【感想・ネタバレ】仕事に効く教養としての「世界史」のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年02月25日


今回の題材は世界史ですが、教養という概念そのものに深さを感じました。
単にビジネスマンとしてこの世界史の事象を知っておいてください!という本ではなく、筆者本人がこの歴史に対してどう考えるのか?なぜなのか?
という一般解に対して、自分なりの回答を持っている点が素晴らしいです。

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Posted by ブクログ 2023年01月28日

素晴らしい。読むべき本。
歴史を見る切り口が新しくかつ納得性がある。
著者に各出版社が歴史書執筆の依頼をする理由がよくわかる。

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Posted by ブクログ 2022年12月13日

数年前の初読から久しぶりの再読。巷の西洋史観が真の姿ではない、という事を意識することで、新たな見方ができ、新鮮。また様々な出来事が、時代と地域を超えて繋がっていることに面白さを感じました。

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Posted by ブクログ 2020年08月27日

中国インドが昔栄えていたのは当然なのだが今の状況を見るとどうしても忘れてしまう。

昔からの各国をGDPで比べた表が面白かった。

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Posted by ブクログ 2020年08月26日

出口氏がこれまで、勉強されたた世界史をご自身の解釈も含めてまとまた作品。

中国、ヨーロッパ、アメリカなど、大凡今日に至るまでの過程を、交易、民族の移動を軸に記載している。

当たり前だが、今日の各国家の姿形、特性は、過去から脈々と受け継がれており、そこに至るまでの変遷は必ず外圧(他国)の影響を受け...続きを読むていることを改めて認識した。

最も印象に残ったのは、アヘン戦争を境に西洋と東洋の力が逆転し、以後今日に至るまで、西洋が世界のスタンダードという、史観が出来上がったという点。また、世界のGDP比率も当時ダントツでNo1であった清が西洋の支配を受け没落していくが、また近年、盛り返していることが興味深い。200年をかけて戻ってきたとも言える。

専門的な歴史書ではなく、学校教育で学んだ定点的なものとは異なるが、読み物として、網羅的に世界史をおさらいしたい方にお薦め。

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Posted by ブクログ 2020年05月24日

現代を理解する10の視点を世界史から読み解いた本。

本当の教養とは知識をただ覚えることでなく、身につけた知識をいかに活用するかにあります。

本書は世界史を通して、本当の教養とは何かを教えてくれます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年04月14日

高校時代に学んだ世界史とは全く違う観点からの世界史に引き込まれました。
終わりに、に書いてある
人生の出来事に一喜一憂するのではなく、長いスパンで物事を考え、たくましく生き抜いてほしい、そのためには、目前の現実にばかり心を奪われることなく自分のアンテナを高く広く張り巡らして勉強してほしい、
人間万事...続きを読む塞翁が馬、ラクあれば苦あり
をこの本に書かれてある膨大な歴史の流れから感じました。インドの紅茶の苗木が中国から盗まれたものであることは全く知りませんでした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年03月03日

言わずと知れた保険会の風雲児、出口さんの手からなる歴史本です。
氏の歴史への造詣の深さは昔から有名で、どのような内容にまとめられているのか興味があり、購入しました。

章立てもなかなか独特です。

 第1章:世界史から日本史だけを切り出せるだろうか
 第2章:歴史は、なぜ中国で発達したか
 第3章:...続きを読む神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
 第4章:中国を理解する四つの鍵
 第5章:キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について
 第6章:ドイツ、フランス、イングランドー三国は一緒に考えるとよくわかる
 第7章:交易の重要性ー地中海、ロンドン、ハンザ同盟、天才クビライ
 第8章:中央ユーラシアを駆け抜けたトゥルクマン
 第9章:アメリカとフランスの特異性ー人工国家と保守と革新
 第10章:アヘン戦争ー東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺
 終章 :世界史の視点から日本を眺めてみよう

東西をおさえてはいますが、一見して内容の網羅感はありません。
これは頁数の関係なのでしょう。

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本書の特徴は大きく2つあるように感じます。

1つは出口さん独特の歴史解釈です。
歴史の事象を額面通りに説明するのではなく、彼独自の解釈や視点から「実はこうだったんじゃないの」と随所で述べています。
例えばかの有名な三国志では、蜀の天才軍師・諸葛亮が幾度となく北伐(北魏への遠征)を実施する。
しかし国力でいうと、蜀を1とすると呉は2、魏に至っては4です。つまり諸葛亮は国力が4倍にも相当する魏にケンカを売っているわけで、勝ち目があるかはなはだ疑問です。当時の国民は度重なる軍役や増税で怨嗟の声を上げたことでしょう。
出口さんはこの諸葛亮の行為を
なぜこういうタイプの人物が生まれてくるかといえば(文書媒体の発達により)、後世で高く評価されるからこういう行動に出る

