【感想・ネタバレ】教養としての「世界史」の読み方のレビュー

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Posted by ブクログ

ためになった!
私の近年培った薄いヨーロッパに対する知識がかろうじて役に立ったおかげで、8割は理解しながら読み進めることができたと思う。(細かい固有名詞はさておき)
印象的だったのは、「言葉の誕生で自分で考えるスキルが身につき、一神教が生まれた」のくだり。やはりこのへんは全て繋がっているのだ。

べば学ぶほど無知を知るなあ、人生忙しい。

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2023年07月14日

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本書は通史の要約的な本ではなく、著者なりの「教養を深める歴史の読み方」である。
どちらかと言うと、通史がある程度頭に入っていてもう事実の列挙を学ぶのに飽きた人ほど、面白く感じると思う。

例えば、個人的に読んでいて興味深かった(通史の勉強では触れられずあまり知らなかった)内容をいくつかピックアップすると
・「文明」と「文化」の違いは
・メソポタミアやエジプトでは発達しなかった民主政が、ギリシア文明で発達した背景は
・ローマ帝国衰退の一因にインフラの維持管理問題があった
・アルファベット、一神教、貨幣の誕生に共通の背景があった(かも)
・ゲルマン民族大移動から予測する現在のヨーロッパ難民が引き起こす(かもしれない)問題
・人間にとって「神」とは何か
・太古の人間には「神の声」が聞こえていた
・文明の発達とともに聞こえなくなった「神の声」の代替品とは
・アメンホテプ4世とモーセの繋がりは
・共和政と共和制の違い
・なぜギリシア諸ポリスは閉鎖的で、ローマだけが開放的だったのか
・東洋に共和政・民主政が根付かないのはなぜか

歴史の教科書には書かれていない、歴史の「奥行き」とでも言えるようなもの。そういった知識がちりばめられているだけでなく、歴史家は、歴史を読む中でどのように想像力をめぐらし、どのように現実世界を眺めているのか。そんな一端が感じられるようで、非常に興味深い一冊であった。

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2022年10月01日

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もっとアカデミックな内容かと思って読み進めましたが、歴史を通じて人間の生きざまそのものに対する示唆が随所に書かれていました!

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2020年11月30日

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audiobookにて。

「今を理解するために歴史が役に立つ」ということの意味を始めて理解できた。
さすが専門家の丁寧な解釈はもちろん、それを一般の教養としてのどう読み解けば良いのかを丁寧に教えてくれる良書。

学校で教わる歴史は、それぞれの時代、地域をぶつ切りにして覚えるだけの受験のための勉強。そうではなく、歴史を知り、今の問題はどの歴史と同じ流れになっているかという観点で比較することの方がずっと面白く役に立つ。

締めに今のアジアの状況、中国の立ち位置まで踏み込まれている。今現在の国家間の問題が、歴史や地政学的観点から見てどう理解したらよいのかが分かって目からうろこ!

こういう見方で世界史を教わったら、世界を見る目が変わっただろう。今からでも、学校教育が変わって欲しいと思う。地政学というのも初めて聞いた。これも学校教育で教えて欲しいものの見方だと思う。

一度聴いたくらいでは自分の中にぜんぜん定着しないから、長いけど何度も聞きたいし紙の本でも読みたい。
本村先生の「ローマ史」の方も読んでみたい。

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2019年11月09日

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奴隷のせいでローマが衰退した、二分心、中国とEUの類似点、ローマやギリシアの欧米人の位置付けなどなど勉強になった。読んだあとでもローマよくわからん感がまだあるからまた別の本も読みたい。グローバルスタンダードの教養は古典と歴史だそうなので、古典にも触れないといかん。「ローマの歴史の中には、人類の経験のすべてが詰まっている」。人間が意識を持ち始めたのが、前3000年という話も面白い。

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2024年04月06日

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「教養」として現在までの歴史と国のあり方がわかりやすく、とっても面白い本でした。

