【感想・ネタバレ】紺碧の果てを見よ(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

久しぶりに戦時物を読んだ気がする
かなり面白かったです
須賀しのぶさんの本はこれで5冊目だけど
すべて4点以上にしてた
個人的に5冊以上読んで4点以上だった作家さんは他にいない
文章が上手いし飽きさせない

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2024年05月27日

Posted by ブクログ

良い話だったとは思うがなんか薄っぺらな印象。しかし、本の感想からは離れるが、戦前の日本にはバカしかいなかったのだろうか?国民を虫ケラの様に扱う天皇以下の腹黒い国の指導部と、疑うことなくそれに従い殺し合いを美化するおめでたい勘違い集団。それが日本だったのかと情けなくなる。決して愛国心などではなく、単なるカルト宗教の教祖とその取り巻き一派と信者。そして、その指導部の生き残りから続く子孫が支配する現在のこの国。長年利権にしがみつく与党は保守の化けの皮を被った反日売国奴集団。自立できない国民は他人事人任せ。結局、戦後も更にレベルが下がっただけなのかも知れない。

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2022年09月04日

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須賀様に脱帽

この作品を書くために作者はどれほどの調べ物をしたのだろう…。わかりやすく、かつ正確に描かれる海軍士官と妹の物語。
こういった戦争作品はどうしても重く、取っ付き難いと感じてしまいがち。でも、読み終わってみると、なんでもっとはやく読まなかったんだろう、と、、。

各章の冒頭にある雪子の手紙を最後に読み返した。すごすぎてため息…
「兄さん」と「鷹志さん」という呼び方、文章からわかる雪子の成長や精神状態、、
とにかく読んでください。

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2022年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「いかなる時代にあっても、諸君よ、紺碧の果てを見よ。」鷹志の科白はかっこよすぎ。です。しかし、昭和20年、この気持ちで彼らが家庭を日本を守り、発展してきたことが伝わる。
そして気が付く。今の私たちには、この想いが無いことに。今、何を守り何を目指していくべきかがわからなくなっていることに。

死と隣り合わせだった戦時中、日本人の命が軽い時代、何倍もの速さで誰もが成長している。今なら大学生くらいの子どもが、日本を大和魂を大人顔負けで語る。
そして、日本は酷い国だと感じる。若者を市民を犠牲にすることでしか、国が成り立たない。例えば防御が工夫されていない戦闘機。戦時中は、補給線や戦争目的、戦略などが行き当たりばったり。兵士は何のために、戦わされたのでしょうかと、考えさせられる。

敗戦の日、「負ければ何もかも失う」と信じている鷹志であるが、「敗北を糧に立ち上がれ」と語る。「真に人として問われるのは、負けた後のこと」と。こういう熱い思いを聞くと胸が痛くなる。そして反省する。私たちは戦後の繁栄の中で、何を失ってしまったのかと。

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2022年02月27日

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幼少期の頃の話から終戦に至るまでのストーリーの移り変わりが非常にスムーズ。最後のページを読み終わった瞬間、すぐにもう一度初めから読み直したくなった。積読必須。戦争もの、歴史ものではあるがとてもとっつきやすく自然と自分の中に落とし込める感覚がある。「革命前夜」を読んだ際も感じたが、作者は緩急のつけ方が非常に上手い。

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2022年02月20日

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物語は大正12年から始まり、後の海軍少佐永峰鷹志の少年時代、海軍兵学校時代、そして太平洋戦争終戦までが描かれています。
兵学校時代、同じ分隊の級友や先輩たちの戦時中の話や、本土に残された家族の話、そして太平洋戦争が始まり紺碧の海へと乗り出していく兵士たち、「弱虫」と揶揄されながらも、艦からは犠牲者を出さぬように「逃げる」ことに全力を尽くす鷹志。
この時代を生きた人々の思いが胸に迫ってきました。

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2021年06月19日

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ー友よ、紺碧の果てを見よ。
愛するものの防人たれ。

日本語は美しいと節々に感じられた一冊。

物語自体はもちろん素晴らしく、第二次世界大戦の複雑な戦況の中に見事に構築されたストーリーは圧巻。
鷹志の心、他の登場人物の信念、自分も物語の中に入ったのではないかと錯覚を抱くほど入り込める描写だった。

