【感想・ネタバレ】青の数学(新潮文庫nex)のレビュー

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Posted by ブクログ

本の装丁とかがラノベっぽかったのであまり期待していなかったのだが、思わぬ誤算でめちゃくちゃ面白かった。
私は正直数学があまり得意な方じゃないけど、それでも読み終わった時には数学を解きたくなっていた。恋愛小説読み終わった後に恋愛したくなるのと同じ感覚。
不思議。

著者はきっと数学科卒とかなんだろうなあ…と著者紹介を見たら、なんと普通に早稲田の一文卒。
めちゃくちゃ文系。
でも逆に、その輪の外にいるからこそここまでのものが書けるのか、とへんに納得もした。
数学の魔力に取り憑かれている当事者だったら、ここまで冷静に伝わりやすく面白く、数学の計り知れなさを書けないかもしれないな、と。
シリーズもので続刊があるそうなので、それももちろん読む。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

比喩などの表現技巧が沢山、登場人物の名前が難しくてそっちに気が取られるという印象が大きい。これらと数学というテーマとのある種の矛盾を感じたりもしながら、もっと早く読んでおけばよかったと思った。数学ができない人生(苦手だから高校序盤で諦めていた)だったから、来世では登場人物たちみたいな青春を送りたいと強く思うし、なぜかジェラシーをも感じてしまう。出てくる数学ワードや問題にほんの少しでも馴染みを感じるられるから、全くできなくても進学校で高校数学の授業を受けておいてよかったと思えた。

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2023年12月29日

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「数学」を中心につながる高校生たちの物語。幼い頃に師と交わした約束を果たし、数学の世界へと足を踏み入れ、学生生活を過ごす主人公が、様々な人と出会い、E2というインターネット上のサイトに足を踏み入れる。そこで数学とは?数学で競う意味は?などの哲学的な疑問の答えを探りながら、数学を学ぶことを朧げながら掴んでいき、物語が展開される。後半ではE2に集ったライバルたちが合宿で顔を合わせ、切磋琢磨しながら、自分たちが数学を続ける理由を見つけ、トップを目指していく。E2が数学の才能を持った者たちの集まる場であることは確かでも、彼らが解いているものは、まだ「数学」ではなく「青の数学」。数学の面白さと、数学の決闘のハラハラ感、青春小説としてのもどかしさ、色々な楽しみが詰まっていて一気に読み切れた。続編もぜひ読みたい。

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2023年08月15日

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数学に全てを賭ける少年少女の物語。完璧文系脳の私でも楽しめる、寧ろ今まで無縁だった世界に触れられて嬉しい。まるでスポーツ小説を読んでるかのように胸が熱くなる!数式分からんとかそんなの気にならんくらい小説に浸れる。

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2023年07月22日

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「数学って何?」
数学に熱中し全てを賭けぶつかり高みへを目指す少年少女の物語。
同作者の『天盆』もそうだったが、何かに一心不乱になる姿に心動かされる。それぞれのアプローチを見せ、対象への想いに集約した物語展開が、数学の魅力と底知れなさを垣間見せる。

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2022年07月14日

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出だしの一文で掴まれた。こんなの久々。随所に出てくる比喩表現が好みである。場面展開がうまいところもあればよくわからないところもあるが、それも含めて、時々脱輪寸前の、とっても青春な感じ。

