【感想・ネタバレ】でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ノンフィクション作品に初挑戦。
当時幼かったからか、このような事件があったことを恥ずかしながら知らなかった。
フェイクニュースが蔓延る今だからこそ読む価値のある本だと思った。
マスコミのいい加減さには辟易とさせられた。
教師目線の話のため、自称被害者の両親はどんな気持ちで、こんなでっちあげをしようと思ったのか一才分からなかったのが怖かった。
でっちあげはさておき、自分が親になったときに、教師を一方的に責めるような人間にはなりたくないなあ。


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2022年08月30日

Posted by ブクログ

こんなに大事になっておいて
教育現場は何一つ変わろうとしない
変えようとしない
お上たちは何を考えてるんだろう。

なにが子どもファーストだ
逃げ回ってても本当の教育にはならない
そんな環境の中で野蛮に育った
その子供たちにどうやって
国の将来が任せられようか

最後まで追って事実を明かしてくれた
著者に拍手を。
映画化等、もっと話題になるべきだと思う。

1
2020年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「筆者の主観が多い」と批判、あるいは否定している人に言いたい。著者の主観を除いて、客観的なことだけ拾って読んでみたらよいと。鼻持って振り回された子が鼻血で血まみれで帰ってきても病院に連れて行かなかったり(私だったら鼻骨骨折を疑って病院へ行く)、拳でパンチされたならいざ知らず、ほぺったぐりぐりされて歯が折れたりするか?口内炎より頬が腫れ上がるだろうよ、とか、虐待現場の小学校に似た別の小学校に近づいただけでPTSDを発症するような状態の子が、校庭でサッカーの練習は元気にできたり、通ってもいないアメリカの小学校で進級したり、もうツッコミどころ満載でノンフィクションでなければ「笑い話か?」と思う。特に反省してほしいのは言うなりの校長、そして弁護士と精神科医!頭の悪い私でも気づくことに気づかないなんて。法律家でしょ?科学者でしょ?プロでしょ!?

1
2020年07月18日

Posted by ブクログ

戦慄のノンフィクション
自分の身に起こったらと思うと寒気のするストーリー
親の思考回路と目的が気になる。何のためにこんな嘘をついて、なぜその嘘をまるで真実のように語れるのか。
通常の論理では全く理解できない人が世の中には存在することがわかる。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

モンスターペアレンツの虚言もさることながら、その嘘本当も確認する事なく垂れ流したマスコミや、その場を丸く収めることしか考えない校長、教頭には呆れるばかりだ。

特に週刊文春は全く読むに値しない本であることを再認識した。

誤報をしても、素知らぬ顔して記者を続けてる奴らが実名でのってるが、ネットニュース並みの取材力を恥じてほしい。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

読みやすく先が気になり、ほぼ一気読み。

内容の気持ち悪さと読後感の悪さは、下手なホラー小説よりもある。

悪意を持って他人を落としめようとする人に、善意の人は無力なのか?

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2022年03月24日

Posted by ブクログ

読み始めからずっと、
眉間にしわ寄せ、口角下がりまくりの
ひどい人相になりっぱなしで一気に読みました。

(喫茶とか電車で読んでたけど、側から見たら怖いだろうなと...)

ひどくてひどくて、信じられないことばかり続いて、しかも実話とは。

怒り憤り悲しみやるせなさ、
いろんな負の感情でいっぱいになり、決して気持ちのいいものではないけど、それだけ心を揺さぶられたということ。

メディアが報道することなんて
ほんの一部でしかないんだろうなと痛感。
ニュースを見ただけで知ったような気になって、見知らぬ誰かを心なく批判しないための、ストッパーが1つ増えた。

0
2021年02月27日

購入済み

モンスターとしか言いようがない

信じられないような理不尽な言いがかりにイライラしながらも
早く真実を暴いてほしくて一気に読んでしまった。

これが実話というから恐ろしい。

報道される全てが真実じゃないかもしれない。
かといってこの話自体も全てが真実とは限らない。

何を信じたらいいか考えさせられた。

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2021年02月05日

Posted by ブクログ

内容は知らずに購入。
冒頭から目を覆いたくなるようなひどい体罰と自殺強要に対する殺人教師の記事でこの教師への怒りが湧いてくる。
そして次の章からこの教師目線で冤罪事件がなぜ起こったのかの顛末が進んでいく。
わかりやすくこの教師に悪意を抱いていた自分はカウンターを喰らってしまった。
この記事を書いた記者達や冤罪に追い込んでしまった人達も同様の考えだったのだと思う。
子供は善で、教師は悪だと短絡的に考えてしまったのだろう。
先入観で考えず、きちんと事実を根拠にして考えられる大人にならなければ。

