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Posted by ブクログ
読み返してたら、全部読み返したくなって『工場』も『庭』も棚から出してきた。文庫も単行本も両方買っている小山田作品大好きすぎるんだけれど、他の人の感想見てたら、よくわからないとか何が言いたいのか?とか書かれてあって、そっかーそんな風に読む人もいるんだなと思ってしまう。この面白さって息するみたいなものでうまく言葉に出来にくい。あとから何回も読み返したくなってそうしたら新しい発見とかあって、小山田さんの好きなものが滲み出てるわー、うふふとかなるわけで、そういう自分だけの楽しみ方をわかち合えたりわかち合えなかったりそれもふむふむなるほどー!!って感じも面白くて、今回は『いたちなく』『ゆきの宿』が本当に面白くて『工場』の『ディスカス忌』の斉木君と同じ人物であって違うのかなとか、世界がずれてるかドッペルさんかな、とか小さな繋がりは熱帯魚だよなとか考えたらうはうはしてしまったのでした。あーほんまに、好き。小山田作品大好き(笑)
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仕事を辞め、夫の実家の隣に引っ越した私。専業主婦になり、家事以外の時間をもてあます。そんなとき、見たことがない獣が掘った穴にハマる。さらに、いるはずのない義兄が登場し、不思議な物語になっていく。芥川賞受賞の表題作のほか、2作品収録。
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表題作の「穴」だけ読んだ。
このホラー感は何?
小学生の夏休みの不思議な体験の大人版という印象。
読んでいてずっと気持ち悪さがまとわりついてくる感覚がかなり良かったですね。
(追記)
「いたちなく」「ゆきの宿」の二作もかなり良かった。こちらのほうがまだ怖くなくて良かったかな
なかなか読み解けていない部分もあるが、面白かったですね
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ズボン、ヒューン、ならばアリスの穴だが、この作品ではドスッ、シーン、肩から下が埋まってしまう。
リンチを思い出す草地や土の描写を経て、現実が変異するが、それはもとからそうだっただけのこと。
「工場」の着地は変身だが、「穴」の着地は変態(もしくは成長)。
まずは義兄の存在感だが、
この作者はどこかしら子供を作るということにしこりを感じているらしい(実際はいるけど)。
そこに共感。
だからこそ、(「ディスカス忌」に続く)「いたちなく」「ゆきの宿」の夫婦にも肩入れしてしまう。
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表題作の『穴』が面白すぎる。
世間から張り巡らされた抑圧の描写に胃が痛くなり、散歩道に生えた草木の生々しいにおいを感じ、リアルに次ぐリアルに舗装された物語の道に、突如小さく変な穴が空く。変な奴らが登場する。黒い獣、存在を隠匿された義兄。変だけど、それぞれに生態や道理があって、地に足をつけて生きている。変だし不気味だけど、ユーモラスで憎めない。
誰しも「普通」や「まとも」に息苦しさを感じて、「ここではない世界」を夢見たことはあると思う。『穴』で表現されるのは、あまりにショボくて滑稽で、それなのに泣きたくなるような「ここではない世界」なのである。私も穴に潜り、黒い獣の湿った鼻先を感じたい。
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よく分からない、一体なんの話なの?って感想が多いみたいで漏れなくあたしもそうなんだけど、それがつまらないってことではないんだよな。このなんだかよく分からない、不思議、モヤっとするのが芥川賞っぽいというか笑 読みやすく、直ぐにこのなんとも言えない世界へ引き込まれた。結局、主人公以外の全員が不気味で少し怖い。田舎特有のご近所のことは何でも知ってて、いつでも見られてる感じ。ひー!何か変だなぁと思うことがあっても、葬式とかその地の風習を経験して、そこで仕事をしてそこの人達と触れ合って、受け入れて、慣れていくんだよねぇ…。隣組みたいなものが悪いってわけではないんだけどもさ。
他の作品も読んでみたい。
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見たことのない獣を追って穴に落ちる主人公の主婦・あさひ。主人公にとってはずっと問題のなかった「世界」を見る視座が、穴に落ちたあと気付きもせずにぐらりと変わっているといいますか、世界のほうがごろっと妙な角度に曲がってしまうといいますか。そこも僕には、読んでいて物理的に穴に落ちたシーンにはとくに何も感じず、そこが過ぎてしばらくしてから「ああ、穴に落ちたというのは……」と時間差で違和感が生じてきたのでした。継ぎ目を感じさせない移行の仕方を作っているのはすごい。
