めてかも。。大人の恋がテーマでした。こういう肉食系の恋のできる女性ってうらやましいなぁと思う。私は誰かを恋焦がれたり、どうしてもその人が欲しくなったり、そんな気持ちはわからないから。
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うーん。
相変わらずステキ。
大人の女性の恋愛がぎゅっとつまった短編集です。
好き嫌いは別れるかもしれないけど、私はすき。
ただ、表題作の「夏の吐息」だけは、微妙だったかなぁ・・・
あそこまで1人の男性を想う?
どうして彼がいなくなってしまったのかっていうのがナゾ過ぎる。
なのに、彼の母親のところで帰りを待つっていうのも…どうなのか。
「秘めごと」
「春爛漫」
この2作品が好きかな。
切ない。
いつまでも女は女。
恋は状況でどうにかなるってものではないよね。
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7/11 おもしろかった。大人の女の。いろいろの後の。て感じで。自分もいつか物事をこういう風に見ることがあるのかな。そういうときにまた読み返したいような。短編集としてのおもしろさもあった。
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標題作を含む6つの短編。どの物語も額装された1枚の絵のように、叙情的な美しい世界を見せてくれる。
そのどれもに共通して感じられるのが「死」、「愛」、「エロス」。私たちの年代にこの作品が沁みるのは、様々な過去の経験を越えてきて、死の影を感じ始めた今だからこそなのかもしれない。
個人的には「パロール」がとてもよかった。
若かりし頃に意味も分からずにその色気に惹かれて聞き惚れたアランドロンとダリダの「パローレ・パローレ」が出てきたからかもしれない。また聞きたくなった。
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この六篇を超える作品は、もう描けないかもしれませんー小池真理子、という帯に惹かれて購入。
うーん、たしかに大人な恋愛小説ではあったけど、どれもこれもが中途半端な感じ…まあそれが持ち味なんでしょうが。。
もう少し歳を重ねてから読めば、感じ方が変わるかな。
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物語はどこにも着地しない。
ある意味、その流れの一部が切り取られ、私達の前に示される。
だから、物語はまさに動いている。
そのどこかに向かうエネルギーを紡ぐ言葉が、
抜群に気持ちいいんだよなー。
かっこいい。
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年齢層が少し高めで私にはまだ早かったかも(^_^;)でも不倫のこととかは…いくつになっても分かりたくないかな(^_^;)初読の作家さんでしたが、帯にこれを越えるものは書けないかもしれないみたいなことを書いてあったので、他の作品は読まないかなぁ。
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恋とは少し違う人間関係をはぐくんでいる、様々な男女の話が収録された短編集。記憶と停滞している心のうちをきめ細やかに描き、何かが動きそうなところで終わるようなものが多く、いろいろ積んで生きてきた女の独り言といったカンジでしょうか。
わかるような、まだそこまで達していないような、もう少しして読んだら、またちょっと違うのか、とかそういう印象でした。
もしかしたら再読かもしれないけど、全く覚えがないので、登録しなおし。
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「この六編を超える作品は、もう書けないかもしれません」という帯が。友達からかりた。
そういう恋愛もあるのかなぁと思った。自分の恋愛観とは違うのか、理解しきれていないのか。不倫、リストカット、薬物多量服薬、生きてる実感がない、相手は誰でもいい、そんなダークな影が感じられた。
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「なんで私のこと知ってるの?」という歌はたまにある。言葉が短いからその中の一瞬が当てはまったりする。
「なんて私のこと知ってるの?」と感じた小説はこれがはじめてかも。
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大切な人の生死やそれに直面した人の生き方が、様々な愛模様を交えて書かれている六編。のように受け取りました。
個人的に好きなのは「パロール」。
読み終えた後、主人公と同じ空虚感を味わい、泣きそうになりました。
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美しい文章で大人の恋愛を描いている。
いつも思うことは、
小池作品は容易に情景が浮かぶということ。
色を持った文章だ。
いつもほどの官能は感じられないが、
奥深いトコロに愛を感じさせてくれる短編集。
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大人色の強い小説。
もっと歳を重ねれば、じわじわと伝わってくるものもあるのかな。
今の私には、物足りない、というか響いてくるものがあまりなかった。
「春爛漫」の男女の友情は素敵だった。