感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作がとてもためになったため、本書にも興味を持ち購読。
著者は本書執筆目的として
「経済のシステムにより生じた精神的・実在的な深淵へと読者を案内するため」
と述べている通り、過去と現在の経済動向を心理学や哲学を絡めて解説している。
『予言』をテーマにした項が、コロナ禍に加えて政権の暴走で疲弊する日本の現状を表しているように感じた。
「人間は何かに理由を求めたがる」
「国家の非常時には国民が低俗な情報を信じ、誇張して伝える」
怒りに満ちたネットニュースへのコメントや、根拠の乏しい陰謀論。論理的にこういった現象を紐解いていくと、現状がアホくさく見えて来てしまう。
これからも読む経済本はより本質的な情報が載っているものを選んでいきたい。
〇学長のような手っ取り早いノウハウ本ではなくて。
Posted by ブクログ
前書は、経済を「善と悪」の視点からその西洋における歴史と成長の要因を検討・分析したが、本書では、現実の経済を人に見立ててその精神分析をしようというものである。本書の内容について著書の中で触れているのでそれを引用してみよう。
「この本は経済を心理学的な視点から見ようという本だ。だから、心理学がするような質問を次のようの問いかけてみたい。システムとしての経済はいつになったら、なんの世話も助けも借りずにやっていけるようになるのか? いつになったら自分自身と、そして自分自身の問題と折り合いをつけられるのか? 経済という肉体は、いつ成長を止めるのか? いつ大人になるのか? 健康な子どもがすくすくと成長し、大人になったら体の成長はもう期待できなくなるように(その段階で期待されるのは、肉体よりも精神の成長だ)、経済も大人になるのだろうか?まだなっていないのだとしたら(私たちはみな、経済の成長の途上であると思いたがっている)、いつ大人になるのだろう?」
正直なところ、一般の人は精神分析というものにそれほどの馴染みがないせいか、ややわかりにくい面がある。しかしながら、多くの神話やお伽話などが引用されているので、比較的退屈せずに読み通せると言える。