それで、僕が感じたこの移行による違和感はなにかというと、まずは「混沌」という言葉が浮かんできます。主人公が驚くようなことがいろいろ起こって、その事案にたいしての理由付けがうまくいっていないために混沌が立ち現われている。これは読者もそうなんです。主人公はうまく飲みこめていないけど、読者にはわかっているという種類の小説ってありますけども、この作品はそうではありません。細部の奇妙さは奇妙さとして断定されているように読めてしまう。それはまあ、疑って読めばいくらでも疑って読めます。しかし、自ら罠にはまっていきたがるチャレンジ精神をかきたてられるようなものがこの作品にはありました。もっと洞窟の奥深くへいってやろうじゃないか、というような気にさせる。そうしてうまく転がされます。言い方を換えれば、ぞんぶんに読者を作品世界に泳がせてくれるわけです。
で、次は「認識」という言葉から考えていきます。小山田浩子さんは認識というものの扱いが巧みなのです。主人公が自分の周囲の世界をどこまで明確に認識しているか。ある認識はべつのものを認識するときの助けになり、反対に妨げになるときもあり、ときに屈曲させてしまうものにもなる。そして、主人公は物語世界のなかで認識の解像度を上げたり上げられなかったりもする。そのようななかで集められた情報やもともともっている知識などからいろいろ考えていくのですから、地盤がゆるゆるしているなかで構築された判断ができあがっていきます。それで混沌状態を体験することになるのです。そしてこれは二重の意味でもあります。なぜなら、読者の認識についても同様に考えられていて、同様の体験をするからです。しかも、没入感をあまり持たない人でもうまく物語世界の混沌に導かれてしまうくらい、粗がない文章だと思います。
物語の結末では、また違う世界に主人公は足を踏み入れています。このあたりも、うまく認識させずに世界を移行するワザが、作家の手法のみならずこの世間というか社会というかにはあるのです、ということを暗に示唆しているのではないかと感じました。
あとの短編二作は連作です。情景や描写から登場人物の心象を推し量るような読みかたで接したのですが、そこもたぶん作家は計算しているのでしょう。「これはたぶん、女性同士の性愛の予感だ」だとか「エロティックな心象を表わしている」だとか「主人公の不安で落ち着かない心持ちを落ち葉の描写でトレースしているんだ」だとかありました。が、しかし、結末までいくとフェイントをかけられたみたいになったのです。まあでも、僕はまだまだ小説の読みは浅いですから、もっと鋭い読みはたくさんあると思います。これだという感想は述べられませんが、この二作もおもしろく読めました。
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穴は難しかったです。姑からの振込依頼のお金が足りなかったこと、水を撒き続ける義祖父、黒い獣、義兄や子供たちの存在、そして穴。
色々考察してみたがわからないことが多い、だが一つだけわかるのはコンビニで働き始めてからは日常がもどったことだけだということ。
いたちなくは妻の語りが不気味でラストもよかった。
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ある女性が夫の実家のある独特な雰囲気のある田舎に引っ越す。そこでの出来事が描かれるのだが、途中で視点が妻から夫へと切り替わる。不明な点が多く、自分でもこの作品をしっかり評価できているかわからない
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おもろいです。解説班よびたい。
つまりどういうことなのか、何を指している話なのか、はっきりとさせずに読者に解釈を託す文がたまらない。謎解きのように、何度も読み返してみたい。思い出すシーン一つ一つがそういうことだったのかもしれない。と思い、ゾッとするのが魅力的。私は好き
Posted by ブクログ
なんだろう・・・何とも言えない不気味な読後感。
仕事を辞め、夫の実家の隣に住み家賃はただで、嫁姑問題も無くゆったりとした時間の中で進む話。
見たことの無い黒い獣。至るところにある深い穴。
見る度に庭の水撒きをしている義祖父。
1人っ子と聞いていたはずの夫の兄だと名乗る義兄の存在。
穴に落ちたあの日から、何かが変わったような、ありふれた日常に見えて、自分だけが異世界にでも足を踏み入れてしまったかのような時間の進み方が怖い。ああ見えて、義兄が一番まともな気がしていたのに、果たして本当に存在していたのかさえわからなくて、しばらく本を閉じたまま考え込んでしまった。
