【感想・ネタバレ】箱の中 【講談社版】のレビュー

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購入済み

BL初心者から楽しめます♡

内容説明を読むと堂野と三橋の話かと勘違いしてしまいそうですが、冤罪で刑務所暮らしを余儀なくされてしまう真面目な主人公の堂野と、不幸な生い立ちの喜多川との2人の物語です。三部に構成されていて、どれも喜多川の堂野への一途な想いが胸が痛くなる程切なく書かれています。初めて読む作家さんでしたので、最後までハピエンなのか読めないのでハラハラドキドキして一気に読んでしまいました。一般書から出てるだけあって絡みの場面は初心者向けかと。BLレーベルから出ている『檻の外』には、この続編が2作載っていますので、是非こちらも合わせて読まれる事をオススメします。 BLのジャンルを超えてて泣けますヨ。

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2019年07月23日

Posted by ブクログ

すさまじかった。夢中で、ふた晩よんだ…
執着といってしまえばそうなんだけれど、執着ってこう、信頼、こころから相手(その"相手"は自分の目に映る彼、でいいのだ)を信じきり、一心に愛し、肯定する…そこには当たり前に暗く黒いどろっとした感情も生まれて、でももうそうするしかなくて…究極に煮詰まった関係性、すばらしく凄まじかった。良かった…!
ノベルス版の短編を読まねば!木原先生、BLとSF特集で知り、全部の著作が読みたくなりました。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4時間くらいかけて一気読みしてしまった。じりじり焼かれて最後に掬い上げられた…電子で読んだけど紙でも持っておきたい作品。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

とても素晴らしい作品に出会えた。
本作は、私が思い描いていた『BL』のイメージを良い意味で大きく覆してくれた最高傑作でした。

痴漢の冤罪で刑務所にはいる事になった主人公の堂野が、そこで出会った殺人犯の喜多川に好かれて困惑する。そしてお互い刑期を終え再開するが、堂野にはすでに家庭があった。

喜多川の生い立ちが悲惨過ぎる。教養も愛情も与えられず、当たり前の感情すら理解できないまま大人になってしまった。そんな喜多川に、堂野が教養や常識を教える。子供の様に堂野を慕い始め、その思いが愛へ変わっていく。
純粋無垢な喜多川が、真っ直ぐに愛を貫こうとする姿は狂気じみていたが、同時に優しさに満ちていて温かくもあった。複雑な感情が入り混じり、そして気付くと応援している自分がいた。

喜多川は堂野と出会い『他人を思いやること』を考える様になり、堂野は喜多川に出会い『人間にとって本当に必要なものは何か』を知る。そんな二人の感情の変化が愛おしく感じた。

常に心がヒリヒリし目を覆いたくなる描写も多い内容であったが、ラストは穏やかで温かい気持ちになった。BLに興味ない人も是非手に取って欲しい一冊。

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2024年04月22日

Posted by ブクログ

純愛…!
痴漢の冤罪で刑務所に入った男性。社会問題がテーマだと思いながら読み進めていくうちに、もしかしてこれはBL小説というものなのか、とようやく気がつく。漫画では読んだことがあったけど、小説では実は初めて。そもそも現代の男女間の恋愛小説自体をあまり好んで読まないのだけど、BL小説は男女間の恋愛より純粋に愛情が描かれていて好ましく思った。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

新聞の書評欄にあった本
痴漢の冤罪で捕まった堂野
無罪を主張したために反省なしとして刑務所に収監されてしまう。
そこで出会った喜多川は堂野に「ありがとう」と言われたことから懐き始める。

喜多川の生い立ち故なのか堂野に対して一途すぎる愛情
に胸が痛くなった。

箱の中
脆弱な詐欺師
檻の外
の三部構成になっています

同室だった芝さんがいい人だった(収監されていたので、悪いことをした人ではあるのだけれど)

三浦しをんさんが解説で書いていたノベルズ版檻の外のなつやすみも読みたい!
もう本がないようなので電子書籍?

