感情タグBEST3
Posted by ブクログ
我々は如何に類人猿から進化してきたのかを、最新の研究、分析をもとに分かり易く解説している。
30余年前の私が学生だった頃の教科書にも、北京原人、ジャワ原人、ネアンデルタール人、クロマニョン人等の名前は載っていたものの、彼らと今を生きる人類との関係については明確な記述はなかったように思う。
しかし、その後、炭素やカリウムの放射性物質を利用した年代測定法や遺伝子の研究の進歩により、様々なことが判明してきた。
その中でも最も注目されるのは、現生人類は、各地の原人が夫々進化を遂げた(他地域進化説)のではなく、アフリカで生まれて世界に広まった(アフリカ単一起源説)ということだろう。遺伝子の研究は、「世界中に住む現在の人類の祖先は、約20万年前にアフリカで生きていた一人の女性に行きつく」ことさえ明らかにした。つまり、北京原人やジャワ原人は、現生人類の祖先と同時期に生存はしていたものの、後に絶滅してしまったし、ネアンデルタール人にしても、現生人類のクロマニョン人との交流の痕跡が確認されているが、現代に子孫を残すことはなかったのである。
700百万年前に分れた人間とチンパンジーの遺伝子情報の違いは1%余りだが、その僅かな遺伝子情報の違いにより、人間はこれだけ特殊な存在となっている。人類は今後どのように(生物学的に)進化するのか、考えずにはいられない。
(2011年3月了)
Posted by ブクログ
「人類進化」そのものに興味がなくても読んでみてほしい一冊。(実際、自分も課題のため)
社会の中で生活していると、国家や人種など、当然として存在している考え方から抜け出すのは、なかなか難しい。
しかし本書を読んで、また違う視点を得たような気がする。
Posted by ブクログ
人類700万年の進化の歴史の解説書であるが、この分野は一つの化石からすべての仮説がひっくり返ってしまう不安定さを内包するがゆえに、この本に書かれていることのどこまでが真実なのやら。とはいうものの、読んでいてアキが来ない。「直立二足歩行する動物は人類のみである(飛ぶように進化しなかった生物が爬虫類のみであることを考えるとこれはかなり稀有なこと)が、なぜ人類がそのような進化を遂げたのか」なんていうことに対する仮説が、10や20あること事態、この分野が本当に科学なのかどうか、それすら怪しい。怪しいから面白い。
Posted by ブクログ
人類はどこから来たのか?今のところ現生人類(ホモ・サピエンス)の歴史は700万となっているらしい。そんなことどうやって分かるのか?何を持って700万年なのか?化石って何?というような素朴な疑問に答えを用意してくれているのが本書。
著者は京大理学部卒の読売新聞記者だが、アウストラロピテクスだとか専門用語が多くて人類学は苦手だったという。そんな著者が、専門家に取材しながら最新の人類学を理解し、執筆当時(2005年)、何がどこまで分かっているのかということを分かりやすくまとめてくれています。専門家じゃなくて記者さんが理解した内容を分かりやすく紹介してあるので、一般読者にとってはとても読みやすい。どれが旧人でどれが原人だとかという”分類”なんていうものは、人類学という学問の世界の人情が絡んでいたりするという解説も面白い。
人類史自体の本筋とはとりあえず関係ない年代測定だとか、研究手法に関する説明も終盤にまとめられていて理解が進みます。進化というものが何に導かれるのかということも考えさせられる。何か目的をもって人類が進化してきたように語られるけど、環境の変化によって生き残ってきた種がたまたま我々ということかもしれない。進化というよりむしろ退化してかもしれないというのも面白い。現生人類の起源がアフリカの一人の女性だ、というのは聞いたことがったけど、それがどのような研究で証明されたのかも分かりやすく説明されていて勉強になった。
Posted by ブクログ
2005年発行なので、少し古いが学者さんではなく、読売新聞の記者上がりの方が説明しているので分かりやすい。
1〜3章で、類人猿から新人までのアフリカで生まれたヒトが世界に拡散していく様子を説明している。
4章では日本列島のヒトの問題、5章では年代測定法の功績と限界、6章では遺伝子から考えることができることを紹介している。
古さなどは問題はあるが、人類学全体を掴むには悪くない本だと思う。
Posted by ブクログ
人類進化の歴史を、研究者ではなく、サイエンスライターがまとめた本。
なんというか、公平感がって、読みやすかった。
有力者誕生のメカニズムとして「宴会説」なるものがしょうかいされてるが、一見おかしみがあるが、よく考えるとそうかも?とおもわせる。
チンパンジーと人間では染色体の本数が違う(チンパンジーのとある2本の遺伝子がつながって、人間では1本になっている遺伝子がある)
普通に考えると、こういう遺伝子変形って生殖不能だと思うけど、どうやって進化するんだっけ?
