【感想・ネタバレ】シロアリ 女王様、その手がありましたか!のレビュー

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社会性昆虫

研究スタイル

蜂とシロアリは異なる遺伝様式

女王と王がいる

文化全能性のあるワーカーが働く

分業制は齢によって変化する

女王は単為生殖できる

二次女王が単為生殖により生まれる
遺伝的に女王の遺伝子型のどちらかをホモで持っている。

フェロモンにより女王の数、卵の数が管理されている。

形態や匂いで卵に擬態した菌類がいる





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2024年04月11日

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大学の学科の、というか研究室の同期の松浦君の本。すでに出身研究室の教授になっている完璧超人な彼だが、この本は熱い。すごくいい。

すでにこの分野を離れた自分だけど、彼の業績については折々耳にしていた。どの業績をとってもそれだけで圧倒的なんだけど、そんなものがいくつも出てきて、しかも一般向けにわかりやすく書かれている。稀有な一冊。

この本読んだらちょっと近くの林に行ってシロアリ探したくなると思う。文句なく★5つ。あとがきの最後も泣ける。

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2019年01月20日

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これはとてもいい本です!
子どもにも読んでほしい。(小学生には難しいかな。)
科学の楽しさが本当によく伝わってきます。
最後の解説が心に響きました。


メモ
ターマイトボールZ!
オオハリアリ
互恵的利他行動説
間接的相互性
ミーム

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2015年06月12日

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シロアリの社会って知っているようでアリとごっちゃになっていたことがわかった。創設女王が分身をつくって代替わりするとは・・・。しかし子どもを埋めなくなったらワーカーに食われてしまうところはハチと同じで、女王と言うより自力で何もできない産卵マシーンのイメージだ。
シロアリ採集はノコギリやら斧やら持っていかにもあやしくなるので、職務質問に会う話、似たような状況にある生物研究者としてよくわかる。

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2021年06月17日

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シロアリの知られざる生態について、第一線の研究者が簡潔かつ面白く記述。
シロアリは、ゴキブリと近く、アリが羽の落ちたハチだとするとシロアリは社会性の極めて発達したゴキブリ。ありとは違い幼生のまま大きくなるため、よく見ると見かけの凶暴さも薄い。社会は、創設王/創設女王/二次王/二次女王/ニンフ/兵アリ/ワーカーに区分される。春先にニンフが羽蟻となって既存の巣から新設の巣を設立するため飛び立つが、ほとんどが死んでしまう。そこからつがいになって巣を作る。女王は単為生殖によりクローン(二次女王)を作って、巣を大きくすることをサポートするが創設王は何年も生き(30年くらいは可能らしい)巣の寿命を決定する要因となる。羽蟻は外に出るためメラニンがあり黒い。