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2024年02月05日

購入済み

胸が苦しくなるのにやめられない

普段遅読気味な読書家です。一冊の本を読むのに1ヶ月から2ヶ月かかることもザラにあります。しかしこの「箱の中」は2日で読み終わりました。読み始めは自分の知らない刑務所内での生活や主人公の苦悩など重苦しくも読み応えがあり、これは良い夜のお供になると感じました。しかし、読み進めていくと喜多川という男のミステリアスな内面に翻弄されページを捲る手が止まらなくなりました。1日目に脆弱な詐欺師まで読了し、続きが気になるもののカーテン越しに早朝の気配を感じ泣く泣く眠りにつきました。翌日は夜まで待てず昼間のうちに一気にラストまで読み切り、ハッピーエンドでほっとしたものの2人の物語をもう読めないんだという寂しさでいっぱいです。

#深い #切ない #ドキドキハラハラ

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2023年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

BL(ボーイズラブ?)というジャンルの小説があるらしい。BLに興味があったわけではないけど、刑務所の中の話ということで読んでみました。
痴漢の冤罪で実刑判決を受けて刑務所に入った主人公が、房の中で知り合った男性と特別な仲になってしまう話です。
痴漢の冤罪って結構多いらしい。取り調べの過程で、罪を認めて罰金を払えば釈放されるので、あきらめてそうする人も多いとか?「自分は何も悪いことはしていない、やってないものはやってない!」と頑張り続けて、仕事も恋人も失い、信じてくれた家族は住んでいる家を追われ、妹は婚約を破棄され…何もかも失って刑務所の中でただ、自分の心だけを信じ、刑期を終えて外に出るのを待つだけの日々。徹底的に管理され、自由のない毎日。気が狂いそうになる主人公。最初しばらくは、その辛い日々に共感してしまい、怒りさえ覚える。こんなこと本当にあるのかな…。まさか痴漢の冤罪で本当に何もやっていない人が、最高裁まで争っても無罪を証明できず、実刑になるなんてこと、ないと信じたい。
そんな日々の中、心を開いた相手に騙されたり、懲罰房に入れられたり、最悪な状況がさらに続く…。
一人、黙って助けてくれる同年代の男。ぽつりぽつりと語られる彼の生い立ちは、どうも、完全に育児放棄され、閉じ込められた部屋の中に食べ物を投げ込まれて育ったようだ。当たり前の暮らしというものを知らず、刑務所にいれば安心して三食当たり前に食べられるのだからいい、自由が欲しいという考えもない、という男。
主人公は同情でも愛情でも親切心でもなく、「いや、そうじゃなくて!」てな感じで優しく彼に本当の世界を教えようとする。本を読むことを進め、絵を褒め、人に何かしてもらったらありがとうって言うんだよ、とか、見返りがあるから人に親切にするだけじゃないんだよ、とか、当たり前の人の心をもって接する。
すると男が、異常に主人公になついてきて、それが究極の愛に発展してしまうのだ。
同性愛を題材にした作品に人気があるのは、同性愛そのものというよりは、同性であっても惹かれ合うところに「究極性」を感じるからではないだろうか。性とか、立場とか、何もかもを超えて本当に人間として愛するということ。
ちょっと性描写はきわどすぎるところもあったけど、心揺さぶられました。

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2023年09月30日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ良かった。
男性同士の生々しい描写もあるけど、人を想う純粋でピュアな気持ちと、狡くて醜い気持ちとが丁寧に描かれていて、正直、こんなに心を揺さぶられるとは思っていなかった。今年読んだ本の中で一番かも。

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2023年09月06日

Posted by ブクログ

告知1 : レビューほぼ放棄します。
告知2: 本作後日談「なつやすみ」二人のその後を
   どうにか手に入れて、読後感に決着をつけ
   ます。

放棄理由は、腐女子三浦しをん大先輩が、立候補か自己推薦か持ち込みかって、思われるBL愛溢れる素晴らしい文庫解説をされており、全面同意、全面降伏しましたので。しをんさんの「読んだか?」「むろん!」多くを語らずともなのです。

とはいえ、文庫に関しては、「檻の外」で完結パターンで、全く一文芸作品として成立しています。
愛情を知らなかった男に与えられた、わずかな愛が、その男の中で人間を形成していく根幹となっていく。そして、育った愛に、理不尽な人生を救われる。人間ドラマとなっています。

みんみん作品アドバイスありがとうございました。ストーリーレビュー語れなくて申し訳ない。
ゆーき本さん、ステップアップして沼落ちしてきてね。
そして、先程ひまわり師匠の本棚見てきたのですが、実は私も、この作品は、本とコさんのレビューからなんですよー。まさかのブクともかぶり。

