【感想・ネタバレ】バナナのレビュー

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ネタバレ

お気に入りの散歩ルートにある移情閣。傍らの石碑に本作の一節が彫り込まれており興味を持った。バナナの輸入とシャンソンと美食。移情閣を建てた実在の人物・呉錦堂と同じ姓を持つ台湾華僑の一家。お金持ちで家族仲は良好だが、それぞれちょっとした秘密を抱え、それが妙な具合に絡み合う。天童さん。息子・龍馬のために行動しつつも美食家としての矜持は外さない。余韻が残り、とてもよかった。レトロでポップな物語。

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2023年06月17日

Posted by ブクログ

さすが獅子文六!
読み始めるとテンポよく物事が進んでゆく。

えーー!と言うラストで、
思わず次ページをめくってまた戻した!

時代背景と、この時代を生きた人々の思想、
またバナナの面白さと、
シャンソンから、外車、バー…
出てくるもの全てが魅力的。

中でも料理、食べ物が美味しそうなものばかり…

お腹を空かせて、天童さんのオススメのお店を訪れてみたい。

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2020年05月03日

Posted by ブクログ

降りる駅を乗り過ごすくらい一気読みできた作品。
時代は全然違うのに共感できる部分があるのが不思議。
出てくる人に悪者がいないので安心して読めるのに、間延びしない展開。

獅子文六さんは外れがない。

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2019年03月17日

Posted by ブクログ

商材がバナナって?と思いながら読み進めるといつも通り、
最後までノンストップで読んでしまう面白さ。世の中イロイロ変わっていくけれど、人の心のあり方はあまり変わらない。それは家族関係、男女の仲、仕事に対する考え方など全てに言える。帯にある通り、レトロ&ポップな小説でした。

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2018年02月10日

Posted by ブクログ

城山三郎の「毎日が日曜日」と言い、読売新聞の連載小説は楽しかったんだなと思う。男子が美男でない、女子も特に美人でないのが良い!!心がある小説。

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2017年11月07日

Posted by ブクログ

昭和30年代の日本を舞台に台湾出身の父、日本人の母、その2人の息子の、いわゆるホームドラマ的なお話。最初は中国台湾の当時の実情やその他の説明が多くてちょっと読みづらいところもありましたが…母がシャンソンにハマって若いツバメによろめきそうな辺りからおもしろくなってきました!息子の恋愛事情や、悪役の暗躍、当時の世相も色あせなくて、やっぱり獅子文六さんはおもしろいです☆ビバ昭和☆

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2020年01月30日

Posted by ブクログ

あとがきで著者は登場人物が話す中国語について触れている。締めくくりの一文が↓

台湾の人や、中国語をよく知っている人には、滑稽であろうが、私には、北京語も、広東語も、台湾語も、問題ではなく、ワンタン、シューマイ的中国語で、事足りているのである。

獅子文六、何気ないあとがきのこんな一文でさえ好きだなー、と思った。

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2019年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんてオシャレなんだろう。第一印象はそれだった。
 文体というか、当時の言葉づかいというか、粋でもなくモダンというわけではないが、なにやら遠い記憶の、さらに向うのほう、幼いころの憧れていた雰囲気がそこにある。当時の世相、庶民の生活が垣間見れて面白い。

 物語の舞台は昭和30年代。昭和が元気で賑やかだった頃。
 台湾華僑の家族を中心に、バナナの輸入とシャンソンの話題を軸に、お茶の間ドラマ的なドタバタ喜劇がテンポよく繰り広げられる。お話として罪もなく、大事件もなにも起こらないが、遠く過ぎ去った50年前の庶民の暮しが目の前に甦る感覚が心地よい。言葉づかいや、ファッション、世相なんてものも、資料で見るより生々しく眼前に浮かび上がるようで実に面白い。例えば、主人公の見た目は、こうだ。

「近頃の若い者には珍しく、頭を坊主刈りにしているが、黒と赤のV字襟の白いスエーターを着ているところは、皇太子さんや、石原裕次郎と同様である。」

 言葉づかいは女性のほうに顕著だ。

「まア、いけないわ、あんな奴と、ランデ・ヴウなさったりしちゃ・・・」

 小津映画の原節子が喋っていそうな感じだが、そういえば当時、東京、横浜にいた親戚のオバさん達は、そんな喋り方をしていたような気もする。

 大学生の龍馬は車が欲しくて資金が必要。ガールフレンド、サキ子はシャンソン歌手としてデビューしたい。台湾華僑の親戚がバナナの輸入ライセンスを持っていて、そこに青果仲買人のサキ子の父の思惑がからみ、結末に向けて登場人物の誰しもが思わぬ形で関わってくる様が、ある意味コント的でもあるけども、喜劇を見るようで、なんとも平和なのであった。

 登場人物としては、サキ子が面白い。考え方が当時としては先進的だったのだろう。

「良人と妻が、対等の経済力を持つことで、新しい夫婦生活が成立するんだわ。だから、あたし、龍馬さんと一緒に、バナナ輸入を始めて、もう、ずいぶん儲けましたの。後、何年かすると、龍馬さんが輸入会社の社長になって、あたしが専務になる見通しも、立っているの。そうなったら、すばらしい夫婦が、できあがるじゃないの。その時に、あたしは龍馬さんにプロポーズしようと、考えていたんですわ・・・」

 当時のウーマン・リヴの流行もあったか、巡り巡って半世紀経った今、女性の地位向上にかまびすしい世相に符合する不思議さがある。台湾の大商人の血を曳くという龍馬より、よほどソロバン勘定もしっかりしていて商魂逞しいところも面白いのだった。

 そして、最後、物語を締めくくるのは、意外や龍馬の父親呉天童。ずっとダメ親父、食道楽として描かれ昼行燈然として、物語の大半を過ごすが、一家の長、一族の代表として泰然と処するところが、いかにも昭和なのかもしれない。
 龍馬にサキ子、サキ子の父貞造、天童の嫁紀伊子、シャンソン周りの芸能関係者にバナナ商人たちがあれこれ右往左往はするが、実は大石内蔵助的な呉天童の物語だったのかもしれないというドッシリとした作品だった。

 獅子文六、復刻文庫で続けて読んでみよう。

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2019年09月19日

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