【感想・ネタバレ】いま生きる階級論(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

☆☆☆2020年3月☆☆☆


「いま生きる資本論」に続いて、刺激的な作品だ。
「資本主義とは何か」を、階級論を使って解き明かしていく。ここでそれを僕が語れるわけではない。
もっとも大事なのは、「労働力の商品化」という概念だと思う。個人個人が切り離され、「自らの労働力」しか売るものを持たない大多数の人々。それが「格差」を生み出す根源。それを知るだけで生き方が違ってくる。


僕は「資本主義に依存しない」生き方ができるのではないかと思う。直接の人間関係を大切にし、お金に頼らずとも生きていける環境を少しでも手に入れること、少しでも実践したいものだ。

印象に残った内容の一つはピケティ批判。
格差が拡大している→富裕層から税金をたくさん取る→貧困層にばらまく、というのは国家が強権を発するという意味で「ファシズム」につながるという。
ムッソリーニの主張に近いというもの。


弱者が虐げられている現実に怒りを覚えても、金持ちをたたけば格差が是正されるわけではない。戦争は格差をとっぱらう最も簡単な方法だ。恐ろしいことだが。
「急ぎながら待つ」
それしかないのか。

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2020年03月29日

Posted by ブクログ

 宇野弘蔵『経済学方法論』をもとに資本主義に関する分析を、とりわけマルクスが深堀しなかった「国家」を本書では扱う。宇野弘蔵の思想としては原理論、段階論、現状分析の「三段階論」がベースとなる。原理論は、19世紀半ばのイギリスといった自由主義国をモデルに資本主義の論理を明かしていく。段階論は、重商主義から重農主義、さらに資本主義から帝国主義というように、段階を経ていくという考え方である。現状分析は、現実にいま存在する資本主義を分析する。以上が宇野弘蔵の三段階論の特徴であり、これを念頭に資本主義をひも解くと、たとえ恐慌が発生したとしても崩壊せずに、むしろ資本主義の力が強まることがわかる。
 また本書では当時ベストセラーとなったピケティ『21世紀の資本論』に触れる。著者によると、ピケティの主張は国家の機能を強めることとなり、それはまるでファシズム体制のようだと批判する。本書で説明されるが、ファシズムとは、資本主義社会で生じる問題を、共産主義革命以外の手法で解決するという考えである。資本主義を否定せずに克服しようと試みたのがファシズムである。ちなみにナチズムについては、アーリア人を主軸とした人種神話、民族神話であり、単なるイデオロギーにすぎないと指摘する。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

前著「いま生きる資本論」の後編としての著者の講義を活字化されたものです。マルクスの資本論を、それに対して書かれたものを読むことで、その核心をつかもうという試みがされています。タイトルにもありますように、結論的には階級の話になるのですが、そこから資本主義が巡回していく様子をつかむことができます。その感覚を身につけることで、資本論を読むことができるようになる。ひいては様々な書物を読むことができるようになる。それが本書を読む目的です。
全部をきちんと読む必要がなく、要点をきちんとつかむことの重要さを知ることができました。
労働力と資本。賃金と利潤。商品の種類(労働力商品との違い)。そして資本主義の限界点とその後について。考えることがたくさんあることを学べます。

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2018年10月08日

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