結果、半沢直樹や水戸黄門のような気持ちの良い終わり方じゃないのも考えさせられる。
ノンフィクションはやはり面白いなあ。

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2020年10月23日

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モンペとマスコミによって「殺人教師」と言う汚名を着せられてしまったある教師に起きた事件。
学校と言う場において、教師は絶対的な存在ではなくなったものの、情熱を持って教育に臨んでいる教師もたくさんいる。それを評価するのは校長でも、教育委員会でも、親でもなく生徒たちなのでは?
ろくな検証もせずに思い込みで一人の人生を狂わせたマスコミの罪は重い。同時に、私自身も「でっちあげ」に踊らされないようにしなければ。

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2020年07月15日

Posted by ブクログ

冤罪は自分にも起こり得ることなので、この本を読んでいても他人事には思えなかった。大事なのは、ありもしない事実を認めないこと、事実を事細かに明らかにしていくことだ。周りの環境が変わっても、真実は変わらない。そのことを常に念頭において生きていかなければならないと思った。

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2020年07月16日

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すっごい さくっと読めました

アメリカかぶれで、目立ちたくて、人を言いなりにして、全部人のせいにしたい人ってこうなるんだな、怖いなって思いました

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2024年03月16日

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私達に出来る事はこの本の内容を鵜呑みにして教師側の供述が正しかったんだ!嘘つきでっちあげ親子最悪だな!と憤る事ではなく、安全圏から叩く正義に酔う事ないよう戒めとして留め置くだけ。

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2022年10月19日

Posted by ブクログ

こんなことあるんだ!って
信じられないし何のために?!と思った。

でもモンスターペアレンツの出現に意外性はない。私は21歳なんですが、教師の立場の低下ということには驚きはなかった。

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2022年08月19日

Posted by ブクログ

本当にあった出来事だと思ったら、恐ろしい。
些細な出来事を、ふくらまされて「殺人教師」にさせられてしまう。

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2022年07月12日

Posted by ブクログ

こんなことが本当に起こり得るのか? と思うくらい、無茶苦茶非論理的な主張をするモンスターペアレンツと、裏付け取材なしにセンセーショナルに煽るマスコミと、その場凌ぎの本意ではない説明による火消しを目指して墓穴を掘った学校(被告の教師を含む)による、壮大な茶番劇の舞台裏。

最大の被害者は、教師、生徒、の順番か。

元祖モンスターペアレンツ、ともいうべき夫婦の思考回路がよく分からないが、うんと出来の悪い息子の出来の悪さを誰かのせいにして、すっとしたかった、って感じだろうか。。

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2022年05月17日

Posted by ブクログ

リアルに起こった事件の真相を描いた話。

「お前の血は穢れている」「早く死ね、自分で死ね」

史上最悪の殺人教師は
母親の虚言と
マスコミの妄信で作られたものだった…。


学校関係者なら一度は読んでおいた方がいい本。
マスコミ関係の人にも読んでもらいたい。

親からの学校へのニーズが
多種多様になってきているのが現状。
教師は親より弱い立場だとは思わないけど
上手くやるために
何でも聞き入れちゃう先生がいるのも現状。


自分の記憶に自信があっても
保護者に「私はこういいました」
って強く言われて
「私が勘違いしていました。」
って言った方が丸く収まるなら
謝ってしまうだろう。

家庭訪問の日程なんて
絶対私も謝っちゃう。


この川上先生には本当に同情するけど
この世にはいろんな親がいて
いろんな子どもがいるのは当たり前。
そこは割り切ってやっていかないといけないと
改めて思う。
特に公立の学校は。


何か学校関連の事件が報道されると
どうしても子どもが正義で
教師は悪と描かれがちだけど
本当のことは
本人や周りの人しか知らないなんてこと
いくらでもあると思う。
学校の事件に限らずとも
本当の気持ちとかは当人しか分からない。