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2013年05月25日

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ネタバレ

チェック項目28箇所。この本は魅惑のシロアリワールドを紹介するものだ、退治にとりかかる前に、生物としてのシロアリの本当の姿を知ってほしい。「白蟻」だからアリかと誤解されやすいが、アリとシロアリは分類上は全くちがう昆虫だ、アリはミツバチやスズメバチなどハチに近いのに対し、シロアリはむしろゴキブリに近い、簡単に言えば、アリは翅をなくしたハチであり、シロアリは社会性を高度に発達させたゴキブリなのだ。日本はシロアリの分布の北限で、シロアリのほとんどは熱帯や亜熱帯にいる、そのうち、人間に多少とも被害をもたらす種はほんの100種足らず、大部分は、枯れた植物を分解することで、生態系の物質循環に大きな役割を果たしている、ハチ目昆虫のオスは母巣を飛び立ってメスとの交尾を終えるとすぐに死んでしまい、メスのみでコロニーが創設される、しかし、シロアリのコロニーは基本的に一夫一妻で創設される、つまり、アリやハチの巣には繁殖虫として女王のみがいるのに対し、シロアリの巣には王と女王が存在する、シロアリのコロニーではワーカーや兵アリも基本的にはオスとメスの両方の姓で構成されている。ハチ・アリの社会は女性社会、シロアリの社会は男女共同参画社会である。シロアリの社会は、構成員のほとんどが発生学的には幼虫である、したがって、現在の役割が確定的なものではなく、将来、今とは別の役割につく可能性、つまり「分化全能性」を残している、たとえば、多くの下等シロアリでは、ワーカーから女王になったり、羽アリになる予定だったニンフが羽アリになるのをやめて巣に残り、王や女王の繁殖を引き継いだりすることもできる。シロアリでも巣を飛び立つ羽アリだけはちゃんと黒い、羽アリは外皮にメラニンという黒い色素をもっているが、ワーカーはその色素をほとんどもっていない、白いというより、スケルトンなのだ。メラニンだってただではない、実はメラニンはチロシンという、シロアリにとっては貴重なアミノ酸を材料にしてつくられるので、とても高価なものだ、つくらなくて済むなら、そのコストをほかに回せる分だけお得である。シロアリは何と最長で12日間も水の中で行き続けたのだ、空気だけ送り込んでも3日は生きられる。ヤマトシロアリ……5月初旬から下旬にかけて、羽アリは出会いを求めて一斉に飛び立つ、飛び立った羽アリが無事に新たな巣を創設できる確率は、大ざっぱにいって何万分の一という話だ、そうでなければ、世の中がシロアリで溢れかえってしまう。羽アリにとって巣を飛び立つことは、ほとんどの場合、死を意味するのだ、かわいそうな羽アリたちは、飛び立った直後から次々と鳥に捕食されていく。いったん羽アリになったら最後、巣にとどまることは許されない、一切に群飛するタイミングで巣を飛び立たなかった弱気(?)な羽アリは、なんと巣の中ですべてワーカーの攻撃を受けて殺されることになる。実は昆虫の中には同性同士の性行動が観察されているものが珍しくない、こうした現象のほとんどは、異性が全くいないなど特殊な状況下でのごくまれなできごと、あるいは性の誤認による異常行動だと考えられている。翅を捨てたシロアリが地上を歩行している間は、アリに捕食されるリスクがきわめて高い、しかし、アリは一度に一個体しか捕らえることができないため、二個体でタンデム歩行すれば、アリと遭遇しても、どちらか一方は捕食を免れることができる。単独のメスはオスを求めて歩き続けるが、どうしてもオスが見つからない場合は、一匹で巣づくりを開始した、オスの存在しない二匹のメスのペアやメス一匹だけの巣でも卵が産まれ、その卵から正常に幼虫が孵化して発育したのだ。万一、病気で死亡した個体があった場合には、シロアリたちはそれ以上巣内に病気を蔓延させないよう、抗菌物質を含ませた巣材で塗り固めた「お墓」をつくって入念に埋葬する。四匹のメスで創設を開始させると、二匹のメスだけが生き残り、あとの二匹は殺される、一匹パートナーさえいれば、余計な競争者を残すようなことはしないのだ、あるいは二雌ペアに、一匹のオスを加えてみるとどうなるか、あっという間に雌雄ペアができあがり、あぶれたメスは死んでしまう。ヤマトシロアリのコロニーの中で最大のものは、一匹の王に対して676匹の女王を保有していた、これは最大と言われているゾウアザラシのハーレムをはるかに凌ぐ大きさで、筆者の知る限り自然界で最大のハーレムである。遺伝子解析の結果……二次女王たちは創設王の遺伝子を全くもっていなかった、つまり創設王の娘ではなかった、彼女らは、創設女王が単為生殖で産んだ娘たち、すなわち創設女王の分身だったのだ! 王様を取り巻く大勢の美女たちは、遺伝子的にはただ一匹の妻と同じだったのだ。若い二次女王が分化した後、高齢の創設女王はその役目を終え、生きながらワーカーに食べられ、子どもたちの栄養となって消えていく、彼女は個体としてその生を終えても、遺伝的には不死身なのだ。野外の巨大コロニーの王は、どんなに短く見積もっても30年以上は生きているだろう、昆虫の年齢の特定技術が確立されれば、想像を超えた世界が見えてくるかもしれない。女王はソーセージのような大きさになり、中国では万病に効く高価な薬として一匹が100米ドル以上するそうだ、食べると香ばしくタラコのような味でなかなかの美味なのだとか。アリやシロアリのように地中や木材の中に営巣する昆虫では、巣の中で視覚は使えない、そもそもシロアリの多くの種では、ワーカーに眼がない、言うなれば、これらの昆虫は匂いでこの世界を見ているのだ。女王フェロモンは卵から放出されている物質とも共通している、すでに卵が大量にあるという誤情報によって、女王の産卵に急ブレーキがかかったのだ、ワーカーが個々の女王への給餌量を変えて、結果的に産まれる卵の数を制御しているようだ、単為生殖で生まれた二次女王たちは、女王フェロモンを感知できない。ターマイトボールは菌類の一種、平たく言えば「カビ」だった、ターマイトボールがあるほうが、ない場合よりも卵の生存率が高いことがわかった、ターマイトボール菌は他の糸状菌やバクテリアに対する拮抗性を示すので、卵の病気からの保護に役立ったのかもしれない。ターマイトボールとシロアリの関係は、相手をつぶさない範囲で自分の利益を高めるという、ギリギリのせめぎ合いの上に成り立っている。

