【感想・ネタバレ】夏の裁断のレビュー

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Posted by ブクログ

思い立ったことをすぐ行動に移す人や、愛情表現が豊かな人は魅力的なため、惹かれるのはすごくわかる。また、自分の人生を思い返すと、このタイプのモテ男は一定数居たなあと思う。

このタイプの人と遊んだ時、「この人は空っぽで掴みどころがないけど、繋がりを持っていたい」と思ったのが率直な感想だった。

この作品を読んだタイミングが、自分にとってとても良かったように思う。これから上京し、社会人をする私にとって、少し憧れを抱くような生活を主人公はしていた。

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2022年09月08日

Posted by ブクログ

いろんな種類のクズ男が出てきて、クズ男における多様性が学べた一冊であった。

柴田が仕事をやめるという嘘をつく場面があって、私も同じようなことをクズ男にされた経験を思い出した。今となってはなんの意味もなかったな、ということを改めて復習できた。

清野さんとの敬語のやりとりは距離を置きながらも奥まで踏み込んでいる会話でそのアンバランスさが心地よかった。

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2021年07月01日

Posted by ブクログ

再度後の感想
とても好きな小説
たぶん「夏の裁断」だけだったら好きになってなかったかもしれません
「秋の通り雨」「冬の沈黙」「春の結論」という主人公の変化が見れたのが良かったです。
戸惑いを隠せない事も多いけど彼女には不思議な魅力があると思いました。
親しみやさに似た何か。

これも好き嫌い分かれそうですがわたしは好きな小説です!

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2020年06月30日

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ネタバレ

表紙の蝉が止まったガラス越し?に、裸足が見える写真が小説にマッチしていた。フラフラ傷ついていく千紘にハラハラしてが、千紘が居場所見つけてホッとした。時折関わる教授の言葉が鋭い。

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2019年10月09日

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祖父の残した鎌倉の古民家で、蔵書を裁断し「自炊」をする、作家千紘のお話。彼女は、過去のトラウマを抱えているあまり、自分から傷つきにいってしまって、読んでいて痛々しい。第一編の表題作「夏の裁断」でかなり圧倒されてしまい、第二編以降を読み進める気にならなかったけれど、秋、冬、春の書き下ろしによりどことなく希望の見える終わり方で良かったと思う。
彼女を支えてくれる人(作中で言うと猪俣くん)もいるし、「あの人はやめとけ」って言ってくれる人もいるのだけど、行ってはいけないところへずんずんと行ってしまう、もどかしくもありつつ女ってこうなんだよな、と思った。島本理生の書く女性っていうのはどこかに影があるというか、読んでいてすごくリアル。

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2019年01月03日

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 どうにも一筋縄ではいかない男ばかり出てくる。特に柴田さんには、毎回、痛い目にあうのに、どうして関わろうとするのか?と主人公にイライラ。

 トラウマを作った過去の男。冷たい母親。途切れる事なく現れる男達。辛い状況ではあるが、主人公にいまいち共感は出来ずに終わりました。それでも読みやすく、先は気になりサラサラ読めました。

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2023年11月07日

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幼少期の嫌な体験が大人になっても、残ってる人は多いと思う。そのような経験をどうか身近な子どもにはさせたくないと思った。
千紘がどうか幸せになって欲しいと思いながら読んだ。
時系列バラバラで読みにくいというコメントをちらほら見たが、全くほんの少しも気にならなかった。

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2023年07月26日

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ネタバレ

区切りがないと、関係性に名前がないと、約束がないと、不安でいてもたっても居られない
自分に価値がある人間かどうかが分からないから、いつも謙遜してしまう
主人公ほどの過激な世界ではなくとも、多くの同世代の女性が感じたことのある葛藤や哀しみなのでは、と思い、胸がキュッと苦しくなった
漠然と幸せになりたいって思うけど、色々な幸せのかたちがあることを教えてくれる人は少ないし、自覚するのにもパワーが必要


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初めて心から、幸せになりたい、と思った。
私は清野さんじゃない誰かと付き合って、正しい約束をして、そして、幸せになりたい。