しかし、それ以上に心に残るのが筆者の紡ぎ出す美しい日本語だった。

悲惨な戦争で、多くの命が奪われている物語に対して不謹慎かもしれないが、読後に心が苦しくも暖かくなる。

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2021年05月02日

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逃げるは最上の勝ち、ならぬものはならぬ。戊辰戦争後、辛酸を舐めた会津の教えを体現した艦長の判断に共感を覚える。又、奔放に振舞う妹ゆきことのコントラストに、この小説に深みと豊かな情緒をみる。
戦果に散った英霊を美化した小説は多数有るが、牧歌的な昭和初期の生活や教育と主人公の心の成長や拠り所となる思想に至る経緯を明瞭な筆致で描き、極限の環境や置かれた立場の中で、己の信念を曲げずに判断を下すに至った人間性を知る良書であった。 

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2021年04月25日

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8月には戦争物を読む。
確固とした主義を持っているわけではないけれど、なんとなく読みたい気持ちになるのだ。

タイトルも、カバーイラストも美しい。
繰り返し出てくる『紺碧』のイメージは何なのだろうかと考える。
海と、空?
それは刻々と色を変えるものであり、しかし実は何の色にも染まらないものである。
人間に何があろうと、いつでもそこにある、青は特別な色。

浦賀で育った、永峰(会沢)鷹志の家は、会津の武家の末裔。
父は日露戦争の生き残りだが、昔のことは話さない。
無口だが反戦の気持ちがある。
朝敵、と蔑まれた会津の出だからこそ、「負ければ何もかも失う。変わらないと信じていた正義や美徳も全て奪われ、地べたに叩きつけられ、唾を吐かれる」「勝てない喧嘩はしてはならない」と語る。
まるで、これから鷹志が戦うことになる太平洋戦争を予言しているかのようだが、若い鷹志には噛み砕くことのできない言葉であった。
遠縁で、鷹志を可愛がってくれる海軍士官の永峰宗二の養子に入り、軍人を目指した。

鷹志の3つ下の妹・雪子は父に似て手先が器用。
幼い頃から兄を言い負かす気の強さと知性がある。
ただし、ちょっと変わった子であった。
とても仲の良い兄妹であったが、鷹志が永峰家の養子になって家を出たことで、“繋いでいた手を離された”と雪子は感じる。
兄のいなくなった家を出て、奔放な芸術家の道を歩もうとする。

章の間に、雪子から鷹志に宛てた手紙が挿入されている。
時系列がランダムだ。
あれ?この雪子の気持ちを、なぜ鷹志は知らないのだろう?といぶかしく思うが…
雪子は常に紺碧の中に“飛び去った鷹”を追い求め、探し続けた。

鷹志は兵学校で友を得て青春を謳歌し、海軍に入隊して士官となる。
一見すれば、体育会系の学生生活、そしてお仕事小説のようでもある。
鷹志たちの気持ちもそうだったろう。
その“お仕事”が戦争でなかったならば。
先輩が、友が、散ってゆく中、上層部の愚策に憤る鷹志は、任された艦の運用に自分なりの「被害を出さないための工夫」を凝らし生き延びて行く。

鷹志は艦長という立場だったからこそそれが出来たのかもしれないが、時流に洗脳され、精神論だけをたよりに、上層部からの命令で紙っぺらのように命を燃やしつくしていく若者たちは哀れだ。
この戦争は負ける、と悟った鷹志は、そんな若者たちを、せめて自分の息子のように思う、艦の乗組員たちだけでも、あらゆる手段を使って生き延びさせたいと思うようになる。

鷹志は時々家に戻る。
その日常の部分では、雪子や妻の早苗という女たちの人生も描かれる。
時代に新しすぎて世間に痛めつけられ続けた雪子も、一見地味な女だが芯の強い早苗も、とても魅力的だ。

最後に、鷹志が部下たちに語る言葉には、崇高な感動を覚えずにいられない。
雪子の元から飛び去った鷹は、今は海と空の紺碧の果てを悠々と飛んでいるに違いない。
雪子はそれを、いつまでも見守りつづけるだろう。

