【感想・ネタバレ】陽だまりの天使たち ソウルメイトIIのレビュー

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Posted by ブクログ

馳星周さんによる「ソウルメイト」シリーズの続編である「陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡ」を前作に引き続き読んだ。

犬や猫を飼うということはその最期を看取る覚悟を持って始める必要があると、愛猫達を飼い始めた際に教わった。ただ可愛いからという無責任な理由で飼われ、挙げ句に虐待されたり捨てられるペット達の多いことも知った。更には幼犬、幼猫のうちに親と引き離され、仔犬や仔猫のうちでないとペットショップで買い手がつかず、売れ残ると店によって処分されることもあったという残酷な業界の闇も知った。その経験や知識を踏まえて馳さんの犬と人間をテーマとした作品群を読むと、馳さんの愛犬マージ《ソウルメイト》への愛が作品の出発点となっていることを実感できる。だからこその魅力なのだ。

馳さんの犬と人間の関係を綴った作品群が他にも文庫化(電子書籍化)されていることを知り、また別の機会に読んでみたくなった。馳さんの愛犬マージへの思いがこもった「走ろうぜマージ」も是非とも読んでみたい。

『いつもそばにいるよ』

いつもそばにいるよ こんなに陽射しが強いのに、 そんなに遊んでばかりいたら熱中症になっちゃうよ。 よその子と取っ組み合って遊ぶなんて、 怪我でもしたらどうするの。 向かいから来たワンコ、この前、すれ違う時に唸ったのよね。 違う道を行きましょうね。

わいちいちうるさいんだよなあ。 そんなに心配ばかりしてたら、 楽しいことひとつもなくなっちゃうじゃないか。 ぼくたちはね、人間と違って今を生きてるんだ。 その瞬間、瞬間に、 楽しかったり嬉しかったり怖かったり悲しかったり。 昔はこうだったからとか、あのときこうだったからなんて 考えたりしないんだよ。 今がすべて。大切なのは今だけ。 せっかくぼくらと暮らしてるんだから、
あなたたちも今を楽しもうよ。 起こるかどうかもわからないことに怯えてないでさ。

どうしよう、どうしよう。 この子はもう助からないのかしら。 この子がいなくなったら、わたしたち、どうしたらいいの? この子のいない人生なんて考えられないわ。

どうしてそんなことばかり考えるのさ。 ぼくはまだここにいるよ。
自分の脚では立てなくなったけど、 尻尾も振れるし、ご飯も美味しいんだ。 そりゃぼく、いつかはいなくなるよ。 ぼくたちの一生は人間よりずっと短いんだから。 でも、今はまだその時じゃない。 今がすべて。大切なのは今だけ。 お願いだから、ぼくたちみたいに今を生きて。 いつか死んじゃうなんて考えるより、 今日は昨日より元気だとか、昨日より食欲があるみたいとか、 いいこと考えようよ。だって、ぼくはここにいるんだから。 ここにいて、みんなのこと愛してるんだから。

どうしていつまでも泣いてるの? 悲しんでるの? 確かにぼくはこっちの世界に旅立っちゃったけど、 あなたたちとの楽しかった日々を覚えてるよ。 ぼくは幸せだったんだよ。 なのにどうして泣くの? 今を生きようよ。一瞬、一瞬を大切に生きようよ。 そうしたら、寂しくはあっても悲しくはないと思うよ。覚えてるでしょう。 ぼくと暮らした日々。楽しかった一瞬、一瞬。 ぼくが幸せだとあなたたちも幸せだった。 あなたたちが幸せだったらぼくも幸せだった。 別れの時より、楽しかった時の方がずっと長かったんだから。 ぼくはずっとあなたたちのそばにいるんだよ。 ぼくとあなたたちは魂で繫がっているんだから。 魂の絆は永遠なんだから。 だから、約束してよ。 新しい子を迎えるって。その子に、ぼくにしてくれたのと同じことをしてあげて。 愛してあげて。幸せにしてあげて。 そしたら、その子はあなたがたのことを愛してくれるよ。 幸せにしてくれるよ。 その子との生活の一瞬、一瞬を楽しんでね。 だって、あなたたちが幸せなら、 ぼくの魂も幸せになれるから。 あなたたちの幸せがぼくの幸せなんだから。