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2023年06月18日

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ネタバレ

柴田は本当に腹が立つ男で、厳しい制裁を受けてればいいなと思う

でもその他の男性と千紘の関係についてもモヤモヤする
過去のトラウマを乗り越えるために無意識にしてる行動かもしれないけど柴田と似たり寄ったりじゃないかと感じる所もあった

書き下ろし三篇があって良かった

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2023年01月22日

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出てくるのが一見まともに見えて近づくとキケンなクズ男ばっかり。
ちょっとスリルのある柴田さんはドキドキした…

主人公は、男にぐずぐず寄りかかって生きてる悲劇のヒロイン。

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2023年01月10日

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時系列が行ったり来たりするので、読みにくかった。
柴田のような男は最悪だなと思い、主人公も誰とでもよく寝るなと思いつつ…。自分の中の空洞を埋めるにしても。
最後に向かうに連れて、一筋の光が見えた気がした。
本の裁断をすることで、彼女自身もどこか浄化したのだろうなと思う。

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2022年08月31日

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柴田みたいな男に振り回されたり、質より量になったり、名前のない関係性とか、覚えがありすぎて何とも言えない気持ちになりながら最後まで読んだ。
そして、胸に刺さってた小さな棘が抜けたような感じがした、そんな一冊でした。

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2022年07月29日

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紙の本を裁断、解体して、デジタルデータとして取り込んで保存することを「自炊」と言う…というのは、どこかで聞いたことあった。
作家の千紘が、亡くなった鎌倉の祖父の家で、祖父が大量に遺した本を「自炊」しながらひと夏を過ごした記録なのだけど、編集者の柴田と知り合い関わってしまったことで奇しくも不穏な夏になってしまう。

人を傷つけることを何とも思わない、むしろ傷つけることを生き甲斐とする人間がいる。それが無自覚であればあるほど罪深い。
読んでいる間ずっと胸騒ぎがするような作品だった。柴田に振り回され自我を失っていく千紘を見ていて、人間のどうしようもなさを感じてしまって。
千紘には性的なことを嫌悪してしまうような過去があって、そのことが千紘の自信を奪い、人との距離感を適切に保てない。
傷つける側の人間は、そういうターゲットの性質を見抜いた上で近寄るのかもしれない。観察だけでなく、妙に鋭い勘で。

元は「夏の裁断」だけの作品だったものが、その後、秋冬春の短編が書き下ろされて出来上がった短編集らしい。
秋冬春の作品も、主人公が変わらないせいか不穏さがまったく無いわけではないけれど、「夏の裁断」と比べたら穏やかさも見えて希望も感じた。柴田は表面的には消え、清野という新たな登場人物との話が中心になっている。
正直千紘は才能はあるけどダメ女だと思う。けど恐らく不思議な魅力を持つ女性なのだろうということも同時に思う。庇護欲をくすぐるようなタイプなのかもしれない。

人と深く関わるのは怖いことだし、その距離感や在り方も人それぞれだ。過去も性格も何もかもが違うのだから。うまくいかなくてすれ違いながら解り合っていくしかない…と、現実と重ね合わせながらしみじみと考えた。

にしても、柴田のような男って妙な色気があるようなタイプが多いのよね。破綻していて触れたらまずい感じがするのに、なぜか惹かれてしまうような。そういう自分の魅力も分かってて動いてるのかしらと思うと腹が立つわ!と小説なのについ思ってしまった。

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2022年05月28日

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記録用

自炊という行為と、過去との決別が重ねられているのかなと思った。

彼女が前向きに歩いていけそうでよかった。

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2021年01月18日

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ネタバレ

文庫版を読んで途中で知ったが、
夏の裁断に続く3つの話は全てあとから文庫版で書き下ろされたものだった。
夏の裁断で終わっていたら、千紘のように煮え切らないまま過ごすことになったと思う。

正直、この本に出てくる登場人物皆に、なぜ?とか、どうして?なんでこの人はこんなことを言ったり、するの?って思う人も多々いると思うが、
実際、私自身も"付き合う"という縛りが嫌だ。と、言う人が好きで好きで仕方が無い時があった。