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2013年05月06日

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忌み嫌う対象でしかなかったシロアリ。それだけに何も知らないわけで、こういった本はその生態を知る上でとても助けになる。「アリ」とついているけど、「アリ」の仲間ではないのですね。

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2013年04月14日

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あまのりょーさんのツイートで知り読みました。同窓生だったそうな。

驚くことばかりの本でした。

まず、蟻はハチに近く、シロアリはゴ○○リに近いという初歩的なところからして知りませんでした。
筆者は、「じっくりと公平な目で見てみると、アリなんかよりずっと愛らしい姿をしていることに気づくはずだ。」と言います。

確かに丸く大きい頭やうさぎの耳のような触角はかわいいと言えないこともありません。29ページの「図14 水槽の中を歩くヤマトシロアリの兵アリ」の写真なんて、とてもかわいいです。

でも、一匹一匹はかわいらしくても、小さな虫が一か所に集合しているコロニーの写真を見ると、ぞわっっとしてきてしまいます。昔、冬に木の皮をひっぺがしたら、テントウムシがぎっしり冬眠していてギャーって言いそうになったことを思い出しました。

この本も、ギャっと言いそうになる写真が何枚かありました。だんだん慣れてきますけど、電車で読むときやスタバで読むときは嫌いな方もいらっしゃると思ったので手で隠しながら読みました。

松浦先生の研究成果は、どれも素晴らしい物ばかりで、タイトルにもある女王の戦略は特にパズルを解く面白さすらあり、強く引き込まれました。

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2013年02月20日

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ケンジズ’ブートキャンプは健全なので、ターマイトボール(人類の希望の星)とターマイトボールZを『ドラゴンボール』から命名といふ、国民の知的共有財産を使ってはゐるのだが、ヤマトシロアリさんが夫婦で巣を建設して雌は単為生殖で自分の双子をひり出して子作りさせてワーカーと普通の繁殖用個体も出すといふ、ナニな生態についてさういふのをやってくれない。
 読むとシロアリが超人的な〈まぁ虫だからね〉生態を持ってゐるのが分かる。

