感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なにひとつわからないが、なにひとつわからないまま物語が進んでゆく。
書店に並んでいた装丁とタイトルの感性に惹かれて手にとった。冒頭からすでにわけがわからないが、ぱらぱらと捲って読んでみてもわけがわからない。そして最後まで読み終えても、未だわたしはなにもわかっていない。
ただひたすらに混沌の世界がそこにあって、読書体験としてあまりにも強烈だった。
これまで多くの物語を見てきて、ある程度その展開が読めるようになってしまったなと感じていたが、そんなものは跡形もなく吹き飛ばしてくれた。
途中、あきらかに作者のこころの声がまろび出ていてまたそれもおもしろかった。
わからないものをわからないまま受けとめること、じつは難しいことなんじゃないかと思っているが、わからないからこそ そこに奥行きが生まれ、わからないからこそおもしろい。“わからなさ”のおもしろさを強く感じる本だった。
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本のジャンルなど、あまり意味のないものだと改めて感じさせてくれる痛快な物語である。ミステリーじゃないとか正直どうでもいい。この作品が発掘されたこと、それが文庫で読むことが出来る事が貴重な事だと感じる。確かによく分からないことも多い。でも小説というのはストーリーそのものは、そこまで重要ではない。この文章を読んで「なんだこれ」と思うこと、「で、何なの」と感じること、その没入感こそが味わえることにこの小説の素晴らしさがある。
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まるで高熱が出た時に見る夢ような展開。完全にファンタジーな非現実的な世界観にも関わらず、なぜか全ての展開に納得してしまった。読み終わってもふとした時に思い出す不思議な本。
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伏線かと思っていたものは伏線ではなかった。小説たるもの、張られた伏線は回収されるものだという先入観があった。次から次へと描かれる不可解な現象は、それ自身で完結しているもので、特に他の現象と何か関係があるわけでもなかったような気がする。とりあえず、よくわからなかったが、わかるわからないとかそういうことではないのかもしれない。その中でもなんとか掴むことができたのは、自我とは何か、自分とは何か。何が自分を自分たらしめているのか。現実は思ったよりも不確実で説明できないよってことなのかな。読んでいる間は、没入感があって楽しかったけど、読み終わったあとは夢から覚めた後にも近いような感覚で、急に自分がいた世界が全く理解できないまま閉じてしまった感じ。終始不穏な感じもまた良い。
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どういう内容だったか説明しづらいけど、あっという間に読み終わり、「なんじゃこりゃ」と思ってしまう作品。読み終わっても内容がよくわからない。作者が、どういう意図があって、どのように考えながら執筆をしたのかすごく気になる。こんなにスラスラ読めた本は久しぶりだった。
これを是非アニメ化してほしい。すごく面白そう。
Posted by ブクログ
ジャケットとタイトルに惹かれて…
何という世界や?
何か意味不明な感じはするけど、
ミステリー大賞とったらしい。
ミステリーちゃうと思う。
SF?ファンタジー?
ん…分からん。
不思議な作品。
自分が自分だけなんて、ほんとにそうなんか?
ホントに人間なんか?
自分?
それって、何で分かるの?
100文字以内で答えてみよ!
…ごめんなさい…分かりません…
もう悩まんと、日々、精進しながら生きていきます!
こんなん悩み出したら、キリないし…
病む…
自我崩壊しそうな作品。
まぁ、崩壊してもええけど。
代わりいるし
…怖わ…
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男より女が強い作品はいいぞ
本作を一言で表すならなんじゃこりゃ(笑)
しかし非常にテンポがよろしく痛快
数々の参考文献のリストが裏打ちするように
本作には相当な準備と推敲を重ねたのだろうが
しかし結果として載せられている文章は大胆
実に大胆に軽やかに情景を心情を台詞を回していく
そしてスルスルと次の場面へと移っていく
でも強引でもない
不思議だけど不快感はない
きっと、この作者特有の文章力がなかったら
それだけでこの作品は破綻していたはずだ
それほど文章力には天性の魅力を感じた
なによりキャラクター達の台詞回しがいい
どのキャラクターも下手にアニメ臭くない、
真の意味で言葉選びの差異によるキャラ立てが完了している
うみみずなんか特に痛快だ
男キャラより女キャラの方が強い魂をもっていると感じる
こういう作品はそれだけで当たりだ
作者の本音は悪役に喋らせろ、
なんてメソッドがあるとかないとかだが、
それでいくならこの作者は実に巧妙に
発露したい・表現したい事柄を魅力的なキャラクター達に潜ませている
その出し入れの繊細さがアニメ臭くない上品な雰囲気を出しているのかな
安心してまったり読めた
アール!!!!
