【感想・ネタバレ】花の歳月のレビュー

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前漢の文帝の妻であり,武帝の祖母である竇猗房の話.
リアルおちぶれてすまん人生を過ごしていた猗房の転機は10歳の頃.呂太后が諸国の王の妻を探していたとき.紆余曲折を経て代国王の妻となった猗房は王の寵愛を一身に受ける.代国王はやがて漢の皇帝になる.
猗房が代国へ向かう前日か当日,猗房の弟である広国は人さらいに攫われ,10年以上奴隷として過ごす.ひょんなことから皇后の弟であることを主張し,認められる.
物語の最後の広国と蘭の話が最高.

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2021年09月13日

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ネタバレ

前漢の第5代皇帝・文帝の皇后であり、第6代皇帝・景帝の母である竇猗房(とういぼう)を主人公に据えた歴史小説。短い作品で、各登場人物の描写も少ないながら、それぞれに存在感がある。
漢字にまつわる宮城谷昌光のあとがきも面白い。

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2020年03月17日

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ネタバレ

時代は前漢王朝前期・呂太后の専制下、名家ながら没落した竇(とう)家の娘、猗房(いぼう)が、推されて漢の宮中に出仕することから話は始まる。
貧しいながら助け合って暮らす家族と別れ、宮中に入るわずか十歳の彼女。
彼女を支えていたのは、父が語ってくれた「老子」の教えと、兄の励ましの言葉。

所々にみられる老子の教え。

「上善は水の若し」-最上は水のようなもの。水は万物を潤し、争うことをしない。そして水は上から下へと流れる、即ち謙ることを表す。

「高は下をもって基となす」-高いものは低いものを基本としている。

「禍か福の倚るところ、たれかその極をしらん」-禍は福のもたれかかるところとなり、福は禍の潜むところとなる。誰一人としてその大本は分からない。

なるほど、面白い。

残される家族のことを懸念する、猗房に言った兄の言葉も良いですね。

「こういうことは、たしかに人によって選ばれるのだが、その人を動かした天の神から選ばれたことになる。天の神から選ばれたのに、それを断れば、一生不幸になってしまう。おまえが不幸になって喜ぶ者は、うちには一人もいやしない」

中国三大悪女の一人といわれた呂太后が、夫である劉邦(高祖)の死後、劉邦の専らの寵愛を受け、呂太后の実子を排そうと企んでいた戚姫を捕らえて、手足を切断させ、眼球をくりぬき、耳を焼き、声の出せぬよう薬を飲ませ、厠に据えて「人彘(人ブタ)」と罵っていたというところはグロテスクです。
ここまでする実の母の姿を見て、皇帝になった恵帝はショックを受けて執政を放棄してしまう。
まあ、そんな姿を見たら、トラウマになっちゃうでしょうね。

猗房の幼い弟、広国が誘拐されて、奴隷にされてしまう話も切ない。
同じ奴隷で姉のように可愛がってくれた藺(りん)が、殺されかけた広国を救うために、辱めを受ける場面もやるせない。
奴隷には抗う術などないと思い知らされるシーン。

ラストは綺麗に纏め上げられていて、少し物足りない気もしますが・・。
司馬遷の「史記」をもとに描かれた作品。
史実に基づいているだけに、怖いなと思う場面が印象的。

かなり、簡潔な文章なので想像とかは膨らみにくい感が。

余談ですが、最初に郷父老が猗房に会って、推するに相応しいか見定める場面。
---男女を問わず、人を鑑(み)るには、まず声だ。

声の大小、明暗、澄濁は、生まれつきの品格であると郷父老は考えているというところに、興味を持った私。
良い声はそれだけで、「徳」を備えているということか・・。
羨ましい・・。

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2012年10月05日

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