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Posted by ブクログ
修論を「木密改善をテーマにした、行政の地域介入アプローチのあり方」とするにあたり、関連書として。
木造密集地域という日本の課題に対して、
“木密はとにかく危険で、一刻も早くクリアランスすべきだ”と、
“魅力ある木密はそのまま残していくべきだ”という2つの相反する立場があります。
そのあいだにうまく立ち、
木密の魅力を考察しながら、その危険性に対しても厳しい指摘がされているのが前半です。
データや事例の丁寧な紹介で、説得力があります。
後半では地域防災性を高める多くのツールの紹介。終章は自発的な活動のススメで結んでいます。
おそらく対象読者として想定されているのは、地域で防災まちづくりをしようと考えている人。
彼らを啓蒙し、正しいリテラシーをつけてもらうことで、
「魅力を残しながら地域防災性を高める」防災まちづくりが広まっていくことが狙いなのだと思いますが、
書籍として少し厚いので、彼らが手にとるのかということだけ疑問でした。普通の書店で置いていないような…
でも内容としては平易で、一般の方にもとてもわかりやすい説明で書かれているので、そのうち新書のような形で出ることを期待します。
Posted by ブクログ
木密=木造密集市街地は、阪神・淡路でも倒壊による道路閉そく、火災が発生していることから、防災上の課題。
その一方で、ごりごり都市計画街路を通したり、土地区画整理事業をして街並みを一新してしまうと、昔ながらの情緒がなくなったり、自動車の交通量が多くなったりして危険。
さらにいうと、全国の木造密集市街地を全面的に安全にするような公共事業の予算が今後確保できるとも思えない。
この現状の下では、現実の建物の防火性能、耐震性能を一部の建て替えと、大部分の改修によって改善しつつ、地域ぐるみんでの、防火対策、地震時の防災対策を講じることが必要。
その意味では、一つは、伝統的建造物群保存地区と建築基準法の緩和といった、面的な規制と構造規制の緩和のリンクがありえると思う。
必ずしも伝統的建造物群保存地区までいかなくても、地域として保存した建物群を市町村が地区計画で定めることによって、接道、構造などの緩和をする、それと同時に、防火壁となるような構造物、避難路の確保、さらには、防災訓練などの義務づけなどの、地区マネジメントをきちんと制度化する、そういう、ハードとソフトの組み合わせが必要だろう。
まず、国土交通省の中で、都市計画と建築との連携、それに続いて、消防庁との連携といった気の長い努力が必要。
目立たないが大事な課題だと思う。