「唐=漢文化」だと思っていましたが、実際には唐王朝は漢人ではなく胡族の王朝、というような「へえ!」もいっぱい。

疫病(ペスト)の蔓延が元の滅亡を加速させた、というところ、コロナの蔓延が世界にどんな影響を及ぼすのか怖くなってしまいました。

「違ってあたりまえ。違うのだから、完全にわかり合えなくてあたりまえ。そうした意識をもって、わからないなりに、相手を理解しようとするのが、歴史や異文化を学ぶということなのではないでしょうか。」
国家間だけでなく、人と人のお付き合いでも深く心に刻みたいことです。

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2024年03月04日

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ネタバレ

著者がローマが専門ということでローマの話が多かったが、その辺の知識がほぼ皆無だったため知れてよかった。以前に読んだ本や大学の講義とも繋がるところがあって興味深かった。
第三次世界大戦はもう始まっている、という意見は新鮮だった。
ただこれだけでは世界史の知識は一部しか身につかないから他の本も読みたい

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2023年06月08日

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木村先生の本はどれも分かりやすく、勉強になります。「かつて人間は神々の声が聞こえていた」という見方、これは当時の感覚で歴史を捉える、ということなのでしょうが、そう考えれば腑に落ちる点もありますよね。他方、常に「いま」のフィルターがかかって歴史を見ている、という指摘も納得。歴史の見方を教えて頂きました。先生に現在のウクライナを解説して頂きたいくらいです。

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2022年04月04日

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全体を通して理路整然とされていていとても読みやすい。世界史には非常に苦手意識が植え付けられていたがもう一度勉強し直そうという気にさしてくれる書籍です。

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2021年08月25日

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世界史はとても気になるけれど、学生の頃苦手だったので読み切ることができるか心配だったけれど、audiobookで聞いて正解。本で読んだら、知らない単語がたくさんあって読み進めることができなかったと思う。
内容はとても興味深かった。宗教のことも、文明のことも、正しく分かっていなかったので勉強になった。ローマ史についてもっと知りたい。

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2021年05月05日

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歴史を順番に説明していくような教科書ではなく、「こういう切り口で各地域の歴史を比較してみると」というものなので、飽きずにわくわくして読めた。

西洋と東洋で、君主に対する見方が異なるのが、なるほどと思った。西洋では、君主は民衆に姿を見せパフォーマンスをし、人気を集める必要があった。そのため、民衆に近い存在で、民衆は文句も言える対象だった。一方で東洋の君主は、姿を見せずミステリアスで畏怖の対象だった。
この辺りの歴史が、いまの国民性の違いにもつながっていたりするのかな、とぼんやり思う。

あと、3千年前の言語が確立されていない人間は、心の中に神の声を聞いていたかも知れないという説は、刺激的だった。想像がなかなかつかないけど、ロマンがある。

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2020年08月22日

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四大文明の背景にあるのは世界の乾燥化。ローマ時代のトイレは、日本の江戸時代と同等の清潔さ。などなどかなり面白かった!

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2020年05月07日

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以下、本書より。

【かつて人は神々の声に従って行動していた】
人間社会では、宗教は常に大きな問題です。
宗教というと、神にすがって救いを求めるものという印象が強いようですが、歴史を見ていると、決してそれだけのものではない事がわかってきます。

プリンストン大学の心理学教授ジュリアン・ジェインズは、著書『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』で、三千年前の人類は、実際に神々の声を聞き、その通りに行動していたという事を、ホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』の記述をひもときながら検証しました。
そしてジェインズは、こうした神々の声が聞こえていた時代を「二分心」の時代と称しました。

人間の意識というのは、言語に深く根ざしています。
その為、ジェインズは人類がまだ文字を使っていなかった段階では、意識というものも定かでなかったはずだと考えました。

彼の考察によれば、人類が明確に意識を持ったのは約三千年前。
ではそれ以前の意識の稀薄な人類は、どのようにして社会生活を営んでいたのかというと「二分心」を活用していたというのです。