つまり木簡や紙の発明により歴史が「残るもの」となったことが、人々の行動を規定した可能性を述べるのです。これは面白い(本来の発想としては、歴史は「結果として」残るものであり、歴史に残ることが人々の行動を規定するとは考えない)。

もう一つは、歴史的に難解、あるいはこれまでの教科書ではな堅苦しいステレオタイプな説明に終始している歴史背景や経緯を、身近で分かりやすい表現で解説している点です。
例えば「第4章:中国を理解する四つの鍵」では、4つのポイントで中国の特徴を解説(多少無理やり感はあるがわかりやすい)。
その中の一つ、「諸子百家」の解説では、この思想群は対立していたのではなく、住み分けられていたと述べた上で、

**********
法家は霞が関、儒家はアジテーション、墨家は平和デモ、それを冷ややかに見ている知識人は道家
**********

と例えている。面白い表現で、かつわかりやすい。とても学校教科書ではお目にかかれない解説内容です。こういった、我々の足元まで下りてきて解説を行っている箇所が至る所にある。非常にわかりやすい内容になっています。

これら2つの点から、本書は歴史書としてはユニークで親しみ深いといえます。
そして何よりも出口さんの浩瀚な歴史知識に驚かされます。
(独特に解釈したり簡易な説明に変換できるのは、豊富な知識量と自ら考える姿勢のなせる業なのでしょう。)

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本書の初版は2014年なので読むのに今更の感があります。
それは個人的な好みの話が関係しています。

そもそも私は「仕事に効く・・・」的なタイトルをあまり好みません。
(例えば「ビジネスに活きる哲学」的なコンセプト、ああ、気持ち悪い。。。)
何らかのビジネススキルの伸長を目的に人文学を「応用する」という発想は邪道に感じます。
これら学問はビジネスを目的に考究されたわけではなく、その学問本来の意図や目的があるはずです。まずはそれを学ぶべきではないか。

本書を手に取った際も同様の感覚を覚えましたし、同時に「何がビジネスに効くのか?」という点が気になりました。
そしてあとがきを見ると以下のように書かれていました。

**********
ある生命保険会社に勤めていた時、子会社への出向を命じられました。(略)けれども、別に自分が不運だとは思いませんでした。
・・・
小さい時から歴史の本を読むのが好きでした。(略)歴史を見ると順調に出世するなんて奇跡に近いことです。(略)運や偶然に振り回されてむしろ当然なのです。
・・・
歴史を学ぶことが ”仕事に効く” のは、仕事をしていくうえでの具体的なノウハウが得られる、といった意味ではありません。負け戦をニヤリと受け止められるような、骨太の知性を身につけて欲しいという思いからでした。
**********

これを見て、本書を買おうと決めました。

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購入済み

素晴らしい歴史解釈本

2015年01月13日

この本に記載されていることが全て事実だとは思わない。というよりも、矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、歴史に事実なんてものは存在しないように思う。僕たちが中学や高校で学んできた歴史というのは多かれ少なかれ、誰か、特に歴史上の戦争の勝者によって捻じ曲げられた歴史なんだということを思い知りました...続きを読む。その捻じ曲がった歴史に対して、筆者なりの考え方で捻った部分を解いていくような本であるように思います。新しい発見がいろいろとあり斬新でした。

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Posted by ブクログ 2022年07月11日

歴史を「経緯」として見る考え方が自分には新鮮でした。単に事実として受け止めるのでなく、どうしてそうなったか考えるのは大切と分かりました。
また自分が考えるときの「スタンダード」が何になっているか意識してみようと思いました(日本独自の視点の場合があるため)

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Posted by ブクログ 2022年06月27日

これは世界史だけでなく、現代を理解する上で勉強になりますね。中央アジアの騎馬民族の興亡とヨーロッパの成り立ち、アヘン戦争による大国中国の没落、イギリスとフランスがほとんど兄弟国家のような関係なことがよくわかりました。
タイトル通り、仕事に効きそうな世界史の本ですね。