だから、今を大切に生きてね。

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2023年06月11日

購入済み

大好きな本

友人に勧められ、犬を飼い始めてから読み直し、更に好きになった本です。何回も読んで、前向きに生きようという気持ちになります。

#癒やされる #泣ける #深い

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2023年12月29日

Posted by ブクログ

号泣すると分かってて読みました。
号泣しました。

いい涙を流せました。

やっぱり犬が大好き。
それにしてもどうしてこんなに犬の描写が上手なのでしょう。
登場する犬達の息遣いまで、すぐ側で聞こえるような気がしました。

2016年4冊目。

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2022年09月15日

Posted by ブクログ

獣医さんに、第2弾もお借りした。
1冊目よりこっちの方が好き!動物を飼うことの喜びと大変さと哀しさをバランスよく描き出していて、とても共感できた。うちにいる子達がますます愛おしくなっちゃうね。我が家にいるのは犬ではなく猫だけど。

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2021年09月11日

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犬は、その時その時を懸命に生き、過去の出来事やまだ起きていない未来に惑わされたりはしない。犬とは人間の言葉で話し合うことはできないが、人間同士以上に心を交わしあうことができる。馳星周 著「陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡ」、2018.10発行(文庫)トイ・プードル、ミックス、ラブラドール・レトリーバー、バセット・ハウンド、フラット・コーテッド・レトリーバー、フレンチ・ブルドック、バーニーズ・マウンテン・ドッグの7話。フレンチ・ブルドック、最高でした(^-^)トイ・プードル、ミックスも良かったです。

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2020年08月05日

Posted by ブクログ

ソウルメイトの続編。

犬を飼うということの重さを、ひしひしと感じた。
前作以上に、犬と生きること、魂の絆を訴えてくる作品だと思う。

本編から外れるが初めに、この本を捧げる犬たちの名前が出てくるのだが、そこに『雨降る森の犬』の犬の名前があった。
あの犬は作者のソウルメイトだったのだなと、改めて知った。
また、あの作品に登場する少女の名前が、今作の中にもあるのは、こちらも思い入れのある名前なのかも?

…とここで解説を読んだら、この少女のモデルが作者の姪だと書かれていましたーーー!

私自身は、犬の物語が好きだが、現実に責任をもってここまで共に生きることは自信がない。
やはり本のなかで楽しませてもらおうと思う。

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

2022.01.22 ★4.8

1、2と続けて読んだ。

1で泣けた。
この作者は犬を飼い、心から愛した人なんだと思った。

2を読み、号泣した。
読み進められないかと思われるほど泣き、嗚咽した。
この作者は犬を愛し、何度も見送ったことがある人だと気付かされた。

私もこの物語に出てくる子たちのように『幸せだった』と言って貰えるだろうか。

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2023年01月22日

Posted by ブクログ

トイプードル編:
白血病の少女と愛犬の話(涙)
・ミックス編:
妻に先立たれた男と愛犬の話
・ラブラドールレトリバー編:
目が不自由な物書きと愛犬の話
・バセットハウンド編:
仔犬時に親に顔を噛まれ容姿が悪いが周りを幸せにしセラピードッグを目指す話
・フラットコーデットレトリバー編:
病魔に侵され前片足を無くした後、周りを暖かくした愛犬が再度病魔に見舞われ最後、安楽死を決断する買主の葛藤を描く話(涙)
・フレンチブルドッグ編:
仕事も家庭も無くし自殺場所で捨て犬と出会い立ち直る話(涙)
・バーニーズマウンテンドック編
同犬種を3代に渡り買い続け若く病死した3代目の死で打ちひしがれ「ソウルメイト(魂の伴侶)」の言葉に救われる。

