【感想・ネタバレ】真実の10メートル手前のレビュー

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Posted by ブクログ

著者の短編集は、本当に読者を裏切らないな~との思いを強くさせられた1冊でした。

最初の表題作でグイっと心を鷲掴みにされ、そのままラスト一篇までノンストップでした。
六篇とも、どれも素晴らしいミステリーでしたが、私的には「正義漢」が一番インパクトがありました。駅構内である出来事が発生するのですが、冒頭からの描写は圧巻でした。凄すぎます。

また、六篇を通して、それぞれのタイトルが秀逸だと感じました。まさに絶妙なタイトルです。

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2024年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
登録前

米澤穂信ってことは後味悪いのかな(偏見)
文章がすごい読みやすくて好きだし作家買いしてら。
推理の過程もわかりやすくて読者に優しい。

ただこれは本当に自分のミスなんだけどこれシリーズ物の3作目だった。
名前とジャケ買いだったからあらすじ読んでなかった。
でも前作の知識なしで充分楽しめた。

強いて言えば個人的に1話目がそりゃそうだよね、って展開に終始しちゃってた気がするのが残念?
兄が見つかってないのが伏線なのかと思ったけどそういうわけでもなく。

全体を通して大団円ともバッドエンドとも言えない終わり方なのが絶妙に後味が悪くて好き。

この微妙なバランスはまさに真実の10メートル手前って感じ。

あくまで刑事でも探偵でもなく記者の領分を超えないスタンスも好き。

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2023年05月16日

K

購入済み

『王とサーカス』のあとに読んだ。この小説は、ジャーナリズムについてではなく、他人の悪意や、自分自身の罪の意識によって潰されてしまった人々を、推理小説のフォーマットを用いて、どのように描き出すか、に重点が置かれている気がした。それは『黒牢城』まで続く米澤先生の一つの小説哲学なのだと思う。現実ではもっとひどいことが起こっているのかもしれない。現実には太刀洗万智は存在せず、被害者はただ潰されて、誰にも意識されることなく消えていくのかもしれない。それでも、というかだからこそ、この小説は輝きを放っているんだと思う。

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2023年02月13日

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「さよなら妖精」ですっかり大刀洗万智に魅せられてしまっていたので、この作品を見つけたときはとても嬉しかったです。
その魅力は今作でも相変わらずで、学生の頃から変わらない部分もあり、また大人になり社会に出たことでの変化もまた彼女らしいなと思いとても楽しめました。
そして「さよなら妖精」ファンには嬉しい短編もいくつか登場しまた読者を楽しませてくれる演出も盛り込まれていました。

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2023年02月11日

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ネタバレ

太刀洗万智シリーズの短編集。
報道が巡る6つの物語が展開されるが、人間の持つ闇や嫌なところが存分に出てくる所がとても面白かったです。
その中でも一番面白かったのは「名を刻む死」で嫌われ者の被害者のことを見捨ててしまった少年を太刀洗万智が一喝する場面である。普通であれば、人の尊厳を否定する言葉が京介自身の罪悪感を少しでも軽くするものになる所がストーリーとしてとても上手いと思いました。
また表題作である「真実の10メートル手前」も、最後の結末が追っている人物が亡くなっているため、自分たちの追っていることがその手前で分からなくなってしまうという意味でタイトルを再び読んでゾッとしました。
他にも面白い話が入っていますので読んでみてください。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
太刀洗万智:茅野愛衣
藤沢吉成:前野智昭
早坂真理:金元寿子
早坂弓美:Lynn
フェルナンド・バシリオ:山下大輝
都留正毅:斉藤壮馬
下滝誠人:チョー
春橋真:梅原裕一郎
檜原京介:榎木淳弥
田上宇助:安元洋貴
ヨヴァノヴィチ:三宅健太
大庭:鈴村健一
戸波夫:山路和弘
戸波妻:井上喜久子