ネットのニュースだって
芸能ニュースだって
話半分で見なきゃいけないよなと
改めて思い知らされた。

子どもは正義ではないけども
学校、家庭、地域、教育委員会、時にはマスコミ
みんなで連携して
子どもたちをいい方向に導いていくことが
良い未来を作るために最も大事なことだと思う。

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2021年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生徒が正義で教師が悪という立場を利用し、大人が正義を振りかざして悪を叩く人がいることを知った。叩く内容が真実かどうかは当人にとって重要ではなく、ただ吊し上げてリンチをする大人がいることを知り、恐ろしさを感じた。また、教育現場で教諭に対し一切話に耳を傾けてくれなかったこと、教諭の保護者に対しての気遣い、事態をまるく収めようとした言動から教師の立場の低さ、息のしづらさを知った。加えてマスコミの嘘の報道が重なったことででっちあげが完成してしまったことから、マスコミの威力を痛感した。

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2021年08月05日

Posted by ブクログ

九州福岡の本屋にフラッと立ち読ったら、レジ前に山積みになっていたので購入。読みやすく、夢中になって一気読みした。
当時、殺人教師とテレビの報道で知った事件に、まさかこんな真実があるとは知らなかった。
モンスターペアレンツ…あまりに酷い。
最初は、子供の小さな言い逃れが始まりだったのかもしれない。それでも、自分を保身するためにどこまでも嘘を誇張させていく親…異常過ぎる。
でも、こうしてまで嘘を突き通す親を見て育ったその子供の傷は相当深いと思う。多分、一番の被害者はモンペの息子だ。

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2021年08月03日

Posted by ブクログ

下手なホラーより怖い。
嘘を嘘と見抜けないやつは…とか、週刊文春はフィクションだと思って読まなきゃ…とか、そういう話ではない。
正義を振りかざして誰かを叩くチャンスを舌なめずりしながら待っている人間が沢山いること。
そういった人達にとって大切なのは、誰かを批判する材料になるモノだけで、それが真実かどうかなどどうだってよいこと。
それをわかった上で利用したがっている、または、自分自身がそうである事に気づいていない記者や著作家によるニュースがメディアに溢れていること。
そして私も、被害者にも加害者にも容易になってしまうこと。
ほんとに怖い。

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2021年06月24日

Posted by ブクログ

どうなるんだろう?と引き込まれていくドキュメンタリーです。主人公の先生の追い込まれ感と、マスコミの無責任さが際立ちます。

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2021年03月06日

Posted by ブクログ

この教師の不運の発端は、交通事故のようなものではないだろうか。常軌を逸した虚言を繰り返すモンスターペアレントに、たまたまつかまってしまった。それも、常人には理解し難い言動を繰り返す、行動原理が全く不明の支離滅裂な人間に。
さらにそこへ、弱腰の校長やマスコミなどが加わり、事態は悪化するばかり。教師自身の優柔不断さがあったとは言え、事態を丸く収めようとしてありもしない体罰を認めてしまった彼の行為は、社会人なら理解できるものではないか。つまり、普通に生活していても、身に振りかかってしまえばどうしようもない、交通事故のようなものだ。貴志祐介の『黒い家』に通じる理不尽さとよく似ている。ただしこの事件は、小説ではなく事実だというのがさらに怖いところ。

裁判では体罰が認定されたが、人事委員会によって処分が撤回されたことには、ほっとした。ただ、朝日や毎日は、やっぱりだめだなと感じた。メタタグやWaiWai記事など数々の問題で、心底どうしようもないと思っていたが、今回この本を読んで、やはり体質としてずっとこうだったんだと改めて感じた。ろくな取材もせず扇情的に報道するだけならまだしも、裁判で記事の誤りが判明しても謝罪すらなしとは。まさにマスゴミ。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

久しぶりにノンフィクションドキュメントものを読んだ気がする。
随分前に話題になった『文庫X』(殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―)を読んだ時は衝撃的であったが、それと同様に衝撃があり、あっという間に読み終えてしまった。

今回は、タイトルの通り『でっちあげ』俄かに信じ難い展開で、本当にこんな事があったのかと。仮に小説であれば、そんな展開ないわ〜と思ってしまうくらい。

表面に出ている事だけを信じることの怖さ。集団の怖さ。
きっと今でも、こんな風な事はどこかで起こっているんだろうと思うとやりきれない気持ちになってしまう。
他人事でなく、ちゃんと正しいことを知る。この事がいかに大切かが分かった。

