【感想・ネタバレ】ガリレオ裁判 400年後の真実のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ガリレオ裁判を資料を丹念に読み解き、真実を導こうと試みる意欲作。

ガリレオ裁判の一般的なイメージとして、頑迷な宗教人と戦った英雄科学者ガリレオという固定観念があるが、実際は当時の宗教裁判としてはガリレオ裁判は特別に慣例から逸脱しているものではなかった。
また、ガリレオは裁判で異端であることを認め、科学の正しさを主張し結果的には敗れたというイメージが一般的であるが、実際の裁判でのやり取りを見るとガリレオはむしろ異端ではない、つまり無罪を主張しておりそのイメージとはだいぶかけ離れている。
さらに「それでも地球は動いている」という有名なセリフは、彼の死後地動説が正しいという事実が明らかになりその英雄性を物語るための逸話として浮上したものであり、本当に彼が言ったセリフであるという確固たる証拠はなくむしろ疑わしい。

現在では地動説が事実であるということは自明であり、また科学的事実よりも宗教が優先されるということはありえない。そんなことを言ったら変人扱いされるだろう。
しかし当時は聖書の記述に違反する思想を抱くことは重大な罪であると認識されていたし、神は全能であると教えられていた。
歴史を見る時に最も重要なことは、現在の価値観で見てはいけないということである。
これができないと歴史の本質どころか事実そのものを見誤る。

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2016年01月14日

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