その時は、まさに恋は盲目。
その人に人格を否定されるような罵声をあびせられても、時に男らしくて心の芯に染み渡る優しさに、私を見捨てないで。私をそばにいさせて。と、なぜか縋りたくなる思いにさせる。
今となってしまえば、千紘の柴田に対する気持ちのように、"その時"を忘れてしまった気がする。

私が好きだったその人も、愛されたいし人に甘えたいけれど、人を傷つけ深く入ろうものには毒を吐く今思えば怖い人だった気もする。

けれど、同じように見えて同じでは無いのが、清野さんのような人だ。
傷つけるのが怖いから、あえて型はめをしない。

でも、やっぱり、女はそれが寂しいものである。
けれど、この2人は少しずつ自分たちの価値観を擦り合わせて認め合いながら、2人のふたりらしい時間を作っていくのだろうな。


読み終えて思ったのは、男の人によって女の人生や行き方は変わる。
けれど、それは男性側も当てはまるだろう。
千紘の正直な内心と裏腹な態度が人間らしくて好きだ。

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2020年09月11日

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夏だから、という理由で再読。
夏の裁断は苦しかった。
今と過去とをいったりきたりするから、余計にぐるぐるする感じ。
秋、冬、春があってよかった。
どこへでも行けるのだ。って気持ちになれるの、すてき。

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2020年07月24日

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本のタイトルが意味深い。

書き手は30歳になろうとしている作家で、恋愛の盛夏の時を過ぎようとしている女性。恋愛にいつも戸惑い、失敗するのではないかとおびえている。男性との出会いにぎくしゃくし、ためらうのは子供時代に辛い性的虐待を受けていたから、そのことから立ち直れるのか、断ち切れるのか。

撃的なのは本の「自炊」に使う裁断機の登場。「自炊」というのは本をバラしてスキャン、電子データにして保存すること。その本をバラすときに背表紙を切断する道具。ちょうど事情があり謹慎中だった書き手「千紘」は祖父の遺した大量の書籍を、娘である母に頼まれてやることになる。

本という物を大切に思うものにとっては身を切られるようなことだ。まして「千紘」は作家である。このつらい作業を虚脱してか、あるいは身をさいなむようにして、祖父の遺した鎌倉の古民家で、夏の間続ける。同時に自分のトラウマをも断ち切りたいと苦闘すように、祖父のだった書斎作業場へ、男性を次々と招じ入れ奔放に恋愛に耽る行動をとる。時が過ぎていくままにやがて変化が。本の裁断をする作家という、気狂いにも似た行為に意味があるとしたら何だろう。

女性の心理を只々わかってないと声高に言うのではなく、あたかも自身の性格のように扱いながらも他者との関わりからくるもの、男性遍歴のように積極的に挑んでいるようでも、おびえて模索している微妙な心理を描き、今回も昔に読んだフランス文学を彷彿させた。

続編「秋の通り雨」「冬の沈黙」「春の結論」を書き下ろし付け加えたのが、なお「夏の裁断」を光らせているかと思う。

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2020年03月04日

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初めは主人公が自覚していたように、「重い」と感じたけれど、それを克服したくて主人公がもがく様、心情が優しかった。
きっとこの作品に救われる人は多いと思う。
たとえ今の自分が嫌いでも、自分を変えたい、変えようと思って、それを曲がりなりにも行動に移していれば、いつか報われる日がくるんじゃないかと感じさせてくれる。

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2019年10月10日

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ネタバレ

旅行に鈍行で行く事になり、暇だから本でも読もうと手に取ったのがこの本でした。
直木賞受賞という安直な理由で購入したのですが、とてもタイプな本でした。
千紘の元教授の言葉には意味がたくさん込められていて、考えさせられました。

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2019年03月06日

Posted by ブクログ

前回、読み難い作品に手出してたので…
中休み的なストーリーと思い、購入。
小説家の日常を描写した感じだけど、
季節毎の内容。
夏から始まり、春で終わる。
分類すると恋愛小説だと思う。
だが、簡単に恋愛小説とも言い難い。
文章で、景色、背景、風景、人物が見えるって思えた。
私的には、こうゆう感じ…案外、好き。
'19.02.02読書完了