注意:土瓶さんひまわり師匠には、この作品はトラウマになりそうですので、お勧めしません。

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2023年07月04日

購入済み

凄いの一言

冤罪なのに刑務所送り。刑務所の生活がとてもリアルに書かれており、理不尽だと思う堂野の心の叫びが凄く伝わってきました。そこで出会う喜多川とのやり取りも、行動範囲が決められてる独特な世界の中、お互いの気持ちの変わりゆく流れが自然体で、凄く読みやすかったです。

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2022年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

痴漢の冤罪で服役した主人公が、殺人の罪で服役中の喜多川と出会い、そこから心の交流が生まれ…二転三転しつつも一緒に生きていくことを選ぶ話。

主人公・堂野に関して言えば痴漢の冤罪というこの物語のスタートから、嫁の不倫の影響による愛娘の死と、なんと人生ハードモードなことかと読みながら同情心がみなぎってきます。

喜多川の人生も、それはそれは幼少期より波瀾万丈ですが、愛されたことを知らないがゆえの純粋さと、どストレートな愛情表現に不思議と癒される感じがありました。

堂野の気持ちが揺れたのは、自分が大事にしてる存在(娘)を同様に(自分以上に??)大切に考えてくれてるのが喜多川だったがという所にあるのかな、と思ったり。
結局嫁は自分が可愛い感じでしたし。

ふたりには幸せになってもらいたい^ ^

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2022年05月30日

Posted by ブクログ

感情がゆすぶられ、心がギュッとなって泣けました。
そしてとってもとっても素敵な作品!余韻が凄くて、読み終わってからもシーンが頭で回想されて仕方なく、仕事から帰ってからまた本棚から取り出してしまいました。
特にラストに向けてが凄く好きです!切ない話、甘過ぎない恋愛、BLが読みたい方にオススメです!かなりオススメです!!そして木原先生、とても文章が読みやすい!

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2021年08月06日

Posted by ブクログ

BLというくくりで話をしてはもったいなすぎる本でした。
たまたま男同士なだけで、純粋すぎる愛の話。途中で展開が読めた部分もあったけど、それでも最後まで一気に連れていかれる文章だった。
もともとは2回に分かれて刊行された本らしいが、もし先に出た「箱の中」だけ読んで「檻の外」を読まなかったらもったいないから、文庫で一冊にまとまったのが読めて良かった。
今すぐ記憶を消してもう一回まっさらな状態で読みたいくらい。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

BLが大好きでよく読むのですか、「物語」としてここまで骨太なものは初めて読みました。BLといえば、濃厚な性描写がメインのイメージで、私もそれ目当てに読んでいるのですが、この話の性描写は劣情を煽るというよりは、ふたりの物語上必要な描写として捉えています。悲しいけれど、静かでつつましい幸福を見せていただいた気がします。ファンタジーなのにリアルで、じめじめと鬱屈した日常、愛する人と寄り添える幸福を肌で感じられる気がします。

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2021年05月10日

Posted by ブクログ

痛くて切ない。けれど、たまらなく愛おしい気持ちになった。登場する人間のほとんどが、「善人」ではないけれど悪人ではなくて、間違いながらも必死に生きている姿を書くのがものすごく上手いと感じた。

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2021年04月13日

購入済み

その後の話がなくて辛い

ものすごく良かった。
凄く凄く面白かった。

喜多川の堂野に対する愛はひたむきという言葉では言い表せないくらい真っ直ぐすぎて、堂野の目線で見る喜多川が可愛すぎるし愛しかった。

そんな2人のその後の話(『雨の日』、『なつやすみ』)がこの本には入ってないんですね。
ものすごく良すぎただけに、ショックでした。

その後の話が入った檻の外は現在他の電子書籍の所も取り扱いないみたいだし、どうやったら読めるんだろう。

心が囚われてしまったようで辛いけど、裏返すとそれだけこのストーリーにもキャラクターにも引き込まれてしまったんですね。
だから読めて良かったなと思います。

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2021年03月16日

購入済み

なかなか深くて重くて切なくて悲しくて苦しくて読む途中何度も何度も本を閉じて深呼吸しました。
読み終わった今も余韻が凄くて、消化しきれなくてレビューをどう書けばいいのか頭の中が整理されていないです。
でも、とにかく面白かったです。
是非読んでみてください。

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2021年01月20日

Posted by ブクログ

痴漢 冤罪 詐欺 不倫 誘拐 殺人 刑務所 虐待が絡みあったBL小説。BLと言われなければわからないぐらい人間心理を鋭く描いた作品。愛もバランスだと思うが、あそこまでピュアで真っ直ぐにこられたとして、受け入れるキャパがある人はどれくらいいるのかなぁ?