これは、簡単に言うと、心の中に「自分」と、もう一つ「神」がいたという事です。

つまり、神という別の存在が実際にいて、その声を聞いていたという事ではなく、古代の人々は、内なる声として常に自分の内なる「神」の声を聞きながら生きていたという事です。

明確な自己意識を持つ現代人には少々わかりづらい感覚かも知れませんが、私のように古代史を専門としている人間には、この説明はとても納得できるものでした。

なぜなら、私もそうですが現代人の多くは、神というのは人間の脳が作り出したものなのではないかとかねがね考えているからです。

人間は「文明」と呼べるものができる以前から、宗教的習慣を持っていた事が考古学的研究によって明らかになっています。
でも、人間以外の動物には神も宗教もありません。
そう考えると、神は人間が脳を発達させた結果、手にしたものの一つだと考える事ができるわけです。

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2019年08月27日

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非常に面白かった!
「ローマ史には人類の歴史が全て詰まっている」ー読んでみてなるほど、確かにそういう一面もあったのだなという気がしてくる。読みやすい文章に説得力がある。
古代の人々は神の声が実際に聞こえたのではないか、という考証は興味深かった。
ただ、たまに検証された「定説」なのかこの著者の「主張」なのかが分かりづらいところがあったように感じた。
確証のない仮説を事実として扱ってしまいかねないので、書き方には注意が必要だと思う。

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2019年05月26日

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世界史を俯瞰する時のモノサシ、考え方を著者の専門であるローマ史を中心に事例を通しながら解説。

恥ずかしながら、ローマ帝国の盛衰を初めて知る。
宗教の対立、民族移動の背景等も、原因は案外シンプルでありだからこそ根深く、今日になっても解決は至って難しい。

歴史は現代のフィルターを通してみる、という事は重要でもあるし、それこそが歴史を知る面白さなのだとも思う。
古代人は右脳で神のお告げを受けてた、という話はなかなか理解出来ないし。

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2019年02月02日

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ネタバレ

『教養としての「ローマ史」の読み方』ほどのインパクトはないが、筆者の視点からの歴史観が伝わる。なぜゲルマン民族の大移動が起きたのかなど、興味深い。

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2018年10月04日

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今から三千年前以降、意識が生まれ、人が責任感を持って物事を判断するようになって今まで、戦争と平和、繁栄と退廃を何度も何度も繰り返している。
人間社会は繁栄すると必ず退廃していく。
どうすればこの問題を解決できるのかという学びは、勿論、自分にも得られていないが、繁栄が当たり前になって、そのことに気づいてさえいないのではないか。当たり前のことだがモラルの低下は、自分はそれをしても許されると思っているのではないだろうか。そういう世界にしてしまったのは自分にも責任があるだろう。

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2023年10月29日

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乾燥化すると、人々が水辺に集まってくる。少ない水資源を知恵を絞って活用しようとする。環境が厳しくなったことで文明が生まれた。四大文明。

ギリシアの民主政は100~150年間ほどで短期間。僭主政の期間の方が長い。民主政は4万人ほどの少人数だったから可能だった。▼サラミス開戦。下層民が戦争参加。発言力上がる。→ペリクレス時代

SPQR ローマの元老院と国民。ローマ帝国の国名。

※「四大文明」「五賢帝」という言い方は日本独自のもの。

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2023年06月04日

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久しぶりに歴史物ということで読んでみました。ローマ史をご専門とされている本村先生の著作ということもあり、ローマ史やギリシア史などに関する記載が多かったですが、歴史に学ぶということや、過去の出来事と現在の出来事の関連性など、色々と考えながら読むことのできる作品だったと思います。
この書籍に記載された本村先生の考え方が全て正しいというわけではないでしょうが、考え方の視点の一つとして捉えることや、共通事項は教養として知っておくことは大切だなと思いました。