「学生時代苦手だったはずの数学にこんなにも魅了される」

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2022年01月05日

Posted by ブクログ

青の数学

「考えつづけなければ、閃かない。
 そして、閃きは決して何もないところからは
 湧いてこない。」

1.購読動機
数学が好きではなかった私が、読者レビューを通じて、数学に興じる高校生たちの世界を覗いてみたくなったから。

2.主人公たち
数学オリンピックに出た、または出るほどの数学得意な高校生です。

しかし、数学を志す動機はそれぞれ違います。
①他者よりも秀でたい人
②難問を1人で解くことが好きな人

そんな彼らが一同に夏休みに集います。
E2 数学得意なSNS管理者の「夜の数学者」に招集されて、、、

3.高校生の志のまっすぐさ
人生半ばの私のような読者からすれば、高校生たちの物語は、ただ、まぶしかったです。

物事に集中する。
そして、そこに、それぞれの理由を見出して。
飲食忘れて、数学、目の前の問題にひたすら取り組む。

小学生、中学生がいるご家庭では、親子そろって輪読してみるのも良い著書かもしれません。

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2022年01月02日

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数学と青春という文系の自分は考えられないテーマだからこそ、数学に対してこんなにも熱く、深く探究できるものなのか、とすごく感心しました。勉強って捉え方次第では楽しいんじゃないかな?僕も数学してみようかな、なんて思わせてくれるそんな作品でした。個人的にはサイダーの描写が好きです、この後サイダーに一時期ドハマりしました

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2021年10月27日

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突然ですが問題です。ズンチャ

5777は素数でしょうか?

※本書とは関係ありませんが、思いつきの数字が素数だと嬉しいというただの遊びです。
(答えは一番下にて)

かつて『フェルマーの最終定理』や『博士の愛した数式』によって数学の美しさや数式に取り憑かれた人生があることを自分は知りました。
式を見ただけで拒否反応を起こす自分がいうのも変ですが、数学を題材にした小説は面白いものが多いです。
本書は[バトルもの×数学×青春]という設定のためか、決闘という聞き慣れない舞台が用意されています。構成も漫画のようで、サッカー漫画『ブルーロック』を読んでいる感覚に近かったです。
そんな彼らの才能や努力、挫折を経て成長していく姿はまさに青春です。

数学はなぜ人を惹きつけるのでしょうか?
次巻が楽しみな一冊でした。

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5777は素数か!?
⇒再読記録に答えアリマス

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2023年11月26日

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2年前の新潮文庫の100冊キャンペーン中に買ってずっと積読になってましたがやっと読めました。

数学を面白がりたいと思いながらも未だに苦手意識が消えず手に取りました。

数学に魅入られてしまった少年少女達の「決闘」で数学の魅力の片隅を見れた気がしました。
公式を見ても全くなんにもわかんないけれど面白いなと思いました。

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2023年07月14日

Posted by ブクログ

数学大好きで文章大嫌いな息子のために購入した本。
さりげなく机の上に置いたら読むかと期待したけど、全然読まず。
剛を濁し私が読みました。
読んでいくうちに、主人公は我が子に似てるな〜と親近感を覚え楽しく読み終えた時、息子から「読んだの?どうだった?」と。
なんだ、気になってたんじゃん笑

そんな息子の感想は「作者オリジナルの数式がなんか不気味だったなー」とのようで。
数学がわからない私は、好きなことにただただひたすらに没頭している若者たちが眩しく、青春っていいなーと思いました。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

数学の話だけど、
そもそもなぜ学問をするのか、
高校までと、そこからの学びは何が違うのか、
他の学問に置き換えてもよいような
本質を捉えようとしている作品なのかなと思う。

ただ、数学が苦手な私としては、
あの、数学が学問の王様的な匂いが苦手〜。
ひがんでるだけだと自覚してますが。

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2023年03月18日

Posted by ブクログ

数字がわかる主人公が数学に挑む話。
漫画でいくつか、数学系の本を読んだが、それよりいいね。
数学の話にはついていけないけど

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2022年11月07日

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数学って、何?を追いかける超秀才少年少女たちの物語。数学は美しいという表現は小説では共通なのか、数学に関して知識が深い人にはどうかわからないが、文科系人間には数学で美を追求していく少年少女が愛らしく見えた。ただ表紙のイラストのせいではないけと、ちょっとアニメ調な感じがしたのは、私との年齢ギャップからなのだろうか。
何人かわからないままの登場人物がいる。柊先生、相馬さん、七加、夜の数学者、等々。春の確率、夏の合宿、という章立てだから続編がある訳だけど、続きを読むかは微妙なところ。

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2022年08月29日

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数学がものすごく苦手だったので、出てくる数式や定理はちんぷんかんぷんだったが、数学への想い、ライバルたちとの出会いなど、少年の良い物語を読めた!と感じる一冊。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