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2019年02月02日

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2015年
紙の本を背で裁断して、スキャンして保存することを『自炊』と呼ぶことを知りませんでした。本好きなら一般常識なのかな。凹む。
小説家の主人公の女性を通り過ぎる男性との恋模様。彼女は、祖父の蔵書を鎌倉の祖父の家で
『自炊』していく。
男性の言動に翻弄される主人公。
彼らに自分との関係性に意味を持たせたい。
明確な関係を求めてしまう。
好きだからか依存なのか不確か。
この自炊行為の裁断と 彼女と男性との忌まわしい記憶の裁断を掛けてあわせている。(と、思うのだけど)
男性を季節ごとに登場させて、最後には、ひとりの男性と明確な関係となります。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

『「もし、なんの約束も名前もないままに、会いたい、という気持ちだけで会い続けることができたら、それは愛とか恋とかと同じくらいに美しいことさもしれないですね」
寝息が止まって、目が開いた。
清野さんは子どもみたいに笑うと、はい、と言った。』

『いつだったか、自分よりも彼が孤独じゃないことを羨んだことを思い出して心臓が切れそうになった。
自分ばかりに気を取られ、それを相手が理解してくれなければ、正しくないことのように決めつけてきた。
だけど他人同士が分かることなど、本当は、あまりに少ない。』

『What's in a name? that which we call a rose. By any other name would smell as sweet.
名前ってなに?バラと呼んでいる花を
別の名前にしてみても美しい香りはそのまま。』

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2023年05月21日

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表題作に登場する男がまっっったく魅力がない、どころか嫌悪感すら感じさせる男だったので、そんな男に翻弄される主人公にもヤキモキさせられてイライラすること多数。

昔のトラウマと今の恋愛観は確かに呼応し合うものかもしれないけど、何もこんな男に惹かれなくたっていいじゃないのさ……と、男運無さすぎな女友達を心配するような気持ちで読み進めました。

公衆の面前で編集者の柴田の手首にフォークを突き立てた主人公の千紘。作家である彼女に柴田が手を出した事が原因の凶行と周囲に決め付けられ、お咎め無しとなった千紘は、休養という名目を口実に、亡祖父の鎌倉実家の蔵書を「自炊」することに。
背表紙を裁断することに背徳的な恍惚を覚えながら、柴田との出会いを思い返す千紘。
あの男が諸悪の元凶なのか、それとも悪いのは私なのか?
本の裁断と男との思い出をなぞることで過ぎてゆく、鎌倉の一夏。

うーーーーーーん、表題作だけだったら正直、星2つ。蛇足とも評価されかねない文庫オリジナルの三編が良かった。徹底的に主人公に共感できない表題作ですが、後日談となる三編は、過去のトラウマと柴田の影響から脱却しようとする姿が自然体で描かれてて嬉しかった。

主人公に思いを寄せる猪俣くんが不憫でしたが、文庫オリジナルに出てくる男性陣が魅力的なのも良かった。王子、意外に好き笑。

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2023年02月15日

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自炊、という言葉の意味をこの本でもうひとつ知った

もっと自分を大切にすれば大切にしてくれる人に巡り会えるのでは?とつまらない事を考えてしまうくらい主人公は誰とでも重なる、そして傷ついている、うーん。

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2022年09月19日

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本能的に人をコントロールするのが得意な人間。この男は島本理生さん作品ではかなり悪い部類に思える。
そういう人ほどコントロールしやすい人を一瞬で見抜く。

「誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定される感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって心地よいものだけを掴むこと」

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2022年07月16日

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ネタバレ

意味が欲しい。自分が一緒にいる意味が。
島本理生先生王道。過去に大人の男の人に虐げられ、助けてくれない母親をもったがために不安定で男の人に流されてゆく主人公。
正直、またかと思いつつも、変わりゆく主人公を見届けました。
良い春を迎え、最後まで読んで良かった。
そして、また手に取ってしまうんだろうな、島本理生先生の本。
救われていく様を見て、私自身も救われているのかも。

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2022年01月15日

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今年になってからハマっている島本理生さんの作品。

表題作でもある、夏の裁断は、正直読んでいて悲しいだけだった。
流されやすい女性、男性に消費される女性を見ると、そうならざるを得なかった知人の話がリンクして虚しくなる。

