【感想・ネタバレ】舞台の上のジャポニスム 演じられた幻想の<日本女性>のレビュー

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Posted by ブクログ

「幻想」には、着物をまとうことで、いまだ伝聞の世界の住人である日本女性に出会ってきたという意味が含まれているようだ。
読み進めていくと、従順で、当時の西洋の女性が捨て去ってきた封建的な女性像が集約された「日本女性」という侮蔑に満ちたイメージと同時に、その女性たちを表象する「着物」をまとうことにより、自身と周辺の世界を律するキリスト教的な規範から逸脱する当時のヨーロッパの人々が置かれていた状況にも思いをいたすことができるような気がする。
それにしても、日本女性をイメージした作品がこんなにあるとは知らなかった。それだけでも面白い本だった。

そういえば、いぜんコルセット風の衣装に「着物」という名前をつけた海外のアーティストが話題になっていた気がするが、「古い世界からの脱出」をイメージしていたのだろうか、とふと思ったりした。

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

 19世紀後半のパリにおける「日本」「日本人」の表象を含む舞台芸術(演劇やバレエ)の変容を通して、「ゲイシャ(芸者)」「ハラキリ(切腹)」に代表されるステロタイプな「日本」像が固定されるプロセスを追及している。著者は美術史家なので、舞台での視覚的表現の影響を重視しており、当時実際にどういう衣装で、どういう所作が為されたか、それらが聴衆にどのように受容されたか、劇場の上演記録や新聞の劇評記事を出来得る限り収集して、特に多くの挿絵やスケッチから舞台の再現を試みている。日本人側が西欧の聴衆に迎合することで、むしろ偏見を助長している側面を明らかにし、またナショナリズムの自己満足的に語られがちな美術界のジャポニズム像にも修正を迫っている。

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2019年12月23日

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