数学って意外と青春なのかも

なぜ、山に登るのか?
そこに山があるから。
・なぜ戦うのですか?
なぜ戦わないのですか?
・才能は使うもの
・嫉妬というのは届くかもしれないものに対して向ける感情。届かないと圧倒的に知れば、諦めるしかない。
・やりたいことがない
何もしないで好きな物が見つかるわけない。誰かがやりたいことをくれるとは限らない。なんでもいいからやる
・取り返しのつかない過ち
できることがあるならば、すればいい。
だいたいそういう時は、過ちが無かったことになればいいのに、と自分を哀れんでいる。
・自分の言葉に追い詰められるのも、自分の責任
・登山家がなぜ山に登るのか?
きっと、挑んでいなければ、心が死ぬから。
・入試のプレッシャーを負けない自信。明確な根拠のある自信。それを得るためには、勉強し続けるしかない。

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2022年06月02日

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読み終わってすぐ再読した。
数学を題材にしてるとはいえ単純明快な小説ではなく、さっき言ってた疑問の答えがこれなのかな…?と考えながら読む小説という感じ。
その分何度読んでも発見があり面白い!深い!
数学に対する考え方がかなり変わるので数学嫌いな人に特におすすめ。

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2022年03月30日

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数学で殴り合う青春もの。
数学が壊滅的にできなかった私だけれども、
これを読んでいると、数学ができるひとの世界線が羨ましくなる。

なぜ数学をやるのか。
なぜ数学で戦うのか。

いろんな問いと、数学と向き合う高校生たちのお話。青春すぎる。


青春って春って書くけど、
俺にとっての青春は、どう考えても夏なんだよな。
というニュアンスの一文があって、
本当にそうだよなあ、という。
数学と、夏。やっぱり青春すぎる。


数学的な部分と、
文学的な描写の部分とが入り混じって、
とても素敵な物語になっています。
理系の子にも文系の子にも読んでもらいたい一冊。

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2022年02月08日

Posted by ブクログ

数学×青春というジャンルが新鮮でした。数学と聞くと、難しく堅苦しいものと思ってしまいがちですが、この作品は少年漫画のような熱さに溢れていて、楽しく読むことができました。
数学に青春を捧げる少年少女たちの姿が、キラキラ輝いて見えます。まさに青春部活物!って感じです。

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2022年01月07日

Posted by ブクログ

高校生達が数学を追い求める青春ストーリー。スポーツでも音楽でも数学でもかけられる全てを費やす若者が眩しい。
挑んでいるのが一人でないと知るために闘う、殆ど全ての事に共通しそうな名言ですね。
チャート式数ⅡBの厚い参考書に隠して、太宰治を読んでました。今となっては反省してます。

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2021年11月07日

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とある数学の才能を持つ高校生が、同じ数学好きの同年代の人たちと数学で競い合う。数学で競うのはどうしてだろう、と疑問を持ちながら数学を解き続ける。
なぜ、なぜ、なぜ、が飛び交う高校生たちの苦悩も感じられた。それこそが青春なのか。

数学の内容はあまり触れず、ぼんやりとした世界観の中で人たちが自分の疑問について話してる描写が多くて推測して補う部分が多く読むのに疲れた。正直言うと、『数学が面白いと思える小説』を期待していたが、違った。学園ドラマものだと思えば面白く読めたと思う。

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

大学でかなり数学に苦しめられたので解けるというメンタルで立ち向かえるのは高校生の特権だな〜と、失ったものを回顧。自分は数学が得意だと信じて疑わなかったあの頃がひたすら懐かしくなった。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

 数学は、中世の時代から競い合うことで発展してきた歴史があり、本作は、そんな数学の問題に真剣勝負を挑む若者たちの物語です。

 主人公は高1男子・栢山。冒頭、天才女子高生・京香凜と出逢い、「数学って、何?」と問われ困惑‥。栢山は高校入学後、本格的に数学と向き合っていきますが、この問いが繰り返し通奏低音のように鳴り響き、物語を貫きます。

 栢山は、若い数学愛好家が集うネット空間「E2」や夏合宿「数学の国」で競い合い、数学をやる意味、勝負をする必要性の有無を考え続けます。そして、追求を重ねることで成長していきます。