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2018年04月19日

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ネタバレ

成毛さんの「100冊の本」ハダカデバネズミ、の隣にあってついで買い。でも私的にはこちらがもっとおもしろかった。え?ゴキブリの子孫だったの?それ以前に先祖はカマキリから枝分かれしたの?という導入部もナルホドですが、彼らの社会生活性はアリやハチが終身カースト制度であるよりも柔軟で現代の人間社会に近い。
 自分の持っていたイメージでは、虫の世界は女王様ありき、オスは添え物。巣立った時に交尾したらお役御免でオスはポイ、と思っていた。ところがシロアリさんたちは違うんですね。巣には女王だけでなく王様も住んでいる。女王(=卵を産む)は何(百)匹もいてハーレム状態。さらに王様は何十年と生きる。女王のほうが短命で台替わりする。すごーい!!シロアリになりた~い。でもその何百匹の愛人から選り取り見取りの大奥ではなく、みな奥さん(最初の女王)と同じ遺伝子の分身だそうです、ゲゲ奥さんに何百人に取り囲まれる毎日?厳しそう。(ちなみにクローンではない)。
 気持ち悪いゴッキーの親せき害虫ではあるけれど、ほかにもいろいろユニークな奴らであることがわかりました。

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2014年12月27日

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シロアリなんて嫌いに決まってる!と思いつつ読んでいたら、ちょっと好きになってしまった。
白いのは、幼いからのね。蟻とはかなりちがうのね。
写真がきれいで、シロアリが艶々と美しく、黒い普通の蟻が妙に獰猛に見えてきた。こんなに可愛いシロアリを捕まえて食べるなんて…。
体の構造も、社会も良くできて、ホント素晴らしい。
と、真剣に思ってしまうくらい、著者のシロアリに対する愛が伝わってきた。
難しいこともとても分かりやすく説明されていて、私のような理科音痴にも、よく理解できた。

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2015年08月02日

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面白い!アリの生態本はよく読んでいたが、シロアリは同じ真社会性昆虫と言っても、かなり生態が異なる生物だと分かった。

また、イラストがかわいい!絶妙なデフォルメと手書きセリフが楽しい!学術的な内容を一コマで表現していて、見事です。ちなみにイラストの作者「いずもり・よう」さんは『働かないアリにも意義がある』にも描いてます。


以下、知らなかった・驚いたこと。
・ワーカーにはオス、メス両方いる(アリ、ハチはメスだけ)
・王と女王以外は発生学的に全て幼虫
・黒いシロアリがいる
・水中でも何日か生きられる
・同性カップルが出来る。オス同志だと小さい方が人身御供。
メス同士だと、単為生殖する。
・ペアでグルーミングしないと死んでしまう。
・創設女王が生む二次女王は、創設女王の分身。創設王の遺伝子が混ざらない。創設女王は遺伝的に不死となる。
・二次女王が分化した後、創設女王は生きながらワーカーに食べられる。
著者曰く、「この時点では、彼女にとって迷う余地なく死こそが適応的であり、まさに至上の喜びなのだ」
・卵の塊の中に、球体の菌核が混じっている。このターマイトボール(著者命名)はシロアリの卵に擬態している。

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2013年09月25日

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好きな人のことはどんなことでも知りたくなる。その逆に、ある対象物に対して様々な知識を得た結果、特別な感情を抱くこともある。これは至極自然なことだ…。今、私はシロアリに恋をしている。

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2013年05月24日

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シロアリという言葉は建築関係者にとって特別な響きがあるが、そっち方面の話は皆無。著者も、弱点を知るために研究しているのではない、と言っている。シロアリの社会、生態についての興味と愛情の話。シロアリの社会はほとんどが発生学的には幼虫で、その後役割を分化させる可能性が残っている。どころか、カップルになるときに同性しか見つけられなくても、それはそれで、なんとかしちゃう(結果はともかく、雌雄とも)。女王の生き残り戦略および、いつ死ぬか戦略。生き物は死に時も肝心なのだ…。家屋害虫との先入観は、それはそれ。振り払って読むべし。

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2013年05月01日

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怖いもの見たさで手にとりましたが、驚愕の生態に一気に読み進めてしまいました。こんなに興味深い生物だったとは知りませんでした。おもしろかったです!

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2013年03月18日

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シロアリの生態研究って、そんな進んでないんだねえ。そんなところから知れて面白い。ユーモアあふれる文体も楽しめる。ただまあ、シロアリの赤ちゃんはやっぱり気持ち悪いと思う。

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2017年05月07日

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