【感想・ネタバレ】蚊遣り火―橋廻り同心・平七郎控のレビュー

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大阪出の店者の人情ある幸せとは

第2話「秋茜」は、蝋燭問屋播磨屋の主の自殺に係る投げ文が奉行所にあり、榊原奉行から依頼された平七郎が探索を始めるのである。
橋廻り同心、立花平七郎は旗本で火付盗賊改方の市岡勘解由の不正を調べることになった。
市岡は、その屋敷で賭博を開いては市井の人々を餌にしていた。なかでも市岡家と取引のある商人を賭博に誘っては大金を巻き上げ、やがて借金地獄に陥れ、自殺させたり、お店の沽券を奪うという極めて悪くどい事実が判明する。
平七郎は読売屋のおこうと辰吉などの仲間の助けを借りて証拠をつかみ、榊原奉行を通じて市岡を大目付に訴え成敗する。
他方、平七郎の下役の秀太が小名木川に架かる万年橋の袂で川に浮かんで息も絶え絶えの花輪糖売り男を助けた。
そして医者で介抱していると、五歳ぐらいの男の子が自分の父親だと名乗りがあり、花輪糖売りの与太郎だと名前が判った。大阪の米問屋の息子で、店を継ぐのにその才能があるかどうかを試されて、100両を渡されて旅に出されて江戸にやってきた。半年の期間内にどうしても商売を広げるような妙案が出なかった。やがて彼は疲れ果て生きる自信を失う。彼は郭に入り浸るが、そこで子持ちのおしかと知り合いになる。
残った有り金全てを果たいておしかを身請けして、子どもも一緒に暮らし始めるのだが、おしかの方は派手な暮らしを忘れられず家を出てしまう。このおしかの奉公先が市岡の屋敷だったことで、おしかも市岡の悪事に加担していたのだが、平七郎の説得など、また最後は子どもと与太郎への情けに絆されて元の鞘に無事収まるのである。与太郎は女房子どもと花輪糖売りで地道な商売を続けて暮らすのである。
この物語は非常に淡々としかも丁寧に話されていて、良い話しである。しかし与太郎の大阪への想い、郷愁はないのかどうなんだろうと少々浮かぶと同時に、それに触れていないことに少し物足りなさを感じる物語でもある。

#笑える #ほのぼの #切ない

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2022年03月02日

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