感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
こんなにもストイックに向き合わなければ、自分の思い描く芸は評価されないものなのか。
日の当たる場所に行けるのは、器用で可愛げのある者だけなのか。
最後の漫才シーンは残酷で、圧倒的。
はなからハッピーエンドになるとは思っていなかったが、神谷さんの変容は哀しい。それでも、生きている限りバッドエンドは無いと言い切るラストは嬉しかった。
「僕達の永遠とも思えるほどの救い様のない日々は決して、ただの馬鹿騒ぎなんかではなかったと断言できる。僕達はきちんと恐怖を感じていた。親が年を重ねることを、恋人が年を重ねることを、全てがまにあわなくなることを、心底恐れていた。自らの意思で夢を終わらせることを、本気で恐れていた。…‥略…… いつか自分の本当の出番が来ると誰もが信じてきた。」
「神谷さんの頭上には泰然と三日月がある。その美しさは平凡な奇跡だ。ただ神谷さんはここにいる。存在している。心臓は動いていて、呼吸をしていて、ここにいる。神谷さんはやかましいほどに全身全霊で生きている。生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。これから続きをやるのだ。」
1日で読みました
仕事の休憩中に少し読んで(お姉ちゃんのピアノの話まで)、面白かったのでその日の夜には全部読んでしまいました。
神谷は良い人物であるし決してイキっていてイカレている訳ではないんだけど…、、というのがしっかり表現出来るオチで、素直に凄いと思いましたw
あと家を出ていくシーンは、それぞれのキャラクターが「自分ではない誰かの為に」振る舞っていて、いいシーンです。それぞれ怒り出してもいい筈なのに。
純文学がどうこうはわかりませんが、面白かったですよ。
人の惨めさや情けなさを上手に表現しつつも胸糞感があっさりしてて(個人的には「夜と霧」以来…)、又吉直樹、良い書き手だと思いました。