Posted by ブクログ
面白かった。
ミステリー小説というか、SFでもあり、ふぁんたじーでもあり、ホラーでもある。
世にも奇妙な物語に近しいものを感じる。
訳がわからないけどすいすい読める。ただ好き嫌い分かれそうな作品だと思った。私は好き。
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ミステリーのジャンルに入る小説だけど話を進める内に色々な場所に行くファンタジーになっているなーと思います。
工場から、下水道、闇に覆われたアンモニア臭漂う不気味な世界等、そういう世界観は楳図かずおの漂流教室みないなおどろおどろしい不気味な感じがしました。
絶滅したはずのシロクマを見つけてから不思議な不条理な世界に入っていく所は不思議の国のアリスみたいで面白かったです。
Posted by ブクログ
残業続き、疲れた往本の目の前に現れたのはシロクマだった。なぜか工場長にそのシロクマを始末するように命令される。シロクマは本物か、レプリカの産業スパイか、個性的な同僚たちを巻き込みつつ、往本はシロクマに再び相まみえられるのか。
やり過ぎるとコントでは!?というギリギリのラインを保った掴みどころのなさ、不可解さ、面白さ。言葉の使い方、漢字とひらがなの分量も絶妙に計算されているのか、読んでいて引っかかると同時に不可解さにぶわぁと包まれて煙に巻かれる。私は好きです、こういう作品(笑)1年に1作品ぐらい読みたくなる。シンプルに面白かった。
著者デビュー作にして第2回新潮ミステリー大賞受賞作。解説には、審査員の伊坂幸太郎さん曰く「ミステリーかどうか、そんなことはどうでもいいなあ、と感じるほど僕はこの作品を気に入っています」とある。ミステリー大賞なのに、ミステリーという枠を超えていようと世に出したかったみたいです( *´艸`)
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色んな所で評判を聞き、覚悟はしていたのですが、予想を超えて凄まじく
あり得ない事が起きたかと思えば、起きた事件は次章で無かった事になる。最後までストーリーらしきものは無く、ましてや伏線回収なんてとんでも有りません。突然に自我や実存についての哲学的な話題が出てきたりするのだが、それが本筋でもなさそう。しかし、最後に書かれた参考文献のリストの長さは・・・。
困ってしまってGoogleの検索窓に「レプリカたちの夜」と入力したら「レプリカたちの夜 考察」というキーワードが出て来た。確かにこの本については「感想」よりも「考察」が相応しいな。
しかし、何かおかしなユーモアが有って、ハチャメチャストーリーに文句を言いながらも最後まで面白く読んでしまった。妙な小説です。
Posted by ブクログ
大好きな作家・伊坂さんのオススメだったので読んでみました。
動物のレプリカを作る工場に勤める往本は、
夜、仕事を終え帰ろうとした時、
自動運転中の機械の前にシロクマを見つけた、
後ろ足でたちあがり、機械の中をのぞき込んでいるように見えたが、
これは、工場で自分たちが作っているレプリカのシロクマだ、
誰がこんな所に置き忘れたのか?
2メートル以上もあるので、台車を持ってきて片付けなくちゃと思ったその時!
シロクマが振り返った?! おまけに目が合った?!
ここから、不思議なことが起こり始めるというか、
訳のわからない展開になっていくのだけど、
ついつい、読み進めたくなるのです。
「何じゃこりゃ?!」って思いつつも、
面白くて、
あっという間に読み終えました(笑)
たまにはいいな、こんな小説。
気になる方はぜひ!
Posted by ブクログ
安部公房のような世界観、匂いに包まれた異色の作品。
これは創世の、そして神を解きほぐ話ではないか。
ふわふわして捉えどころがないが、好きなテイストの小説だった。
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ミステリーかどうかと聞かれたらミステリーではないような、
でも確かに最大の「謎」がこの本には詰まっています。
なんならこの本自体が「謎」です。
そしてそれを解決できるかは読み手の私達次第。
倫理的、哲学的、夢と現実の間。
本物と偽物(レプリカ)の見分け方…
遠い昔の時間軸の話かと思いきや
遥か先の未来の事のような話。
なんならパラレルワールドなんじゃないか。
自分が今どこにいるか、何者なのか…
何を言ってるかって?