初作家さんだったが、この世界観は好きなので他の作品も是非読んでみたい。
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主人公のどんくさいところとか、働かなきゃいけないと思いながら動けない罪悪感とかにすごく共感する。
あさひが黒い獣を追っていて落ちた穴。穴から引き上げてくれた世羅さんはあさひを「お嫁さん」と呼ぶ。その獣を観察し捕まえて置こうとする義兄。義兄は、子孫を残すために滅私奉公をする家族という制度から逃れて物置に住んでいる。雨の日も水撒きをしていた義祖父は穴に落ちて肺炎にかかって死に、早くに亡くなった義祖母と並んで写真が飾られることになるが、それは夫婦のように見えなくても間違いなく同じ一族に見えるだろう。義祖父の葬式では「お嫁さん」と呼ばれた姑はもはや反応しなくなっており、あさひが代わりに「お嫁さん」としての役割を果たして行く。義兄や子供達は幻のように消える。
コンビニ店員として働き始めることにしたあさひの顔は姑に似ている。姑が義祖母に似ていたように。それは夫の家に入って一族を支える「働く嫁」の顔なのではないか。
穴に落ちることは今の家族制度に絡め取られて行くこと。
働くことの虚しさや徒労感と、女性をとりまく家の不条理を感じた。
後の二編は「ディスカス忌」と重なる。登場人物も共通しているし、その続編?不妊と妊娠・出産のテーマも続く。
小山田浩子の作品は、今回の三作品も、ディスカス忌、いこぼれのむし、も、フェミニズム的な視点というか、女性が子供を持つこと、が共通するテーマである気がする。
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『穴』
第150回芥川賞受賞作
帯の一文は
「奇妙な獣のあとを追い、私は得体の知れない穴に落ちた」
主人公は仕事を辞めて、夫の実家の隣に移り住んだ主婦。
見たこともない黒い獣のあとを追って土手の穴に落ちてから不思議な人や風景に出会っていく。
始まりはこの主人公が辞める会社での仕事仲間との会話のように、リアリティのあるものである。
夫の実家の隣に移り住んで、義兄と名乗る男の人だったり、ずっと庭に水を撒いている義祖父だったり、謎の黒い獣だったり、少しずつ風景が現実から異世界のものになっていく感覚が心地よかった。
「家庭」「家族」を作っていくということ、血の繋がりがない他人と一族になっていくということを様々な立場から考えさせられると思った。
希望でもなく、絶望でもなく。
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私は夫と都会に住んでいたが、夫の転勤で同じ県内だがかなり田舎の町に住むことになった。偶然夫の実家のある町で、義理の母の勧めで夫実家の隣にある借家に住むことになった。
実家には夫の両親と祖父が住んでいた。
数ヶ月後のある夏の日、仕事に出た義母に頼まれて離れたコンビニエンスストアに振り込みに行く。
しかし途中の川沿いの道で見慣れない黒い獣を見かけて追いかけ、河原近くにあいていた穴に落ちてしまうが、通りかかった近所の奥さんに助けられる。
コンビニエンスストアに着くと漫画を読んでいた何人もの小学生に絡まれてしまい、今度は「先生」と子供達に呼ばれる男性に助けられる。しかもその男性は、一人っ子のはずの夫の兄だった……。
著者の芥川賞受賞作。
どこまでが本当で、どこからが幻なのか。
とても文章が読みやすくてさらっと進むのだけれど、なんともいえない不穏な感じがぱらりぱらりと散見されて、妙に落ち着かない気分になっていきます。
この妙な感覚がずっと続いて落ちというか、最後の一文がある意味、ホラー。
はまり込んだ穴は、このことなのかな……人によってはホラーといは違うと感じられるかもしれないけれど。
背筋に張り付くような、この感じ、かなり好きです(^◇^;)
女性の方がこの感覚、分かりやすいかも。特に既婚者の。
やはり「工場」も読まないと、絶対に買いだわ。
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これを読んだあとにホラー小説読んだからか「こえーよ!」な記憶で上書きされてしまった。
いや、怖くはない。不気味で不穏ではあるけど。
異界とこちらを行き来する。
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郊外に格安で戸建を借りることができ、
自分が仕事をやめてもそれほど不自由のない生活が約束されている。
夫婦関係も良好で、夫の両親も気のいい人たち。という、
基本的に幸福であろうはずの環境のなかで、
言い知れぬ不穏な空気が終始漂い続ける不思議なお話。
不穏な空気は主人公の不安そのものと言ってもいいのかもしれないけど、
