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面白かったです。
失われつつある仕事について描かれた三崎ワールド、堪能しました。
どのお話もどこか切なくて良かったのですが、一番好きだったのは、通勤観覧車を運用する会社についての「只見通観株式会社」です。どこにも進めない路線の通勤観覧車、乗ってみたいです。
「只見通観株式会社」と、ラストの「新坂町商店街組合」は三崎さんの他の作品と繋がる世界でした。海の襲来、という自然災害は、安土萌さんの「“海”」を思い出します。しかしこちらは政府の思惑も見え隠れしますが…。
三崎ワールドではよくある「検索忌避制度」は怖いです。
巻末の参考文献も面白かったです。
Posted by ブクログ
三崎亜記の玉磨きを読みました。
不条理な設定の短編集でした。
ルポ記者がいろいろな伝統技能や不思議な仕事を取材するという形式で書かれています。
三崎亜記の小説ではいろいろな不条理が描かれますが、その不条理と対峙する人間たちがいきいきと描かれているため、なぜか昔体験したり見聞きしたりしたことがあったような不思議な既視感を感じてしまいます。
現在は仕事上では効率が最優先されて、その仕事に関わる人間が充足しているかどうかは問題にされません。
マニュアル化などという人間の充足を否定する方向で仕事が規定されてしまうこともあります。
効率最優先とは対極的な物語を読むと、自分は仕事に満足しているんだろうか、と考えてしまいます。
Posted by ブクログ
現実にはあり得ない、かつ読んでも何も生み出さないように思える職業に就く人たちを描く三崎作品。
何かを隠喩しているような気もするし、かと言って具体的には何も分からないけれど、何故か魅力を感じてるしまうのが不思議です。
ちなみに本書で一番好きなのは通勤観覧車です。
Posted by ブクログ
一人のルポライターが、消えようとする、あるいは失われようとしている6つのものについて取材したルポルタージュの体裁を持った短編集です。
伝統産業、奇妙な公共交通機関、とある世代、見えないものを狩り立てる儀式、ある部品を作り出すための業務形態、海に沈んだ町、がそれらにあたります。と言ったところで、何のことかわかりませんよね。
三崎さんの作品は、それぞれ突拍子もない設定なのですが、それ以外の点(個々の登場人物の営みや行政の描かれ方など)が、とてもリアルで「自分が知らないだけで、世間にはこんなことがあるのかも」と信じさせられそうになります。
読んでいる間、不思議で独特な雰囲気(静かで淡々としていながら、時々思わず心がざわつかされる)に取り込まれ、読んだ後もしばらくそれに心が絡めとられてしまいます。
ハマるとクセになること間違いなしです。
Posted by ブクログ
三崎さんの作品はフィクションとわかっていながら、何処か現実とリンクしているような不思議さがあります。
表題の玉磨きという作品も、一名しか残っていない伝統産業の技を続けている人の取材という内容ですが、何とも奇妙でありながら愛着を覚えます。通勤観覧車を運行している会社を取り上げた作品も然り。日常的にありがちな光景に見出す発想力にいつもながら感心します。
Posted by ブクログ
「なんだそれ?」って思わず言ってしまうような不思議が当たり前に存在する不思議短編集。
見えないもの、消えてゆくもの、失われたもの…どれも切なさを感じた。
特に通勤観覧車が面白かった。
発想力に度肝を抜かれます。