私にもわからないのです。
そう、わけがわからないのです。この作品は。
ただあまりの勢いと混乱で一気に読んでしまいます。
勢いよく駆け抜けて一体何だったんだと考える魅力的な作品。
考える事がお好きな方、あえて難しい事がお好きな方、
不思議な世界に迷い込みたい方、おすすめです。
Posted by ブクログ
面白かった。
ただ、終わりになるにつれて、これはもう大風呂敷を広げ過ぎて回収出来ないというか、カタルシス的なものは無いだろうなぁと分かってしました。
友達に勧めるかと言われればNO.だが、読んで良かったかなぁと。思う。記憶には残る。奇天烈すぎて。
Posted by ブクログ
冒頭で投下される不自然な事象がやがて何らか論理的な帰着に至るのかと思いきや、読み進めるとその世界観は我々の知っている仕組みから早々に逸脱し、ぶっ壊れていく。あるいはぶっ壊れていることが明らかになる。
異常事態の度合いは終盤に至って加速的に増幅。気付いた頃には整合性は失われ、不条理かつ混沌とした様相の只中に放り込まれる読書体験は、ほとんど幻覚や悪夢を見させられているかのよう。
この酩酊感、まさにサイケデリック。ミステリーどころかとんでもないサイケ小説でした。
Posted by ブクログ
訳わかんなかったきっと私にはまだ早かった。
大好きな伊坂幸太郎が薦めてたから読んでみた✌️
こんなに不思議な文章をスラスラと読めてしまうのは
作家さんの文章力の高さなんだろうなと感じた。
ずっと不思議なワクワク感があった。
Posted by ブクログ
わけがわからない!ぶっとんでる!が率直な感想。
動物レプリカ製造工場で働く主人公は、ある夜に工場で動くシロクマを発見する。それが本物なのか、偽物なのか、外部からのスパイなのか調査するよう工場長から命じられるところから物語がスタートする。
事件的な物語なのかと思ったら全く違う!!
この本の中では、「脈絡」とか「道理」が存在しない。なんでもありで、起きる物事に理由なんていらない世界。理解が追いつかないというか、そういうものなんだと受け入れるしかない。
結局シロクマはなんだったのか、そもそも工場の人々、主人公の正体はなんだったのか、いい意味で後味の悪い話だった。
2022年8月20日
Posted by ブクログ
新潮ミステリー大賞受賞作だそうですが、ミステリというよりは幻想文学やSFといったほうがしっくりくる気がします。少し哲学っぽくもある。
ミステリかはわかりませんが、結構面白かったです。夢と現実、虚構と事実があいまいになる、不条理系ファンタジー小説のような感じ。
Posted by ブクログ
同僚に勧められた本。
工場長の話の中で、「自我」について語っているシーンがあるが、その話を読んだ途端、僕の中でループが始まった気がする。
自我ってなんなんだろう、この文章を考えているのは本当に自分なのだろうか?と言った思考がループされる感じがする。
少ないながらも、これまでに読んできた小説の中で、1番と思えるぐらいに不可思議な話だった。
シロクマはこの話のはじまりのトリガーに過ぎなかったのだろうか。
Posted by ブクログ
人間の意識を問う不思議な物語。私たち人間だけが意識を持ち、地球を支配している。そう言った考え方自体が人間目線でしか考えられておらず、傲慢なことだと思った。
Posted by ブクログ
いやめちゃくちゃ面白かった
こんなに最初から最後までわけがわからないのに、なぜかあっという間に読んでしまった
言葉に出来ないけど、読み進みたいと思う何かがある
新潮ミステリー大賞を取ってるけど、ミステリーっていうよりかはSFっぽい
人間の本質みたいなものを深堀りしている話が好きなのでドンピシャでした
改めて自分は本を読むのが好きだなあと思った
Posted by ブクログ
2021-11-18
#ブックマちゃん で中根すあまちゃんが紹介していて、面白そうだったので一気読み。
うん、PKD電気羊を彷彿とさせる、夢のような物語。PKDのそれが悪夢で不幸(少なくとも登場人物にとっては不幸)なのに対し、こちらはただただ夢。幸も不幸もなく、ただ夢。それをどう感じるかは人によるだろうが、自分にとっては共感しか感じない。
世の中はつまるところ不条理。あるようでしかありえない。
Posted by ブクログ
はっきり言って、よくわからなかった(笑
でも最後まで楽しく読めたので面白かった……のかな?って感じ。
登場人物の主張や哲学的な部分も他の作者だったら鼻につくんだろうなって感じるけど、この作風だからゆるりと読めたのは好印象だったかな。
一番スゴイのは、新潮ミステリー大賞で大賞作品としてこれを猛プッシュした伊坂幸太郎なのかもしれない。