【感想・ネタバレ】婚礼、葬礼、その他のレビュー

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《故人が本当にそうだったのかは、なつみの言葉のみから判断するのは難しいが、今はここで話しているというしがらみがあるぶん、なつみの気持ちを尊重すべきだ、とヨシノは思った》(P40)

《すみませんすみません、この御恩は一生忘れません、と勢いであるにしても大きく出て》(P57)

《うちの子がご迷惑をおかけいたしまして、と特にそういったことはなかったにもかかわらず、常套句として言った》(P76-77)

大変な混乱に巻き込まれているにもかかわらず頭のどこかは冷たく冴え渡っているヨシノの思考の流れが面白すぎて、一行も読み飛ばせない。密度の高い文章。

陣野俊史氏の解説にもある通り、津村作品では登場人物の細かいプロフィールは説明されないものの、こうした個々人の価値観や思考プロセス、言葉遣いを細やかに描写することで彼らがどんな人間かがくっきり浮かび上がるようになっている。津村マジックだ。

表題作もだし、もう一遍の「冷たい十字架」もそう。語り手が何人も現れるけど、高校生セキメがミネラルウォーターを《口のみした》とか、やはりこの語り手だからこそという言葉選びが多くてしびれた。口のみって高校生男子ならではの語彙だと思う。

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2024年05月17日

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「旅行より結婚式が強くて結婚式より強いのはお通夜……」
「トレーディングカードみたいに言いなさんな。それはまあそうなんだけど」

皮肉怒りユーモア満載だけど空腹で腹を鳴らしながら他人の葬式で自分の身内のことを回想して号泣してしまうあたり、常識ありそうにみえて天然なヨシノに好感持てる。
タイトルの「その他」は生理現象を含んでそう。タイトルのザックリした感じ好き。

《それにしても、他の社員の付き合いのよさ、というか社会人作法の卓越に、何か筋違いな怒りのようなものも覚える。》

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2019年09月26日

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感覚が、特に笑いのツボがあう作品だった。真面目なのにちょっとおかしいところ、婚礼と葬式を続けざまに描くところなど、好きな作品。

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2014年05月05日

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誰に腹を立てていいのやら、自分のせいではないのにめぐりめぐって最悪な状況に陥ってしまう主人公。自分だったら、早々に爆発するか投げ出してしまう間の悪さの極地のような状況でも、主人公はそのときできることを、そのとき発揮できる能力とエネルギーでもって実行していく。無意識だろうけど、誰も不幸にならないよう配慮できる主人公の「いいひと」さ加減がうらやましかった。そしてかつて自分を救ってくれた後輩カップルのエピソードが素敵だった。

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2013年07月06日

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年を重ねる度に、「死」ってなんだか思っていたよりも自分の近くに存在していたんだなぁ、と実感していたので、共感しながら読んだ。

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2013年03月07日

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「婚礼、葬礼、その他」と「冷たい十字路」の二編。
「婚礼、葬礼、その他」は、やっぱり津村さん、すごくよかった! 最近の「とにかく家に帰ります」とか「ウエストウィング」に通じていくものがある感じ。初期のころのちょっと読むのがしんどくなるような感じがなくて、すごくユーモアがあって。長編でもよかったのになあとか思う。
結婚式の受付やらスピーチやら二次会の幹事を頼まれたら、旅行の予定があっても断れない、結婚式の最中に会社の上司の親が死んだと連絡があったら葬儀にかけつけるのを断れない、そしてあからさまには文句も言わないっていう、まじめで義理がたく、要領が悪いといえばそれまでの主人公が、むくわれもせず、どたばたと苦労するのが、悪いけれどかなり笑えて。
津村さんの小説に出てくる人たちは要領悪くて損してる人が多いけれど、みんないい人だ。最近の世の中、要領悪い人ってダメと思われる気がするけど、いや、要領悪い人ってすごくいい人じゃないか、要領がいいなんていいことじゃない、とか思ったり。

