【感想・ネタバレ】ハックルベリー・フィンの冒険 上のレビュー

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行き帰りの新幹線の中で読んだ。今ごろかよという心の声は無視することにして、アメリカ文学の金字塔と言われるだけのことはあるというのが正直な感想。詳細は後日。

「嘘の祈りだから叶わないのだ」。

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2018年10月10日

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 面白い、なんてものではない。マークトウェインすげー!であります。

 30年ぐらい前に父が読み聞かせしてくれた本の一つ。内容は忘れたけれどトム・ソーヤよりも面白かったという記憶ははっきり持っています。今回子供たちへの読み聞かせに取り寄せてみたら、分厚くて字が小さくてびっくりしました。先に再読したトム・ソーヤの冒険ではトムが利発でハックのそういうところは目立たないこともあり、こちらはもっと牧歌的だったかと少し勘違いしていましたが、とんでもない!アウトドア的なサバイバルに社会的なサバイバルの要素も加わりぎりぎりの物語です。
 物語の構造としてはロードムービーです(。まだ下巻末まで読んでませんので、少なくとも下巻始めまでは)。ハックと逃亡奴隷のジムが筏でミッシシッピー川を下りながら様々な人や事件に遭遇します。たぶんどのエピソードも完全な創作というより、似たようなことがマークトウェインの身辺で実際にあったんだろうと思いながら読みました。家が流れてきて中に死体がころがっていたとか、うまいこと言って金を集めるペテン師とか、殺し合いをしてる二つの家系とかきっとこの頃にはあったんだろうなと思います。子供たちにとっては、いや僕にとっても人種差別や奴隷制度やリンチやペテンが驚きでした。現代はもはやオバマ大統領の時代ですからね。(世界にまだ人種差別が残っていることは子供に伝えておきました。)
 文体はハックの語りなので崩れた口語だし、ユーモアや冒険が物語を牽引するので、読んでみるととても読みやすいです。子供たちも難なくついてこられます。しかし、マークトウェインは「トム・ソーヤの冒険」よりも真面目に書いてるという印象を僕は持ちました。トム・ソーヤではごてごてしたレトリックが利いていました。こちらはハックの語りで、基本的に必死で生き延びてるところがあるのでそんな贅沢なおふざけの余裕も趣味もありません。ハックには本人が大真面目だからこそのユーモアがあります。
 本書の何がすごいかと言うと、1885年に初版が出たという超古典なのに、訳だって40年前なのに、古すぎてわからないとか楽しめないという部分がほとんどないということです。シェイクスピアと聖書の引用だけぴんと来ませんでしたが、それだって古いからというより僕に教養があれば楽しめるはずのところですからね。訳も古すぎたり不自然ということはありません。よその古い名作の中にはこれは訳し直した方がよいのでは、というものもありますが、本書は全然大丈夫です。


PERSONS attempting to find a motive in this narrative will be prosecuted; persons attempting to find a moral in it will be banished; persons attempting to find a plot in it will be shot.
この物語に主題を見出さんとする者は告訴さるべし。そこに教訓を見出さんとする者は追放さるべし。そこに筋書を見出さんとする者は射殺さるべし

と前書きにあります。本書の良いところは、主題や教訓や筋書を意図して作られた作り物ではないというところにあるんでしょうか。

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2015年05月12日

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 齊藤ジョニーというミュージシャンがいる。彼のファーストアルバムの1曲目が「ハックルベリー」というタイトルで、これを聴いていたら無性に読みたくなった。歌詞の中に「世界のすべてが君の恋人だった」というフレーズが出てくる。この本を読んだ人なら、みんなハックのことが好きになる。だからこの歌詞に共感し、グッときたのであった。

<ハックは宇宙的存在>
 この本の素晴らしさは、ハックルベリー・フィンのキャラクターの描かれ方にある。何ものにも染まっていない純粋無垢なものの見方、善悪のジャッジさえも意味をもたない透き通った心は、仏教的に言えば仏陀の境地であり、空がそこにある。目の前に現れるものをただありのままに見て、そのまますべてを受け止める。心が揺れ動き葛藤する場面もあるにはあるが、自分の利益や虚栄のためではない。彼の葛藤は周囲の人を思うことやキリスト教の教えからくるものであり、そこには微塵のエゴもない。読者がハックを好きになるのは、人間が誰しも生まれる前は親しみがあった、全一性や慈悲、すべてを愛することなどを、彼が従えているからだ。