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2020年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

愛VS社会、愛は勝つけど残酷だ

なぜ1人しか選べないのか
同情も浮気も全部愛には違いない
芝さんの信用してる人間の裏切りはつれえからなという言葉

文を読んでると人生狂わされる感覚がして病みつきになる
BLを好きで良かったと思う

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2020年08月28日

匿名

購入済み

とにかく良かった

三部構成の最初から最後までハラハラドキドキでした。

それにしても……
『箱の中』では堂野を痴漢に仕立て上げた女性たちや喜多川の母親、
『脆弱な詐欺師』では大江の妻と娘、
『檻の外』では堂野の妻、
と同性として嫌な面をしっかりと見せつけられ、彼女らを反面教師にして自分もそうならないように気を付けて生きようと痛感させられました。

芝さん同様、わたしも喜多川には残りの人生でたくさんたくさん幸せになってと切に願います。
芝さんかっこよかった、Good job!!!!!

凄くおすすめなので☆5つです。

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2020年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オススメされて読みました。

泣いた。全私が。

最初の入りで、堂野の融通の利かなさや迂闊さに歯がゆさを感じ、
BLって聞いていたけど本当にLは訪れるのだろうか・・・?と思いながら読み進めていた。

序盤は主に堂野の自らの至らなさの悔い、家族に迷惑をかけてしまったことへの自責の念、服役者や刑務官に対する嫌悪、疑念。とにかくネガティブで、向き合って読むのがしんどい感じだった。

三橋が出てきた時、こいつが片割れになるのかと思って、喜多川が出てきた時もあまり注目していなかったから、このあたりから動き出して引き込まれてきた。

三橋が裏切り、堂野が絶望し、喜多川が堂野を構い出した時、
喜多川の意図がわからなくてちょっと君悪いなと思ったくらいだ。
この時点でもこいつが主軸になるとは気付いていなかった。
私、鈍すぎかよ。

それが、喜多川が徐々に心を開いてきて、堂野に傾倒し、
渇きを癒すように堂野を求め始めた時、読み進めるのが止められなくなった。

ずっと堂野もやや引き気味だったし、うまくいかないんだろうと思いながら、
それでもどうなるのかと思ってページをくってしまう。

読めば読むほど、喜多川という男のまっすぐさに引き込まれた。

「あんたに家族がいたって、近くにいるぐらいいいだろ」
「同じ雨の降っている場所にいるんだって思うぐらいいいだろ。顔が見たいって思う時に、歩いて行ける場所にいたっていいだろ」

ああ、本当に好きで好きでしかたがないんだなあ
報われないってわかっていても止められないんだなあ

と、雨降る外を眺めて堂野を思っている喜多川を想像したら、涙が溢れてきた。

彼にとっては、29年目にして初めて巡り会えた奇跡だから
私たちが大好きな物語やタレントと同じ時代に生まれてこれたことを喜ぶのと
ちょっと似ている。
いやむしろそれより深いか。


正直、堂野の奥さんの所業もろもろが陳腐すぎて、
う〜んと思うところはあるけど、
そこは私にとってこの話の重きところではないので
これで良かったとする。

芝もいいやつでよかった。

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2020年07月23日

購入済み

読んでよかった

読んでよかった、と、読了後にほっと息をつける物語でした。
喜多川にはめちゃくちゃなところもあるけれど(というか、木原先生の本にはめちゃくちゃなところのある人がよく出てくるな……と思うけれど)、人の温かさに触れて、幸せになってほしいです。

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2020年04月11日

Posted by ブクログ

BL小説との事で敬遠しがちでしたが、読んでびっくりまるでミステリーを読んでいるような、ハラハラドキドキでした。 連作になっていて3作とも感動しました。 ラストはすごく考えさせる終わり方しています。 解説を三浦しをんさんが書いていてすごく的を得ていました。続きの短編『なつやすみ』があるとのことで読んでみたいです。

