【感想・ネタバレ】天の川の太陽(上)のレビュー

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Posted by ブクログ

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大海人皇子を主人公に壬申の乱を描く長編小説の前半です。
この巻では658年の有馬皇子処刑から、天智天皇が亡くなる672年までの物語が語られます。
記紀や万葉集、藤原家伝を相当に読み込み、なおかつ独自の見解も含め、話を大きく盛り上げていきます。
当初は皇太弟として次期天皇の有力候補とされ、兄の中大兄皇子からも頼られる大海人ですが、百済や高句麗の撲滅や白村江の戦での倭国大敗、唐の進出といった韓土の状況、教養溢れる大友皇子の出現などによって、次第に政治から遠ざけられていきます。その間の大海人の心理を丹念に描き、とても面白く読めます。
そして、主人公以上に異彩を放つのが妻であり中大兄の娘である鸕野讃良。後に自分の直系を天皇にするために自ら持統天皇となった女性らしく、極めて強い気持ちを持った女として、大海人にも大きな影響を与えていきます。
さて、下巻はいよいよ壬申の乱。大津京に風雲が巻き起こります。

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2016年06月01日

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大化の改新のあと政権を保持する兄天智天皇の都で、次第に疎外される皇太弟大海人皇子。悲運のなかで大海人の胸にたぎる想いは何か。額田王との灼熱の恋、鬱勃たる野心。古代日本を震撼させた未曾有の大乱の全貌を雄渾な筆致で活写する小説壬申の乱。吉川英治文学賞受賞作。

 1997年7月27日購入

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2012年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

壬申の乱をテーマとした小説で、大海人皇子の視点で描かれる。

この上巻では、主人公・大海人皇子は、兄である中大兄皇子の政権下で、「武人肌で政治にはあまり興味のない皇太弟」として過ごす。
中大兄皇子は、ブレーンである鎌足から独立して「大王」ではなく「天皇」という新しい観念の独裁者になることを望み、着々と実行していくが、白村江の惨敗を経て自信を失う。その頃から、老いとともに我が子大友皇子を溺愛するようになる。そして皇太弟である大海人から大友へ天皇位がわたるように巧妙に操作していく。

天智天皇の心変わりや大海人の野望が育っていく様など、心理描写は巧みで人間を深く描いている。「老い」というものに対する観察眼は特にするどい。舎人や官吏らの周辺キャラクターも丁寧に描かれている。

不満があるとすれば、持論の展開を含めて時代背景などの解説が小説の流れをしばしばぶった切ること、朝鮮半島の情勢が必要以上に細かすぎることで、小説を書きたかったのか、歴史書を書きたかったのかわからない。
その割に、当たり前のように粁(キロ)などの単位を使うので、なんだか興ざめしてしまう。

下巻に続く。

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2015年12月01日

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