<ハックの感受性>
 とても素直なハック。章をひかえ忘れたが、「悲しみにくれる黒っぽい服を着た女性のクレヨン画ばかりを描いていたエミリンという娘が15歳で亡くなった」という話を聞いたときの心の声(引用参照P187)が印象的だ。死を良いものでも悪いものでもなく、ニュートラルに扱っている。
 さらにこの物語ではミシシッピ川の描写の美しさが評価されることが多い。訳者の西田実さんもあとがきで触れているが、最も素晴らしいのは第十九章の頭のところ。夜中から夜明けまで筏で川を下っているハックが、見ている風景を描写したものだ。その前の第十八章の最後で、おそらく多くの人がいちばん心を捕まれるハックのかっこいいセリフ(引用参照P212)を読んだ後だから、その描写により一層引き込まれてしまう。

下巻は物語が急展開し、オモシロおかしく読める良さがあるわけが、私はハックのまなざしが繊細に詳しく描かれる上巻が好きだ。

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2012年12月01日

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ネタバレ

アメリカ文学を代表する、マーク・トウェインの名作。
岩波文庫の上下二巻。
世界中の少年たちの憧れ、『トム・ソーヤーの冒険』の続編です。
前作の最後で財宝を見つけたうえ、富豪未亡人の養子となったハックルベリー・フィンは、しきたりだらけの文明的生活にやはり馴染めず、ろくでなしの親父の登場とたかりもあり、自由を求めて家出。
それをトムが連れ戻そうとして前作は終わりますが、本作品はまさにそこからストーリーが始まります。
再度の家出で逃亡奴隷のジムと一緒に筏でミシシッピ川を下り、目指すは自由の町ケーロ。
富裕な大地主のグレンジャーフォード家に保護されたかと思えば、敵対するシェパードソン家との抗争に巻き込まれたり、途中で出くわしたペテン師の公爵やら王様やらに振り回されたりと、破天荒な旅を続けます。
本作品の焦点は、相棒ジムの逃亡を助けることに対するハックの葛藤。
奴隷制度が残る時代に、虐待を受ける奴隷への同情と、逃亡奴隷を助ける罪悪感との板挟みに苦しみます。
そしてハックといえば、やはり外すわけにはいかないトム・ソーヤーの再登場!w
悪ガキ二人の悪戯が、やがてストーリーをクライマックスへと進めます。

アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイが、エッセイ『アフリカの緑の丘』でこう評しています。

 「あらゆる現代アメリカ文学は、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィン』と呼ばれる一冊から始まる」

『トム・ソーヤーの冒険』は楽しい物語ですが、この『ハックルベリー・フィンの冒険』は奴隷制度や人種差別、南部の無法状態などに触れており、現代でも論争をが続けられているアメリカ文学の大作です。
ミシシッピ川の雄大な情景が、読んでいて目に浮かびます。

ニン、トン♪

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2012年10月07日

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実はこの本とトム・ソーヤの冒険は原作を読もうと高校のとき購入し、最初の数行で挫折した辛い記憶があります… 南部訛りの英文なんて高校生には分からないって… しかも出版されたのは1885年。そりゃあ辛いものがありますよね。日本語で読むのは楽だなあ〜 なんてニコニコしながら読みました。

面白かったです。当時の南部の状況も興味深いし出来事が又面白い。正直ハックの置かれた状況は面白いだけで済まされない状況ですがこの精神と肉体の強さはすごいなあ。昔は物が無いから応用力がつくのでしょうか。物事を打開する力だと思います。強かに、そしてまっすぐに(純粋、と言う意味ではなく)生きている。生きる力、と言う事だと思うのですがとても惹きつけられました。いまだに読み継がれているということがこの作品の魅力を十二分に語っているのだと思います。

面白かったです。
まあそれにしてもろくでもない大人がテンコ盛り。昔も今も怠け者とかろくでなしの人種は一定量存在したんだなあ〜、うん。

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2009年10月07日

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「トムソーヤの冒険」で有名な作家の「トム..」の続編的な作品でトムの仲間の一人ハックが主人公の冒険物語。