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2023年02月26日

Posted by ブクログ

面白くはあったが、途中くらいからちょっと違うかなという感じがしてきた
古代ローマ史に全ての人類史は凝縮されていることをいくつかの事例で説明しているがややこじつけ感も否めない印象

ただ、サピエンス全史的に人類史をいくつかの視点で捉えようとする取り組みは面白いが、もう一つ深めて欲しかったところ(論考が著者の主観に少し偏っている印象もある)

にしても、文明が登場した理由の一つに「乾燥化」があるというのは衝撃的に面白かった。環境的に恵まれていることは人類を発展させないのだ。
あと、一神教が登場した理由として文字の発明があるのでは、というのも面白い考え方。もちろん文字の発明は階級支配ともつながるし階級支配と一神教というのは結びついていると思うが、文字の登場によって左脳が右脳を抑制するようになり神々の声が聞こえなくなった、というのはほんとに興味深い。

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2021年09月10日

Posted by ブクログ

教養としての世界史とあるが、特にローマをルーツとしている欧州人の思想、常識について述べられている。著者の専門が古代ローマ史ということもあり、何かとローマの話を引き合いに出してくる。
名前ローマ史でええやん!となる。

ただ、強い専門性はないので世界史をルーツとしたグローバルスタンダードやちょっと世界史を読み直そう、勉強し直そうという人におすすめの本。
考え方の切っ掛けやヒントをくれる。

私は中国史や東南アジア史も好きだったので、ん?となった。これら、特に後者は全く触れられない。

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2021年01月22日

Posted by ブクログ

コテンラジオというpodcastが気に入ったので知識の補完できないかと思って読んでみたところ、最初の方は近しいものがあってとても面白かった。
読みすすめるに連れ、古代ローマを専門とする著者が専門外のことを書いてる部分が増えて、感想や想像が増えてきて辛くなってきた。想像で断定しない真摯さはあるものの書籍というフォーマットで専門外の割合が増えるのは悩ましいのと、【高齢者が話す専門外の知識は情報が古い】ことに改めて気付けたのは良かった。
知らなかったことが色々書いてあるのは面白かった。ジャガイモやトマトは元々ヨーロッパになかったとか、逆にアメリカに馬がいなかったとか。

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2020年05月23日

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これは歴史好きのためではなく、世界史を一般教養として学ぶ人のためのものだということをまず理解しなければならない。
内容は古代ローマ史がほぼ中心だが、教科書には載らない世界史の裏エピソードのようなものが面白かった。授業中の先生の豆知識のような感じで。。

大学の教授で学生相手に教えているだけに、世界史を面白いと思わせるかに重きを置きつつ今後の世界を考えることへの切り口になることが著者にとって喜ばしいことなのではないだろうか。

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2020年04月22日

Posted by ブクログ

ローマ史の部分は面白い。読みやすい。ただ、文明史観の所は、この人、ジャレド・ダイヤモンドとかよんでないのかな、と思ってしまう。あと、宗教観は、一神教と多神教のステレオタイプで居酒屋の雑談レベルかも。これ欧米の人々が読んで、日本の学者の宗教に対するレベルを推し量られてしまうと不安になります。少し古いタイプの典型的な日本の学者なんでしょうね。とても良いローマ史学者だとは思うし、人柄の良さも滲み出てるので、少し書きすぎました。

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2020年04月05日

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筆者がローマ史好きで誇りに思っていることが伝わってきた。
この本を読むことを通して、歴史に対する新しい視点を持つことができた点はよかった。

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2019年03月13日

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・文明発祥には、馬と乾燥化が必要
・なぜローマ帝国では蒸気機関の知識を持ちながら産業革命が起きなかったのか?奴隷が居たから技術革新の必要が無かった。

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2018年09月18日

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もともと歴史は好きで、日本史関連を中心に読んでいましたが、今年(2018)から世界史にも興味を持つようになりました。特に古代文明の発祥については歴史の授業でやりますが、その文明はどのように続いたのか、他の文明に吸収されていったのかについて興味があります。