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2022年05月10日

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太刀洗シリーズ六つの物語を描く短編集。どれも無駄の無い表現、洗練された作品だった。特に表題作と「ナイフを失われた思い出の中に」、「綱渡りの成功例」は良かった。真実を求め、知り、発信する者としての残酷さや苦悩が太刀洗を通して伝わった。「ナイフを〜」では、本編にも関わる物語で胸にくるものがあった。「綱渡りの〜」ラストでは、「王とサーカス」を彷彿とさせる比喩表現によるタイトル回収には感嘆のため息が出た。太刀洗シリーズはやく次の作品読みたいなぁ〜。

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2021年08月14日

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さよなら妖精から成長した太刀洗万智の物語。年を経ても彼女の芯にあるものは変わらないのだなぁという印象を受けた。真実に対する真摯さと、真実を知ってしまった、ある種の後味の悪さが読んでいて浮かぶ。表題作が唯一の万智の一人称であり、もっとも若い時期の話ということもあり、人間らしさがより出ていたように思う。王とサーカスも楽しみ。

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2022年01月16日

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 『王とサーカス』の主人公、太刀洗万智(たちあらいまち)のシリーズで、6編の短編集。太刀洗が新聞記者だった頃やフリーライターになってからの話です。

 記者がみんな太刀洗さんみたいだと良いのになと思ったり、丁寧に取材する太刀洗だって全てを把握出来てるわけではないのだから、読者として鵜呑みにせず自分で考える事が大事だなと思ったり。

 高2の時の世界史の先生が大手新聞社の記者だった方でした。先生が私達に教えてくれたのは、「なるべくたくさんの情報に目を通す事。いろいろな立場、視点から書かれた情報に目を通し、自分の頭で判断する事。」
まだ27歳の先生だったけど、大切な事を教えてくれました。

 極楽とんぼ加藤浩次さんの『正義の反対は悪ではなくて、相手の正義』って言葉も思い出しました。

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2023年11月02日

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太刀洗万智の魅力にハマって手に取りました。
短編なのでさらりと読めますが内容が充実してました。

先に読んだ王とサーカスでも思ったけど、
記者が出来事を伝える、とはどういうことなのか?正直にありのままを伝えることがすべてではないのかぁ…と。
私にとっては学びの多いシリーズです。

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2023年08月20日

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読みやすくて持ち歩いてて気が楽な短編集。
短編と知らずに読み始めたので1話目の終わりが唐突に来て驚いてしまった。
もう少し大刀洗さんの魅力を引き出せそうな歯がゆさがある。

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2023年07月30日

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太刀洗さんの短編6つ。
いつも通り、読みやすい文章、繊細な仕掛け、人物の心情の変化が面白くて低カロリーで美味しい感じ。
短編の中だと名を刻む死が印象に残った。老人と中学生の意外な関わりと負い目に驚いたからかも。
王とサーカスとセットで読んだ方がいいと思う。

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2023年06月22日

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この本の前に読んだのが「#真相をお話しします」で、短編集でどんでん返しの要素があるという共通した2つの本でしたが、テイストはかなり違っていて、こちらの本の淡々として語り口と重厚のテーマが自分の好みにとても合って楽しめました。

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2023年06月09日

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大刀洗を通して、ジャーナリズムとは何かとは問いかける。「真実」をただ伝えればいいのか。
大刀洗を中心に据えつつ、第三者の視点で語られる物語は大刀洗の輪郭、人物像を明確に描き出すように感じる。

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2023年04月03日

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"[..]悪い人だから、ろくな死に方をしなかったのよ" と書かれているものを読むと、なかなかに厳しいセリフだなと思うものの、裏腹な終わり方でした。面白かった。

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2022年11月23日

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短編になると、人間の負の感情を暴き出すような話が多いですね。しかも特別悪人ではなく、どんな人の心の中にも潜んでいるような感情です。楽しい気持ちにはなれませんが印象深く心に残ります。

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2022年09月14日

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6つの短編集。謎解き的要素から見ると「ナイフを失われた思い出の中に」が面白かったが、どの作品も太刀洗万智の生き様を見事に描き出したハードボイルドと言えるかな?

