【感想・ネタバレ】仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのかのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

明治維新の闇「廃仏毀釈」の史実について、著者本人が全国を訪ね歩き、丹念に取材して書いてあるところが素晴らしい。
仏像破壊が激しかった薩摩や宮崎に関する記述がとても良かった。

0
2024年01月30日

Posted by ブクログ

著者はお坊さんにしてジャーナリストとのこと。仏寺側だけでなく神社側も含めてかなり現地での取材をしていることがうかがわれる。それでも結局日吉大社、水戸、薩摩、長州、宮崎、松本、苗木、隠岐、佐渡、伊勢、東京、奈良、京都という代表的なところしか実例が載せられていない。というより他ではもうあまりよくわからない状況なのかもしれない。
この本を読んで感じたのは仏教側の腐敗堕落が進み、もはや宗教とは言えない状況のところが多かったのではないかということ。数例ではあるが真宗などで腹を据えて徹底抵抗した坊さんのところは廃寺を免れている。それだけの宗教者としての気概を持った僧が少なかったのが簡単に廃仏毀釈を許した原因なのではないか。そういう意味では現代も僧侶の気概を問うようなことがあってもいいかもしれない(神主も、かな?)。
そんな色々を考えさせられる本であった。

0
2021年10月12日

Posted by ブクログ

タイトルは過激だが、内容は至って客観的。廃仏毀釈の実態とその遠因・原因を解説したお坊さん兼ジャーナリストの著者による著作。

0
2021年07月05日

Posted by ブクログ

知りたくなかった史実ってこういうことを言うのかな。日本はよく「宗教を差別しない国」とか「宗教で戦争や殺生が起きない国」と礼賛される声が聞こえるけど、そんなの一瞬にして霞んでしまった。まさか何百年という歴史をもつ仏教をいとも簡単に破壊しつくすとは。しかも政府は単に「神仏分離」と言っただけなのに、どういう忖度が働いたらそれが「廃仏毀釈」に解釈されるのか。太平洋戦争といっしょ。一体誰が本当のA級戦犯なんだ?

0
2019年05月02日

Posted by ブクログ

人は時々真面目に狂う。その残念な例が廃仏毀釈だったと思う。生き延びた仏像にお会いしに行きたくなった。

0
2019年02月23日

Posted by ブクログ

神仏分離令が発端となった廃仏毀釈。
明治維新の黒歴史ともいえる、その実態は?
各地の廃仏毀釈の歴史や痕跡を調べる、ルポルタージュ。
はじめに
第一章 廃仏毀釈の始まり―比叡山、水戸
第二章 維新リーダー藩の明暗―薩摩、長州
第三章 忖度による廃仏―宮崎
第四章 新政府への必死のアピール―松本、苗木
第五章 閉鎖された島での狂乱―隠岐、佐渡
第六章 伊勢神宮と仏教の関係―伊勢
第七章 新首都の神仏分離―東京
第八章 破壊された古都―奈良、京都
結びにかえて
参考・引用資料一覧有り。

1868年の一連の神仏分離令。
江戸幕府の国家仏教から、明治維新での国家神道への突然の転換。
それは拡大解釈され、様々な地域での、廃仏毀釈の熱狂的な
破壊活動にエスカレートした。寺院が消えた地域もあるほどに。
その要因は、重い年貢や神官への抑圧による寺院への積年の怨み。
無秩序に増えた寺院と僧の堕落。再建出来なかった理由も。
また、複数の学派による仏教批判や神仏習合の否定、神道の復興。
隣接する大藩への忖度、為政者の新政府へのアピールでの暴走。
廃寺の跡の敷地、寺の建材や金属類は、学校や近代化のために。
地域によっての廃仏毀釈の状況は様々。
しかも、天皇家にも影響が及んでいたとは。
そして、消えた寺院の歴史と、多くの文化財の喪失と流失は
元には戻せない。嗚呼。

0
2023年01月22日

購入済み

偉大な仏教思想

現代日本人の苦悩の根源がわかるような気がした。仏を粗末にしたならその分精神の問題に苦しめばいいと思う。そうすれば反省してまた仏像を大切にしようという気になると思う。

0
2022年04月10日

購入済み

日本史の教科書には廃仏毀釈という言葉は出てくるものの、そこにどういうドラマが繰り広げられてきたのかという記述はあまりありません。この本は、日本史の教科書が伝えてこなかった、日本人による日本の伝統破壊の過去に迫ることの出来る1冊です。

#深い #タメになる

0
2022年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

廃仏毀釈の資料は乏しく、著者が丹念にその場所を取材して実態を掴もうとしている。その激しさは地方によってかなり異なり、各々の理由が考察されていて興味深い。鹿児島(薩摩)ではほぼ100%の寺院が消失したのは維新を主導していたからだと思っていたが、同じく維新を主導していた長州ではそれほどではなく、その違いの考察も面白い。

0
2022年01月05日

Posted by ブクログ

本書は廃仏毀釈について書かれた解説書である。著者はジャーナリストであり、また僧侶でもあるので仏教に携わる者の視点からの見解も書かれている。

廃仏毀釈の起こった主な地域ごとに章立てており、比叡山、水戸、薩摩、長州、宮崎、松本、苗木、隠岐、佐渡、伊勢、東京、奈良、京都について書かれている。
著者が各地域を訪れ取材をし、破壊された仏像の様子がリポートされ、また史料も紹介し当時の様子がよく分かる。
そして、どうしてこのような事が起こったのか、どういう要因で廃仏毀釈が起こったのか、著者の視点から4つの要因が挙げられている。
それは、時代の流れなどもあるけれど、仏教界の側が単なる被害者という訳ではなく、その原因の一端になっているということを、冷静に分析している。