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

『モンスター・マザー』が良かったので同じ著者による本書も読んでみた。事件の推移はほぼ同じ。

『モンスターマザー』を読んだ時は、ずいぶん珍しい悲劇のコンビネーションがあったものだと思ったが、実そんなに珍しくないのではと思わされる意味で憂鬱なルポだった。連続して読んでしまったので、溜飲の下がる展開ではあるものの、個人的に後味は悪い。

モンペの息子がまともに躾もされずに、平気で法廷でも嘘をつけるような、まさにモンペそっくりの反社会的な人間に育てられてゆく所に、何ともいえない無力感がただよう。確かに、彼自身もモンペの犠牲者ではあるのだが、この先親になったら似たような迷惑行為をやらかしそうなのが嫌だった。良くも悪くも、親の背中を見て子は育つものだと改めて思う。

読み物としては繰り返しが多く、あっという間に読める本。ノンフィクションではあるが、ラノベのざまぁ系がお好きな人にもおススメしたい。

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2023年07月02日

Posted by ブクログ

終始胸糞悪かった。
実際にこんな事が起こったとは。事件についても初耳だった。

一番悪いのはもちろん、虚言癖のあるモンペだけど、教頭と校長も悪いよね。
部下を守れない管理職なんかいらないんよ。
メディア関係者は必ず一度はこの本読んで、もっと信憑性のある報道をしてほしい。
(そもそもテレビなんて話半分で見るのがちょうど良い)
教師の立場って弱いのでどうにかならないかな。

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

文章が読みづらい。
教師が追い詰められていくシーンのつらさもあって、じっくり読みすすめることができなかった。
戦前からずーっと変わらず、マスコミも行政も最後まで責任を取らない。
なのにいまだにマスコミと行政を無為に信じてるのはなんでなんだろうか。

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2022年07月30日

Posted by ブクログ

なんだか終始「?」って感じることが多かった本。初代モンスターペアレントとも言える生徒の両親から、とことん追い詰められていく担任がとてもかわいそうであった。モンスターペアレントの元に生まれてしまった子どもは、何を思っているのだろうか。

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2022年03月22日

Posted by ブクログ

小学校の先生をしている知り合いに本書を読んでもらったところ、「自分も思い当たる節がありすぎて、読むのが辛かった」と漏らしていた。教師という仕事は、親に絶対逆らえず、身に覚えのないことであっても「私がやりました」と言わざるをえない。自らの言葉によって追い込まれた川上と自分の立場を重ね合わせて、「他人事ではない」と感じたとのことだった。

本書は、全国で初めて「教師による児童へのいじめ」と認定された事件の裏を辿ったノンフィクションである。
主人公は、「史上最悪の殺人教師」として全国のワイドショーに報道された川上譲(仮名)。
教え子の裕二に対し、10秒以内に帰り支度をできなければ、「ピノキオ」(鼻をつまんで血が出るほど引っ張る)」やミッキーマウス(耳を割けるほど引っ張って持ち上げる)といった「刑」を執行。また、「お前のような穢れた血の人間は生きている価値がない。早く死ね、自分で死ね」と罵倒して自殺を強要させていた。
まさに全国の親子を震撼させた事件であったが、その真実は、被害者とされた浅川裕二(仮名)の親である和子と卓二によるでっちあげであった。

読んでいてゾッとすると共に怒りが沸いた。
どうして無実の人間が、ここまでへりくだらなければならないのか。何故やったこともない体罰を認め、親の一方的な言い分に頭を下げ続けないとならないのか。

その理由は、教師と親の間には王様と農民ほどの身分の違いがあるからだ。

いまやモンスターペアレントという言葉が有名になっているが、そもそも、相手が悪質なクレーマーでなくとも、教師は親の言うことに絶対服従を強いられる。保護者トラブルは言った言わないの水かけ論が常であり、また、最低でも1年間、最長では6年間も同じ人間を相手にし続けなければならない。そのような閉鎖的な環境では、例え身に覚えが無くとも「私が悪かったです」と言うことが、トラブルを避けるためのテクニックになる。

「保護者と教師は同等じゃないんですよ。教師の方がなにごとも一歩下がって対処しないとうまくいかないんですよ」
文中で川上が語るこの言葉こそが、教師という職業の厄介さを物語っているだろう。

