「この村の人間は人を喰ってる」一つの疑念から始まる驚愕のサスペンスホラー…!
家族と共に「供花村」に引っ越してきた阿川 大悟は、村の駐在警官として働き始める。
村人達はよそものである阿川一家に対して暖かく接してくれるが、大悟は「この村の人間は人を喰っている」という言葉を残して失踪した前任駐在のことが気がかりでならなかった。それに追い打ちをかけるように阿川一家の周りでは不可解な出来事が起こり、ついに大悟は単独で捜査を始めるが…。
この作品、とにかく緊張感がすごいんです。特に、捜査を進めていく中で、村に住みながらも村人に対する疑念を募らせていくシーンや、「この村の人間は人を喰ってる」という前任駐在の妄言と思われていた言葉が徐々に現実味を帯びていくシーン。リアリティのある緊張感にじわじわと蝕まれていきます…。
また、シナリオもさることながら、絵もリアリティのあるタッチで描かれているため、まるで質の高い実写ホラー映画を見ているような感覚を味わうことができるのもこの作品の魅力です。
こちらの『ガンニバル』、ホラー好きの方は是非ご一読ください!
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Posted by ブクログ
物語も佳境に入ったのかな?
前巻まで狂気の深みにはまって暴走が懸念された主人公が、娘の失踪から信念を揺り起こされ、ヒロイック路線に戻って一安心。
妻子を村から逃がすと決断し、「あんたも一緒にいこうよ」と説得する妻へ言い放ったセリフがぐっとくる。
それに返す妻のセリフもいい。
そして敵の本拠地で、一族総出のおもてなしを受けるのだが……
敵も一枚岩じゃなく、儀式に疑念が芽生える者など、分裂の兆しがさし始めて今後の展開が気になる。
狙撃の天才でもある末子が味方になってくれれば心強いのだが、意味深MAXの神主が敵か味方がいまだにわからないのが不安要素。
前作「鳥葬のバベル」は打ち切りっぽく、駆け足で四巻完結したのだが、本作も次巻か次々巻で終わりそうな気配。下手にずるずる引き延ばしてもダレるし、物語のテンションを維持したまま幕を締めるならそれ位の配分がちょうどいい。
この作者の特徴として物語のキーパーソンになる幼女を無垢でいたいけな存在に描いて、「守るべき弱者」の側面を強調するのだが、娘のましろはやはり幼すぎる。9歳といえば小3、その年齢でアレを拾ってあの反応は解せない。
娘視点での描写がないので、現在の彼女が母親や父親に対しどう思っているかは想像するほかないが、父と娘の溝の修復が裏テーマならそこをもう少し掘り下げてほしい。
「食われるためだけに生まれてくる子ども」というショッキングな事実、鬼畜すぎる村の実態に単独で挑む主人公の死闘から目が離せない。