歴史とは連続しているはずですが、どうも中世の前後で断絶があるような気がします、その時点ではアジアが栄えていたので、西欧中心の歴史を学んできた私にとって、ポッカリと穴が開いているような気がしています。

今後はその穴をうめて、歴史を繋がりとしてとらえるべく、今回読んだような本を参考にして理解を深めていきたいと思っています。
以下は気になったポイントです。

・教養がないと、中身のある会話ができない、国際人として、社会人として、教養は語学力以上に大切である(p12)なぜ世界史が教養に必須なのかというと、歴史は人間の経験の集大成に他ならないから(p13)

・人間社会の普遍的な真理を教えてくれる「古典」と、人間の経験の集大成である「世界史」、この二つをきちんと学び身に付けることで「教養」の基礎が築かれる(p15)

・江戸後期(1750年以降)とローな時代を比較すると、両者がとても似ていることがわかる、例として水道設備が整っていたこと(p27)

・違いとしては、西洋の為政者は民衆に姿を見せて、さまざまなパフォーマンスを見せる一方、東洋の為政者は、中国皇帝・日本の天皇・将軍のように、その身は常に御簾の向こうにあって民衆の目にふれることは殆どない(p32)

・文化は自然風土の影響下にあるので、その土地では有効ですが、ほかの土地に行くと通用しない可能性があるが、文明は、そうした「地域性」を超越した、ある意味「普遍性」を持っている、文化的なものからどれだけ普遍的なものを作っていくかというところに「文明」は生まれる(p43、45)

・文明発祥に必要なもの、それは「乾燥化」である、四大文明が起きたとき、世界では大規模な乾燥化が進んでいた。少ない水資源をどのようにして活用するか、ということに知恵を絞るから(p49、51)

・ローマとアメリカを比べてみると、どちらも初代から異民族出身の為政者が登場するまで、220年というほぼ同じサイクルで歴史が動いているとわかる。(p80)

・ギリシアは国内紛争でエネルギーを消耗したので大国になれず、国内が安定していたローマは、その分のエネルギーを外に向けられて帝国になれた(p88)

・江戸の人々は、七夕の日に江戸中の井戸を一斉清掃した、江戸には「六上水=神田、玉川、本所、青山、三田、千川」があった、なかでも、井の頭池を水源とする神田上水、玉川上流(羽村)から取り込んでいた玉川上水が本流であった(p102)

・悲劇とは、勝者になった幸運児が敗者に転じたときに起きるもの、敗者が経験するのは悲哀のみ(p113)

・ローマの様な奴隷社会は、きつい労働はすべて奴隷がするので、改良・工夫の努力がなされなかった(p114)

・プラトンが掲げる人間の三種類の趣味、1)知識、2)お金儲け、3)勝利(p115)

・ガンジーの言葉:明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい(p118)

・人々が政治に期待しなくなった中、社会的不安を抱えた民衆が心のよりどころにしたのが、キリスト教であった。キリスト教普及は、軍人皇帝時代の社会的不安の増大が大きい(p130)

・アルファベット、一神教、貨幣、は歴史の大きな流れの中で、ほぼ同時に起きている。ある程度文明が複雑化してくると、自然とそれを単純化しようという動きが生まれる可能性を示唆している(p141)

・イギリスは、作業地の近郊でエネルギー源としての石炭が手に入ったこと、植民地拡大で大きな市場が手に入った、さらに土地による人口の制約が外れたので、人口が激増しながらも、一人当たり消費量も上昇する状態が生まれて産業革命が起きた、アジアではこの条件に恵まれず遅れをとった(p152)

・ローマは自分の領土を拡大することで帝国をつくりあげたが、アメリカは手付かずの広大な土地を開拓することで帝国化した(p163)

・1685年にナント勅令は廃止されて再び宗教弾圧が始まる、フランスのプロテスタントの多くが、オランダやイングランドに移住した、オランダへの移住がオランダの興隆に繋がった(p172)

