【感想・ネタバレ】位相のこころのレビュー

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わかりやすい

歴史的な観点から位相の定義ができあがるまでをわかりやすく解説してくれています。読み物としてオススメです。

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2019年02月24日

Posted by ブクログ

大学数学における最大の鬼門ともいえる「位相空間論」。教科書では、3つの単純な公理で与えられる開集合系が天下り的に定義され、その後、近傍やコンパクトに関する議論が無味乾燥に繰り広げられるのが普通である。学生は、極めて抽象的で、直観的な理解がまったく及ばない世界を、演繹だけを頼りに各々の定理と証明を「理解」し、訳がわからないまま先に進んでいかなくてはならない(それはそれで楽しいのだが)。
本書では、位相空間論という学問が発達した歴史的背景や、位相空間の定義が多くの数学者によって洗練されていく過程を描きつつ、開集合・閉集合・近傍・コンパクト・全有界などの基本概念により、順序や距離を用いることなく極限や収束の議論を厳密に行えることを明快に示している。著者曰く「ブルバキよりもブルバキらしく書いてみた」そうであり、ブルバキの教科書に細かいツッコミを入れまくっているところが何とも愉快である。初稿は40年以上前に書かれたものであるが、内容はまったく古くなっておらず、1950-60年代の数学のダイナミズムが伝わってくる点も興味深い。

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2013年01月20日

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