感情タグBEST3
Posted by ブクログ
異質なものを敵視し排除して、自分の考える「普通」を守りたい人々の、なんとも残酷で愚かな姿。
敗北感と恐怖が差別を助長し、理性を吹き飛ばす。
ギフテッド自身ですら、超能力なんてない、火星に住めるわけがない、と最初はすんなり受け入れない。
悲しいね。
Posted by ブクログ
単行本484ページを1日で一気読みできるエンターテイメント小説だった。
少数ながらも超能力を持つ「ギフテッド」と、彼らの能力を恐れて迫害する大衆との軋轢。SFエンタメ小説で頻出の構造ではあるけど、自分はそれが好きなので面白く読める。能力を持った少数派がだんだんと力を発揮して攻勢に転じていくカタルシスを期待通りに味わえるのが読んでいて快感。
ただし、こういう仕立てのSF小説はどうしてもそうなってしまうのだろうけど、少数派の反乱は、最後には同じ能力を持った正義側(人間社会の倫理観に沿って生きようとする側)の人間達によって平和的に解決されてエンディングとなる。
ギフテッド達を虐げてきた大衆がもっとギャフンと成敗される場面を読みたかったし、ギフテッド達が人間社会を潰してしまうまでの極限的な展開を読んでみたいなと思うので、結末には物足りなさを感じる。村やんやアレックスにはもう少し頑張って欲しかった。
しかしそれを書くとストーリーの収拾つかないだろうなとも思うので仕方ないのだけど、一度ぐらいはそういう結末の小説を読んでみたい。
大昔読んだ「魔法使いの弟子たち」も似た話だったと思うが結末を覚えていないので、そっちも再読してみようと思う。
Posted by ブクログ
とても面白かったが、何となく物足りなさを感じた作品。
飽き、疲れを感じる間もなく読み進めることができるほど面白かった。元々パンデミック系が好きなのでそれもあると思う。内容は何となくガンダム味を感じた。全く同じということでは全然ないが、人間の対立軸的に似ていたかなぁと。とにかく面白かった。
だがそれだけに最後が強引、雑過ぎたのが気になった。非常に面白かったからこそ、より一層激しく感じているのかもしれないが。終盤は一気に内容が進んだし、登場人物もそれぞれ雑に出てきて終了してしまっている。強キャラをかもしだした、けどほぼ出てこないアレックス。怪しげな雰囲気を出した、けどフェードアウトの木内順。よく分からん幼馴染佐藤あずさ。思わせぶりなふりをして何も描かれない上原夏希。目立つのはそんな感じだった。最初が丁寧にゆっくり進んだので余計に感じたのかも。
あえて明文化しないことで頭の中で想像が広がることや、結末をハッキリさせすぎず物語の余韻に浸れることはあるが、これは何かもうほっぽり投げたような感じがした。
丁寧に上下巻で書いて欲しかった。
Posted by ブクログ
著者がどう話にオチをつけるのかと思いつつ最後まで一気読み。超能力のあるものはマイノリティーで、マイノリティーは排除しようとするのが人なのね。何故最初から共存しようとは思えないのか?人間って浅はかね。
さて、オチですが、ここだけはちょっと嘘でしょ…でした。
Posted by ブクログ
現実世界でいうギフテッドはIQの高い人々のことだが、この物語では腎臓に「機能性腫瘍」を持って生まれてきた進化した人間の話。
政治によって扱いが二転三転し、子供時代から振り回されてきたギフテッドたち。
ギフテッドの優遇制度がなくなったとき、彼らのアイデンティティは一瞬揺らいでしまったが、多くの人は一般人に溶け込んで生活していた。
しかし、ギフテッドに対する差別はずっと続いたままだった。
それに対して、主人公の同級生である村山直美は、ギフテッドとしてのアイデンティティを保ち続けようと仲間を集めて修行をしていたが、それを邪魔しに来たチンピラ集団を自分の意志とは無関係に発動した超能力で殺してしまう。
その事件からさらにギフテッド差別が激化してしまった。コミュニケーションが苦手な村山は政治的手法ではなく、脳筋な力での武力行使で対抗していく。