葬儀に列席して、主人公が死について考えて、亡くなった自分の祖父母のことを考えて、思わずひとり泣きだす場面がよかった。
そのあと、故人の孫娘の高校生がおにぎりをもってきてくれるところも。
ラストが、主人公にこれからいいことがありそうな感じだったのも好き。

「冷たい十字路」はちょっと雰囲気が違ってユーモアもあんまりなくて確かに冷たい感じだけどこれも津村さんの一面であるなと。

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2013年02月25日

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ネタバレ

ヨシノさん、大変!
色々と呼びつけられて
アタフタしている彼女と一緒にワタワタしました
お疲れさまでした
お腹すいたねえ
目指す人生、きっと送れる気がします
ヨシノさんなら

二編目の「冷たい十字路」
視点が面白いです
ただカタカナの名前について行けませんでした

津村記久子さん 好きです

≪ 婚礼と 葬礼どっち? てんやわんや ≫

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2021年05月19日

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同僚が結婚式を挙げた。
わたしは出席していない。

友人が亡くなって一年が経った。
わたしは彼女に会いに、地元に帰れていない。

結婚式は、事前に出席者の予定を空けておくように告知がなされる。その時点で、最重要案件である。一方で、葬儀は突然告知される。当然だが、突如として最重要案件となる。
では、そんな結婚式と葬儀が重なった場合。あなたならどうするか。
この作品では、主人公ヨシノがその重なった最重要案件に立ち向かっていくお話。
まるで、そんな日常を一挙手一投足で描いたエッセイのような作品でした。

本作品でも、津村さん持ち前のユーモアが冴えわたっている。そして、主人公の正義感の強さとなめらかに吐き出される愚痴の数々。
津村作品の素晴らしいところは、この毒のような愚痴が、ポップに、心地よいリズム感でもって描かれているので、全く不快ではなく、ブラックユーモアとして冴えわたっている点にある。そして、不快にならないのはもう一点、登場人物それぞれみんな、ちょっとどうしようもないのになぜか魅力的なのである。

そして、解説でわかりやすく描かれているが、「与えられる情報は実は最低限」なのである。
先ほど「登場人物それぞれみんな、ちょっとどうしょうもないのになぜか魅力的」と書いたけれど、津村作品では、登場人物に関する情報があまりないまま物語が進み、会話や過去・現在の出来事から、読者側がその人物像を構築していく作業が必要になるのだ。外見や設定がかなり控えめに描かれているからこそ、そのキャラクターに俄然興味がわき、どんな人物なんだろうと想像力をかきたてられる。そこをほとんど描かなくてもこんなにも生き生きと描き、読者に印象を残し、魅力を伝えることができる。この描き方はすごい。

表題作と一緒に収録されている「冷たい十字路」。
この作品は、人物像が分かっても、その人物像の背景が分からないまま物語が進み、十字路に関する人々が代わる代わる主人公となって語られていくうちに、全体像が見えていくというものである。主人公が変わりながら進んでいく物語は数多くあるけれど、津村さんの毒がこんな風に、ある種ミステリ作品のように描かれるのは非常に珍しい。

そしてたぶん、間柄にもよるけれど、わたしは主人公と同じ立場なら、結婚式の方を優先するだろう。

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2021年03月28日

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津村記久子作品の映像化ブーム来てほしい。津村記久子さんの会話劇を映像で見たいと強く思う。なんなら津村記久子さんが脚本を書いても良いのでは。現代の向田邦子だ。どこか企画してほしい。

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2020年12月22日

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うまい。やっぱり津村記久子はうまい。
表題作は、笑えながら、ドラマがいくつも起こる!ものの、それがドタバタなのに、なんとなく現実的。