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Posted by ブクログ 2021年08月04日

単純に読み物として面白かった。世界史の授業ではサラッと流されていたことが詳しく説明されている。そうだったのか!と思うことが多かった。ただしサラサラと読むには、最低限、高校世界史は分かっていないと難しそう。

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Posted by ブクログ 2020年02月02日

世界史を、個別の国の歴史ではなく全体の歴史として見るのが大事だということ。
筆者の推測を交えて書かれている部分も多く、考察部分を直ちに鵜呑みにはしてはいけないが、コンセプトには同意できるし、読み物としても面白い。

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Posted by ブクログ 2019年06月12日

歴史の専門家でない、著者の過去に読んだ歴史書の積み重ねでここまで世界史の全体を捉えていることに脱帽です。世界史について細かくかつぶっちゃけトークで初心者にも腹落ちしやすい

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Posted by ブクログ 2018年12月09日

・BC500年頃に地球が暖かくなって、鉄器が広く普及したという事実はとても重要。
 高度成長期が世界規模でおとづれ、衣食が足りれば自ずと余裕も生まれる。
 ソクラテス、孔子、ブッダ、現代に名を残す偉人が一斉に現れた。BC500年頃。
・残りやすい記録媒体を使用していた文明は、長い歴史を刻んでいる。
...続きを読む 中国、中東→紙
・秦の始皇帝は天才。舗装道路も、大量の石材もない土の道路のため、車の車軸を統一し、同じ幅の轍で通れるようにした。
・日本人に天皇がいるように、人間は伝統や権威に弱い動物。
 アメリカで大統領が尊敬されるのは、伝統や象徴がないからあれだけ尊敬される。
・ヨーロッパの人は、アメリカの本質をよくわかっている。
 アメリカにはおだてて頑張ってもらうのが一番。あまり厳しく言うと閉じこもって引きこもってしまう。
 あるていどおだてて、出しゃばらない程度に世界の保安官をやってもらおうという姿勢。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

・BC500年頃…気候が暖かくなって、鉄器が広く普及した。偉人輩出:ソクラテス、孔子、ブッダ
・1077年カノッサの屈辱。ハインリヒ四世(皇帝)が、グレゴリウス七世(教皇)に謝罪
・十字軍は第一回(1096〜1099)のみ成功(教皇ウルバヌス二世)。セルジューク朝(パレスティナを選挙)がたまたま分裂...続きを読む状態だった。
・遊牧民族トゥルクマンの躍進(10世紀〜16世紀)
・フランス革命(1789年)。ルイ16世処刑、マリーアントワネット処刑。ロベスピエールが過激なジャコバン派を率いて登場

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Posted by ブクログ 2018年10月12日

ライフネット生命会長の出口氏による歴史エッセイ。

本書を書くために参照した本はない、ということで、参考文献の記載はなし。ということは、これだけのことがすらすら出てくるということか?博学。すごい。

世界史は中学で勉強しただけで苦手意識がある。地名、人名が覚えられないこと、イメージがつかないことがそ...続きを読むの理由。それと、地域が広大過ぎるので、つながりや前後関係がよくわからなくなるということも理由の一つだった。

本書では、その正確さは担保されないものの、他地域との関係なども踏まえた、大きなくくり、トピックスで説明されるので、とっつきやすかった。

ある事実とある事実の関係を自分なりに考えるという点が、仕事に効く、というタイトルの意味だろう。

世界史、勉強しなくちゃなと思う。

[more]
(目次)
はじめに なぜ歴史を学ぶのか

◆第1章 世界史から日本史だけを切り出せるだろうか
――ペリーが日本に来た本当の目的は何だろうか?
・いま求められている日本史の知識について
・奈良時代の女帝たちは「男性の中継ぎ」だったのか
・ポルトガル船が漂着したから、種子島に鉄砲が伝来したのか
・ペリーが日本にやってきた、本当の目的は何だったのか
・交易が、歴史の重要なキーワードである

◆第2章 歴史は、なぜ中国で発達したのか
――始皇帝が完成させた文書行政、孟子の革命思想
・文字が残る決め手は筆写材料にあった
・始皇帝が完成させた文書行政が歴史の発達を促進させた
・孟子の革命思想が、中国の歴史をさらに発達させた
・中国の神話に大洪水が出てくるのはなぜか
・歴史がきちんと残るのなら自分の名前を後世に残したい
・科挙という制度は、紙と印刷の存在で可能になった

