感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
某古本屋チェーンの100円カートから何気なく手に取った本。自分にとっては大正解でした。
作者の西澤さんが、そもそもミステリー作家ということもまったく知らず読み始めたのですが、一気にのめり込みました。
感覚を例えるなら、リアル脱出ゲームのような感じ。ゴールがわからないまま、ヒントだけ散らされて、それを一つずつ拾いながら、答えの見当がつかずに、それでいてワクワクしながら歩き続けるようなもの。
この物語の魅力は擬似家族となった三人のあたたかい繋がりが、それとは対象的な世界レベルの計画にからみ合い、徐々にその両者の関係が明らかになっていくワクワク感だと感じました。
また、西澤さんの表現も気に入りました。晩酌をしながらの会話で夫婦の過去が明らかになっていき、親密になっていく経過が、人間味があり素敵です。()の使い方もおもしろいです。
突然の来訪者により一気に畳み掛ける終盤、その後を想像させるラスト、最後にハッキリとわかるタイトルの意味、全て心地よいです。
他の作品はこのような雰囲気ではないのかもしれませんが、また西澤さんの他の作品も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
うーん、何というか、モヤモヤとした終わり方でちょっと喪失感がでてきた。最後がハッピーエンドみたいなかっこうで終わっていたので、まだ救いようがあったが、どうにも腑に落ちない。
設定自体はなかなか面白いと思ったが・・・偽りの家族が徐々に愛を深めていく過程は本当にほのぼのとしていてなんだかいいなあって気がしてくる。しかし、中盤あたりから精神感応現象なる訳のわからない、要するに「テレパシー」が現れ、いかにもSFっぽくなってくる。
しかも、その原因が娘「レイナ」だというのがラストで明かされる。その上、アメリカ合衆国がどおのこうの、「非有都市の完全体」?「超人類」?などと理解しえない言葉が飛び交いちょっと興ざめしてしまった。
タイトルの意味も何となくラストで理解できたような気もするが、それでも何故、裏でこんなに壮大なプロジェクトが行われていたというのはちょっと理解しずらいかもしれない。それを抜きにしても、家族のほほえましさは伝わってきたのでそれはそれで良かったと思う。