二作目は、どんどん語り部が変わりながら、話が進んで行く。
本当にうまい。引き込まれる。
2017.05.04

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2017年05月04日

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招待客の旅行の日程など関係なく人は結婚するし、結婚式の日取りに関係なく人は死ぬ。本作の主人公ヨシノは、ひとり旅でもしようと旅行会社に申し込んだその日に、しばらく疎遠だった学生時代の友人から連絡があり、結婚式と披露宴への出席ばかりかスピーチと二次会の幹事まで頼まれる。断れなくて、段取りに奔走。ついに当日を迎えたら、これから披露宴というときに会社の常務から電話。ヨシノの上司の父親が亡くなったから、直ちに来いと。社員18名の会社は良くも悪くも家族的で、誰かが亡くなれば必ず全員で通夜の手伝い。なぜ本葬ではないのかといえば、18名の会社は平日昼間に会社を閉めるわけにいかないから。

表題作の『婚礼、葬礼、その他』は、これまで人を呼びつけた記憶がない、常に腰の低いOLヨシノが、こんなふうに踏んだり蹴ったりな目に遭います。婚礼葬礼両方の様子も面白ければ、その他の部分はもっと面白い。当日の朝に寝坊して食事できなかった。だけど披露宴でご馳走にありつけるからいいやと思っていたのに、飲まず食わずで通夜の手伝いに行かねばならなくなり、ヨシノは腹ペコ。人が幸せでも不幸でも腹は減るもの。

もうひとつ収録されている『冷たい十字路』は、地下鉄の駅に降りる道に面した十字路が舞台。通勤通学の自転車が無尽蔵に走るこの十字路は危険なことこの上ない。ある日起きた高校生同士の衝突事故。その目撃者や、この十字路を校区に持つ学校の教師、十字路前にあるスーパーで働くパート女性などの話で構成されています。人間模様の描き方が丁寧でこれまた面白い。

どちらの話も幸せとはいえないのに、最後はちょっぴり優しさを感じてほっとします。長い夜と心の隙間を埋めるのは、結婚式よりもめでたくはなく、葬式よりも重要ではないものかもしれないけれど、それでいいというヨシノの言葉が響いてきます。

しかしこれから披露宴というときに訃報が届いたら、結婚式<葬式は致し方のないことなのか。故人は一面識もない人だというのに。

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2017年05月10日

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ネタバレ

旅行する予定が、友人の結婚式の二次会幹事に選ばれ奮闘するものの、
当日になって会社の上司の親族のお葬式に駆り出されるヨシノ。

空腹に耐えるヨシノ、
お葬式会場のトイレのなかで、故人の愛人同士の罵り合いを聞きながら、電話で結婚式のスピーチを語るヨシノ。

他短編。
二つの高校と小学校がある町での
校生同士の自転車事故。

小学校教師と事故を起こした高校生との過去の関係。
事故を起こした高校生に助けられたことがある小学生。

その小学生を娘に持つ働く母親。
自転車事故を目撃したOL。
事故についての手紙を作成することになった男子高生。

津村さんの登場人物たちは、みんな真面目だな。

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2017年04月27日

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「とにかくうちに帰ります」を楽しく読んだ思い出が蘇った。人を呼び出す才能がないことに悲観してなくて、受け入れてるところが津村さんらしくてよい。冷たい十字路のほうもいい。朝交差点で起きた自転車事故を複数の視点で書く。周りの人の視点。いろいろ思うんよね。人がいろいろ思う小説が好きなので、冷たくても笑えなくてもいい。

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2016年09月26日

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 それぞれがはっきりとはしてないけど確かな不満を抱えていて、でもそれを抑えて社会で足並みを揃えて生きているのだけど、ちょっとした拍子にその膿が表面化してしまう怖さ。そういう意味では、実は非常に脆い日々を送っているんだなと思った。他人の地雷がどこにあるのかも分からないし、どれだけ憂鬱でも社会的に生きていくことから簡単に逃れられないから、だからみんな何とか折り合いをつけている、その閉塞感が本当に晴れることはないのだろうけど、悪いことばかりでもないとぼんやり思える津村さんの仕事描写がとても好き。