またそれと同時に、校長や教頭など上の立場の人間は、現場の物事を理解しようとせずに謝罪を強要するきらいがある。彼らにも「保護者は絶対だ」という意識が刷り込まれているからだ。
本書では、校長が最初から「わたしに責任は無い」と決め込んだのが混乱の発端だった。生徒と教師を統べる人間として、自らの責任も追及されることがあれば、より正確な現状把握に努めるはずである。しかし、結局のところ管理者責任を被ることなく、川上という一教師を切って騒動を鎮静化しようとした。その結果が、全国のワイドショーを賑わせ裁判にまで発展する事態となった。

教師という弱い立場の人間を、保護者という立場を利用して痛めつけ、自分が望む行動を強いる。周囲の人間も、「大人と子ども」という力関係から、教師のほうが嘘をついており、体罰はあったに違いないと決めつける。こうした虚言と思い込みが暴走する恐怖は、川上の陳述書にはっきりと記されている。
「本件に関与している専門家の集団である弁護団も、裕二君の精神科の診療に関与した医師も、マスコミも、福岡市も……、まるで、裕二君自身の問題点や、ご両親自身の問題点などについては、それがまるで聖域であるかのように、一切検証することなく動いています」

この事件は、「自分に都合のいいように物事を進める」人間たちが生んだ惨劇である。
親である和子や卓二の虚言はもちろん、センセーショナルな記事を書いて国民の関心を焚きつける一方で、間違った報道に対しては反省もしないメディア。また、自己保身に走るあまり、教師を切って事を収めようとする校長と市教委。全ての人間が川上を「殺人教師」と決めつけ、事実とウソの境界が曖昧になっていく。もはや引くに引けなくなった結果、「茶番」としか言えない民事裁判が行われてしまった。

現職・前職が教師の方はぜひ読んでみて欲しい。気分が悪くなるかもしれないが、それほどこの事件は骨身に染みる。そう思える本だった。

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余談だが、この事件、「どうしてそうなるんだ」とツッコみたくなることがいっぱいある。
例えば和子が証言するミッキーマウスやピノキオ。「体が宙に浮くほど強く耳を引っ張って持ち上げる」だとか、「鼻をつまんで鼻血が出るほど強く振り回す」だとか、聞いただけで「そんな無茶苦茶なことしてればバレるわ」と言いたくなる。また、小学校に近づくだけでPTSDが発症する子が、友達と校庭で元気よくサッカーしていたり、川上が撮る写真に笑顔で映っていたりだとか、「少し考えればおかしいと分かるだろう」と言いたくなるほど嘘が粗い。550人の弁護団は途中で不審に思わなかったのか謎である。

極めつけは和子と卓二。嘘を嘘で塗り固めていた彼らだったが、相手に謝罪させるだけでは納得せず、裁判を起こすなど正気の沙汰ではない。裁判で真偽が問われれば、見せかけの嘘など平気で暴かれる。バレたらまずい、などとは考えていないのだろうか。
しかも、この嘘をさらに厚塗りするために、裕二に転校を強いて、インターナショナルスクールにまで通わせているのだ。どういう思考回路なのだろうか。

読んでいて、本当に恐怖を感じた。
1人の教師がいじめによって追い詰められていく様と、関係者たちが嘘によって狂気的な行動に駆られていく様の、2つの理由で。

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【まとめ】
●浅川裕二:他の子どもに暴力をふるい、問題行動を起こす問題児。
●浅川和子と卓二:「川上先生は裕二に体罰をふるっている」とでっち上げ、民事裁判まで起こした筋金入りのモンスタークレーマー。

「血」の問題で生じた裕二への漠とした負い目と、他人に異を唱えられない生来の気の弱さ。そこへ執拗に、「体罰をやっただろう」「子供が見とった」と追及され、川上は困り果ててしまった。さらに、自分のことで校長や教頭に面倒をかけたという気兼ねもあいまって、彼らの望む方向へ迎合する心理が働いた。
そして、「自分が謝れば丸く収まるから」という理由で、消極的ながらも体罰の事実を認めてしまったのだ。