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2022年09月03日

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ネタバレ

表題作の題名の付け方がなんともうまい。
切れ味鋭い太刀洗万智が主人公の短編集。

どうやら高校生時代を描いた作品もあるみたいなので読んでみたい。少々クール過ぎて取っ付きにくいキャラだが、時折見せる暖かさや気遣いにハッとさせられる。

表題作も良かったが、結末が切なすぎ。「正義漢」の方が良かった。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

記者太刀洗さんが関わった事件をコンパクトにまとめた短編集。表題作で見せた太刀洗さんの心の揺れが印象的。
他のシリーズも読みたくなった。

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2022年01月18日

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ベルーフシリーズ、大刀洗万智の事件簿短編集

収録は6編
・真実の10メートル手前
・正義漢
・恋累心中
・名を刻む死
・ナイフを失われた思い出の中に
・綱渡りの成功例



新聞社にいた頃から王とサーカスの後ともうちょっと後までと時系列はバラバラ
時代を特定できないのもいくつか

「真実の10メートル手前」だけ万智さん視点で、他は同級生、記者、発見者、同行者、地元民と万智さんを客観的な視点から描写されている

執筆順、出版順でも王とサーカスと前後しているものもあるけれども
オススメの順番は、さよなら妖精、王とサーカス、本作でいいんじゃなかろうか
王とサーカスの経験があったからこその変化を感じ取れるのでね



「真実の10メートル手前」だけ、新聞社に勤めていた頃のお話
やはり、事件と取材対象との距離感というか、記者の立ち位置の意識がこれだけ違う
まぁ、モデルになった事件はライブドアのあれ

取材対象から信頼してもらえる記者というのは稀有なんでしょうねぇ


「正義漢」は誰視点かは明記されていないけど、万智さんを「センドー」と呼ぶ同級生なんて一人しか知らない
生きていてよかった、守屋くん……

この事件も記者というよりも探偵役として振る舞っているのでちょっと違和感がある
しかしまぁ、犯人を特定するための行動というのであれば、そう逸脱していないんだろうか?

とは言え、都会の人身事故ってそんなに日常的に多いんですかね?
大いなる田舎の郊外で職住が完結してしまっているので、通勤ラッシュや満員電車には乗らない生活のためなかなか実感がない


「名を刻む死」は僕も前から思っていた違和感に関するもの
既に第一線を退いた人を「無職」と報道するのは果たして実態を表しているんだろうか?
適した言葉は「ご隠居」かな?
でもまぁ、そう言い換えたところで最適ではないんでしょうけどね


「ナイフを失われた思い出の中に」は色々な意味で切ない
マーヤのお兄さんを出してくるとか、こんなん殊更心に響くに決まってるじゃん
そして、事件の真相と更なる推測の二重構造の展開は大好きなんだけど、結局やるせない気持ちには変わらず
でも、ちょっとだけ救いがあるのはよい



ベルーフシリーズという事になってるけど、続きって出るんだろうか?
予定は未定なのかな?

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2021年10月22日

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どれも面白かったけど、「ナイフを失われた思い出の中に」が、特によかった。あまり愉快なことにはならないと思いますよ、と言う太刀洗。彼女の仕事の対象である悲劇に痛みを覚えない訳がない。それなのに、比喩はすべて、良和の意図を推察させるためだった。あの哀れな少年を僅かなりとも救おうとしている。解説にあるようにいま一度「知ること」と「伝えること」について考え直すきっかけを広く与えてくれるに違いない。

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2021年09月26日

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「さよなら妖精」の太刀洗万智が社会人になって事件を取材するミステリー。ミステリーと通りいっぺんのカテゴリーで括ったが、登場人物が謎解きのためのピースとして扱われる多くのパッとしない作品とは違い、悩み苦しむ生きている人間たちが登場する。その取材対象を万智がどう向かい合っていくのかがこの本の本質と感じた

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2021年08月26日

Posted by ブクログ

『王とサーカス』でも感じたことだが、文章、雰囲気が美しい。
その美しさの中に紛れているからこそ、残酷さが際立つ。
『ナイフを失われた思い出の中に』は手記に隠された告白の"隠し方"が見事だった。
『名を刻む死』は推理要素は少し少ないが、最後で明かされた真実に驚いた。

真実の10メートル手前、というタイトルも好み。

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

大刀洗万智を探偵役とした短編集。
何故か一編読む度に結構体力?を使う。よい意味で。
さよなら妖精、もう一度読まなきゃ。

24/5月に再読。
この短編集の中の一編、「ナイフを失われた思い出の中に」は短編とは思えない凝った作り。大刀洗万智、かっけー!