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2015年12月24日

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ネタバレ

表題作が特に面白かった。
津村さんの小説の中でも好きなタイプの話。
友人の結婚式の当日に、上司の父親の通夜に行かなくてはならなくなり結婚式をキャンセルして……というストーリー。小さな会社に勤める立場の会社員のままならなさが、真面目なんだけれどユーモア混じりに描かれている。
通常、身内でもなければ「結婚式>葬式」だろうと思うが、社員18人しかいなくて、しかも全員参加が余儀なくされている状況なら断れるのかどうか……、と本人でなくても真剣に悩むところだろうと、フィクションながら気の毒に思う。
参列した通夜での人間関係や、キャンセルした結婚式に出席している大学時代の友人達が、それぞれ個性的なキャラクターで、当人たちは皆真面目にやっているであろうからこその面白みがある。
津村さんの描く登場人物は、語りが堅実なのか、どこか他人のような気がしない。友人の話を聞いているようで面白い。よくよく状況を考えると、まあ現実にはあまりないようなことなのだけれど。その辺、本当にありそうな感じに書けるのがさすが。
最後にラーメンを食べるシーンが印象的で、のどかでぽっかり明るい感じがして、明日に希望を持てるラストなのが好きだ。

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2014年04月09日

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祝福したい気持ちはある。心から。
しかし、服やら靴やら髪型はどうしよう?
お祝儀…。
メッセージビデオを作るのか。 あぁ面倒臭い。
そんなことを感じちゃ駄目だ、と思う。
でも憂鬱。
幸い幹事を頼まれたことはないし(頼まれるような人徳がない)、結婚式の途中でお通夜に呼び出されたこともないのですが。
この冠婚葬祭のテンパった苛々する感じを追体験してしまいました。
本人は必死なのに客観視するとひどく滑稽ですね。
人生って面倒臭いことだらけだ。
でも過ぎてしまえば、それも愛しき日々…なのかな?

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2013年10月22日

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本書には、「婚礼、葬礼、その他」と「冷たい十字路」の短編2作品が所収されている。

「婚礼、葬礼、その他」は、1日の間に、友人の婚礼(2次会の幹事を依頼されている)と会社の上司の父の葬儀が重なってしまって、さあ大変、という状況での主人公の行動や、人間観察、人間関係の機微、そこでの主人公の心の移ろいが描写されている。

一方、「冷たい十字路」では、自転車通学の高校生達による傍若無人な自転車の乗り方から起こるべくして起こった事故を題材に、その事故の周辺の人びとの生活や思いなどが粛々と綴られた作品。

いままで、津村さんの作品では、どちらかというと20歳代後半から30歳代の働いている女性達を主人公に設定し、彼女たちが日々悩み、悶々としながら、それでも頑張って働いている姿が描かれることが多かった。
本書は、そうしたイメージが完全には払拭されたわけではないけれど、それでも今までとは違った感じがする2作品。こういう津村作品も、イイ!

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2013年08月24日

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婚礼、…:よくあるいらだち、どうしてこうなるの?という感じ、ぼんやりとした設定。津村さんらしい話。
冷たい…:心が重くなります。これも津村さんらしさ。

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2013年07月19日

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登場人物達の人間臭きドタバタ感が好かった。人間的等身大のユーモアとアイロニーの流れが、何処か澄ましたような文体から滲み出て来る小説で、アイロニカルな穏やか空気の流れを肌で感じるようだった。

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2013年04月18日

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『ポトスライムの舟』や『アレグリアとは仕事はできない』もそうですが、働くこと、あるいは働いている人についてとなると、津村さんの筆致はひときわ冴えまくります。コピー機や故人といったモノ(物・者)に対する呪詛にどこか共感できたり笑えたりするのは快感です。

本書に収録されている「冷たい十字路」は、『アレグリア~』に収録されている「地下鉄の叙事詩」と似た手法で書かれています。一つの出来事を複数の関係者の視点から描くというのは新奇ではありませんが、プロ作家としての手腕が発揮されています。