川上の謝罪を見た和子と卓二は、「体罰があった」という情報をマスコミにリーク。A小学校には全国からマスコミが押し寄せるようになった。
A小学校の校長は、このマスコミ対応で最悪の行動を取る。川上を軟禁状態にし、マスコミとの窓口を自身に一本化した校長は、川上に不利な証言をし、トカゲのしっぽ切りを図ったのだ。校長と市教育委員会のコメントを得たことで、ほとんどの記者たちは、体罰は事実なのだとほぼ断定してしまった。

川上は、全く身に覚えのない言いがかりをつけられ、何が何やらわけがわからないままにあれよあれよと大騒ぎになり、マスコミにまで叩かれた揚句、とうとうA小学校を放逐されてしまったのだ。

その後の市教委での事情聴取は、一転して「自分はやっていない」との立場に回るも、下された処分は「6か月の停職」。相当な重さであった。

朝日新聞、西日本新聞、週刊文春などが川上を「殺人教師」と報道し、全国に「福岡殺人教師」事件が知れ渡ることになった。

そして、浅川裕二とその両親は、裕二のPTSDを理由に、川上と福岡市を相手取って約1300万円の損害賠償を求める民事訴訟を福岡地裁に起こした。

驚くべきはこの偽の証言に加担した人間の数。校長、教頭、市教委、主治医、550名の原告人弁護団(福岡県弁護士会のほぼ1/3)、週刊誌、新聞記者、ワイドショーのコメンテーターなど、ありとあらゆる人間が川上を「殺人教師」と見なし、嘘の報告・報道を行っていたのである。

こうして口頭弁論が始まったが、和子の証言に疑わしい部分が見つかっていく。結局、いじめの原因とされていた「裕二にはアメリカ人の祖父がいる」は真っ赤な嘘であった。
また、裕二のPTSDは、和子の話の中でのみ存在している疑いが次第に強まっていった。

裁判の判決は、「福岡市は、原告裕二に対し、220万円を支払う。原告裕二と卓二と和子の請求は棄却」だった。川上がしたとされる行為は、「原告らの主張するいじめ行為に比べて相当軽微なものであり」、PTSDを引き起こすほどのものではなかったと判断されるも、体罰やいじめの一部が認定される結果となった。

どうしてこれほどの大騒ぎになったのか。マスコミは、校長が認めた、市教委が認めた、精神科医がPTSDだと診断したからだと言うが、真相を探る方法は他にもあった。にもかかわらず、誰もが思い込みと憶測で話をし、裏を取らなかった。バイアスのかかった一方的な情報が人々を思考停止に陥らせ、集団ヒステリーを煽った揚句、無辜の人間を血祭りに上げたのだ。

教師という弱い立場の人間を、保護者という立場を利用して痛めつけ、自分が望む行動を強いる。周囲の人間も、「大人と子ども」という力関係から、教師のほうが嘘をついており、体罰はあったに違いないと決めつける。こうした虚言と思い込みが暴走する恐怖は、川上の陳述書にはっきりと記されている。
「本件に関与している専門家の集団である弁護団も、裕二君の精神科の診療に関与した医師も、マスコミも、福岡市も……、まるで、裕二君自身の問題点や、ご両親自身の問題点などについては、それがまるで聖域であるかのように、一切検証することなく動いています」

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2021年08月05日

Posted by ブクログ

いやこれやべぇでしょ。
まじで胸糞悪い話。
実話って言うんだからもう世の中信じられなくなるよね。軽く人間不信。
泣き寝入りはやっぱ良くないんだなって思う

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2021年02月10日

Posted by ブクログ

クレーマーの親も『バケモノ』だが教師の方もかなり『バケモノ』で徹底抗戦した結果なんだろう。
相手も、いつものようにクレームを入れたら引き下がるだろうと思っていたろうにお互い相手が悪かった。
周りが何の責任も取らずに自体をエスカレートさせてゆく所が恐ろしかった。

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2020年12月27日

Posted by ブクログ

おっそろしいモンスターペアレントとメディアの人権蹂躙の話。
こういう事例があったことを知れたのはよかったけど、読み物としては物足りないので星3つ。

とにかくモンスターな保護者と週刊新潮と朝日新聞と校長がひどすぎる。だけど変な人はどこにでもいるから、対人職としては余計なことは言わないようにする等自衛も必要だなと思う。そして何よりこの少年がその後ちゃんと治療(PTSDではなく)なり適切な環境での教育なりを受けられたのかとても心配。

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2022年02月27日

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