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Posted by ブクログ
著者はあえて「19世紀日本」という言い方を選び、「徳川時代後期・明治時代」と書かなかったのには、1868年の断絶にだけ目を向けず、19世紀日本が自らの文明観を育んできたからだという。そして、荻生徂徠、本居宣長、山片蟠桃、頼山陽、福沢諭吉、竹越與三郎らの思想家たちを通観していく。
個人的には最近読んだいくつかの論文のテーマがまさに重ねっており、興味深いものがあった。近世に萌芽する近代思想という視角は目新しいものではないが、本書のように非常に整理されていると改めて勉強になる。もちろん渡辺浩先生などの重要な先行研究が下敷きになっていることは強調するまでもないのだが。
その渡辺浩先生の今年6月に出た『明治革命・性・文明ー政治思想史の冒険』をまだ読み終わっていないという恥ずかしさよ・w
Posted by ブクログ
明治維新の前後、徳川時代から明治時代にいたる思想家を通観し、維新革命として、明治維新をひもとく。
明治維新は、偶然でなく必然であったと感じる。
Posted by ブクログ
難しい。
かなり歴史検証的な内容で論文を新書にした感じ。読みやすくわかりやすくしようとしていない。三浦瑠璃が面白かったと言ってたから読んだけど、知識が不足していてよくわからなかった。これだから歴史ものは
Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
・思想の歴史をたどることで、鎖国によって長年閉じられていた日本がどのように「開化」したのかを明らかにしている本。
2.よかった点を3〜5つ
・「和魂洋才」の罠(p22)
→なぜ「洋才」を欲したのか、富国強兵を目指したからというだけではなく別の理由があったというのは面白い。
・「民衆不在」の罠(p28)
→文明開化のただ中にいた大勢の人々は、文明開化を楽しみ、徳川の時代には抑え込まれていた欲望を発散していたという話は初めて聞いて面白い。
・現代人は学校で無理やりやらされる「お勉強」にあまりにも慣れすぎているので、人間の素朴な興味が学問に向かうという事態を想像しにくくなっている。 ・・・儒者の私塾で学問を学ぶことも自発的な知的欲求の現れだった。(p100)
→指摘のとおり、想像しにくくなっています。
・飢えに苦しむ農民というステレオタイプ(p115)
→事実ベースで見ればわかることだが、今までの歴史では語られなかったので興味深い。
3.参考にならなかった所(つっこみ所)
・第九章の「勢」はよくわからなかった。
・丸山眞男の「古層」は結局否定しているのか?
4.全体の感想・その他
・様々な資料を引用しており、かなり長期に渡る研究の結果ということがわかる。
・「維新」の名の由来は、本書の主題と外れていると思うが、興味深かった。