そのうちギフテッドの人権を無視した法律までできてしまってついに村山はテロ宣言、、、
主人公たちは村山を止められるのか。
物語の中盤はハラハラした展開が少なく惰性で読んでいたが、クライマックスは一気に読んでしまった。
新しい価値観が生まれ、新しい枠組みに入るマイノリティの人たちの苦しみや悲しみが分かる(分かった気になっているだけかも)ストーリーだった。
今の時代は新しい価値観が受け入れられやすくなっているが、それでも同性愛者は子孫を残さないから認めないとか発言している政治家はいる。
いつも他人事だったマイノリティの人権が法的にも民衆の心情的にも認められるまでには長い年月と根気が必要ということをはっきりと理解させられた。
Posted by ブクログ
設定はどこかにありそうな感じだが、ギフテッドと共存するための法を整備したり、現代社会と結びつけていくのはなかなかリアルに感じた。
ただのSFにしてしまうと偽物っぽくなりそうな内容でも、今ある社会と関連づけることで読みやすく、本当にありそうな実感が得られるなと思った。
Posted by ブクログ
面白かったです。
山田宗樹作品はスケールが大きいのが好きです。
体内に未知の臓器を持つ、「ギフテッド」と呼ばれる人々。それによって超能力を発揮する彼らを排除するのか、共存するのか。
自分の想像の及ばないもの、危害を加える力のあるものは排除しながら生きていくのか。それでいいのか…考えさせられます。
描かれる一般の人々の姿に異常さを感じながらもどこか既視感とリアリティーを覚えるのは、似たものを日々目にしているからなのかも。
培った友情や絆の力は強いです。学生の頃もキラキラとしていましたが、ラストにかけての展開でもキラキラとしていました。
全人類ギフテッド化は、東京喰種の嘉納かな?と思ってしまいました。そして火星は理解が追い付かないです。
でもぐいぐい読めました。
Pierrotの「PERPLE SKY」という曲を思い出しました。懐かしい。
Posted by ブクログ
現代は過渡期にあるのではないか。
国も企業も医療、教育の現場も自分だけが良ければいいという人間が、リーダーになってきた。聖職の存在、大統領、社長だから人格者なんだという神話が打ち砕かれた時代。決まってこんな時代にはなにかがあらわれ常識が覆される。
そんな小説だった。
Posted by ブクログ
細かく言うと3.7くらい
面白かった。途中からの物語の加速感がいい。
(人によっては)少しだけもやっとするかもしれないけど、買って損は無い話だった。
だが、百年法の時の高揚感を超えられなかったのは期待しすぎたからか?
次は、人類滅亡小説だな。
また期待しすぎて自分でコケるのだろうか?
Posted by ブクログ
面白かった。ギフテッドと非ギフテッドの関係がとてもリアリティーがあって一気に引き込まれました。大衆心理と政府の方針なかなか緊張感があってよかったですね。最後の余韻も心地よいぐらいの結末でした。
Posted by ブクログ
作者の作品は本作の前に百年法を読んでいたのだけど、その時も、この本を読み始めたときも、同じことを思った。なんてことを考える人なんだって。発想というか、未知の世界なのか遠い未来の話というか、とんでもないことを思いつく人だなって印象が強い。
ギフテッドっていう未知の臓器を持つ人類が表れ始め、ギフテッドとアンギフテッドの戦いに陥ってしまうのは想像通り。今まで読んだ超能力者の話と同じ。共存すれば上手く行くかもしれないのに、悪用しようとする輩がいるのもそう。やっぱりこうなるのかと、残念な思いもあった。
奇跡のギフテッドって、ハリポタで言うところのハリーみたいな感じかしら。どうしてギフテッドとして生まれてくるのか解明しないことには、ギフテッドを排除しようとしたって無駄なのでは?と思った(書いてあったらすいません)。
Posted by ブクログ