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2013年03月14日

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結婚式と葬式が重なり、シッチャカメッチャカになったヨシノと、自分は最近破談したばかりなのに後輩の結婚式に出てきてさらにボロボロになったホンダ先輩からなるエンディングシーン。このままくっついて上手くいくのか?!みたいな雰囲気があまり感じられないところが、妙に温かく感じた。
十数年前に隣の旦那さんのお葬式に出たときのこと。挨拶するくらいの間柄だったのに、なぜか号泣してしまい、途中からトイレへ逃げたという過去を思い出した。

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2013年02月26日

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ネタバレ

冷たい十字路
「ん?…ってことは!?」の構成。
登場する全部の関係性やその後が明示されるわけではないので、人々の生活の一部を切り取ってきたような印象の中編。

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2023年06月01日

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ネタバレ

ヨシノの話はとにかくにやにやがとまらないくらい好きな話。
友だちの結婚式に幹事として行ったのにその最中に会社全員参加型の葬式に呼ばれる
空腹の中、全く知らない人の葬式にでてる心中が面白くて。津村さんの言葉選びが好き。

ただ2話目の話は主人公が短い間に何人もでてきて、、そして1話目の話が面白かった分すこしスピードダウンしてしまった。
自転車で事故ったカップルの2人乗りの女の子が気になる存在だった。。

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2021年07月04日

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「婚礼葬礼、その他」は、こんなことあらんやろと思いつつも面白く読めた。「冷たい十字路」は、ミドリバシ先生が気持ち悪くて仕方なかった。

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2015年06月04日

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津村さんの小説は淡々としたイメージが強いけど、
「婚礼、葬礼、その他」は珍しくばたばたした感じで
テンションもいつもよりやや高め。
旅行<結婚式<葬式に“召喚”される様に同情しつつも
笑ってしまう。終わり方も気持ちいい。

併録の「冷たい十字路」は題名通り殺伐とした雰囲気。
朝は特に自分の都合しか見えなくなってしまうよね。

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2014年06月15日

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結婚することと、誰かが死ぬということを、同時に深く考えさせられる一作でした。私も葬式って亡くなった方のためではないと思う。
もう一つの中編も良かったです。自転車毎日乗ってた時期があったんで、危険性とかよく考えてたなぁ。

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2014年01月02日

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婚礼、葬礼、その他。
この小説は、その他にあたる、婚礼、葬礼の列席者にスポットライトをあてた小説だ。
婚礼を挙げるひと、葬礼されるひと、するひと、どれでもなく、なかば『巻き込まれた感』のある主人公は、そもそも旅行にいくはずだった。それが結婚式がはいり、その途中で会社の上司のお父さんが死んだと葬礼に呼び出される。
小説っぽい展開の中にも、日常のそこかしこに忍び込むリアリティ、その面白みがちょろちょろと顔を出す。
お腹かがすごく空いてしまったとか、代打を頼んだ結婚式の幹事が使い物にならないとか、葬礼にきていた身内の高校生とのなんか近い距離感とか。
短いお話でここまでドラマ性のあることをドラマ性のないように書けるのはすごいなぁ。

同時収録の『冷たい十字路』もたくさん登場人物が交錯し、著者の得意とするユーモア面は封印している。
小学校と高校の通学路に位置する横断歩道で起きた自転車事故。
思わぬ人間関係のつながりと錯綜。
著者特有のカタカナ表記の名前が、この作品ではじゃっかん仇になっている。わたしの集中力の問題だろうか。
ラストは続編があるかのような突然の膨らみを見せてくれて面白かった。

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2013年12月05日

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芥川賞受賞作は読んだような、でもほとんど記憶がないので、初対面の気持ちで読んだ。「どたばた」というほど表面に汗をかいているようすはなく、帯に書いてあるとおり「てんやわんや」という感じがフィットしている。外に出る汗と言うよりは脂汗がふさわしい。面白く読ませていただきました。

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2013年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際にありそうだからハッと考えさせられる。

津村記久子さんの描くやさぐれた(?)女性は面白い。

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2014年01月18日

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