【感想・ネタバレ】目を擦る女のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

―――この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作
物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵Σ」
無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥穽「予め決定されている明日」ほか
冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける、邪悪な7つの罠。


小林泰三の短編集

私たちが常識として受け入れ、小指の甘皮ほども
疑いを入れない考えに

「ほんまに?」

と問いを投げかけ、足下をおぼつかなくさせる。

ハードSF、ミステリ、ホラー
どれも「いけるクチ」の人に読んでもらいたい

この中では、やっぱり『未公開実験』が一番面白かったな
不確定性原理とか量子力学もそやけど
やっぱ、ターイムマスィーーンやね笑”

あと、解説の
「淡々としていながら読者をたちまち関節の外れた世界へと誘う」
ってのがしっくりきて好きやな

0
2012年12月30日

Posted by ブクログ

「目を擦る女」は好きなジャンルだと思って読んだら、乗り切れない自分に驚いた(笑)。
映画ならホラー≧SFなのに、読書だとSF>ホラーな自分の好みを再認識。
「Σ」「脳食い」「未公開実験」「予め決定〜」はすべて仮想世界をうまく取り入れた作品。それぞれに違った論理性があり、どれも甲乙つけがたい秀作。

「刻印」はファーストコンタクトもの、なのか?なんかもう凄い(笑)。

そして白眉は「空からの風が止む時」。堀晃か小川一水しか書けないようなハードSF。読まずに死んでたら悔やんだであろう圧倒的傑作。

90点(100点満点)。

0
2012年09月18日

Posted by ブクログ

「その数字は君が計算して初めて存在するのだろうか?
それとも、計算する前にすでに存在しているのだろうか?」

(超限探偵Σ/脳喰い/空からの風が止む時/刻印/未公開実験/予め決定されている明日)

0
2012年02月27日

Posted by ブクログ

ハードSFからホラーまで、彩り豊かな短編集。「超限探偵Σ」には誰もが脱帽することだろう。「未公開実験」は他の作品とリンクしていて面白い。ターイムマスィ――ン!

0
2011年11月26日

Posted by ブクログ

どれもこれも、小林泰三色が濃く出てて、ファンとしては美味しい一冊。
あぁっ、もう大好きなんです。小林ワールド。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

短編7作すべてにはずれがまったくなく、すべてが最高に面白い。

『目を擦る女』
ある女性が、引っ越してきた隣に住む女に、「この世界は自分が見ている夢だから、自分が目覚めると消えてしまう。現実の世界は酷い有様になっている。」とおかしなことを言われ、現実と夢との区別がつかなくなっていく。
女が現と夢の両方の世界に対して、感想を述べるような場面があるのだが、両方に共通した評価がひとつだけあった。これに気づいた瞬間、物凄く怖くなった。

『超限探偵Σ』
探偵の友人の視点で描かれるミステリー。
そして、読み終わるとこの話がミステリーではなかったことに気づく。
そんなのありか?とも思える話を非常に面白く描いてあってすばらしいと思った。

『脳喰い』
エイリアンとの接触を描いたSF。
最強のエイリアンに立ち向かう主人公たちの結末は、《心底恐ろしいと感じるハッピーエンド》

『空からの風が止む時』
前半が重力が減少し始めた土地でのファンタジー。
そして、後半はSFなのだが、このファンタジーとSFとの繋がりが非常に興味深く、よく考えられていた。

『刻印』
地球にやってきた体長2メートルの蚊型エイリアン(雌)と人間の男との純愛小説。
結末にはSFらしさが見られるが、これはあくまで純愛小説だと思う。

『未公開実験』
タイムトラベルを実現した男が友人に、〈ターイムマスィ〜ン〉を発案したことを理解させようとして、ある悲劇に見舞われてしまうコメディ。
この作品の会話は非常に面白い。その笑えるSFコメディの結末は恐ろしかった。

『予め決定されている明日』
読むと、私たちが生活している世界が3次元であることの理由として考えられるひとつの仮定を見出すことができるのではないだろうか。
通常はコンピュータを使う必要のある演算を算盤を用いて計算させられる理由は何なのか、、、

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

SFというととっつきにくいという人もいそうだが、「世にも奇妙な物語」が好きな人ならハマりそう。細かい理論は置いておいて、悪夢のような世界観と構成の妙を楽しむのがよい作品。個人的には「刻印」「予め決定されている明日」が好き。

0
2018年09月25日

Posted by ブクログ

SFとホラーとが絶妙に融合した短篇集。大半が〇〇ネタではあるものの、それぞれを異なった手法で料理してみせるのはさすが。次から次へと登場するアレなキャラクターたちのイカレっぷりも愉しい。
お気に入りは表題作、「未公開実験」「予め決定された明日」かな。