未知の臓器を持つ新人類「ギフテッド」。彼らが覚醒した時,発揮される強大な力に恐れを抱く既存の人類である非「ギフテッド。溝は深まり人類の対立は次第に大きくなる…。異質で自分たちを超える新人類に対した時現れる人間の本性は?重い問いを突きつけられているようだ。この作者さんは『百年法』『代体』に続いて3作目だが,単なるホラー,単なるSFではなく社会問題として描かれているのでいつも倫理について考えさせられる。
Posted by ブクログ
近未来SF作品。
ギフテッド、非ギフテッドの対立軸を中心としたお話でありますが、リアルな社会に通じる部分も多く、非常に考えさせられる作品でした。
人は自らが属するもの以外のものに対して、非寛容になる。まして、それが自分の想像力の範疇を超えるものの場合、嫌悪、憎悪、恐怖、排除等の負の感情を増幅させてしまう。
これはリアル社会にも頻繁に見られる事象で、その垣根はますます高くなってきているように感じます。
国会議員達が登場する部分、少ぺージだけど、これもリアルな社会の国会議員と通ずるダメさ加減が上手く表現されてました。
Posted by ブクログ
生まれながらに人とは異なる謎の器官をもつ「ギフテッド」
国による一斉検査である一部の人間だけがその器官を持つが、その能力は明らかになっていない。ただ、人類の希望と考えられ、神から与えられたギフトを持つ者として特別な生活を約束される。
数年後ギフテッド制度は廃止されるが、ギフテッドによる大量虐殺事件が発生する。
その事件を皮切りにギフテッドたちの運命が思いもよらぬ方向に動き出す。
現実社会でも、ある一部の能力だけが著しい子供に対し「ギフテッド」という言い方をするが、その代わりに彼らは何らかの欠落を抱えている。この物語では超能力的な人知を超えた能力を所有する者たちを「ギフテッド」と呼び、その能力を軍事力として利用する、または全人類に転用するといった構想が練られる。著者の「百年法」でも感じたが、現実が少し行き過ぎればこのような未来が待っているかもしれないと思わせる怖さがを感じてしまう。強大な力は善人さえも悪人へと変えてしまうということなのだろうか。
Posted by ブクログ
超能力というSF的要素だけど、人物の設定や政治、集団心理とか細かく描かれているのでイメージしやすく入り込みやすかった。
けど、正直、個人的には百年法の方が断然おもしろかった。
NIGHT HEAD?
まず話があっちこっち飛ぶのと、話し手も変わるので、
これは誰の話?となってしまって集中できなかった。
最初は面白かったのに、飯田譲治のNIGHT HEADを彷彿としちゃったなぁ、、、
題材は面白いのに残念だなぁ
Posted by ブクログ
★3.5
山田宗樹さん!やっぱり面白いよね!
時代の変遷の中に、登場人物の感情をうまく載せるのよ。上手いのよ。
ラストの違う惑星に瞬間移動した!?はちょっと萎えたけど、でも新しい未来が待ってるって思ったらいい事なのかな。
Posted by ブクログ
なかなかの分厚い一冊でしたが。もう、とにかく後半までは一気読みでした。
今。コロナで未曾有の危機に瀕している。っていう点で、また違った危機に瀕する日本。
なんとなく、きっといろんなところでこんなやり取りが起きてるんじゃないかな。と。思った。
この時期に読むからこそ、なんだか興味深い一冊だったように感じます。
もちろん、コロナより危機ではあるんだけども。
どうやって解決していくんだろう。
と、夢中になってしまうもう一つの日本の姿でした。東京タワーをスプーンのように曲げる力。
面白い。リアルなファンタジーなのか。むしろこのコロナ化で比喩的にリアルなのかも。とも思いました!!!!
Posted by ブクログ
未知の臓器を持ち、特殊能力を持った人間が発見されギフテッドと呼ばれる、、そんな設定が面白く一気に読めました。人類の歴史や世界の歴史に名を連ねる人物はもしかしてそんな力を持っていたんじゃないか、歴史が変わる時、これに似たようなことがあったんじゃないかと思ってしまうような内容でした。自分の想像力ではラストはよく飲み込めなくスッキリできなかったので☆3でσ(^_^;)