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Posted by ブクログ
初期プラトンまとめ読みの3番目。で、一応、文庫本で読めるのはこの程度だと思うので、最後のはず。
「弁明」と「クリトーン」は相当昔に読んだものの再読。「パイドーン」は初めて。
この3作で、ソクラテスの裁判から獄中、死刑執行までを一気に読める。
おそらくは「弁明」は、多くの人が最初に読むプラトンであろう。ここに描かれるのは、自分の魂の声に忠実に生きた勇気の人ソクラテスである。多くの人は、その姿に感動するとともに、なぜ、こんな人を死刑にしてしまうのか、と政治の不条理に憤りを覚えるに違いない。
が、「プロタゴラス」「ゴルギアス」を先に読んで、この「弁明」に到達した私には、なんとなくソクラテスが死刑になってしまった理由が分かるような気する。
つまり、これらの対ソフィスト論争の本を読むと、世間の人々がソクラテスを憎んでただろうことが実感できるのだ。
そういうわけで、ソクラテスにやり込められた側から、この「弁明」を読むとどう聞こえるだろうか、という読み方を図らずもしてしまった。
そうすると、ソクラテスが何言っても聞く耳を持たないという心理状態が手に取るように分かる。
ソクラテスは、魂の高貴な人間なのだが、同時代にあっては、その対話によって、理解よりも、多くの憎しみを生んでしまったのだ。
となると、ソクラテス的対話の有効性が問題になってくる。
コミュニケーション技術として、対話篇を読むときに、ソクラテスのやり方は、共感している人に対しては、良いのだが、反感を持っている人に対しては、屁理屈というか、詭弁以外の何ものでないことがわかる。これでは、相手をやり込める事はできても、共感は得られない。
と、「弁明」「クリトーン」をコミュニケーションの悲劇として読んでみた。
「パイドーン」は、物語としては、「弁明」「クリトーン」と連続しているのだが、作品としては、中期プラトンに属するもので、プラトン独自の思想がかなり入ってきている。
私は、プラトンのイデア論、魂論は、あまり好きでないので、その辺に議論が行くと、「またかー」みたいな感じがしてしまう。が、ソクラテスの魂の不滅論に対して、弟子が、疑問を投げかけるあたりから、一瞬、「おっと」面白くなる。でも、最後は、やっぱり、いつものあの世での最後の審判の話になってしまう。
感動的なのは、ソクラテスが、魂の不滅論を「証明」したあとで、「死ぬ前に自分と皆を元気づけるためにこうしたことを言ってみたのだ」といったことをを述べるところ。
そして、最後に言い残す事としては、「特段ない。いつも言っている事だ。皆、自分を大切にしてくれ」
毒薬を飲んだ後の本当の最後の言葉は、「クリトーン、アスクレーピオスに鶏を長添えしなければならない。忘れないで供えてくれ」
この辺の言葉には、すごくリアリティを感じる。きっと、ほんとうにそんな調子だったんだろう。
誰かの最期を描いた物語としては、ブッダの「最後の旅」に匹敵する。
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今となってはソクラテスの論理は詭弁に思われるところも多いし、弟子たちはソクラテスの論理に全く反論しない割にはその言っているところをあまり理解してはおらず、もやもやする部分もあるけれど、純粋に論理だけで世界を理解するという点において、興味深かった。
そして、ソクラテスはなぜ死ななければならなかったのか、ということについて考えた。
何がソクラテスを殺したのか。
それはソクラテス自身が言っているように、中傷や嫉妬である。人は誰しも、安易な方向に流れたいとか、これくらいの悪いことなら許されるだろうとか、やましい部分をつつかれたくないとか、そういうことを思って生きているものだ。そういう気持ちが、正義や真理を説く者を敬遠し、あわよくば、と死に追いやる。自ら手を下すという方法ではなく、大衆の意志として。自分が殺したのではなく、誰かが殺したのだ、と。
その傲慢さ、不誠実さが人間であり、それはソクラテスの生きた時代から遠く隔たった現代においても変わらない。たくさんの知識を身に付けても、人間の本質は変わることがない。
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【ソークラテースの弁明】
面白かった。
ニーチェの「この人を見よ」的な面白さ。
ソクラテスの人柄に笑いがこみ上げる本。
本人は大真面目なところが共通して面白い。
【クリトーン】
人情VS正義
【パイドーン】
クリトーンに感情移入して泣いてしまった。
クリトーンの気持ちを考えると辛くて涙が止まらない。
ソークラテースは妻には恵まれなかったかもしれないが、
こんなに愛してくれる友人に恵まれて果報者だ。
本題である魂の話については、死の恐怖が少し楽になる。
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ソクラテスの冤罪をめぐるプラトンの書ですね。
田中美知太郎先生の名訳です。池田美恵さんも哲学書の訳者として定評のある方です。
言わずと知れた名著、哲学の基本の書ですから、じっくりと少しずつ読み進めました。
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よく耳にする本で、一度は読んでみたいなぁと思っていた本です。ようやく読めました。
