【感想・ネタバレ】国家戦略特区の正体 外資に売られる日本のレビュー

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Posted by ブクログ

堤未果「政府はもう嘘をつけない」の中で紹介され、その存在を知った本。〈安倍政権が成長戦略の一つとして進める「国家戦略特区」、日本のGDPの半分以上を外資に売り渡さんとする亡国の経済政策の危険性を暴く〉ために書かれた本です。

規制があるのをさも悪いかのように描く「岩盤規制」という言葉を使い、国民生活に必要な分野(医療・農業・教育・雇用等)を解体させていく政策は、貧困と格差を生み出すという結果しか生みません。

憲法95条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」と規定されていることを知りました。そうすると、「国家戦略特区」を地方自治体で進める際には住民投票が必要ですが、そのようなことは一度もないとのこと。安倍政権が立憲主義に基づいていないことが、安保法制のみならずこの分野でもそうであることが確認できました。

政治の方向、その背景にあることを丁寧に解き明かし、多くの人に伝えていかないと大変なことになります。堤さんの著書同様、読み終えて怖ろしさと憤りが強く湧いてきました。このまま黙ってはいられません。

お勧めの一冊です。

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2016年08月14日

Posted by ブクログ

経済学者として主にアジアにおける「経済開発」をテーマに研究活動を行う著者の立場から、安倍政権の進める国家戦略特区構想に対し論評を行っている。国家戦略特区制度に批判的なスタイルで一貫している。
国家戦略特区もその範疇に入る「特別経済区(SEZ)」は、本来、工業化を目指す途上国において効果を発揮する経済政策であり、経済的に成熟の域に達している現在の日本で、国家戦略特区が国家あるいは国民に対し、経済的利益をもたらす形で機能することは期待できないと指摘。また、国家戦略特区構想は、その効果が期待できないだけでなく、格差の拡大、人権の侵害、違憲性などの問題を持つものであることも指摘。さらに、韓国・中国を中心としたアジア各国における特区の現状にも触れ、いずれもあまりうまくいっていないとしている。そして、政権の民間頼みの無責任体質、経済政策の誤りを述べ、国家戦略特区は国民にも国家にもメリットがないと主張している。
著者の国家戦略特区制度への批判は一理ある部分もあると思うが、新自由主義に対する反感が強すぎて、評価にバイアスがかかっていると思われる部分も少なくなかった。例えば、混合診療、公設民営学校、農業の大規模化、カジノなどについては、批判が一面的であると感じた。格差が生じることが常に悪ではないだろう。健康で文化的な最低限度の生活を保障した上で、個々人の経済状況に応じて、選択肢を拡大することは社会の活力を生む点でも有意義なことではないだろうか。

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2017年11月28日

Posted by ブクログ

国家前略特区に象徴される利益のみを追求しうる新自由主義社会に進むか、調和を重んじた脱成長型社会に向かうのか。国民的議論を置き去りにして進む国家戦略特区の問題点について書かれてある。

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2016年05月24日

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