アメリカ南部が舞台で、暴力的な飲んだくれの親父から逃げる様に、筏での旅に出る。途中出会った逃亡奴隷である黒人のジムも加わり物語は進んでいく。
 
奴隷制が残るアメリカ南部(特にミシシッピ川)の
人、自然の描写が細やかで、人柄や景色がありありと浮かんでくる。

人への気配りが出来、聖人の様な心の優しいジムと話し方はがさつだけれども、良心を持ち1本筋の通ったハックのやりとりが物語のキモ。

大人の汚さを知り、ある意味それを達観しているジムは、大人の扱い方は心得ていて、物語後半で登場するトムとは思考面で対比をなしていて、そのコントラストが面白い。

結果よりも物事の過程をおもしろくする事に全力を注ぎ込む理想主義的なトム、現実的に一番効果的な方法で旅の困難を対処していく現実主義的なハック。

ハックが所々で発するセリフに世の中の無常さ
を感じ、思わずハッとしてしまう。大人にこそ読んで欲しい一作

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2009年10月04日

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ネタバレ

滑らかな語りに想像を誘われ、つりこまれるように読んでいった。けれど、この「冒険」には(主題・教訓・筋書を見つけようとする者は酷い目にあえ(意訳)という前書きに配慮し野暮なことは書くまいが)奴隷制が放置されるままに跋扈していた時代の空気がかなしく流れているように感じられた。ひとつひとつの描写が、訳のうまさもあるだろうが、びっくりするほど豊かで巧みなので、いっそうそれを感じてしまうのだ。下巻はどうなるだろうか?

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2022年04月29日

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【ハックルベリー・フィンの冒険 上・下】
マーク・トウェイン作、西田実訳、岩波文庫、1977年

面白かった。

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の主人公ホールデンが「20世紀のハックルベリー・フィン」と呼ばれると知って、初めてちゃんと読んでみたが、面白かった。

作者マーク・トウェインは1835年生まれで、日本で言えば「幕末明治の時代」に生きた人。

日本で若い志士たちが「黒船襲来」「尊皇攘夷」と立ちまわっていた時代のアメリカで、トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンといった少年たちが見る社会と自然を余すことなく描いた作家。

本書は浮浪児で自然を愛する主人公ハックフィンは暴力的で怠惰な父親から逃げ、逃亡黒人奴隷のジムと共にミシシッピ川を筏で冒険をする、という話。

刊行は1855年。6年後に奴隷制度の是非をめぐりのアメリカでは南北戦争が起きる。

アーネスト・ヘミングウェイが以下のように書いている。
ーー
あらゆる現代アメリカ文学は、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィン』と呼ばれる一冊に由来する。……すべてのアメリカの作家が、この作品に由来する。この作品以前に、アメリカ文学とアメリカの作家は存在しなかった。この作品以降に、これに匹敵する作品は存在しない。
ーー

読み終えたときに、子どもの時にみた映画「スタンド・バイ・ミー」を思い出したのも、そんなに外れていない気がする。(死体が鍵だったり)

そして、「翻訳夜話2 サリンジャー戦記」で柴田元幸が、「ハックはまだ下半身が目覚めていない。ホールデンは目覚めかけていてそれをすごく怖がっている。そこの違いは大きいですね。」と語っているのも1776年に独立したアメリカをなにか象徴する気がした。

2017年の今年は、
Change! を唱えた初の黒人大統領に代わり
Make America Great Again! をスローガンにする70歳の実業家が国民により大統領に選ばれた。

#優読書

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2019年01月06日

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『トムソーヤ~』とともに有名な作品。
だが、この2作品で絶対的に違うのは、主人公の立ち位置。
トムはいたずら好きだが“子供の範疇”から決して越えず、また、あれこれ文句をいったりもするが当時のアメリカ南部での一般的な考え方(黒人≒奴隷とか)からも外れずに、あくまでも世間という手のひらの上で行動している
ハックは設定も浮浪者…自由人というべきか…で、考え方もまた、世間一般のしがらみのない考え方だ。
逃亡奴隷を通報するべきか、ハックは必死に考える。当時の常識ならば、悩むところではないのだ。言わなきゃいけない。ハックが躊躇しているのは、言えばジムは逃亡奴隷として処罰されるが、そんなことを幇助するのは人間としてどうなのか、という、
常識>倫理の図式に迎合できず、悩む。