それがあるとき夢とも現実ともつかない不思議な形となって目の前に現れる。
それは穴であり、家族に存在を認められない浮世離れした義理の兄であり、
突然現れる謎の生き物であるのだけど。
それらは何かを示唆しているようでいて、特に何の役割も果たさない空虚な存在で。
わけのわからないまま翻弄される事になる。
生活環境が変わることで主人公の前に突然現れた無限とも思われる時間。
その自由そのものが不安の元凶で、主人公を苛んでいる物の本質であるように思う。
そこから逃れるすべは、時間を消費することしかなくて。
必然的に主人公の最後の決断を導いていく。
それが良いとか悪いとかではないんだけど、
きっともう大丈夫。と思える結末。
自由は恐ろしい穴のようなものなんだ。
それを持て余すくらいなら、
何かで埋めてなかったことにしよう。
ってことだと解釈しましたよ。
女性の方が感情移入しやすそうだけど
色々思うところあり、楽しめました。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞の表題作含む短編3作。
表題作は普通の女性がごくごく一般的な理由の転機を迎え、そこから物語が始まる。
主人公が周りや出来事に対して、取り立てて好感も悪感も表す風もなく、淡々と人生の一幕が展開する。
短文が連なりテンポよく進み、どこにでもありそうな出来事だけが起こっていくのに何かしら不穏な空気が漂う印象。
その中にあれば、何だかよくわからない生き物も、突然登場する義兄も、夏のこれでもかというくらい暑い描写に混じって自然に見える。
そしてまたありがちな出来事から急にそれらが虚像になる。
それすら受け流す主人公が、際立つわけでもないのに余韻が残った。
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芥川賞作品。
ストーリーをそのまま楽しむ本ではなかった。
回収させない伏線が複数あり、読者の想像にお任せする部分がとても多い。
・物語を通して散りばめられている「穴」
・義兄の正体
・黒い動物の正体
・黒い動物が掘った穴
・姑は何故振込金額を間違えたのか
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表題作を読み終わって「ああ、土地の人になったんだ……」と腑に落ちた気がした。これまではどこかお客さんのようなぎこちなさや、生活に実感もなく暮らしてる感じだったけど、義祖父の死をきっかけに嫁としてそこに居着いたという感覚。
田舎には田舎のルールがあるとでもいうような通夜の席は異様だったけど、あの場で自覚も出たのかな。そうと決まってからはグズグズ考える頼りなさみたいなものが消えている。役割を得て姑のような人になるんだろう。
義兄の言う事が印象的だったし存在自体も面白かったから、現実に居なかったのはちょっとショックだなぁ。
「いたちなく」と「ゆきの宿」は、夫目線では妻の考えが分からず不気味な人物に映った。これは夫が妻のことを何も分かっていない証拠かもしれない。洋子の前では妻は涙を見せているのである。
「穴」の主人公も夫との意思疎通は出来ていない感じだった。義父と義母の関係もそう。家族ってそういう孤独なものかもしれない。
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情景、仕草の表現が細かくて目の前に浮かんでくる。話がよー分からんのは芥川賞ならではのいつもの事。
穴よりもいたちぬきが面白かった。短い話だからか、割と素直に全編読めた。ところどころに出てくる登場人物が気味悪く描かれているのがおすすめのポイント!
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初めて出会った感じの不思議な小説でした。
読み終わっても、疑問だらけで部分的に読み返して解明しようとしてみたがどこがどう繋がっているのか、義兄と義祖父、獣と穴と大勢の子どもたち、老人達の関連など過去と現在が何かで繋がっているのだろうかと読み戻ってみても掴めず。分からない事だらけですっきりはしないのにクセになる独特な作品だと思いました。
Posted by ブクログ
読書開始日:2021年9月7日
読書終了日:2021年9月12日
所感
【穴】
難解だった。
「しんせかい」に似た空気感。
全く歩み寄ってくれない感じ。
あさひの未来が姑なのは予感がしていた。
田舎は日々の動きが少なく、それも専業主婦となると時間を持て余し「穴」にじっといるような感覚に陥る。
だからこそあさひは「穴」に固執していたのだと思う。
こう考えたら楽をしているようになってしまうが、義兄と穴の獣は完全に妄想だと思う。
義祖父の置き去りにされたような痴呆も不気味だ。