 本文中に、数学者や数式などがたくさん出てきますが、理解できなくても何ら問題ありません。本書の肝はそこではないでしょうから‥。
 数学でなくても、野球でも、登山でも共通していること‥。そうです、「何のためにそれをするか?」という問いへの〝答えの模索〟こそが重要ですね。

 年配の読者へは、正解は見えなくても、一心不乱に直向きに取り組み、その先の景色を見ようとする純粋な気持ちを思い出させてくれます。
 若い読者へは、努力とか才能を超越した、「無の境地」を続けてチャレンジすることの、経験値の大切さを伝えている気がします。
 老若男女、数学の得手不得手に関わらず、楽しめる一冊でした。


(ここから全く余談の独り言)
 著者の王城さんは文学部出身のようですが、よくこんな物語を書けるなあ、と感心します。参考文献が数学の学術専門書の山、山、山‥(ゲッ!)
 天才女子高生・京(かなどめ)の登場場面が少なく、最初から続編を想定していたのでしょうか? 気になるところです。

 主な登場人物の名前に漢数字があって、読みも複雑なのは敢えてなんですかね? 数学だけに‥。
栢山、七加、十河、五十鈴、三枝、京(10の16乗)、一ノ瀬、九十九書房‥(笑)

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2023年12月28日

Posted by ブクログ

なかなか難しい一冊やった。
数学が出来るなんて全く分からない世界。でもカッコええな数学出来るって。

それと高校生の本て、エモくてめっちゃ良い。

京さんまだ出てこないから2あるんかな?

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

「なぜ数学をやるのか」の問いに対する考え方が面白かったし、数学以外にも通ずるものがあると思った。
あと、人の名前が難読なものばかりで、この人なんて読むんだっけってなる。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

数学ってフレーズでジャケ買いした。

改めて今見たら「青春小説」なのね。
そう言われたら確かに運動系の部活を数学に置き換えたらこんな感じなんかな。

全体的に特徴の薄い登場人物が多すぎるのと、どうも文書と脳みそが噛み合わないところもあり、あまり感情移入できなかったかな。

数学要素はもっさり詰まってるし、決闘というシステムで数学バトルさせるのは面白いなと。
理解できないのも多かったし、もっと勉強しとけばよかったわって思う。

『数学なんて何の役に立つの』とか『なぜ数学をやるの?』とか、永遠の課題ですよね。


有意義な読書タイムをありがとうございました
この読後感を噛み締めつつ

どうやら続編があるらしい。
あの数式はそこで解かれるんかな?

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

王城さんのこのシリーズ、読む前からどんな数学に出会えるのか期待したのだが、数学は上澄みだけで高校生の男女の青春物語に徹してしまった感。数学好きが集まるネットサイト、夏合宿、真剣に数学と対峙する学生の姿に日本はまだまだ世界と戦えるんだ!と思った。しかし、数学の楽しさや詳しい定理等少ししか出てこなかったので、若干薄っぺらだった。実は自分は仕事で数学を駆使しているのです!医学統計学が必須。毎日のようにプログラムを組んで疾病罹患リスクや死亡リスクを計算しています。自分の幸せの一部がこの統計計算をしている時です。③

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2022年07月23日

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数学に熱中する青春小説。対象が数学だろうと熱量は高い。面白かったです。
数学で決闘するとは…と、完全文系には遠い世界。。
「真に革命的なものは奇抜に見える、奇妙に見える」には納得です。敬愛するジョン・ハンター先生も時代を先走り過ぎて生前は理解されなかったから…「種の起源」より半世紀以上前に進化論に辿り着いてたらそりゃ周りには理解不能です。。
続きも気になります。京はまだ回想シーンとE2にしか出てきてないし。

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2022年05月16日

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 数学を使ったバトルや上には上がいるという熱い展開は少年漫画のようでおもしろい。しかし、数学に関するエピソードが突発的で、わかりやすく説明されたり逸話が語られたりするわけではないので、数学に親しみを持てるような内容ではなかった。
 また、文章が断片的なので薄っぺらくとても読みづらい。『マレ・サカチのたったひとつの贈物』では量子病という特性ゆえにその断片的な文章が主人公の置かれた状況を追体験させる効果を持っていたが、本作では短所でしかない。会話文まで断片的なので、なぜ会話が成立しているのかわかりづらい。
 簡潔に言うとプロットみたいだ。文章も物語ももっと肉付けしていかないと作品とは言えないのではないか。
 続編があるようなのでとりあえず読んでみる。