◆第3章 神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
――キリスト教と仏教はいかにして誕生したのか
・本章でお話ししたいこと
・ドメスティケーションの最後が、神の誕生だった
・最後の審判という概念はどのようにして生まれたか
・直線の時間と、ぐるぐる回る時間がある
・善悪二元論が、生まれてきた理由
・キリスト教と仏教はいかにして生まれてきたのか
・ゾロアスター教の永遠の火

◆第4章 中国を理解する四つの鍵
――難解で大きな隣国を誤解なく知るために
・一つめの鍵は中華思想にある
・二つめの鍵は諸子百家にある
・三つめの鍵は、遊牧民と農耕民の対立と吸収の歴史
・最後の鍵は、始皇帝のグランドデザインにある

◆第5章 キリスト教とローマ教会、ローマ教皇について
――成り立ちと特徴を考えるとヨーロッパが見えてくる
・本章を設けた理由
・「カトリック」とは何を意味する言葉なのか
・キリスト教が、ローマ帝国の国教になるまで
・ローマ教会の、悪戦苦闘が始まる
・せめぎあいが続くドイツ王とローマ教皇
・叙任権闘争と贖宥状、聖年、宗教改革
・ローマ教会の持っている三つの大きな特徴

◆第6章 ドイツ、フランス、イングランド
――三国は一緒に考えるとよくわかる
・知っているようで知らない国々
・三つの主要国は、どのようにしてできたのか
・最初は強大だったドイツが、だんだん細分化されていくのはなぜか
・フランスと英国の成り立ちは一緒に考えると、わかりやすい
・英国に議会の伝統が生まれた理由
・百年戦争が英国とフランスをはっきり別の国にした
・ヴァイキングの人たちはもとは商人であった

◆第7章 交易の重要性
――地中海、ロンドン、ハンザ同盟、天才クビライ
・生態系と交易との関係
・交易の道は、東から西へ
・地中海の交易ルートを巡って栄えた都市、衰亡した都市
・ロンドンが海上交易の中心になっていく理由
・ハンザ同盟の技術革新、発展と盛衰
・東の交易圏
・ユーラシアの交易とシルクロード

◆第8章 中央ユーラシアを駆け抜けたトゥルクマン
――ヨーロッパが生まれる前の大活劇
・もう一つの遊牧民がいた
・ユーラシアの大草原に生まれた史上最強の遊牧民の話
・トゥルクマンとマムルーク
・トゥルクマンがつくった大王朝、セルジューク朝
・トゥルクマンの武力とペルシア人官僚の組み合わせがインドに大国をつくった
・騎馬軍団の前に歩兵と鉄砲が現われた
・ヨーロッパという概念は遊牧民の進出が止まって誕生した

◆第9章 アメリカとフランスの特異性
――人工国家と保守と革新
・初めに、日本人のアメリカ観について
・人間の当たり前の心情を断ち切って生まれた国がある
・アメリカを応援して影響を受けたフランス
・人工国家に対する反動として近代的保守主義が生まれた
・人工国家だから、思いがけないことが起きる
・特にアメリカの特異性について

◆第10章 アヘン戦争
――東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺
・英国がインドに抱いた野望
・英国はインドにアヘンをつくらせて中国に密輸した
・アヘン戦争の始まりと終わり
・たとえばアヘン戦争をGDPの変化で眺めてみる
・アヘン戦争から、歴史は西洋史観中心になってしまった

◆終章 世界史の視点から日本を眺めてみよう
・国と国家について
・国も人もピークがあり寿命がある
・なぜ、戦後の高度成長は生まれたのか
・週に一度でもいいから英字紙を読む
・日本の社会常識を、世界史の視点で考え直してみる

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Posted by ブクログ 2017年12月31日

今まで授業や日本のニュースで世界史で学んだことがすべて正しい見方である、と思うことが間違いだと思わされた。正しく認識するためには、世界の歴史や地理を理解し日本発信の情報だけに捉われないようにしなければいけない。

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Posted by ブクログ 2018年10月31日

西洋、中国、イスラム圏を中心に、歴史の要となるテーマを取り上げているような内容。鉄器の普及と思想家の誕生、テュルクの西方移動と支配の歴史、「保守」の思想が誕生した経緯、アヘン密輸に対峙した官僚が明治維新に与えた影響といった歴史のつながりがおもしろかった。