0
2011年11月01日

Posted by ブクログ

素材はSF的なのですが、ホラーらしい生々しさが満ちていて、新鮮に感じました。個人的にはSF色の強い「空からの風が止むとき」「未公開実験」が良かったです。

0
2011年09月29日

Posted by ブクログ

「わたしが目を覚まさないように気をつけて」隣室に棲む土気色の肌の女は言った。指の付け根で目を擦りながら――この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作、物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵?煤v、無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥そう「予め決定されている明日」ほか、冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける邪悪な七つの罠。(裏表紙より)

宇宙船クラーク号乗組員・西山下腕彦はドッキングした有人基地A3の内部で頭部を切り離された五人の男女の死体を見つける。その中には喧嘩別れしたままの頭角河子がいたのだ。「脳食い」
空から吹く風の正体に興味を馳せていたオトは、計算の結果、自分の世界の重力が衰退していっていることに気付く。「空からの風が止む時」
日本にエイリアンが現れたというニュースを見た直後、トイレのドアを開けると、そこには等身大の蚊がいた。言葉の通じない“彼女”を蚊子と名付けてみたものの……。「刻印」
古くからの友人・丸鋸遁吉に呼び出され、向かった“わたし”と鰒(あわび)と碇の三人は、丸鋸に発明品を見せられる。その名もターイムマスィーーン。丸鋸は両手で奇妙なポーズをとった。「未公開実験」


・「目を擦る女」
夢と現実が混在する作品は多数見受けられるが、慄然と逆転させているのが新鮮だった。

・「超限探偵?煤v
内容的に前編後編に分かれている。核シェルターの事件で、〇オチを使っておいて、地中の棺の事件では〇想〇実とは。笑かしてくれる。

・「脳食い」
異形コレクション『夢魔』収録作。夢を食うのは獏だが、こちらは脳を食う猿と蛙の中間形である。『ソラリス』を彷彿とさせる、ただのファーストコンタクトあるいは宇宙パニックものではないところが憎いし、怖い。

・「空からの風が止む時」
本作では、浮いた感じのSF作品。ホラーではないが、あっさりとしたラストの反転に出る作者の人の悪さが胸に残る。

・「刻印」
個人的ベスト。
蚊=〇〇鬼のリンクは奇抜ではないが、映画『タイムマシン』の切なさを思わせる純愛が重なれば、仰天せざるを得ない。

・「未公開実験」
ネタは珍しくない。白眉はターイムマスィーーンに尽きる。わたしはポーズを(ry

・「予め決定されている明日」
算盤計算で構築された仮想世界て(笑)
なんとなく藤子不二雄の世界観を想起させた。しかし、ラストは(苦笑)


作者は天才。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

仮想現実な短編集って聞いて読み始めたけど、ちゃんと読んでないと夢オチとの違いが分からず、行ったり来たりしてしまった。まあでも、話自体は面白かったかな。久しぶりに小説読んだ気がした。

0
2018年11月28日

Posted by ブクログ

 表題作のほか「超限探偵Σ」「脳喰い」「空からの風が止む時」「刻印」「未公開実験」「予め決定されている明日」の計7編を収録。「夢」や仮想現実をモチーフにしたSF短編集。どれも変化球が仕込んであって、読み手の想像の「斜め上」のオチがある。

0
2017年01月05日

Posted by ブクログ

2015年、20冊目は小林泰三のSF(?)短編集。全七編。

現在は入手困難な1冊。実際は数編差し替えて、同じくハヤカワ文庫から『見晴らしのいい密室』として出てるらしいです。自分はBOOK・OFFの¥108コーナーで入手。

今回のお気に入りは「刻印」がベスト。SF的設定ではあるが、小難しい理論少な目で、普通にホラーの短編に納められてても通用すると思える作品。大オチは、らしさ全開。

次いで表題作「目を擦る女」。コレもホラー短編集に納められてても通用しそうな感じ。

「未公開実験」は、氏のコミカルな面が出てて好き。登場する四人の会話回しもイイ。理論的な部分は、正確には、半分も理解してないだろうけど……。そして、『家に棲むもの』収録の「肉」、『大きな森の小さな密室』収録の「正直者の逆説」「遺体の代弁者」へと繋がっていく。