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2020年03月11日

Posted by ブクログ

BLというジャンルがあるとは知らなかったが、凪良ゆうさんがBL出身だと言う事で読んでみたが、見事に予想を裏切られた。
性的な表現を除けば(一般的な視点)素晴らしい恋愛小説だった。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

凪良ゆうさんが「流浪の月」で本屋大賞を受賞されたことを機に、木原音瀬さんの存在を知った。
ボーイズラブと聞いて、ライトノベルのような気安い作品を想像していた私は、このジャンルと作家の腕前を侮っていたのだと思う。偏見を恥じた。

次第に喜多川に惹かれていくものの、痴漢の濡れ衣を着せられたことのある堂野には、同性との関係を受け入れてしまったら、世間からまた「同じような目」に晒されるのではないか、という恐怖がある。
できるだけ人目に付かぬところで他者から攻撃されないようひっそりと生きていきたい、という彼の願いは切実で、愛さえも押し潰してしまう。

喜多川が懸命に堂野を捜し求める姿を思い浮かべておきながら、私は思う。
一心不乱に求め続ける側よりも、いつだってそれに応える側の方がもがき苦しむ羽目になる。
だから、愛は理不尽なのだ。

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

 初BL(ボーイズラブ)小説、木原音瀬さんも初読みでした。BLとは、(主に女性作者が)男性同士の同性愛を主軸に据えた、主に女性の読者に向けた物語、だそうです。

 正直なところ、BLと聞いただけで拒絶する自分がいましたが、本書を手にしたきっかけは、本作が「BL界の芥川賞」「三浦しをん氏絶賛(解説も書かれてます)」などと高い評価を得ていることが一つ。
 また、一般文芸で優れた作品を書く凪良ゆうさんも、もとはBLからスタートしたこと。加えて、折しもLGBT理解増進法が、擦ったもんだの末、明日6/23に公布・施行という機運も挙げられます。

 男性同士の関係の生々しい描写に、「やっぱりムリ」と言いたくなる部分もありましたが、華やかさや熱愛とは無縁の、痛く切ない現実的描写にぐいぐい惹きつけられます。
 BLというジャンルを超えた、高い文学性を認めざるを得ません。これほど深い世界を描くことができるのだと、感嘆するしかありません。

 「ダ・ヴィンチ」誌上での紹介が2006年、文庫発売が2012年。もっと早く読むべき一冊でした。男性・女性を問わず、BLはちょっと‥という方にほど読んでいただきたい傑作だと思いました。LGBT法ではありませんが、他人事感覚や差別意識は改めたいものです。

 読まず嫌いはもったいない! 未読の方、是非!

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2023年06月22日

Posted by ブクログ

BLだとは知らずに買ってしまってなんだよーって思いながら読みはじめたけどあっというまに引き込まれた。喜多川の子供のような純粋さとその喜多川の想いになんと答えれば良いのか悩む堂野。
自分だったらどうしたらいいんだろうってすごい考えさせられた。
ただ物語としてはもっとハッピーエンドで終わって欲しかった。麻里子には浮気なんかしないで幸せな家庭を守って欲しかったし穂花には死んでほしくなかった。
あと話は面白いんだけど過激な性描写はいらないんじゃないかと思った。BL好きな人には申し訳ないけど正直気持ち悪かった。
それと喜多川のセックスのしかたは愛じゃないよね。相手のことを考えずに自分の欲望を満たしてるだけだよ。

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2023年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラブセメタリーで木原音瀬さんを知り、繊細な文章に惹かれたので手に取った

無条件の愛を知らないで育った人間が見返りを求めない優しさを知ったら、暴走してしまうのもわからんでもないと思った

芝さんの優しさはなんだったんだろう?刑務所の中をまあまあ悲惨に書いているなかで芝さんの常識的な優しさがとても目立った

堂野のずるさを序盤から感じていたので最後の最後で自覚した描写があってよかった
恋愛関係にはなれないけど友達でいたいという言葉ほど残酷な言葉はない

解説で箱の外の続きがあると知れたので続きも読みたいと思う

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

冤罪で入れられた刑務所で会った
純粋すぎる男との愛情の話。
一番醜くて汚いものと一番純粋で綺麗なものが
どっちもここにある。

BL作品と知らずに読んだから
少々びっくりしたけど、
なんかもっと単純で深い、
人と人との間に生じるあったかい感情や
つながりの話な気がした。

せっかくなので備忘録がてら同性愛について
今思うことを書いておくと、
特別とか変とかってイメージはなくて、
割と普通にありえる愛の形なんじゃないかな
と思っている。