「大学生物学の教科書」に書いてあったかなぁ?
ちなみにボクは手斧と犬が現生人類を無敵にした説かな?
Posted by ブクログ
石器の発明は食生活の質を格段に上げただけではなく、
脳の増大に向けての扉を開く鍵だったのではないか?
という説は目からウロコだった。
脳が大きくなり骨格も変化し、それに伴って生活様式も変わり、
現代人らしい心が芽生え、コミュニティーが出来る進化の過程が
平易な言葉で紐解かれる。
Posted by ブクログ
興味深かったのは集団生活の始まりや心の獲得の部分だった。そのプロセスは諸説あって定かではないが、歯がほとんど抜け落ちてしまった頭骨から「仲間から食糧をもらうなど助けられていたから生存できたのではないか」というエピソードや、磨かれたような跡がある子どもの頭骨から、「死後に頭骨を保存し、繰り返し手で触れていたのではないか。死者を慈しむ感情があったのではないか」というエピソードは印象に残った。
あとは視覚情報に頼る生活を送るようになった反面、嗅覚が鈍ったそうで、このままいくと我々の嗅覚はもっと鈍るのかな?と思った。もしそうなった場合、それによる弊害もいろいろ出てくるのかなあ。
Posted by ブクログ
読んでいて面白かった!
人類の進化はアフリカの大地溝帯ができたことによる環境の変化だと思ってきたけれど、実は・・・ちがう!食糧提供仮説がおもしろい!
今までヒトは、猿人→原人→旧人→新人と年代を順におって進化をしてきたと考えられていたけれど、同じ時代に複数の人類種がいたということがわかってきたというところも興味深い。たとえば、ネアンデルタール人と私たち現生人類が同時期に存在していたという。お互いをどうとらえていたのだろうか。交流はあったのかなど気になる!!
そう考えていくと、そもそも「進化」とは何なのか。ついプラスのイメージを抱いてしまうが、そうではないのかもしれない。こんなところを考えられるといいのだけど・・・。
Posted by ブクログ
人類の進化を分かりやすく読める。
考古学って、黴臭い気がしちゃって、ずっと好きでなかったんだ。でも、その地道な研究のおかげで、人間の変遷が分かるから、ようやく面白さがわかった。
Posted by ブクログ
遺伝情報だけでみると、私たちは母系の情報を受け継いでいる。なぜなら、遺伝情報を持っているミトコンドリアは精子からは伝わらず、卵子だけが伝える。
したがって、起源を遡るとき母系をたどっていけばいいということになる。そう考えたある博士らの研究によれば、人類の起源はおよそ20万年前のアフリカの女性にあるという。
アフリカにいた人類が、石器や肉食によって、より強力な頭脳と身体を手に入れた結果として出アフリカが可能になったのではないかという仮説は、今なお有力視されている。
Posted by ブクログ
まず帯に記されたマルバツ問題が良い。いくつかは最初の授業でも取り入れてみたくなる。
猿人→原人→旧人→新人という直線型の進化は,現在の発掘の進展や遺伝子研究によって否定されている。教科書はその点やはり遅れているなぁ。
ネアンデルタール人と現生人類が同時代に生きていたなんて,想像するだけでも面白い。彼らはお互いを,どのように感じていたのだろうか。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
四万~三万年前のヨーロッパ。
ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい。
両者の交流を示唆する痕跡が、フランスなどに残されていた。
知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の三万数千年前の化石とともに見つかっている。
最新の研究で明らかになってきた私たちのルーツの新常識。
[ 目次 ]
第1章 人類のあけぼの
第2章 人間らしさへの道
第3章 人類進化の最終章
第4章 日本列島の人類史
第5章 年代測定とは
第6章 遺伝子から探る
終章 科学も人間の営み
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