中国の周王朝は青銅器をつくって文字を書ける...続きを読む職人を囲い込み、貢物を持ってきた相手に贈った。BC770年に西周が滅ぶと、職人や書記たちが諸国に拡散したため、青銅器に書かれている内容を知ることによって周を崇めるようになり、これが中華思想となった。BC500年頃から始まる戦国時代に鉄器を使って山を切り開いたため、大洪水が起きるようになった。それ以前はサイやトラが棲む大森林があった。鉄器が普及して世界規模で高度成長期が訪れ、生活に余裕が生まれたため偉人も生まれた。法律に従って政治を行う法家、先祖を大切にしてまじめに生きることを唱える儒家、国土の荒廃や戦争を批判する墨家、何もしないで自然に任せろと説く老荘思想の道家などの諸子百家が登場した。秦の始皇帝は、自らの考えを全国に行きわたらせるために官僚を送って知事を任命し、文書を送って指示を出したため、文書が蓄積して歴史が発達した。

後漢が滅亡した後の五胡十六国時代を制した北魏は、鮮卑がつくった国だったため、鎮護国家色の強い大乗仏教を国教とすることによって中国を征服することを正当化した。

朱子学は、北宋時代の宋学を南宋の朱熹が集大成したもので、学問をして立派な人格を磨くことを説いた。大元ウルスの時代に科挙が廃止されたために職を失った知識人たちが崇めたために広まった。

古代ローマでは、ペルシャから来たミトラス教やエジプトから来たイシス教を信仰していた。冬至は太陽神のミトラスが死んで再び生まれる日として盛大にお祝いされた。イシスは大地母神で、我が子を膝に乗せて抱いている像が敬愛されていた。キリスト教の普及とともに、冬至の祝いがクリスマスになり、イシスの像が聖母マリア像になった。

イングランドは1016年にデンマーク出身のクヌートに占領され、フランスにも911年にノルマンディー公国ができた。気候のよい土地で人口が増えたため、南イタリアにノルマン・シチリア王国や、サンクトペテルブルクからネヴァ川を遡ってノヴゴロド公国やキエフ公国をつくった。「ルーシ」は元々スウェーデンのヴァイキングのこと。

現在のトルコ共和国は、552年に突厥のブミン・カガンが即位した日を建国記念日にしている。突厥はモンゴル高原からカスピ海に至る地域を200年ほど支配し、それを滅ぼした同じテュルク系のウイグルも100年ほど続いた後、西に移動してイスラム教に感化し、トゥルクマンと呼ばれるようになった。その時代に現在のウズベキスタンあたりを本拠としていたサーマーン朝の人々が、力の強いトゥルクマンの子どもたちを譲ってもらって戦士として育て、イスラム諸国にマムルークとして売られ、近衛軍の中核を担うようになった。10世紀末にテュルクの集団からセルジューク朝が生まれ、11世紀半ばにアッバース朝のカリフからスルタン(世俗の支配者)の称号を与えられた。行政はペルシア人の官僚が担った。セルジューク朝が勢力を広げて分裂した後には、ルーム・セルジューク朝などの王朝がトゥルクマンたちによってつくられた。13世紀末に生まれたオスマン朝は、勢力を伸ばすためにバルカン半島に進出してキリスト教徒の住民を鉄砲を持つ歩兵として育てた。1514年のチャルディラーンの戦いでは、鉄砲を持った歩兵のオスマン側が騎馬軍団に勝利し、これ以降トゥルクマンは歴史舞台から退場していった。インドのムガール帝国もトゥルクマンとペルシア人の官僚によって経営された国で、標準語のひとつであるウルドゥー語はヒンドゥー語とペルシア語が合成されたもの。

歴史を持たないアメリカは憲法の理念を国の礎にした。イギリスを同じ敵としてアメリカを支援したフランスもその影響を受けて革命に至った。イギリスのエドマンド・バークやフランスのトクヴィルは、人間の理性に対して懐疑的な立場から、社会に習慣として定着してきたものを少しずつ改良する「保守」の思想を唱えた。

イギリスによる中国へのアヘン密輸を取り締まるために、エリート官僚の林則徐は広東に向かう前に洋書を買いあさり、同行させた学者に内容を口述させて学んだ。アヘン戦争に敗れて罷免された林は、役立った洋書を翻訳することを学者に依頼して「海国図誌」が刊行され、佐久間象山や吉田松陰などの経典となった。ペリーの来日目的は、中国と直接交易する太平洋航路を開くための中継地を獲得することであるとアメリカの文書に明確に書かれている。

