【感想・ネタバレ】江戸の市場経済 歴史制度分析からみた株仲間のレビュー

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Posted by ブクログ

市場経済の生成は、自明のプロセスではない。新古典派経済学の外に置かれてきたテーマについての考察であります。技術革新、教育、資本の蓄積、人口の増加等は、成長そのものが顕在化したものであり、成長の原因でない。それは何なのか。江戸時代の株仲間の活動に何らかの機能があったのではないか、と。制度としての株仲間についての考察であります。☆3つです

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2019年03月01日

Posted by ブクログ

江戸時代の市場経済に株仲間が果たした役割を新制度派、比較歴史分析の観点から明らかにしようという意欲的な 一冊。
株仲間というのは、座やギルドのような同業者集団。こうした集団が一定の力を得て、集団外の業者の取引を制限したりと、みずからの利益を守っていた。これは今でいうカルテルに近くて一見望ましいものではない。
一方で、株仲間があることで、幕府は商品流通の統制を行うことができた。そして、さらに重要なのは、国家としての司法制度や財産権保護が今ほど期待できない江戸時代においては、株仲間が制度の補完的役割を果たしていたこと。正規の制度+株仲間の非正規の制度という二段構えの制度によって、安心して取引ができる環境ができ、それが経済成長に貢献したという。
株仲間のアイデア自体はグライフのマグリブ商人の例を元にしているようだけど、経済成長への貢献を実証的に裏付けたことは意義のあることだと思う。
しかし、現代人の想像以上に、江戸時代には高度な市場機構が存在していたというその事実に素直に驚く。

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2011年10月30日

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