人類の進化にまつわる最新の学説を紹介する新書です。いわゆるミトコンドリア・イブ説や2足歩行と脳の巨大化の関係等、教科書には書かれていない興味深いトピックが満載でした。また、京大理学部卒の新聞記者が著しただけあって、科学上の「仮説」に対し真摯な姿勢で向き合っており、非常に好感が持てる本でした。昔、NHKの特集でやっていた「生命40億年遥かな旅」を興味深く鑑賞した人には、最近の人類学上の知見をキャッチアップする意味でもお勧めです。
Posted by ブクログ
700万年の間に何が起こったか、どうしてこんな進化を遂げたのか……ナゾの部分も多いけれど、そのナゾが想像をかき立てる。700万年前から進化を辿るのも興味深かったが、進化の過程を立証する今の科学の力、モノの考え方に驚いた。
ともあれ、進化する人類の説明が何十万年とか何万年とかで語られる(当然だけれど)わけで、それが今の(自分の)すべてを小さく見せるのでした。やはり私がこうして人として今を生きているのは奇跡としか思えない。
Posted by ブクログ
人類について化石云々などはもちろん、遺伝情報の変遷などにも触れられ、人間のルーツ、能力について詳しく考察している。そのぶん専門用語も多く、よくわからないまま読み飛ばしてしまった部分も少なくなかったが、万年単位の一生物としての人間について考えるのは面白かった。
Posted by ブクログ
人類の進化について、著者によって少しずつ違う説明になっている部分があり、わからないことがたくさんある分野なのだなと思った。
その中でも共通している内容はおおよそ共通認識となっていると考えて捉えた。
700万年前から人類が進化して現代人になっていることを考えるとほんとうに感慨深い。
新しく印象に残ったことは、他の人科のオラウータンやゴリラ、チンパンジーと違って、ヒトは一夫一妻になって、犬歯が退化したという説。
アラブ諸国で一夫多妻制をしていているという反論に対しても、現実には一夫多妻は富裕層のみで多くの人は一夫一妻であることを考えると、本能的には一夫一妻はヒトの本能なのだそうだ。
また、本書を通して、改めて適者生存が進化の本質なのだと感じた.
Posted by ブクログ
研究者ではなく記者が書いただけあって、新しいトピックを要領よく紹介してあって、とてもいいかんじ。「ヒトの起源」は次々に新しい化石が発見されて、中年自覚があるひとならもちろん、20代の若者だって、子ども時代に読んだ・習ったものとはまるで違うものになっている。サルから離れ、二本脚で立ち上がった謎について。旧人・原人という区分が古くなってきた背景について。肉食の開始が脳を大きくした可能性。あごの筋肉を作る遺伝子が働かなくなったことから、筋肉のコルセットが外れて脳が大きくなれたかもしれないとか。分類上、ヒト科にゴリラやチンパンジーを入れる研究者が増えてきた背景……などなど。新しくて、やさしい。人類の進化に興味があるなら、まずこっからでいいのでは。参考文献一覧がついてないのだけが、傷。
Posted by ブクログ
タイトルどおりの内容。
人類進化の700万年を概観することができる。
断定的でない文章に好感が持てる。
人類学という学問上,断定しにくい部分もあるのかもしれないけど。
Posted by ブクログ
人類学の本ですが、著者は学者さんではなく新聞記者です。人類学の世界には多様な学説があり、その学者さんによって、進化の仕方や人類の分類などが違ってくるそうです。そういった意味で、第三者である、人類学を客観的に眺めた人が書いた人類学の本という位置づけである本書は、いろいろな見方を認めたうえで語るので、公平性があるかもしれないです。また、専門用語を控えているので、初心者の僕のようなのでも面白く読めます。
Posted by ブクログ
なかなか面白かった。
人間とチンパンジーはDNA上は1.23%しか違わないとは驚いた。
あごが弱くなったから脳が大ききなったのか、脳が大きくなったからあごが弱くなったのか、DNAが変化したからあごが弱くなって脳が大きくなったのか正解は分かっていないらしいが、その些細な違いから人間は生まれたのかと思うと面白い