第一章 始まりの夏
第二章 江田島
第三章 リメンバー・パネー
第四章 空墓
第五章 紺碧の果て

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2020年08月19日

Posted by ブクログ

幼い頃、会津を離れた一家
浦和のドック近くで育ち
兄は海軍へ、妹は芸術の道へ。

仲間たちの死、激しくなる戦争

淡々とした文章だけに胸に迫ります

「紺碧の果てを見よ。愛するものの防人たれ」

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2020年05月11日

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ネタバレ

文通相手との読書会のために、文庫で再読しました。
何度読んでも惹きつけられ、度々出てくるタイトルが切ないです。美しいタイトル。
戦争の行く末が分かっていても、彼らの辿る運命の悲惨さに胸が潰れそうになります。
誠実に丁寧に、迫力はあるのですが冷静に描かれていて、それが戦争の悲惨さをしみじみと感じさせます。皆川や江南の死はとても悲しく、生き残っただろう鷹志と有里も艦長クラスだったからきっと…と思ってしまい辛いです。
特攻隊の「生き仏」という表現も辛かったです。この戦争は負ける、と気付いてからの鷹志も。
そして雪子の戦いも辛いです。時系列を逆に進む手紙、最後にあったもので真実に気付きました。
辛いですが、目を逸らしてはいけないと思います。この作品に出会えてよかったです。

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2018年12月23日

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細かい。
艦コレやっとけば、戦艦の名前とか特徴とか、出撃した場所とかわかってて、別口でもより一層おもしろいなと思いました。

戦後70年だからなんですね。
表面的に見えていたものと、裏側に佇んでいたものが入れ替わる時間なんですね。

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2018年10月28日

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海軍兵学校を出た海軍士官たちの太平洋戦争の物語。主人公の父は会津出身、日露戦役の生き残りというところに思わず引き込まれてしまいました。
士官側からみた戦争小説ってあんまり読んだことがなかった気がするな。ぐっと胸にくる小説でした。

この作家さんは、実際には見たことがないはずの時代をなぜこんなに生き生き描けるんだろう。戦前・戦中の日本の空気感が、まるでそこにいるかのように伝わってくるこの筆致。ぐいぐい引き込まれる。

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2018年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文通相手との文通読書会二回目の課題本。
自分では戦争ものを選べないので、こうして課題本にしてもらって、読むことができてよかった。

鷹志は幼い頃より父に「逃げるは最上の勝ち」「ねらぬものはならぬ」と教えられて来た。その教えは男子としての生き方を否定されているようで、心の中でいつも反駁を繰り返していた。そんなおり海軍に入った叔父に連れられて祖先の防人たちの寂れてしまった墓を参ったことをきっかけに、自分も海の防人にと心が傾いていく。その後震災で父は負傷し、そして両親は叔父夫婦に鷹志を養子に出し、兵学校への道を開いてくれた。その思いにこたえるように鷹志は兵学校での日々を精一杯に勤めていく。そこで出会った友人たちと厳しくも、実のある日々を過ごしていた鷹志は、その中で親友との別れを経験する。鷹志にはとても美しい妹がいた。少し他の女の子のようにいられない妹は、これと決めたことを曲げられず、その苛烈なまでの生き方を鷹志は心配していた。そんな妹の雪子は兄が叔父夫婦の容姿に出てから彫刻に打ち込むようになっていく。その集中力はすさまじく、行動力と才能で彼女は尊敬していた彫師のもとで腕を磨いていた。しかしそんな生活は長くは続かず、雪子はカフェーで女中をしながら、西へ行きそこで新たな修行先を探そうとお金をためていた。それを知った鷹志に家に連れ戻され、彫刻への夢は断たれてしまう。
そのころ鷹志は大きく広がり始めた戦争に巻き込まれ始めていた。いくつもの海を渡り、数えきれない部下を上司を同志を亡くし、繰り返す消耗にただ一度取り返しのつかない罪を犯す。
鷹志が見初めた顔に痣があるために顔を極端に隠す早苗。雪子に陸の上で必ず帰る場所になってほしいと求婚する鷹志の兵学校での同級の友の江南。海軍に魂を捧げてきたのに、最後には生き仏を運ぶ仕事に疑問が疑心へ、それは焼き付くような怒りと悲しみになった有里。戦争が進むにつれ、いくつもの視点が重なって、ラストは胸がつぶれそうな青に繋がる。
雪子からのいくつもの手紙。それは一通も出されたものではなかった。つよく強く焦がれた兄の姿が、それでもどうしても望めなかった心が、同じ青へ還れたことが救いのような気持がした。