というのも、今まで自分が
友達だった人とお付き合いすることになる、って
ルートばかり辿っているからで、
友達ってだいたい同性が多いからって
だけの話なんだけども。

一緒にいると楽しいとか、
こいついいやつだなとかってのが
重なった先に愛があるなら
(性行為は別として)
自然な成り行きだよななんて思っている。
愛って元々、もっとシンプルな感情じゃない?
的な。

様々な苦難を乗り越えて2人が結ばれる話なので、
超大枠は、解説の言葉を借りると
「お約束」通りのストーリーなんだけど、
その苦難の描写が超重厚。
胸をえぐる、息が詰まる。
その分小さな幸せの場面がとびきり輝いて見える。

三橋や大江、妻の麻理子が
完全に悪人って感じで描かれているのが、
ちょっと都合良すぎる気もしたけど、
丁寧で烈しくてあけすけな心情描写のおかげで
すごい没入感というか、当事者感というか、
主人公目線で読めるので、
(だから多分悪人評価にそんなに違和感がない)
そこもまた、この作品の魅力だと思う。

世間知らずの“変人”喜多川と、
堂野をはじめ“普通”の人との対比で見えるのは、
普通とか常識とかって呼ばれる
偏見や先入観な気がした。

男同士はおかしいとか、
たった数ヶ月一緒にいただけの人間に
固執するべきじゃないとか、
喜多川はそういう“べき論”を知らないから、
愛情の本質に近いものを
ありのままに見つめているように感じた。

そういう視点で見ると、
最後の「ふうん、それで?」「何でもない」が
意味深い。
偏見とかの要らない世界に、
喜多川が堂野をひっぱりこんだ気がして。

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2022年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごかった。今まで木原さんを読んでこなかった自分は節穴でした。

必然性のない因果。
現実を煮詰めたようなフィクション。
相反する材料が、BLという装置にかけられて引き起こした弩級の化学反応。
理屈の通らない人物が持つ、暴力的なまでにむきだしの愛を、向けられた側の事情はおかまいなしに成就へと導く。だって「BL」なのだから、二人は結ばれるしかないでしょう、と言わんばかり。そんな木原さんの酷薄さが好きです。
愛によって傷つき、愛によって救われるというロマンスの王道。でも、その密度の濃さが凄い。
未収録の短編も読んでみたいです。

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2022年01月20日

Posted by ブクログ

木原さんの作品は前に表紙買いをしたのがとても良くて、その後もう1冊読んだ。それらは一般作だったのだけど、木原さんがBL界で有名な作家さんだということを後から知った。
そして、BLカテゴリでは有名らしいこの本を読んでみたのだけど、ボーイズラブというのも様々なのだろうな、というのが第一印象。
いわゆる「萌え」のようなものはほとんど無く、どちらかと言うと読んでいて苦しくなる、同性愛者の苦悩みたいなものが大半だったように思う。
「BL界の芥川賞とも評される」と言われる理由がとてもよく分かる。

痴漢の冤罪で闘った挙句実刑を受けて刑務所に入った堂野は、刑務所で同じ部屋のメンバーであった喜多川と出逢う。元々無愛想でほとんど言葉も発さなかった喜多川が、とあるきっかけで堂野に懐くようになり、堂野が刑期を終える少し前に(半ば強制的に)性的関係を持ってしまう。
堂野は刑務所を出た後は痴漢冤罪被害者の互助会で活動しながら、愛する人と出逢い、いわゆる普通の暮らしを手に入れた。
しかし遅れて刑期を終えて出てきた喜多川は、堂野を忘れることはなかった。

堂野と喜多川の刑務所時代「箱の中」、喜多川が数年かけて堂野を探す「脆弱な詐欺師」、そして2人が再会を果たす「檻の外」の3部構成。
元々は「箱の中」だけの作品だったらしい。確かに、この1つだけならよりBL作品らしい雰囲気があったかもしれない、と思う。
そこに後の2つが加わったことで、より深みのある文学作品に昇華されているように感じた。