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Posted by ブクログ 2020年07月15日

教科書的な歴史の説明ではなく、出口さん自身が自分の頭で考えた、独自の歴史解釈がとても参考になるし、面白い。
定型的な歴史解釈では、誰が語っても同じ切り口になるけれど、それ自体が、西欧中心に作られた、ギリシア・ローマを起点とする物語のフレームワークの中にあるということは、新しい気づきだった。
今まで自...続きを読む分が知っていた世界史の流れというのは、それが唯一の真実であるかのように思ってしまっていたけれど、西欧以外の国のその視点から見れば、まったく違った解釈による歴史がいくらでも存在するのだということがよくわかる。

世界には、200近い国がありますが、その中で一番特異で例外的な国はアメリカとフランスだと思います。アメリカは世界で一番ユニークな人工国家であると同時に、地理的条件がこれほど恵まれた国もなく、歴史という縦の軸と横の軸が、これほど効果的に影響しあった例は、世界史上でもまれであると思います。
それ故、アメリカは普通の国ではなく、とても変わった国だというのがむしろ世界の常識ではないでしょうか。しかし戦後の日本人は、何となくこう考えてしまう。
「アメリカはすべての規範であり、アメリカこそが普通の国である」と。
アメリカの考え方には、たしかにグローバルスタンダード的な一面もあります。しかし、アメリカはとても変わっていて特異かつ例外的だということを、きちんと踏まえることがアメリカを理解するうえでは、必要だと思います。(p.272)

19世紀以降、歴史学は西洋で発達しました。そして西洋優位という力関係の中で、大英帝国やドイツやフランスで発達した歴史学を、われわれは世界史として学校で学んできたのです。その結果、世界史と言えば誰もが条件反射的に、ギリシア、ローマから始まる物語を連想するという刷り込みが行われ、現在に至っているのです。(p.318)

すこし角が立つ表現になりますが、日本の幸運は毛沢東のおかげです。もし蒋介石が北京に残っていて、共産党政権が成立していなかったら、アメリカは日本を歯牙にもかけなかった可能性があります。しかも毛沢東は長く生きたので、大躍進や文化大革命などを発動して、中国はなかなか立ち直ることができなかった。そのこともあって日本は、アジアにおける唯一の工業国として、繁栄を独占できたのです。(p.325)

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Posted by ブクログ 2023年08月18日

ライフネット生命の出口さんの本。

教養が足りない、歴史をきちんと勉強してこなかったコンプレックスもあり読んだ。

歴史を学ぶ、歴史が好きという人は、長いスパンで物事を考える力があり、ちょっとしたことで一喜一憂しない強さがあると思う。
先人たちから学び、歴史的な文脈から物事を考えられる。
日々勉強だ...続きを読む。教育は大切だ。

一方で、偏りのある人も多い印象。出口さんは保守派。
宗教の捉え方やアメリカに対しての考えはあまり共感できず。
ロシアの問題とかも、もっと歴史を学べば、意見をもてると思った。

過去の歴史をGDPから捉える、国民国家の幻想の話もおもしろかった。

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Posted by ブクログ 2023年03月21日

世界の歴史が繋がって分かる本。頭の片隅に残っている高校の世界史で出てくる人物や用語がたくさん出てくるけど覚える必要なく読み進めるのは楽しい。

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Posted by ブクログ 2023年02月05日

日本の今の現状が悪くなった訳では無く、平和で安定していた時代の方が稀であるという見方は衝撃的でした。

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Posted by ブクログ 2022年07月03日

きっかけ:仕事に効く、というタイトルに惹かれて

内容:著者による脚色や考えなども入っているかと思うが全体的にストーリー仕立てになっており読みやすかったです。 中学、高校で学んだ世界史の復習となりました。

今後のアクション:今まで世界史に苦手意識があったけど、この本のおかげで敷居が低くなりました。...続きを読む 写真などの資料集を今後読みたい。

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Posted by ブクログ 2020年02月10日

ヤコブがイエスの弟だった。13日の金曜日は1307年10月のテンプル騎士団一斉逮捕が原因で縁起が悪いとされたなど、知らなかったことが書かれていた。歴史というものは掘り下げれば掘り下げるほど面白いものだ。