ラストの100ページは夢中で読んだ。彼らが感じた静寂が耳に聞こえた気がした。

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2018年10月16日

Posted by ブクログ

戦争そのものは決して肯定はしないし、賛美するものではないが、こういった戦争(を題材とした)文学はいつまでも書き継がれていってほしい。

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2018年08月28日

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第二次大戦中、海軍に従事した鷹志

父母、妹、仲間、妻
登場人物みな興味深く書かれている

自分の芯となるものがあれば、
幾多の困難な場面においても
迷わず判断できる指針となる

誰のために生きるのか

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

外れ無しの須賀しのぶ

浦賀の少年、鷹志は海軍兵学校に進み海軍士官の道をめざす。

妹の雪子は兄と別れ、自分の夢を貫きいばらの道を歩む。
そして、日支事変、太平洋戦争と時代は進み鷹志、兵学校の同期たち、雪子も戦争に翻弄される。

兄を思う妹、青春を戦争にささげた若者たち。

題名「紺碧の果てを見よ」、私も見てみたい。

最後は落涙

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

戦前を造船の町浦賀で過ごしたい主人公。父がドック勤務だったこともあり軍艦乗務に憧れるが、あるきっかけで海軍兵学校へ入学し、海軍士官として第二次世界大戦を乗り越えて行く。
親の教えや自分のルーツを軸に据え、周囲の大きな流れに飲まれることなく自分が正しいと思ったことを静かに遂行していく。
戦前戦中を生きた若者たちを緻密に描く。

命懸けで国を守ることが当たり前と思っている若者たちがたくさんいた時代。若者たちの尊い気持ちが異常な状況に利用された、そんなテーマで戦争を描いているように思える。若者たちの視点で描かれているので、大本営などの様子は出てこないが、現場に出てこない人たちに翻弄されていることに憤る姿は描かれている。そこに自分の気持ちが乗っかってしまうとしんどい。

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2022年05月11日

Posted by ブクログ

大正の終わりから昭和の敗戦までの近代日本史を海軍士官を通して見ることができる。いかに日本軍は戦い敗れたか。主人公の気持ちをしっかりと、変に高ぶらず、しかし想いを切々と描いているのがよい。タイトルの言葉もこの物語に流れている海軍兵士たちの気持ちが出ている感じで心に響く。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

読み応えがありました。
どの時期もクライマックス…

他の歴史物もそうですが、終わりがわかっているなかで、その時を生きる姿を見るのは締め付けられる思いです。

抗えない流れと、その中でも心ある一人一人が描かれていて、要約しがちなことに気付く。

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2018年10月03日

Posted by ブクログ

女性が描く戦争小説なので、軍人を兄に持つ 雪子の視点で戦争の悲惨さが描かれるものと思って読み始めたけれど、鷹志と雪子の兄弟愛を軸に鷹志と兵学校同期たちの成長に合わせて太平洋戦争が語られる結構骨太な物語だった。戦争を背景に書かれているけれど、時代を現代にしても読み応えのあるストーリーだと思う。須賀さんの本は初めてだったけれど他の本も手にしてみたい。

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2023年04月29日

Posted by ブクログ

主人公が海軍の兵学校や軍隊での鉄拳制裁も肯定的に受け止め、国の為に我が身を捧げようと真摯に戦争に向かって行く様が、そのままの目線で描かれていて違和感を覚えた。その時代の渦中にいると、それが当たり前の感覚になるのかと思うと恐ろしい。
どこかで別の展開があるのかと思い、最後まで読んだけど、共感できるところがほとんどなかった。

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2022年05月15日

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