・寛容なローマがキリスト教をを弾圧する最大の理由は、キリスト教徒たちが、キリスト教以外の神々は偽物で、それを信じてはいけない、と主張したから(p186)

・ロシアにとってクリミアは絶対に手放せない。セパストポリ軍港があり地政学的に重要な場所である、この港を失ったら地中海航路を失い、地中海の覇権をヨーロッパと争うことができなくなる(p189)

・欧米人にとって、信仰心が薄いというのはモラルが低いこととイコールである、モラルの背景には宗教的制約があるので(p192)

・人間が明確な意識を持つことになったので左脳が発達し、対する右脳は退化してしまい、神々の声が聞こえなくなったと、ジェインズは説明している。神々の声とは、右脳の声であった、会話は左脳が司り、メロディ・リズムが一体となった歌は右脳が司っていた(p201)

・神々の声が聞こえなくなってきたことで、人間は自ら考えて指針を持たなければならない状況になった、そこで作り出されたのが、全知全能の唯一神でないか(p207)

・現在の状況は、紀元前1000年頃に人間が意識を持ったことから始まっている、現状を打開するには、もう一つ人類が新たなステップに進むことが必要である。異なる価値観を持つ人々がその地域に入ってくると対立が生じる(p230)

・ローマは、独裁政・貴族政・民主政というギリシアが一つずつ行ってきた三つの政体をバランスよく組み込んだ政治(共和政)を行ったので、国家を大きく成長させることができた(p239)

・ローマが開放策を取ることができたのは、国内に歴然たる身分の区別があったからである、ギリシアは平等を重んじたが故に、外の集団に対して門戸を閉ざした(p249)

・今の中国は、国内が本国と植民地によって構成されているようである、大都市が本国で農村やそれ以外の都市が植民地に見える(p259)

・地政学的には、日本はイギリスに、中国はドイツに匹敵すると考えると非常にわかりやすい(p268)

・気温低下による作物減少、それに伴う人口減少、その少なくなった人々がローカルな地域社会にこもることで技術や商業ルートが失われたのが、中世の時代であった(p283)

・本当の優しさは、自分というものをちきんと持った人が周りに対して示す寛容さである(p298)

2018年8月18日作成

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2018年08月18日

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面白かった。「乾燥化」「宗教」「民族の大移動」などは特におさらい兼新たな発見という感じでワクワクしながら読めた。

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2018年04月26日

Posted by ブクログ

世界史を現代につながる学問として捉え、なぜ今そうなっているのか、を歴史からわかりやすく解説している。
世界史を網羅するというより、考え方、見方を教えてくれる本と思って読んだ方がいいかも。
しかし何より、最後にあった「退廃に向かう社会では人は自分にも他人にも優しくなっていく」という言葉が、恐ろしく腑に落ちた。ホワイト企業がいいとか、社員に優しくとか言ってることに違和感を持っていたけど、社員に優しくするのは、上層部の人気取りの衆愚政治につながり、バカを勢いづかせるだけって警鐘が、歴史学者の方から出ているっていうのは、重要だと思う。

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2018年01月24日

Posted by ブクログ

序章で期待値が上がる。

1. 文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
2. ローマとの比較で見えてくる世界
3. 世界では同じことが「同時」に起こる
4. なぜ人は大移動するのか
5. 宗教を抜きに歴史は語れない
6. 共和制から日本と西洋の違いがわかる
7. すべての歴史は「現代史」である

これらのテーマに合わせて歴史として残っている情報に著者が考察を加えていくスタイル。

地球的な気候変動による文明の発祥説は納得いく感じだったが、この本の量ではテーマが多かった感じで、読み手としては消化不良になってしまった感が残りました。

塩野七生氏の「ローマ人の物語」は、読んだことがあったのですが、その前提知識からすると、奴隷という言葉のニュアンスが異なる感じも。



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2018年01月14日

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