それでも、仏像の破壊はもったいないなと私は思った。

0
2021年11月01日

Posted by ブクログ

日本刀で石仏を切ることが出来るんですね。地震で倒れて割れたのかと思っていました。明治維新、新時代の幕開けっていいイメージしか知らなくて勉強になりました。

0
2021年05月13日

Posted by ブクログ

廃仏毀釈とは、結局どういった性質のものであったか。

様々な地域の事例から、廃仏毀釈の実態が見えてきます。松本、水戸、鹿児島、京都等。
それにしても、奈良の寺院で、寺院廃止後に仏像を薪代わりに使っていたというのは‥なんとも衝撃でした。

廃仏毀釈は、江戸から明治への時代の移り変わりによる混乱の賜物のように感じられました。
江戸時代から続く寺院による圧力への報復的意味合いや、為政者の新政府への媚び等。要因は複数ありますが、日本人があたりまえに信仰してきた「神様、仏様」は失われたと思うと、あの時代の人々は、得体の知れない喪失感を感じずにはいられなかったのではないかと思いました。



0
2020年08月21日

Posted by ブクログ

梨木香歩の「海うそ」を読んだ後、廃仏毀釈について興味がわき、この本を手に取った。自分の地元にも廃仏毀釈によって衰退した神社(かつては大きな寺であった)があり、その歴史について調べてみたいという思いも以前からあった。
全て明治政府の横暴によるものであったのだろうという憶測とは少し違い、列強国からの圧力に抗うもしくは迎合するような時代の流れによるものも多分にあったのだと理解した。急激な変化にはどこかで犠牲があるものだ。無念だが、あの時代の大きな転換の犠牲となったのは仏教だった。しかし、それによってその後のこの国の繁栄もあったのかもしれない。
現代の我々の社会も新型コロナによって大きな時代の変換点に来ている。この急激な変化に何が犠牲となっていくのか。

0
2020年08月26日

Posted by ブクログ

廃仏毀釈を題材とした書籍等は多々あるが
大変読み応えがあった。
実際の現場を直接訪ね、現在の姿と共に
当時の様子を彷彿とさせられた。
歴史の真実をらうやむやにせず
現代の私たちへとの大きな教訓と取れる。
著者がお坊さんであることも本書の重要な要素か。

0
2019年05月31日

Posted by ブクログ

明治政府は、人民の統制のため精神的支柱が必要だと考えた。純然たる神道国家のためには、邪魔な仏教を神道と分離すること。神社で祀られていた仏具を排斥、神社にいた僧侶は還俗させ、葬式は神葬祭に切り替えさせた。しかし政府の意向をさらに「忖度」して、仏教を破壊する者も出てきた。この廃仏毀釈の歴史を詳しく解説してくれる。

なかなか面白かった。

全国で進められた廃仏毀釈を地方ごとに説明してくれる。

・廃仏のルーツは水戸藩。無秩序に寺院が増えたため、1666年徳川光圀はきちんとしてない寺を整理した。その後斉昭の時代になると外国船対策のため大砲製作に、仏像な鐘を供出させた。仏教=邪教というプロパガンダとともに。偕楽園にある大砲はその時のもの。また斉昭は、新しい日本を牽引するのは外来の仏教ではなく、日本古来の神道だが、アニミズム的な神道には教学がないので、儒学の教学をアレンジして「忠孝一致」という新しい道徳観を生み出した。

・松本の開智学校は、寺の建材が使われた。

・興福寺五重塔も破却されるところだった。解体費用がかかるので民間に売却された。25円で。買い手は金属目当てだった。塔のてっぺんに綱を掛けて引き倒そうとしたができなかった。火をつけて溶かそうとしたら、延焼の可能性があると住民の反発を受け頓挫した。

0
2019年03月27日

Posted by ブクログ

浄土宗の僧侶による全国の廃仏毀釈の状況を調査したもの。ただの神仏分離令が有力者への忖度あるいは新政府へのアピールなど、高官や民衆の暴走により拡大し、多くの仏教遺産が失われた。これがなければ国宝は三倍もあっただろうとも言われる。
結果寺社の整理、学校の新設などにつながった面もあることにも言及。

0
2021年08月15日

Posted by ブクログ

資料も少なく、また歴史の汚点という意識もあるのか、実態が語られることも少ない廃仏毀釈ですが、この本は、乏しい史料や関係者から掘り起こした当時の状況が描かれています。
権勢をふるい堕落した僧への反発、権力者の新政府への過剰な忖度、そして民衆の一時の興奮・熱狂・・・
日本人だけではないのかもしれませんが、日本人は特に一時の熱狂・正義感で暴走し、終わった後省みないところがあるのかもしれません。
自戒したいと思います。

0
2020年09月22日

Posted by ブクログ

首をはねた仏像が探すとゴロゴロ出てくるというのは怖いな。熱しやすく冷めやすい日本人というのがよくわかる。

0
2019年08月27日

「ノンフィクション」ランキング