ソクラテスの弁明とクリトーンとパイドーンの3作品がおさめられています。
クリトーンもパイドーンも人名。
内容的には、ソクラテスが裁判での弁明、入獄中の会話、ソクラテス最後の時の会話がそれぞれにあたります。
けっこう印象としてはまわりくどく理論が展開され、数学の証明的な思考で主に生命と正義に関して話がされています。
小林秀雄の「考えるヒント」を読んでいるような感覚に陥りました;
ギリシャ時代の本が今に伝えられていることもすごいですが、善に関する思考が現代と変わらず論じられていることに少し驚いた感じです。
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紀元前か…
古過ぎることにより、新しくなっている。
いや、この領域に古いも新しいも無いのかもしれないな。
魂なるものは、あの頃も、今もよく分からないままじゃないか。
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ソクラテスの弁明(アポロギア)は、
今から約2400年前の法廷の様子を記録した作品。
師であるソクラテスの最後の言葉を綴ったプラトンの文章は巧みで、
当時の法廷の光景が鮮やかに浮かび上がってくる。
確かにソクラテスは一般人の目から見れば明らかに変わり者だ。
しかし、この50ページの短い記録からも徳(アレテー)を実践し、
自らの内なる声に従って、より善く生きようとした者の信念は強く感じられる。
[1968年、ギリシャ、316P]
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先に「国家」を読んでしまったため、内容的に目新しいものはあまりなかったが、プラトンの思想に大きな影響を与えたソクラテスの、より生に近いことばを聞ける点に意義があった。
また、併録の「パイドーン」の魂の不滅性についての議論は、論理的な意味では今日では荒唐無稽とも言われそうなものではあるが、より良い生を生きるためのヒントを得るという点で得るものはあったと思う。
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哲学の祖であるソクラテス関連三話。法廷でソクラテスが弁明するところから判決までの話である「ソクラテスの弁明」、親友クリトンがソクラテスに亡命を訴える「クリトン」、死刑執行日に行われた議論の様子からソクラテスの最期までをパイドンが語る「パイドン」の構成でできている。
議論と言っても白熱した議論というものではなく、ソクラテスの俺つえー的論理展開。特に「パイドン」で語られる論理の組み立て方は、流石哲学の祖と言われるだけあるなーと感心する。いくつかの前提条件(魂は神に近づくほどよい、とか神が存在することなど)についてはこの時代の人々にとっての揺らぎない「定義」なので証明はしていないが、それ以外の、例えば魂が不滅である等の抽象的事柄についてはこと細かに論理立てて説明している。なるほどなー、と思う。
そしてそれ以上に、ソクラテスが議論を進めるうえで気を付けることが、自分の正しさを証明することが目的にならないようにすべき、と言っていたのも、あー人間って昔も今も変わらないんだなー、なんて感心した。今でもそういう人いっぱいいるからな。とにかく、小難しい哲学者の言うことなんて、と敬遠せずに読んでみる価値はあると思う一冊。
でもこの時代ってまだ天動説真っただ中だし、もし地動説を知ったならどういう反応するのかなーとか、「定義」を揺るがしかねない事件に対する対応も見たくなったな。
Posted by ブクログ
今回、哲学のレポートを書くために参考本として読んだ本です。
感想を一言で言うと・・『うんざり』(笑) 『ソクラテスの弁明』は、裁判でのソクラテスの言い分をプラトンが記録したもの?といわれていますが、とにかくクドイ。何がいいたかったのかさっぱりわからない。長々と例を挙げて、長々と論理展開をする。弁術がくどすぎてうんざりというのが第一の印象。半分ぐらいでいい加減もういいよ。。といいたい気分で読みました。一方的なソクラテスの弁明のみの記録だから、仕方がないといえばそうだ。だが、ソクラテスは、ソクラテス以前のソフィスト同様に書物というものを残していない。結局、この『ソクラテスの弁明』もその他のパイドンやクリトンなんかも、プラトンが書いたものである以上、プラトンの恣意も十分に含まれているわけで、これを批判するには他書をひっぱりださねばならない。
プラトンをあまりはまらないように・・と老年配の方から忠告をうけていたが、ようやくその意味が分かった。ソクラテス以前のソフィストらは、文字としてしたためることはせず、明らかに哲学としてのきちんとして書物にしたのは、このプラトン以降のことである。これにはやはり、恣意的な要素を含まざるを得ないとおもうため、何が正しい理解の仕方なのかが分からないということだ。ようするに、ソクラテスに対する敬愛のため、プラトンの思いが入り込みすぎているのではないかという疑念も呼んでいて感じるものがあった。
しかしながら、ソクラテスが後世に伝えたかったものは、イエス・キリストと同じくきちんとプラトンから引き継がれていくものであり、現代の私たちが学ぶ西洋哲学に十分な影響を与えてることは否めないとおもう。
ちなみに、田中美知太郎氏の翻訳を選んだ理由はちゃんとあります(笑)。どの方の翻訳本を読むかというのも大切な選択肢の一つですね。