でも、この作品の主人公である千紘は、秋から春にかけて再生していく。
柴田のような男に、翻弄されるだけじゃなくて良かった。
柴田に感じる嫌悪は、少し間違えたら自分もこうなっていたということを思わせるからな気がする。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

不安定で危うい精神を持つ主人公の千紘となんとも掴みどころがない嫌な男、柴田のやり取りがずっと重苦しく終始どんよりした気持ちにさせられました。

主人公にも柴田にもなんら共感する所がなく感情移入出来ないまま読み進めていましたが途中時系列がわからなくなった箇所もあり、少ないページ数の割には難しさを感じました。

最近欠かさず読んでいる島本 理生さんの独特な世界観が好きで惹き込まれていますが今回の作品には物足りなさを感じてしまいました。

何度も読み返せば又感想が変化して行くのかな?と思う作品。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ


島本理生の本を読みたいな、と思い手に取った本。


全体的に暗く、かといって強く否定出来ないような恋愛の話。
タイトルの裁断は、作家の千紘が亡くなった祖父の家に住みつつ、祖父の遺した本を裁断し、データ化する「自炊」を行うこと。
本を生み出す側が自らの手で本を解体するという、自傷に例えたタイトルである。
柴田、王子、清野という男性と関わりつつ、最後は自分の過去と向き合っていく。


柴田のようなどうしようもない男を好きになる人は、私の友人を含めて多い気がする。
話を聞くのが上手く、簡単に距離を縮めて、気があるそぶりを見せつつ簡単に裏切るような人。
何も与えないけど、何も奪わない人、という千紘の言葉がぴったりだと思った。
(大事な20代の時間を搾取されているのでは、と本書の中で教授が言っていたが)
主人公の千紘は時折幼さがあり、20代前半くらいかと思っていたが、三十路近いことに驚いた。


ゆるゆると話が進んでいくので、苦手な人は苦手かも。合わない人は退屈すると思う。




「ーだめだとか、間違ってるってことはないよ。ただ、あなたはグレーなものに耐えられない人だったから。きっちり線を引いたり固定しないと不安でしょう。一秒後の未来だって、本当は保証なんてない。でも、あなたにそれを教えたら、生きていけないかもしれないって思ってたんだよ。」
→柴田のことを含め、千紘は定期的に大学時代の心理学の教授に相談しており、最後教授が千紘に投げかけた言葉。

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2020年10月02日

Posted by ブクログ

主人公は自分に自信が持てなくて他者の言いなりになってしまう女性。自分と重なる部分があり、彼女に降りかかる出来事に心が痛くなった。
自信がないというのはやはり他人から見てもわかるのだろうか。彼女に近づく男が揃いも揃って嫌なやつばかりだった。自信のない人はつけ込まれやすいのだろうか。それとも闇を抱えている人は、また闇を持つ人に惹かれるのだろうか。触ったら切れるような人との恋愛だった。そんな男やめておきなよ!と何回も思った。でも自分がこの立場になったら、穏やかな恋愛が幸せと頭ではわかっていても、惹かれてしまったら抗えなくて離れられないかもしれないと思った。タイトルのように、ナイフの鋭く冷たい切れ味が話の全体を覆っていた。
裁断を自傷行為に例えていたのが印象的だった。


「誰にも自分を明け渡さないこと。選別されたり否定される感覚を抱かせる相手は、あなたにとって対等じゃない。自分にとって心地よいものだけを掴むこと」

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2020年05月06日

ネタバレ 購入済み

三冊目

島本理生作品は10年以上前に「リトルバイリトル」を読んで以来3冊目。いずれも好みではない。電子書籍化も少なかったのでずっと読んでこなかったが、直木賞受賞後、電子書籍化が増え、クーポンもあったので「ファーストラヴ」とこちらを読んでみた。「ファーストラヴ」の方が断然良かった。
特にこの夏の裁断は、何が言いたいのかよくわからない箇所があったり唐突に過去の回想が始まったりと読み辛く、作者の技術力や表現力の不足を感じる。
主人公の性的トラウマと母娘の信頼関係の破綻は、作者のお気に入りの設定なのか。
島本理生作品をすべて読んでいる訳ではないからわからないが、この設定にはもう飽きた。

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2020年10月12日

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