【感想・ネタバレ】コンビニ人間のレビュー

コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。

かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。

目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。

世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とても話題の本で前から気になっていたが、ようやく読めた。とてもおもしろかった。

最後に白羽は恵子に対して怒りをぶつける。恵子のような生き物は"皆から迫害されて孤独な人生を送るだけだ"と言うが、本当にそうだろうか? そうならない未来もあると信じたい。
私はこの物語はハッピーエンドなのだと思った。

恵子の女友達がけっこうリアルで読んでてイライラした。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テーマが面白いのは勿論のこと、無駄な描写が無く、物語としての完成度がとても高いと感じた。

コンビニという小さい「世界」に適合して生きていた主人公だったが、年齢により独身のアルバイトであることへの「叱られ」が増えてくる。そのノイズを回避するために取った行動が、新陳代謝のように主人公の環境を変え、そしてあるべき姿に戻っていく。

とても合理的で感情に乏しい、「全てどうでもいい」ように見える主人公だが、このように「社会不適合者」を描く作者からは社会への強い恨みや嫌悪を感じる。
それは「社会は縄文時代から変わっていない」「コンビニ店員など底辺」などと言う登場人物の白羽のリアル感からも感じられる。

作者の他の作品「地球星人」や「消滅世界」も読んだが、いずれも社会の「普通」に適合できない登場人物が、「普通」の人からはおぞましく見えるやり方で、自分の正直な心に従う有様を描いていた。

他人の考え方や価値観に触れる機会が膨大に増えた現在、こうした露悪的な物語によっても視野が広まるため、他の人にも読んでほしい作品だと思う。

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2024年05月11日

ネタバレ

おもしろい

読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。

主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。

そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない  とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。

主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。

といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。

あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。

#深い #タメになる

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2022年06月23日

ネタバレ 購入済み

読みやすくて

一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。

#タメになる

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2021年09月20日

ネタバレ 購入済み

読みやすかった。

とても読みやすく面白かった。主人公の思考や価値観が淡々と語られている。考えさせられる内容ではあるが、読後感は意外とすっきり。

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2020年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白羽さんとの生活を始めてしまう辺りに人間味を感じた。主人公は結局元のコンビニ人間生活に戻ったと捉えればそれまでだけど。

個人的には好きな内容だし、いい作品だと思うけれど、これが芥川賞を受賞した作品だとは思わなかった。社会がこれをどう捉えてるのか、何を感じたのか気になる。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の考え方があまりにも変わっていたので「え?そんな事普通は思わないから!」とか思ったりしたけど、それでも自分のペースで生きていくのは凄いし、主人公の行動にはただただ驚かされた。
でも主人公が言っていた通り、ずっと同じ環境にいると周りの人の話し方に似てきたりするのはわかる。
白羽の行動や言動は私には理解出来ない部分が多かったかな。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文体や表現はライトで現代的な印象だが、それゆえに主人公の社会不適合さのどうしようもなさがリアルで一層浮彫りにされている気がして、読後はしんどく暗澹たる気持ちが残った。
主人公のコンビニへの依存が行きすぎて、もはやそれなしでは生きていけないほど進行してしまっていることが分かるエンディングも、主人公の清々しさが不気味さを際立たせており、作品としては良いのだが、主人公のことを思えばさすがに見ていられず、できれば少しでも将来に希望が見えるエンディングにして欲しかった。それほどまでに世界観に没入させられた。
コンビニバイトの描写がリアルでさすが経験者だと思った。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公は一般的な人からすると感覚も感性もかなり違ったものを持ち合わせている。自分自身も彼女とはかなり違うなぁと思うと同時に、普通とは?を考えさせられる。
同級生との会話の中の男女についての話は、確かに勝手な想像をしてしまうことが多いよなぁと思ったり。
正しいこと、常識、って何?って思うこともあるけど、当たり前に違和感ない自身の言動もどこか常識にとらわれていることもあるんだろうなと思った。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会性とはなんなのか。普通とはなんなのか。そこから外れたら…。不気味さが、昔の世にも奇妙な物語のひとつになっていそうな気味の悪さが残る。映像化でみたい。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〇〇人間という言葉を見て、その〇〇が大好きな人もしくは従事している人を連想しましたが、ちがいました。妖怪人間とか、そもそもの種別を表す言葉です。これには驚きました。

前情報なしに、読み始めました。芥川賞受賞作というのは知っていました。想像していた本とは全く異なりましたが、面白かったです。

今読んでいる本が面白いと母に言うと、どんな本か問われました。私は
「18年間コンビニでアルバイトしてる36歳独身女性の話」と答えました。すると母は
「え、こわ」と言いました。

これこそが…とその瞬間思いました。読んだ人にはこの感覚がわかるはずです。

20代後半の今、ちょうど色々考えている時期には刺さるお話だったなと思います。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短いので読みやすい。主人公が普通より違う感覚の人なんだって読み始めからわかりやすかった。主人公やもう1人白羽さんの考えは全く共感できなかったけど。『普通に生きる』ことの世間や社会の圧力に対して、どうにか逃げよう、生きやすくしようと必死になる白羽さんと、それに関して無頓着な主人公っていう違いも表してるのかな?周囲の大人たちの会話や考え方の方がリアルにいる人間っぽくてとっても怖かった笑。

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

村田さんの別作品「生命式」の孵化という話になんとなく似ている気がしました。
自分が「人間」という動物である以外、なにが人間としての正解かが分からない古倉という人間。成長するにつれ、周りを真似ることで生活して「人間」を演じていたけど、最後は彼女にとっての「生きる意味」を見出せていたのは意味深いものを感じた。たとえ他人がおかしい、異常だと思える状況であったとしても。

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2024年05月05日

ネタバレ

まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。

作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。

自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。

#ほのぼの

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2022年07月16日

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