【感想・ネタバレ】僕はかぐや姫/至高聖所のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年08月09日

とても大好きな本の一冊。
 心の機微が丁寧に描かれていて、現実味のない人物設定ではあるが、妙なリアリティ、説得力がある。
 ただ、読むことで心に寄り添ってくれる、安らぎを得られるような本ではなくて、心が抉られるような焦燥感が残る。
 それは、アイデンティティとしての「僕」を確立しようとする少女に同情...続きを読む以上の情を抱いてしまうからなのか、それともこの主人公以上に自分がアイデンティティを持つことに対して現実的になっていないから焦りを感じされられるのか、もしくはその両方かもしれない。
 ただ、外の世界を上手に生きていくのに必要な心構えというものが永遠にできそうにない、いまの自分の焦燥感がありふれたものに感じられた。
 この本の言葉で「他人に誇れる年齢は3歳と17歳しかない」とあったが、やはりその歳を過ぎてしまったら自分の年齢に似つかわしい精神のあり方というものを、人は誰しも永遠に求めていかなくてはならないのだと思う。

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Posted by ブクログ 2023年03月20日

センター過去問にも採用された本で、とても思い入れ深い一冊。脆くて鋭利で美しい、繊細なガラス細工のような文章です。

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Posted by ブクログ 2019年10月06日

読み易く、かつて抱いていた繊細な感情を思い出させてくれたり、抱いたこともない感情を追体験させてくれる作品でした。アバトーンについては、作品の舞台の描写が秀逸で、行ってみたくなりました。

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Posted by ブクログ 2019年09月13日

復刊記念。
文庫版だと、単行本と異なり、大分レイアウトが詰まつてゐて、またいくらか最低限ではあれど、筆者本人の手直しが加へられてゐるので、初めて読んだ時のような透明感とはまた違つてみえる。
けれど、ひとりの人間が生きること死ぬこと、存在するといふことを真剣に考へ、表現したといふ事実には変りない。かう...続きを読むして何度も読み直して、再び<僕>に出会ひ、<わたし>に出会ふ。読み返すたびに、また出会へる。読書の喜びはここにある。
自分とは何か。存在するとはどういふことか。誰もが一度は必ず考へること。年を重ねれば重ねるほど、その問ひは日々の生活と呼ばれるものの中で流され、蓋をされ、考へられなくなつてしまふ。ひとは何かにならないと生活できないから。17歳とはそんな最後の年齢である。
しかし、時間とは不思議なもので、17歳を過ぎても、存在を考へ続けることはできてしまふ。それが、筆者の生まれついてしまつた性質なのだ。何かに染まつてしまふことはあつても、生地そのものが変容することはない。生地は生地だ。人間は世間で生きる存在であると同時に、世間から離れたところで考へることのできてしまふ存在なのだ。この矛盾こそ、良くも悪くも人間の姿であり、同時に可能性足り得る。ずつと同じではゐられない。けれども、歩いてきたのは紛れもない変らないこの自分。
何かに染まらない人間などゐない。けれど、何かに染まり続けられる人間も同じやうにゐない。ならば仕方なし、笑つて泳ぎきつてみせやうではないか。この後、粗茶シリーズのところまで筆者は歩いてきたのだ。時間のモデルを生きてみせることこそ、生きたおとなの役目だと思ふ。

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Posted by ブクログ 2023年11月30日

短い作品だけどなかなか読み進まない。
平易で読みやすいストーリーなのに一語一語に込められた思いが濃厚で、自ずと時間が掛かってしまう。「僕はかぐや姫」はそんな作品。
残りわずかな17歳の物語は、高校時代の自分と激しく共鳴する。濃厚なのは作者の思いではなく、呼び覚まされた17歳の頃の自分の思いかもしれな...続きを読むい。

至高聖所は主人公が高校生から大学生に成長したためか精神のカタチが幾分ハッキリした感じがする。それに合わせて登場人物(姉や真穂)も多面的な表情を見せるようになった。男性は概して薄っぺらな気はするが、、、
舞台はおそらく作者の出身校である筑波大学。一度だけ行ったことがある。確かにバカっ広くて人が少なかったです。

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Posted by ブクログ 2021年10月06日

表紙も扉絵もいい。『僕はかぐや姫』は高校生の話で、『至高聖所』は大学生の話だった。前者には、高校生は高校生らしい痛々しさのようなもどかしさのようなものが詰まっていて、後者には大学生時代に感じたような空気感をびしびしと感じた。この本に出会えたので、『僕はかぐや姫』をセンター試験の問題で読めてよかった。

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Posted by ブクログ 2021年03月09日

センターの過去問でその一部を読んで衝撃喰らった思い出。ひりつくけれども甘い感傷を舌の上で転がし味わうように読みたい一作。

ライ麦論争で引き下がるくだりはそれとなく裕生の行く末を現している。詳細は省かれているが、ライ麦畑に向ける彼女の感情はおそらく同族嫌悪。

男でも女でもいたくない、何にも規定され...続きを読むたくない未分化で高潔な一人称こそ「僕」。
わざわざ透明な膜を自身の一部として纏わせておいて、見苦しくなったら離別しなければならないなんて、日本語の一人称は繊細で奥深くて、むごいや。
一人称が一つだけだったらな~とよく思うし。

女子高舞台の話に恋愛絡みの男の子が出てくると「邪魔だな…」と思ってしまうのは絶対京アニに慣れすぎたからだ。

『至高聖所』は真穂のキャラがとても良い。

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Posted by ブクログ 2019年04月29日

今から26年前の私が当時中学生だったころであった作品。上條敦士氏の表紙に惹かれ読んで衝撃を受けたことを思い出した。自分のことを「僕」と名乗る主人公に共感。表紙カバーが二重になっておりめくると色違いのイラストが現れる。長年絶版だったが復刊してくれて嬉しい。

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Posted by ブクログ 2019年07月26日

女子高生と女子大学生をそれぞれ主人公とした二作を収録している。
抽象的で観念的な、けれど確かにある感情や思考を描いていて、読む人によっては馬鹿げているように見えるかもしれないけれど、感傷のようでしっくりきた。
2019/7/26

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