「脳喰い」は小林泰三、お得意の時間軸を、前後させながら、物語を収束させていくパターンのSFホラー(?)。


「空からの風が止む時」はこの中だと、比較的オーソドックスな部類のSF。しかし、オトの父は結局……?この大オチはチョット予想出来なかった。

以下二編は少々、ネタバレ的だが、上位概念、ヴァーチャルオチ。

「予め決定されている明日」はデジタルの裏側を超アナログで描く設定+ヴァーチャルオチで特に目新しさはない。しかし、読後感は(肯定的に)良くない。

「超限探偵Σ」。コレは正直、ごめんなさい。ミステリーとして、コレはやっちゃいかんでしょう。

SFもあまり得意ではないジャンルだが、なかなか楽しめた。

★★★★☆の評は結構甘め。

0
2015年04月16日

Posted by ブクログ

ホラーバカに「あれ、SFっていいかも。。。」と思わせてくれました。ただちょっと二足の草鞋は否めないでしょうか。。。

0
2014年12月08日

Posted by ブクログ

“「馬鹿な。君はわれわれが架空世界の住人だと言うつもりなのか?」
「架空ではなく仮想です」Σは冷静に訂正した後、宙に向かって叫んだ。「さあ、正体を現すがいい。われわれを監視しているのはわかっているんだ」
「おい。いったい何を言い出すんだ?」警部の顔が青くなった。
「今回の現象がエラーによるものだとは思えません。不合理なことが出鱈目に起きているのではなく、ある種のシナリオにそって密室殺人が行われたように見えます。つまり、誰かがこの仮想現実に干渉して演出しているはずです。そして、そのようなことをした人物がその事件に関与する者を観察するのは自然なことです」
Σの言葉は一見荒唐無稽のように思える。しかし、それが現状を説明し得る唯一の仮説であることも確かだ。論理は完璧で一分の隙もない。わたしはあらためてΣの推理力に感服した。”[P.71_超限探偵Σ]

「目を擦る女」
「超限探偵Σ」
「脳喰い」
「空からの風が止む時」
「刻印」
「未公開実験」
「予め決定されている明日」

「刻印」の最初のドアのやりとりでちょっと笑ってたら恋愛ものに発展して驚いた。オチもしっくりきてよかった。
あと、「未公開実験」の終わり方最高。

“そういえば、今まで部屋の鍵を掛けたことがなかった。一人暮らしだし、金目のものもないので、外出する時もいつも開けっ放しだ。普段はそれでも平気なのだが、事件の現場がすぐ近くらしいこともあって、少し心配になってきた。
僕は玄関とベランダの鍵を掛けた。部屋の鍵はこれだけ。簡単なものだ。いや。待て。トイレにも窓があったはずだ。小さくて人間なら入れないだろうが、エイリアンはどうだろうか?いちおう閉じておいたほうが無難だろう。僕はトイレのドアを開けた。
トイレの中に等身大の蚊がいた。
僕はすぐさまドアを閉じた。ゆっくりと深呼吸をする。”[P.170_刻印]

0
2014年09月06日

Posted by ブクログ

汁物ホラーからハードSF、コミカルな物まで、どれも非常に書き込んであり読みごたえのある短編集。でも、正直あんまり好みじゃないかも。
解説にも有りましたが「未公開実験」あたりは舞台でやったらホント面白そう。見に行く見に行く。

0
2013年04月26日

Posted by ブクログ

ホラーやミステリ、SFと多彩な短編集。めちゃくちゃ面白いというわけではないが、文体は読み易くリズムがあり、忘れられない独特さがある。
解説を読むまで「泰三」の読みが「たいぞう」だと思ってた。

0
2012年08月04日

Posted by ブクログ

ひんまがったSF小説。
今回は日常の中の非日常じゃなくて、そもそも非日常が前提の世界で起こる非条理の物語。

「未公開実験」はもはやコメディだわ。
タイムマシィーーーンには笑った!んで、次の一節「どうでもいいけど、仮想世界ネタばっかりだと、そのうちに飽きられるぞ」…自嘲かよ!

でも「予め決定されている明日」の結末が悲惨すぎて、寒気した。

0
2011年03月06日

Posted by ブクログ

ホラー短編集で七作収録。全体的に実はこの世界は外からシュミレートされていて…みたいな仮想現実オチが多くてちょっと、微妙…。「刻印」だけはもう素晴らしいですね。最初ギャグかと思ったけど。「脳喰い」のグロい描写は待ってましたって感じでしたw

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

短編集。
といっても、小林泰三の作品のほとんどは短編にカテゴリ作品が属すけどね。
本作品には7つもの短編が収録されていて、そのそれぞれの作品にただただ魅了された。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

小林泰三が意外にSFだったのは発見。ただ落ちがみんな仮想現実・・・みたいな感じはどうか?
なんかちょっと雰囲気的にも古くさい。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

短編集なので、作品ごとにコメントしようかと思ったけど、敢えてまとめる。
理由は一つの作品にコメントすることよりも、この本全体について語る方が有益に思えるから。
なぜなら、全体的に醸し出す雰囲気こそが小林泰三であり、一つ一つの作品はどれもイマイチ。
期待してたんだけど少々残念だ。
収録作品は以下の通り
◇「目を擦る女」
◇「超限探偵Σ」
◇「脳喰い」
◇「空からの風が止む時」
◇「刻印」
◇「未公開実験」
◇「予め予定されている明日」

個人的には「未公開実験」と「予め予定されてる明日」が良かったが、締めが弱い。
その作品も独創的な世界観は圧巻だが、それを伝えるに文章が弱い。

ドコまで現実世界とダブらせて読むべきなのか、それが非常に曖昧になっている。
ま、そこが面白さであり、常識を覆すのではなく、常識を歪めて見せる本作の面白さなのかも知れない。

0
2009年10月04日

「SF・ファンタジー」ランキング