喜多川は不幸な生い立ちから重い犯罪を犯して、おそらくキャラクターを見ると発達障害のような何かを抱えている設定なのだと思う。不器用でぶっきらぼうだけど、とても純粋。だからこそ初めて自分に手を差し伸べてくれた堂野を愛してしまった。これがおそらく女性だったなら、喜多川はその人を堂野と同じように愛したのだろうと思う。
堂野は元は異性愛者。どちらかと言うと地味で真面目に生きていた人間が、刑務所で過ごすというしなくても良い経験を通して、真っ直ぐに自分だけを求めてくる喜多川と出逢ってしまった。

異性愛より同性愛の方が純粋で美しく至高…というイメージはおそらくこういう作品からは切り離せないものだと思う。そういう部分にご都合主義的なものを感じるところはあるものの(実際は同性愛だってドロドロしてる面はあると思うので)物語としてとても面白かった。
実際喜多川のような男は脅威だけど、でも細部を見ると、相手のことをすごくよく考えた上で動いて気持ちを伝えてくる人間でもあるので、堂野のことを本当に心から想っているのが分かる。
そこまでの愛情を持てる相手って、人生を通してもなかなかいない。
もがきながらも距離を縮めていく様子が苦しく、自分の本心と社会性をバランスよく保つのはどんな場合でも難しいと考えてしまう。
だからこそ喜多川の真っ直ぐさが胸にくる。
こんな風に自分に正直に生きるのは難しいと分かるからこそ憧れる。読み応えのある作品だった。

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2021年09月24日

Posted by ブクログ

最初のうちは、BLっていうけどこれL成分出てくるのか?ひたすら堂野がかわいそうだなと
でも最後は数々の不幸の果てに静かな愛を手に入れて安心した
愛愛いうけど愛ってなんだろな
堂野が延々ぐるぐる考えたように大変なことのような気もするし、喜多川のようにただただシンプルなことのような気もする

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2020年10月12日

購入済み

重いなぁ。。

長〜いこと積読状態だった噂の箱中外。レビューである程度覚悟していたけどなかなかにシビアとゆーかBLのエンタメ性をまるっと無視したよーな甘さの少ない世知辛さ。アメ鞭割合0.5対9.5くらい(笑)?人に騙され裏切られまた死に直面したりする世界観のせいで申し訳ないけどどこかジンワリとした不快感が拭いきれない全編、なのに気づけば一気に読破。喜多川の、本気でちょっと怖いんだけど、幼すぎる純粋な一途さに泣いた。

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2018年02月28日

Posted by ブクログ

最初はどの様なものかと思いながら読んだ。
三篇に分かれている連作であるが、それぞれが違う味がする。

刑務所という特異な状況下での人間ストーリーから始まり、平凡な家庭生活で起こる事件、顛末へと続いていく。
女性が書いた作品だから、一部分、それは無理かな〜という所もあったが
人の心の内を書き込んでいる箇所もあり、内容が多岐に亘っていて面白い。
又、ストーキング行為とは、自分の思いだけを主張し相手の事を自分に都合の好い様にしか理解しない事だと良く分かった。

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2020年08月21日

Posted by ブクログ

痴漢の冤罪で判決を受けた堂野

同じ刑務所の部屋であった喜多川は母親に頼まれ殺人を犯していた

喜多川は堂野に恋愛感情を抱く

喜多川は先に出所した堂野の行方をずっと探していて探偵に依頼

BLそしてお互いの感情

誰かが責任を負わず目を背け逃げていたら誰か他の人を傷つけることにもなる


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2024年05月13日

Posted by ブクログ

作者の本を読むのはこれで2冊目。
BL界の芥川賞と謳われているらしい。
「美しいこと」が良かったのでこちらも手に取ってみたが
あまりハマらず。

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2024年03月27日

Posted by ブクログ

痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野は刑務所に入り、そこで多喜川という男に出会う。
人間不信に陥っていた堂野は、多喜川の一風世間知らずだが純粋で無垢な優しさに救われる。
しかし、多喜川の優しさは愛情としてのものであると気付き始める。
同性愛者ではない堂野は躊躇うが、少しずつ受け入れていく。
やがて堂野は出所して、多喜川のことが気になりつつも自分の人生を歩き始める。
一方の多喜川は出所後も堂野を忘れてはいなかった。
ただの同性愛を描いた物語というものではなく、人の奥深くにあるものを思わせるものがある。
今までにない感じがして新鮮だった。

2020.11.8

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2020年11月08日

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