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これの前作があるとは知らずに読み始めたが、特に問題はなかった。
どの短編も面白かったが、特に心に残ったのが
『名を刻む死』
最後の太刀洗氏の主人公へ向けた言葉が印象的だった。
「田上良造は悪い人だから、ろくな死に方をしなかったのよ」
田上さんへの要らぬ罪悪感を持っている主人公へ向けた言葉。本当にその通りだがある意味、名を刻めた死だった。その意味に気付いた時鳥肌がたった。

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2023年12月24日

Posted by ブクログ

正確に書くと星3.9。
同じ登場人物の短編集。どの話もミステリーとして面白い。クオリティ高くて、さすが米澤さんと思う。
時系列はバラバラなのだが、それゆえに大刀洗さんの成長が感じられていい。

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2023年03月04日

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ネタバレ

太刀洗が事件に隠された真実を冷静に追い求めていく。今回の短編では前作と関連する登場人物が出てくる。正義漢で出てきたのは守屋なのかな?

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

表題作「真実の10メートル手前」は内容そのものよりもタイトルのセンス(や後半でわかるその由来)があ、良いな、とハッとした。内容としてはキャラ立ちがしてるな、くらいしか印象が無い…
★3.5くらい。

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2022年05月20日

Posted by ブクログ

ジャーナリスト太刀洗万智が事件を追っていく小説。米澤穂信の小説は何冊も読んでいてハズレがないが最高の感動や驚きもない。何となくの消化不良がまた溜まった。短編推理小説はこんなところだろうという軽さがしっくりこない。太刀洗万智の魅力も今ひとつの感じでこの前に当たるさよなら妖精を読もうとは思わない。作者の代表作である王様とサーカスには行ってもいいかしら。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

綱渡りの成功例だけ他のオムニバスで読んだことあった。太刀洗さん、シリーズものだったのか。しかもこれの前にもあるのか。
真摯なジャーナリストとしての太刀洗さんが出てくるけど、全編太刀洗さん目線ではなく毎度変わるバディ目線での語りだから、太刀洗さんが本当のところどんな葛藤を抱えているのかもっと知りたいと思った。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

女性ジャーナリストが自らの正義を貫く姿が目に焼き付く名作、太刀洗万智シリーズの短編集。

主人公であるジャーナリストが様々な事件事故の取材の中、独自の直観力と推理力で真相を見抜いていく。報道の意義や効果が何たるかを考えさせる傑作です。

全6編からなる短編集ですが、どれも読みごたえのある秀作。自分はタイトル名と同じく真実の10メートル手前が一番好きでした。少しずつ事実が垣間見えてくるとともに、ラスト10メートルの恐怖がリアルに伝わってきます。

ただ「王とサーカス」と比較してしまうと、テーマの1つであるジャーナリズムに対する主張というかイズム的なものがどうしても軽く感じられてしまいました。
また主人公のキャラクターは強烈ですが、他のキャラクターが今一つ生きていません。思想や経験に対するぶつかり合いなどをいれると、もっと血の通った深みのある物語になるかと思いました。

それでもいつもの米澤穂信作品のとおり、ミステリーとしては安心して読められる傑作でした!本シリーズの長編を期待します。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

単純なミステリーではなく、何をどうどういった形で伝えるのが正しい?か問う話で、とても考えさせられました。

特に「真実の10メートル手前」と、「ナイフを失われた思い出の中に」が好きです。

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2021年12月12日

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