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2021年09月07日

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 「読売中高生新聞」というところがやっている「君に贈る本大賞」というのがあって、それの2018年度の結果発表のリーフレットに載っていた本。1位は『君たちはどう生きるか』、2位が『星の王子さま』、3位は『蜜蜂と遠雷』と続いているが、おそらくランク外で「数学先生編」というところで、数学の先生がおすすめしたらしい本、ということで紹介されていた。理系をネタにした話が結構好きなので、これも何かの出会いだと思って読んでみた。
 高校生たちがひと夏を数学にかける、という話で、数学について、自分についてあれこれ思いをめぐらしながら、時には孤独に、時には仲間と悩むという物語。数学の先生が勧めるくらいだから数学好きの人は楽しめるんだろうけど、数学オンチでも、中高生なら楽しめる本、なのではないだろうか。大人が読むと、ちょっと青春臭すぎる感じがどうも素直に受け取れない、という感じ。あと主人公本人に自覚はないみたいだが、超天才集団に属する1人が主人公なので、あんまり共感できないという点でもマイナスかもしれない。
 最近どこかで「中学受験は数学だけやりゃいいんじゃないか。結局数学出来る奴は何でもできるんだよ、地頭がいいから。」という雑談を聞いていて、そういうことを考えながら読む本だった。おれも、数学出来る人と出来ない人、つまり頭がいい人と悪い人の差って何なんだろう、ということを考えながら読んだが、いくつかヒントになりそうなことが書いてあった。数学の出来ない友達が主人公に聞く場面で、数学は論理的だから、と主人公が答え、さらに論理的って何?という話から始まり、「でも。例えば入試のとても難しい問題は、誰もが解けるわけじゃないでしょう?誰でも解けるなら、差がつかずに全員合格になる」「解けないかもしれないけれど、答えを見たら、理解できるし納得できる。ああ、そのやり方をすれば確かにそう解けるって」(略)「つまり、やり方に気づける人と気づけない人がいる、ってことでしょう」(p.70)というやり取りとかは、気づくか気づかないか、の違い、というのがあるということらしい。そしてその部分と似ているのは「閃き」について、主人公自身が考えを巡らせている場面で、「閃きは、閃くか閃かないか、それしかない。努力すれば閃くのならばやりようもあるが、それで閃くとは限らないから、閃きと言うはず。(略)しかし、と思う。考え続けなければ、閃かない。そして閃きは、決して何もないところから湧いてくるわけではない。閃きは多分、それぞれの中にある数学世界からくる。自分でもその全容を自覚できないけれど、自分のなかに確かに育まれ、培われ、形成されている数学世界から、閃きはやってくる。」(pp.256-7)と書いてある。これはおそらく、経験とか経験から生み出される勘のようなものだと思うが、それを言ってしまうと結局英語と同じだ。おれは数学オンチで英語の教員をやってる人間だけど、英語も経験値を積んで、自分でも全容が分からないくらいになった「英語世界」から色々引き出してきて、目の前の状況に対峙するんだから。
 だから、やっぱり数学ができるというのは、経験を積んで論理的なものなら出来る、ということでもないような気がする。論理的なものを論理的として理解できる、とか、その理解のスピードがある一定の速度以上である、とか、1つを見たら勝手にその先まで論理を構築できる、とか、その辺の能力が数学の力、というか「地頭」というところなんじゃないだろうか。経験で補える部分もあるのだろうが、それだけでは少なくともこの天才集団には入れない。
 ということを、ごちゃごちゃ考えながら、結局頭の悪い残念な人も存在するし、そういう人はそれぞれの分野で頑張って下さい、と裏を返すとそういう話、とも取れてしまい、ある意味で残酷な話。というひねくれた見方をするのは、心の汚い大人だと思うので、純粋に青春ストーリーとして楽しみたい本。(18/11/14)

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2022年07月24日

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