義祖父はもうすでに意識が朦朧としていて、穴に篭りたかったのだと思う。
あの地域の「穴」は、何も動きのない日々の恐怖からの逃げ場や、動きとして表現されていた気がする。
なんとも難しく時間がかかった。
【いたちなく+ゆきの宿】
斉木はわかっていた。
主人公が生き物に対する気持ちが希薄なことを。
妻はもちろんわかっている。
夫婦のこれまでの背景が、斉木家の出会いから吹雪の泊まりの日でかなり表現されている。
主人公の「堪能したか」の一言は、かなり危険だ。
一見違和感が無いが、こう言った事柄に悩んだことがある人物からしたら、たまったものではない。
もうしばらくないんだから、記憶に焼き付けろといっているようなもの。
それは妻も夜な夜な泣く。
もちろん主人公に悪気は無かった。
妻は托卵した。
細い腕時計がその証拠だ。
後半2篇はかなり好み。
穴
2人分を時間差で作ると必ずどちらかの方が不本意になってしまう
もし地上に出た日からしばらく雨が続いたら蝉はどうするのだろう
業務や、責任や、愚痴や苦痛は、全てアパートの中空の2dk分の価値しかなかった
調和した、土の内部から染み出たような湿り方だった
いたちなく
ゆきのやど
堪能ね
お前じゃうまくいかないよ
インテリアのようだが、やはり生き物だからな
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数年前に読んだ時、なんだか妙な気持ちになったのを覚えている。そして、なにかの拍子にまた手に取ってしまった。
この本の良し悪しを語るには時間が必要だと思う。
初めて読んだ時、意味のわからない奇妙な余韻が残った。少し怖いような、寂しいような、グロテスクなような。
ただ、記憶に残る。
記憶に残っていたからこそ、数年ぶりに手に取ったのだと思う。
穴に落ちて以来、世界が変わったのか、それとも主人公自身が変わったのか、それは誰にもわからない。ただ、なにか、ボタンのかけ間違えたような違和感だけが残る。
この本について、まだ評価ができない自分がそこにいる。良かったのか、悪かったのか。
もっと長い時間を経ることで、この本の真価を知れる気がする。
この本はそういった本であり、良い悪いではない、ただ読んだ余韻が残る、そういった本。
Posted by ブクログ
とある呟きを見て「そういや買ってたな」と思い出してタイトルだけ読む。そしてさっぱりわからんかった(笑)虫嫌いな方には全くお勧めしない。しかし、こういうものを読んでしまうとますます俺は小説って向いてないのかなと思ってしまう。何回か読めばまた違う世界が見えてくるのだろうか?
Posted by ブクログ
なんとなく怖いような不思議なような独特な雰囲気のある物語だった。
なんでもない日常の中にぽつんと入り込んだ非日常みたいな感じで個人的には好みの世界観だった。
表題作の「穴」よりも「いたちなく」が面白かった。
Posted by ブクログ
なんというべきか…曖昧さの漂う雰囲気。
表題作「穴」:非正規雇用労働の話とか、夫の実家の隣で家賃ゼロで世話になるので姑問題なのかな…と思いつつ、義祖父や義兄への気がかり(主人公は淡々としてるが)…ん?幻想?等 色々思って読んでいるうちに終わってしまった。
まるでろうそくがす~っと静かに消えたような感じ。
…なのだけど、主人公はラストには違う自分にシフトしてる。
激動があるわけではないが、物事は確かに終わっている。
ずっと読んでると正直疲れるのだが、何故か読みたいと思わせられる。
不思議な惹きつけ感があるが、浸りすぎると憂うつになる;
とりあえず、表題作のみの感想。
小山田作品、好きです。
Posted by ブクログ
夫の転勤で引っ越した義実家の周辺で起こる非現実なエピソード、というシンプルな構成をベースに、得も言えぬ不安な不安定な違和感のある雰囲気を伝える小説。
評価の分かれる小説だろう。物語ではなく描写で伝えるタイプの小説。なのでストーリーを追っていっても、作者には近づけない。
Posted by ブクログ
つかみどころの無い話。何の問題もないように見えるが絶えず不穏な空気の漂う若夫婦が、旦那の実家の隣に越す話。最初は嫁姑のようなものがメインになるのかと思ったが、思わぬ方向に話は流れて、お盆の季節に遭遇したちょっと不思議な話になっていく。
この、穴やなぞの生き物や不思議な兄などが何のメタファーなのかはやっぱりわからないまま。ほかの短編も物語の最後のほうに和テイストの不思議体験が現れる。これは何を意味するのか。
あと、夫婦の間の不穏な空気もほかの短編でも共通している。相手の中にわからない部分があり、それをわかろうとする事を少し諦めている感じというか、認めているというのか、とにかく身近であるはずの相手に不明なところがある。これがすごく不穏な空気を生んでいるように思う。100%分かり合える事はないのだから、当たり前なはずなんだけど。