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Posted by ブクログ 2018年12月22日

 「日本人ビジネスマンとして世界を相手にするには、世界史の歴史が大切」とのことで書かれた書籍。
 全体的に歴史エッセイとして読む分には軽くて読みやすいし、大まかな流れをつかむには良いと思う。
 ただ、述べられていることがどこまで学問的に正確かは少し疑問な点も。
 あくまでも著者の解釈として留めるのが...続きを読むベストと思われる。
 
 それでも「第9章 アメリカとフランスの特異性―人工国家と保守と革新」のアメリカへの洞察は興味深かった(あとはカトリック教はめずらしく『土地を持った』キリスト教で、それがイタリアをはじめとするヨーロッパの統合を妨げていたなど)。
 アメリカが歴史が浅い上に、土地への情愛等自然な感情ではなく、「理性」を崇めないと成り立たざるを得ない国家であること、結果「白黒」をはっきりさせたがり、イギリスがもちいている「グレー」さが乏しいこと、「大統領への尊敬」が大衆の「王室への敬意」につながっていること。
 なにより「そうかも」と思ったのは、アメリカの自然風土の特異性。どこへ行ってもそれなりに農業的に豊かで、鉱物資源が取れる。
 そもそもの発見はコロンブスだが、彼が疫病を持ち込んだため、先住民族はほぼ絶滅。なので、ピルグリムファーザーズが東に到着した頃にはそのような豊かな土地が、ほぼ手つかずであった。
 まずは東に到着したものたちは、一旗揚げようと頑張る。だが、そこで失敗しても更に豊かな土地が西に広がっている。2回目の土地で失敗しても、3回目、4回目のチャンスがある。この何度もリベンジを可能とする土地の特異性が、前述の「理性への信仰」とあいまって、今日の「アメリカンドリーム」の土壌になっているのではないか、という考察だった。
 
<感想>
 若干厳しめにいうと「素人っぽさ」をどこまで許容できるか?というのがこの本の評価の分かれ目のように感じる。
 もし、西洋人の内在倫理についてなら『コルプス・クリスティアヌム(corpus christianum = キリスト教共同体)』について言及している佐藤優氏の「はじめての宗教論 右巻~見えない世界の逆襲 」のほうがいいかなァ、と感じたり。
 「真剣に」というより「頭の体操」ぐらいで。

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Posted by ブクログ 2018年11月23日

世界史を標準的なテキストとは異なった多角的な視野でとらえる
既存の世界史観をこえて世の中の動きをフェアにとらえようとしている
読むためにはある程度の世界史の前提知識は必要

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

著名な保険業界経営者の著者の世界史解説本。

世界史を学び、負け戦をにやり受け止める骨太な知性を身につけ、小さな成功に舞い上がる幼さを捨て去るようにとのあとがきが読ませる。

戦後日本の高度経済成長、バブルは、世界史からみれば奇跡であり、現在それを懐かしむ風潮は間違っているとのまっとうな終章が身につ...続きを読むまされる。

明の鄭和艦隊、トュルクマン国家など日本歴史教育では触れないトピックスも目を引く。
米仏の人工国家という切り口も整理になる章である。
(どうでもいいが、前者は鉄血のオルフェンズのテイワーズの元ネタ)


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Posted by ブクログ 2018年10月24日

●歴史の見方。日本の歴史を知る上で、日本史のみを切り出して語るのでは視野が狭くなる。世界史の中の日本を見ることで、視点に多様性が生まれる。
●見方としては面白いが、「たぶん」や「思います」という書き方が多いところからわかるように、著者の知識に依って書かれているため、読むときはその点を留意すべき。

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Posted by ブクログ 2018年01月10日

読み物としての世界史教科書としては面白い。特に、クビライが導入した銀の大循環システムなどは一考の余地あり。
ユーラシア各地の王族に貢物の対価として銀(当時の共通通過)をばらまく→使い道を知らない王族は商人に投資する→商人は貴重品貿易で中国に銀を支払う→クビライが税徴収→それをばらまく…
また、西洋史...続きを読む観による「思い込み」を危惧するスタンスにも同意。

一方、あくまで作者個人の見解(本で読んだり、人から聞いたもの)で、信憑性に欠ける可能性は認識せねばならない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年03月06日

忙しくても読んじゃう、というほどは相性ではなかった。少し時間ができたら読もう。
201709再読。これって見方として新しいんだろうか。よく書けてると思う。
201803再読。流れのつくり方がうまいんだな。こうやって何回か読んでいくほうがいいのかもしれない。

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