全てが飼い主とワンコの感動物語。
馳星周の犬好きがでてて、良く勉強している。
素敵な小説でした。

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2022年12月02日

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犬と人との絆を描いた短編集、第2弾。

犬好きな人には何ともたまらないシリーズです。
前作同様、犬種ごとに様々な物語が展開されますが、その特徴を良く捉えているからこそ…という感じでした。
どの物語も、作者の犬への並々ならぬ深い愛情を感じます。

いつでも犬は懸命に純粋に今を生きている。家族と共に過ごす時間が何よりの幸せ。
すべての犬が幸せな一生を送れますように!と願わずにはいられません。

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2022年04月08日

Posted by ブクログ

私は犬と暮らしたことがない…
しかし、犬が大好きで一緒に暮らしたいと思っている…
その心構えにちょうどいい一冊。
ただ、その内容には涙が止まらなかった…
星1つ減らしたのは、本当に犬の気持ちが作者の言うとおりなのか?それを確かめてから満点にしたい。

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2021年01月31日

Posted by ブクログ

会社の方から頂いた一冊。

目次を見るとどうやら短編小説のようだった為、暫く積ん読になっていた。

読む本が無くなり、読み始めてみた。

短編であるが、一作一作の熱量が凄い。
どの作品も心掴まれ、物語の世界に浸透してしまう。
情景も一気に頭の中に広がり、犬たちとのやりとりに仕事で疲れささくれ立っていた気持ちもほっこりとする。

実家で飼っていた犬との別れを思い出し、胸が熱くなったり、様々な感情が呼び戻される温かい一冊だった。

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2019年07月13日

Posted by ブクログ

ソウルメイトは犬好きにとっては泣ける本筆頭のような本でした。この本はその2なのでやはり品質は保証つきです。元々この方は文章のリズムで読ませるタイプの人なので、そんなに内容変えなくとも読者がついてくる作家ではあります。でも「走ろうぜマージ」「ソウルメイト」そして本作「陽だまりの天使たち」はその路線に全く嵌ってこない新機軸であり、彼が書きたくて書いたのが如実に分かる作品です。
犬と人間の触れ合い、主にその命を見送る瞬間の悲しみと幸せを描いています。必ずいつか見送らなければならないし、見送れたことがお互いにとって幸せな事だという哲学がびっちり書かれています。悲しけれど気高いので勇気は出ても涙が止まらないという感じではありません。
ちなみに最終話(その後にエピローグはありますが)フレンチブルドックと住む場所を失った男との出会いの話は、犬の可愛らしさと人間再生をどちらもコンパクトに描いた名作です。これだけでも読んで欲しい位です。

最近図らずも犬ものを読むことが多かったので、純血を求める事によって脆弱になり病気に掛かりやすい犬種や、特殊な体格になり自然分娩できない犬種。規格に合わない子犬が処分される。そして哀願する為に飼い、簡単にペットを捨てる輩。色々な問題をはらんでいる「犬」という生物と人間との関係は本当に難しいです。
人間の手で繁殖される事によって成り立っているこの生物の在り方と、愛に溢れた生活を送る多数の飼い犬たち。何が正しくて間違っているのか分からなくなってきます。分かっているのは、少なくとも飼っている犬だけは最後まで愛を注いで上げて欲しいという事だけです。

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2019年04月23日

Posted by ブクログ

ソウルメイトシリーズ2作目。
前作同様犬と人間の絆を描いた作品ですが、相変わらず飼う側の責任の重さを考えさせられるものばかりでした。安易にペットを飼うものではないですが、その責任を存分に全うできるなら、人生が豊かになるのは間違いないでしょう。

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2024年02月18日

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