このテーマの深さがハックルベリフィンの魅力の一つだと思う。

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2014年08月03日

Posted by ブクログ

 奴隷制が残るアメリカ南部を舞台にして、暴力的な父親から逃れるハックと逃亡奴隷ジムの冒険。
 大学で読まされたアメリカ文学はあるが、自主的に最初から最後まで読んだアメリカ文学としては初めて(翻訳だけど)。始めは、翻訳の変ななまりが気になったが、数章読めば全然気にならなくなった。よく1人でこんなことするよなー、というくらいハックは勇気のある子だと思ったり、ハックの二枚舌に感心したり、ある意味で素直な子だなーと思ったりして、面白かった。ジムはよく迷信を口にするが、当時の奴隷はこんな感じだったのだろうか、と思った。冒険そのものも面白いが、当時の南部の様子が描かれている部分も、歴史紀行をしている感じで、テレビを見るよりも自由に想像できて楽しい。たぶんこれが小説の良いところなのだと思う。当時の南部の様子は一言でいえば「血生臭い」という印象だった。週に一度は死体を見そうなイメージ。
(続きは下巻のレビューへ)

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2010年11月02日

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Adventures of Huckleberry Finn(1885年、米)。
どこまでも陽気で陰影のない「トム・ソーヤーの冒険」に比べると、こちらは結構ビターな印象。黒人奴隷の人権問題が絡んできたり、大人の犯罪や紛争に巻き込まれたり…。トムの冒険はファンタジーだが、ハックの冒険は命懸けのサバイバル。一歩間違えば、皮肉めいた重い話になってしまいかねない内容だ。

しかし、児童文学として耐え得る軽やかさは、かろうじて失われていない。その理由は、ハックの逞しさ、ジムの善良さ、人種を超えた彼等の友情、そして何より、雄大なミシシッピ川の美しい描写のためだろう。ハック達が自由を求めてミシシッピを下る過程は、自由を求めて新天地へ降り立ったアメリカ人にとって象徴的であり、心の原風景なのではないだろうか。ヘミングウェイが本書を「アメリカ文学の源泉」と称したらしいが、さもあらんと頷ける。

個人的には、ジムを救出する穴を掘る場面での、トムとハックの掛け合いがツボ。ロマンティストで意固地なトムと、リアリストで合理的なハック。その対比が面白くて、何度読んでも笑ってしまう。

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2012年09月02日

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洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。

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2009年10月07日

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 子どもの頃に読んだという方ももう一度読んでみてほしい名作です。十九世紀末当時に流布していたピューリタニズムの偽善、奴隷制度、自然と文明の対立などいろんなテーマが詰まっているのです。最後にハックが地獄に堕ちてやると決心したシーンは感動もの。

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2009年10月04日

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 小学生のときに読んだ。大学生になって再読。昔と比べて、今のほうがはるかに冒険心に満ちている気がする、というのは余談だが(笑)
 冒頭の「この物語に主題を見出さんとする者は告訴さるべし。そこに教訓を見出さんとする者は追放さるべし。そこに筋書を見出さんとする者は射殺さるべし。」という"警告"が印象的。
 自由人ハックと黒人ジムの旅物語。

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2012年01月29日

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ミシシッピー川を舞台にした冒険小説。ダイナミックで自由な旅をそのまま読んだ気分で残酷な部分も含まれるが、当時のアメリカの様子が想像出来た。また当時のアメリカ社会の奴隷に対する考え方を垣間見た気がする。

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2012年01月01日

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なるほど、発禁などの経緯があるだけに、当時の社会や宗教観への風刺が強く描出されている。トムソーヤの冒険とは異なり小学生が読むには少々暗い側面が強いので、読み手の対象となるのは中学生以上であろうか。一般的にハックの冒険ではトムは邪魔者という風説が強いが、トムソーヤの冒険よりもより"現実的"な本作の冒険においても、その存在感を浮き立たせているトムという人間の強さに私的には非常に魅力を感じていたりする。

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2011年11月21日

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やっと上巻読破。

トムを読んだときより、トムとハックの間に深い溝を感じるなぁ。トムの冒険は空想だけど、帰る場所の無いハックの冒険はシビアな現実。トムって実はお坊ちゃんなんだな。

味のある原作の挿絵や題字が可愛くて好きです。

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2009年10月09日

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卒業論文で「マーク・トウェインの初中期作品におけるペシミズム」の引用に使った作品。
普通に読めば、自由奔放な少年の冒険物語だけれども、作品の至る所に反キリスト教的表現や彼独特の悲観的人間観が盛り込まれています。

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2009年10月04日

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