感情タグBEST3
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表題作を含む短編3編。第二次大戦最後の1年が幻のように現れている東京が舞台の話、JR大塚駅周辺を舞台にかつて活躍したバンドの話、大塚の神社の話。話の設定と展開が巧みで爽快感(?)あり。面白い作家を知れた。
ランカウイの家の前庭にて。2019年の大晦日の午前中の読書。
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面白かったです。
生活、を感じました。人が生きている世界。
「ディレイ・エフェクト」の世界は体験してみたいです。幻の雪が降る中、炎上する東京……そしてこの世界、丁度今頃なのですね。
ディレイ・エフェクトはリバース・ディレイに変化したのですが(音楽の機材?は疎いのでこれがどういうのかはいまいちわからない…)、永遠に終戦の年を繰り返すのかな。。
「空蝉」はバンドの一生を垣間見ました。
「阿呆神社」は人物関係を掴むのにまごつきましたが、誰を守っているのか…が見えてくるとじーんとしました。神様も大変です。
宮内さん、これからも読んでいきたいです。
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とてもレベルの高い文学よりの短編集。過去と重なり合う世界の中で、家族を描く表題作もいいけど、個人的には解散したバンドを追う、若干ミステリー風味の空蝉が好み。長いバンド名が連呼されて笑える。この調子なら、どこかで芥川賞を取れるかな?
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短い文章で、ここまで読ませるのは素晴らしい。
世にも奇妙な物語みたいと言ってしまえばそれまでだが、プロット以上に語るものがある。
ちょっと泣かせるというか、哀愁漂う一冊。
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ある日突然太平洋戦争時代の風景が現代に重なるなんてSF的な設定が、自分の家だったらといった想像力を刺激する。物語はその過去の風景がメインではなくエッセンスとして主人公の夫婦生活や日常の出来事に添えてある。少しミステリ的な部分もあり楽しめる。
他2作品があるが、どちらも過去を振り返る事で今を解決している。
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ミステリではなく、文学でもない。これがSFかぁ、と感心した。面白かったね。芥川賞の候補にもなったそうな。三篇が収められていた。どの話も良かった。表題作はディレイというSF的な現象を扱っているんだけど、読後感はむしろ家族とか夫婦間の心の交流が残ったと思う。俺としては。真ん中の『空蝉』が一番ひきこまれたかな。しばらく小説の熱心な読者ではなく、新しい作家さんって手に取っていなかった。伊坂幸太郎や恩田陸といった、学生時代から読んでいる作家さんは今でも好きだけど、こういう今まで読んでいなかった作家さんにも、もっと触れるべきだと思った。この人の本はまた読みたいね。
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表題作は「午後の恐竜」を思わせながら、SFに音楽と技術と寂寥と哀悼で味付けをする作者らしさ。
「空蝉」栗本薫を思わせる破滅的青春群像。
「阿呆神社」大塚を舞台にしたノベルゲー「街」のような。
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純文の香り漂う三つの短編集。
宮内悠介が純文学だなぁ~と感じるのは、中高時代の三学期に駆け足で名称だけ学び、読んでみなきゃ判らんじゃないかと思った安倍公房とかと似た感想を持ったから。
シュールな純文はSFやオカルト好きでも楽しめちゃうし、文学の分野の垣根なんて低いもんだ
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読後感は良い。
たくさんのメッセージが詰められていた。空襲の現場を子供に見せるのは教育としてでも良くないとか、共同体では話し合うことが大事とか。
真木の存在は不思議な安心感があった。趣味が同じ他人が自分に興味を持って近づいてくる嬉しさ。書棚を見て「やっぱりニーチェあるじゃん」みたいな。
あと、ディレイ・エフェクトが起きた時に、社会にどういう影響があるかっていうのの描写の細かさ、良かった。動物園では戦時中に殺処分がされたらしいけど、時系列的にその出来事より後の出来事が再生されてるから、動物たちが殺処分をみて動揺することはないから安心、とか。
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宮内悠介のネームバリューに期待しすぎたかなぁ。
ちょっと肩すかし食らった感じ。
3作の短編を集めた1冊で、表題作はアイデアとトリックが良かったが、書き込みが薄いような気もした、せっかく公安が出張るなら、戦時下の特攻と絡めるとか、宮内さんの筆力なら描きこんで長編化もできたんじゃないかなぁ。
あと2作はおまけ?みたいなものかな。
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表題作は芥川賞候補作品。
太平洋戦争当時の過去が半透明に現れて現在と重なってしまった東京。こちらからは過去の出来事が見えるが、向こうからは感知されない。主人公の家には半透明なまだ幼い祖母とその両親が住んでいる。もうすぐやってくる昭和20年の下町空襲で曾祖母は焼け死んでしまうはずなのだが…
SF的な設定だがそこは深く突っ込まず、この特殊な状況下での人々の生活や心情を描いた話。中編なのが惜しい気がする。
他「空蝉」、「阿呆神社」を収録。
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色々なアイデアのある短編集。表題のディレイ・エフェクトが一番印象に残った。戦時中の過去が現実に同時進行しているという設定が面白い。バンドの話も風変わりで面白いが多少わかりづらい気もした。やっぱり独特な感性の作家さんなのだろうか。
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わざとそうしているようですが、話がわかり辛い。結末まで行っても、もやっとする感じです。他にも2つ話がありましたが、バンドの話が好きなのでしょうか。